上原善広のレビュー一覧

  • 日本の路地を旅する

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    自信の来歴を振り返りつつ、全国各地の路地(同和地区)をめぐるエッセイ集。その土地の歴史について、簡単な解説はありますが、基本的に著者の雑感が中心の読み物といった体です。
    差別といっても各地でその形は様々で、当事者もその受け取り方は様々。
    食肉加工や靴職人の技術が、そういった同和地区と深くかかわっているということをはじめて知りました。あと「臭い」についての言及がとても多かったです。
    同和地区を隠す、忘れようとするような動きは、実は被害者を守る行為というより、加害者側の罪を隠ぺいするために使われているような気がします。

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    2025年01月23日
  • 被差別のグルメ

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    ⚫︎サクッと読めるかと思いきや、アイヌ部分が長すぎてだれてしまった…
    ⚫︎とはいえ、具体的な体験談やら潜在的な差別意識など、ハッとさせられる記載もありよし
    ⚫︎中々書きにくいテーマにしっかり向き合っているのは凄いし、自分でどんどん食べているのは偉いよね
    ⚫︎最後の料理の半分は精神性というのはなるほどなと。

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    2024年04月29日
  • 被差別のグルメ

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    上原善広さんを他の著作で知ってから、ずっと読みたいと思っていたノンフィクション。
    差別される料理というのは、つまるところ「ソウルフード」という言葉で表現できるような苛烈な故郷の味であるようだ。
    路地で食べられてきたサイボシや、アブラカスなどのホルモン。アイヌ料理、北方少数民族の料理、沖縄の島々の料理。そして今や日本中で愛されるほどになった焼肉。それらの料理がどのように生まれて、どのように親しまれてきたか。
    こうした料理が生まれた背景や由縁を知るのって、とても意義深いことだと思う。「食」がもつパワーは凄い。

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    2023年06月20日
  • 被差別の食卓

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    食べ物と人と文化は切り離すことはできないと思う。被差別の食卓とはなかなか衝撃的な題名だったが、各国の食べ物や人々のルーツを学べた。

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    2023年01月26日
  • 一投に賭ける 溝口和洋、最後の無頼派アスリート

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    (世界の基準に比較すれば)体格に恵まれないにもかかわらずやり投げを追求して当時世界二位の記録を出した溝口和洋氏のノンフィクション。「やり投げ道」を追求するのではない、やりを遠くまで投げることを追求するのだ、という突き詰め方は確かに、と思った。著者の本を何冊か読んでいて著者のパーソナリティを打ち出す内容が多い中で異色の内容にも思えたが、一人称で語られる内容は実は著者の作品の中でもそれほど特殊でもないのかもしれない、と読み終わって思った。

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    2022年05月08日
  • 四国辺土 幻の草遍路と路地巡礼

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    ゆるふわな遍路記も嫌いではないけどもきな臭いところも遍路の本来なんだろう
    清濁併せ呑むところをよく伝えてくれる遍路ノンフィクション

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    2022年03月04日
  • 私家版 差別語辞典

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    被差別部落の出自を持つ著者は「二本の路地を旅する」で幾多の賞を取り、西村賢太からも絶賛されている、
    どんな無頼漢かと想像していたが、まっとうなルポ、まっとうな主張だ。文章はそこまでうまくない。
    ただしルポの場合は、その拙さが逆に現場感を生み出している。本書は、差別語を著者の個人的体験や取材に基づき解説し、批評していく。
    1)差別するのは言葉ではなく、人である。
    2)汚いものに蓋をすれば、それは内向し鬱屈していく。
    3)歴史的、慣習的な語句は残すべき
    4)言葉は歴史であり、文化である
    これが根本的な彼の考えで、言葉としてすでに差別的なものは消えていくべきだが、言葉は歴史を背負っており、つまらぬ人

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    2022年02月13日
  • 被差別の食卓

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    フライドチキンは黒人奴隷料理の代表。
    白人が食べずに捨てた手羽、足先、首の部分を、骨も気にせず食べられるようにディープフライしたのがルーツ。

    おでんそば。おでんに中華そば。すごい。効率性と満足を求めた結果の料理。昔の母親の朝ごはんで、バンバーグそば出てきたけど全く同じではないか。

    最後の締め文がいい。
    "料理は、味が決め手である。しかし同時にその国、民族、地方、個人を表す文化でもある。だから他人にはどうということのない味でも、その人にとっては懐かしい味であったりする。"
    思い出で飯を食う。背景を知ったうえで料理を楽しむ。

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    2021年02月24日
  • 日本の路地を旅する

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    当事者である著者でないとできない紀行。そして、いまだに残っているところもあることに純粋に驚く。東京だと、あの辺りが昔そうだった、くらいで今の住人はそんなに関係なく(たぶん)、本人が言わない限り分からない(と思う)。けど、この本を読むと、この地区は何戸、とかあって。戸数が分かるって‥消えてないんだな、と。居住地と名字で地元の人はわかる、と西日本の人から聞いたことはあるけれど、本当にそうなんだ、、息苦しいな、、
    ルポとしては、前半は普通に読んでいけるんだけど、後半になるにつれて事件やヤクザ、著者の前科者の兄の話が出てきて重苦しい。その辺は私小説的。

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    2021年01月02日
  • 異形の日本人

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    先日読んだ「一投に賭ける」は名著と言っても過言ではない作品でした。
    無頼アスリートという惹句に惹かれましたが、中身は自分で自分をコントロールし、誰にも左右されずに独立独歩で生きて行く男の姿そのままでした。
    この本にはそのアスリートの前段ともいえるインタビューが収録されています。やはりかっこいいな。関わると大変そうだけど。
    他も、マスコミでは封殺されそうな人々の生きる様が描かれています。とても興味深い本で、誰も彼も強烈な個性です。
    唯一ターザン姉妹は毛色が違くで、色物ルポタージュの様相を帯びています。

