太田光のレビュー一覧
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すごい力作!
芸人でありながら多くの政治家や文化人、科学者等、多彩なジャンルの第一線の人々に接してきて積み重ねてきたであろう著者の大事にしたいことが渾身の筆致に込められた作品でした。また社会の隅っこにいる人や異文化の異なる価値観にも無償の愛ならぬ肯定感を与え、不人気な総理大臣にも自身を謙虚に投影しているように思えて、まさに太田さんらしい人間愛に満ちた物語。
若干スベりそうな笑いも冗長なシーンもラジオのオープニングトークを思えばよくまとまっているというか。笑
執筆から数年の時が下っている今、混沌とした時代をいくつか先取りしたような描写に時折ドキッとさせられたり、ふと立ち止まって考えさせられるタイ -
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爆笑問題の太田光氏による9つの短編を集めた、初めての小説集になります。よく小説の世界で短編がうまい人は作家として大成するといわれておりますが、本書の中にはその片鱗を見せるものでした。
この本も遅ればせながら読んでみました。しかし、太田光氏と僕はまったく読書の傾向が違うようで、よくテレビでは太田氏が影響を受けた作家が列記されておりますが。僕はそのほとんどを読んでいません。
でも、書かれている小説は全て短編小説なので、すんなりと読むことができました。よく小説の世界では短編を書ける作家はうまいといわれていますが、ものすごく将来性のあるデキだと思います。
特に好きだったのが『奇跡の雪』とい -
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太田光の主張は一貫しているのでフォロワーだったら目新しい箇所はさほどない。だがそれは欠点にならず、むしろ通底に存在する一貫性が彼を信用させる一助となる。
様々なものに影響され、その培われた持論を守る故に視点が限定されがちで、長年追っていた者からすると既知なものになりがちだ。しかし彼は思想を発表する場に恵まれているので、それ以上を求めるのは贅沢であるし、彼の貫き通すコアな部分は侵される可能性はないだろうということに安心を得られる。
以下メモ
芸能人として太田光は無責任男を標榜するトリックスターとしての一面と、鋭い視点で積極的に社会問題を切り込むオピニオンリーダーとしての一面があるのではない -
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「太田光」がリスペクトしている作家「向田邦子」への想いを綴った『向田邦子の陽射し』を読みました。
「向田邦子」関連の作品は、4年くらい前に読んだ「文藝春秋」編集の『向田邦子ふたたび』以来ですね。
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最上のオマージュ、鋭利な批評
誰よりも「向田邦子」を讃仰している「太田光」による最も誠実なオマージュ。
「こんなことを向田さん以外の誰が書けるだろう」というその傑出した魅力を小説・エッセイ・シナリオの奇跡のような表現を通して綴る。
「太田光」が選ぶ、「向田」作品の「読む」「観る」ベスト10の原文も掲載。
「向田」読者の幸福を存分に味わえる、最高の入 -
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たまに、若手のお笑い芸人が「太田さんの本読んでまーす!」とバラエティで話題に出しているのを見かけたりするけれど、バラエティにおける爆笑問題のテイストを想像して読むと予想以上にお笑い要素の少ない、時事ネタ漫才の「時事」部分を漫才要素抜きで話題にした内容で驚くのではないか、と思う。
連載時期が連載時期なだけに後半ほぼコロナ関連の話で(太田さんのエッセイ類の中でもこの構造はかなり異色)かつて阪神淡路大震災やオウム事件が起きた時漫才の内容変更を余儀なくされた話なんかも触れられていて、それだけセンセーショナルな時期なんだと話題だということも、その状況下で締めはやはり志村けんのことになるところも、太田さん -
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爆笑問題のラジオが好きで、特にカーボーイは毎週欠かさない。くだらないトークで盛り上がるのも好きだが、太田さんが時折熱くなって話し出す内容に、いつもいつも関心し、「この人は、いったい何なんだろう?」と思っていた。
じゃあ著書を読めよということで、今回初めて、著書から太田光という人に会ってみた。
テレビで大学教授に食ってかかる姿とは対照的に、その気持ちや思考は落ち着いていて、覚悟を持って世界を見つめ、挑んでいる。優しさと厳しさと純粋さと哀しさと、いろんなものが混ぜ混ぜの状態だけど、ああこの人は世界や人間を愛しているんだ、と思った。
カオスな物事、予定調和を壊して混沌とする状態を楽しむ(楽しん -
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太田さんが抱く違和感は、きっと多くの人が感じていて、コロナウイルスという存在が違和感をさらに浮き彫りにさせたと思う。
特に、笑いという諸刃の剣なコミュニケーション手法について、全く同意する。
いじりはコミュニケーションの中で利用することが多いが、それはいじめの派生系ではなく、いじめとイコールである。いじりというツールを使う際には、相手を慮って自分たちで自制する力を持たなければ、笑いという刃が牙を剥き、人を殺す。SNSによって、いじりの持つ殺傷能力は飛躍的に上がってしまったこともあり、一人一人が言葉の持つ力を一段と理解した上でコミュニケーションをとるべきだ。 -
Posted by ブクログ
すごくよいなぁと思った。岩田さんのところで購入した本。
世代的に向田邦子は知らなくて、太田さんとうちの親が同じくらいみたいだった。ドラマというのを確立した人なんだなぁと思う。いわゆるお茶の間テレビの最盛期、日本人に希望と笑いを届けた人たちのなかに、向田さんはいたのだなぁと思う。
本書は、そんな向田さんの人間くさいドラマに子どもの頃あてられて、すごく好きだった太田さんが熱烈に愛をつたえるファンブック&考察エッセイ。
構成はとてもシンプルで、まず太田さんが好きなシーンや文章、作品について語る。
そのあとに実際に抜き出した向田さんの原文が載っている。というのが、2往復ある。
おしゃべりはしな -
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