あらすじ
魔女として磔にされているタバサ。同じく処刑された母の「好きなものは好きって言っていいの」という言葉を胸に微笑みながら炎に包まれる(「魔女」)。〝マボロシの鳥〟を失い、芸ができなくなった魔人チカブーが二十年後、バーで出会った男に言われた言葉は……(「マボロシの鳥」)。厄介で、面倒で、ドタバタな世界への、祈りに満ちた小説集。
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Posted by ブクログ
私は爆笑問題が子供の頃から好きで、爆笑問題カーボーイというラジオ番組だけは大人になった今でも毎週聞いている。太田光には好きなところも嫌いなところもあるが、私の人格形成の過程で大きな影響を与えた人物の一人であることは間違いない。
本のタイトルになった「マボロシの鳥」は太田光が芸を続ける理由の独白でもあるのだろうと思った。しかし残念ながら、小説として没入して読んでしまうような面白さは無かった。太田光がどんな人なのか、何を考えているのかを知りたかったから、私はこの本を読み進めた。太田光に興味がない人にはあまり刺さらないのではないか。
最後の小説「地球発・・・・・・」を読み終えたときに、「太田光が書いたから私はこの本を読んだが、太田光以外の人が書いた本だったら絶対読まないな。」と思った。そう思いながらあとがき(文庫版)に頁を進めると、太田自身が「本書は『太田光が前面に出すぎている』という指摘が多かった。」と述べていた。そして太田はこの指摘に対する自分の考えを述べていた。皆同じことを感じたのだなと思うと同時に、私の率直な感想に対してあとがきですぐに太田光が返事をしてくれたようで嬉しかった。
結局私は太田光が好きなのかもしれない。太田光の他の小説『文明の子』『笑って人類!』を読むかどうかはまだ決めてない。
Posted by ブクログ
爆笑問題の太田光氏による9つの短編を集めた、初めての小説集になります。よく小説の世界で短編がうまい人は作家として大成するといわれておりますが、本書の中にはその片鱗を見せるものでした。
この本も遅ればせながら読んでみました。しかし、太田光氏と僕はまったく読書の傾向が違うようで、よくテレビでは太田氏が影響を受けた作家が列記されておりますが。僕はそのほとんどを読んでいません。
でも、書かれている小説は全て短編小説なので、すんなりと読むことができました。よく小説の世界では短編を書ける作家はうまいといわれていますが、ものすごく将来性のあるデキだと思います。
特に好きだったのが『奇跡の雪』という短編で、知的障害を持つ女の子に爆弾をくくりつけて自爆テロをさせるというもので、よくこの内容の小説が発表できたもんだなと最初は思いました。
でも、遠く離れた世界では、こういうことが現実であるわけで、作者である太田氏はあの過酷な芸能の仕事をやりながら、こういうテーマを選んで一編の小説を書いたものだなと。正直舌を巻きました。
他にも落語調の小説があったり、宮沢賢治へのオマージュを連想させるものなど、なかなか実験的な作風で、本人が漫才か執筆かで迷うときが来るのかもしれませんが、個人的にはもう少し彼の作品の続きを見てみたいなと思っています。
※追記
本書は2023年4月6日、幻冬舎より『マボロシの鳥 (幻冬舎文庫 は 7-17)』として再文庫化されました。