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    2020年11月13日
  • 被差別のグルメ

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    本の中で、いくら出生を隠しても食習慣は隠せない、ことを説明しているところがある。なるほどなぁ。食文化は民族も隠せない。よな。

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    2020年08月16日
  • 被差別のグルメ

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    3.5 自分にとってのソウルフードってなにか考えた。食は時には差別を生むね。地域の食べ物が人とともに消えるのはかなしい。

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    2019年10月16日
  • 被差別のグルメ

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    前作「被差別の食卓」は世界の被差別地帯のソウルフードを紹介した本でしたが、本作は日本にスポットを当て、同和地区、北海道のアイヌや少数民族、沖縄、在日のソウルフードを紹介しています。最近ゴールデンカムイを読んだので、丁度アイヌの文化や食事のことが描かれていて興味深かった。現在では大っぴらな差別やタブー視はないらしく、食文化として受け継がれているのはいいことだと思う。

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    2018年05月29日
  • 日本の路地を旅する

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    (01)
    現代の日本の風景を考える上で,本書に現わされた内容は興味深い.
    歩いていると,不思議な風景に出会うことがある.不思議さとして直観されるその風景には事情がある.その事情の一脈を「路地」として解きほぐしている.
    文庫版解説の西村氏が氏らしく「知らなかった」と告白しているように,私も路地という呼称のこのような用法を知らなかった.中世都市に起源があるとされる狭い街路を指示する路地を考える上でも,この命名が再考を促す問題の範囲は,ことのほか広い.
    「部落」という用語は,今でも地方に残るが,それは国土にある人の住む場所場所のおおよそ全てを含んでいた.「路地」についても同じことがいえ,それは近代日

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    2018年05月14日
  • 聖路加病院訪問看護科―11人のナースたち―

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    ・聖路加国際病院の訪問看護師は病棟勤務後配属される。訪問看護科には医師がいない。(入院時の主治医が各訪問先の医師であるため)看護師の個々人の判断が必要。
    ・聖路加国際病院の訪問看護ステーションは公衆衛生看護部→訪問看護科を経てできた。
    ・看れる患者は遠方でも対応する。(聖路加国際病院に入院されていた方が遠方の人もいるため)
    ・長期療養できる病院が廃止されつつあり、訪問看護が必要になってくる。

    訪問看護は病院に比べて、一人一人をしっかりと看れることはとてもいいことだと思う。また、病院より家で看取られたい患者も多くニーズを応えている。今後、訪問看護の需要が増えてくる可能性を感じた。

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    2018年04月22日
  • 被差別の食卓

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    正直な感想を言えば、読んでいると食欲がなくなる。
    しかし、ブルガリアのロマの章などは「うっ」と思ってしまうけれど、実際その過程は私達が牛や豚を食べたりするのと同じことなのだった。
    どんなに眉を顰めてしまうような食事風景だとしても、彼らにとってはどれもこれも単に生きるために他ならない。
    何を食べるから良い、悪い、などと、私達に批判できる権利など一切ないのだ。
    本当に食というのは命そのものだ。

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    2018年04月03日
  • 発掘狂騒史―「岩宿」から「神の手」まで―(新潮文庫)

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    有名な石器捏造事件そのものではなく、石器発掘捏造事件を起こした人の「恩師」だった大学教授にスポットライトを当てたノンフィク。初っ端から学閥絡みの醜悪な縄張り争いが出てきて、読んでいて脱力感すら出てくる。日本も記紀神話を歴史として学校教育で教えていた時代があり、それを思うと創世記をめぐって議論を重ねている欧米を笑えないなと思う。

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    2017年11月12日
  • 被差別の食卓

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    アメリカ、ブラジル、ブルガリア・イラク、ネパール、そして日本という世界各地の被差別民の生活とその共通性を”ソウルフード”(食事)という観点から描いたノンフィクション。

    普段何気なく食べている食事にこそ、文化が表象されるというのは当たり前のこととして、内臓料理の割合が多いことや、香辛料等で煮込むその調理法、など、その共通性が面白い。

    これを読んで無性にかすうどんが食べたくなった。東京ではあまり見ないが幾つか店もあるようなので、近いうちに必ず。

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    2017年10月22日
  • 発掘狂騒史―「岩宿」から「神の手」まで―(新潮文庫)

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    旧石器時代発見の過程から捏造事件に至るまでを、出来事は勿論発掘に関わった人々の性格や何やまで詳述してある。
    主要人物が登場すると、芋づる式に師匠だの同僚だのに話が飛んでいくため読むのに苦労するが、読み終われば、解説にあるように、それらが必要だったのだと気付かされる。
    この事件の原因は結局、古代史研究の現場のムラ社会的な風潮にあるのではないか。そも日本という国全体にそんな風潮があり、多くの問題の病巣になっているように思う。

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    2017年08月16日
  • 私家版 差別語辞典

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    差別用語とされる言葉と、その歴史的背景を紹介したもの。
    言葉狩りの問題にはとても興味があります。自分の親世代の人が普通に使ってる言葉が差別用語に認定されてたりして驚きました。
    筆者が作品中で何度も主張している通り、差別する意図をもって使えば言葉は差別語になるし、何でもかんでも規制すればいいというものではないと思う。明らかに差別的な言葉は規制されて当然だと思うけど、行き過ぎた自主規制には言い知れぬ不気味さを感じる。とはいえ、テレビや雑誌では発信側が「差別的な意図はなかった」と言っても受け取る側が不快に思ったらもうそれは差別語になってしまうんだろうなぁ。そう考えると、余計なトラブルにならないように

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    2013年12月23日