僕自身は改憲論者の部類に入ると思う。
憲法九条の素晴らしさを憲法の中にはみとめていない・・・という立場だ。
本書はお笑い芸人の太田光と人類学者の中沢新一の対談本。
憲法九条を「平和憲法」として諸手を上げて礼賛する平和主義者とは違って、その危うさや幻想、理想、非現実性をしっかりと認識した上での護憲
...続きを読むの話になっている。
冒頭に宮沢賢治の矛盾を孕んだ平和思想を取り上げて、それを手がかりに憲法九条を語っているところがそれを象徴しているように思える。
憲法九条を護りたいと思っている人にも、または逆に改めたいと思っている人にも、多くの示唆を与えてくれるおすすめの本。
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【日本国憲法第九条】
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
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【目次】
対談の前に 中沢新一
第一章 宮沢賢治と日本国憲法 ―その矛盾をはらんだ平和思想
第二章 奇蹟の日本国憲法 ―日米合作の背景に息づく平和思想
幕間 桜の冒険 太田光
第三章 戦争を発動させないための文化 ―お笑いは世界を救えるか
第四章 憲法九条を世界遺産に ―九条は平和学の最高のパラノイアだ
濃密な時間のあとで 中沢新一
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