上原善広のレビュー一覧

  • 日本の路地を旅する

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    「こうして一人で路地をまわる旅を続けていると、ふらりと一人の男が突然に訪ねてきて話を聞かれるだけでも、路地の人々にとっては、時に身を切られるように辛いことであろうと思ってしまうのだ。そう思うと、いたたまれない気持ちになる。路地をまわり始めて十○年以上になるが、あまりにも気持ちが重く、胃をいためて一年間どこの路地にも出られずにいたこともあった。
    だったらこんな、傷口に塩をなすりつけてまわるような旅などしなければいいのにと、自分でも思わないこともないが、不器用な私はいつまでも、このような人の心のひだを覗き込むような旅しかできないでいた。いくら同じように身を切ったとしても、路地の人にとって、それは所

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    2025年07月20日
  • 四国辺土 幻の草遍路と路地巡礼

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    1782

    上原 善広
    (うえはら よしひろ)1973年大阪府生まれ。ノンフィクション作家。大阪体育大学卒業後、ノンフィクションの取材・執筆を始める。日本各地の被差別部落を訪ねた『日本の路地を旅する』で、2010年第41回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。2012年、「孤独なポピュリストの原点」(特集『「最も危険な政治家」橋下徹研究』、新潮45)で第18回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞大賞受賞。『一投に賭ける』2016年度ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。著書に『路地の子』、『発掘狂騒史』など多数。


    徳島のある駅に降り立ち、一番寺へ歩いていこうとしたとき、突然見知らぬ女が詰め寄ってきて

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    2023年11月06日
  • 発掘狂騒史―「岩宿」から「神の手」まで―(新潮文庫)

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    相沢忠洋、杉原荘介、芹沢長介、藤村新一と続く日本の戦前戦後から現代までの旧石器時代の発掘の歴史が物語風によくまとまっている。

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    2023年06月07日
  • 四国辺土 幻の草遍路と路地巡礼

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    四国遍路のダークサイドに焦点を当てて言及した本。
    その中でも草遍路の方々についての話が特に面白かった。
    10年ほど前に私自身、通しで歩き遍路をしたのだが、度々草遍路の方々と出会う事があった。
    どういう経緯で草遍路をしているのか尋ねたかったが、もちろんそんな度胸はなく、結局接点を持つ事のないまま遍路を終えてしまった。
    話しかけることすら憚れる草遍路の方々に直撃インタビューをしたり、行動を共にしていた筆者の度胸には感服する。

    本書はどうしても暗い展開に行きがちだが、お遍路は悲しい物語ばかりではない。
    歩き遍路を通して運命の伴侶と巡り合って家庭を持って遍路宿を営んでいる夫婦であったり、病気がきっか

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    2022年01月25日
  • 路地の子(新潮文庫)

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    著者の断薬の記録。
    私の周囲には、長期的に精神薬をとっている人がいますが、断薬・減薬できたという話は聞いたことがありません。
    やろうとしている人はいるのですが、かなり大変みたいで、「減薬をあきらめた」という人もいます。
    ほんの小さな化学物質のカタマリなのに、ほんの少し削っただけでも脳が異変を起こす。
    そんな恐ろしい物質って、なかなかないですよね。
    著者のように一ヶ月温泉でデトックスできるような状況の人なら、ぜひ転地療養で、一気に断薬できるといいなと思いますね。
    だいたいが、生活がある、仕事がある、物理的に、経済的に無理という人ばかりです。
    そりゃあそうですよね・・・
    医者に処方された精神薬が限

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    2021年04月18日
  • 一投に賭ける 溝口和洋、最後の無頼派アスリート

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    自分で考えるという観点から見たスポーツの良い実践例となるのではないか。現在のスポーツでは指導者はよく指導法や理論は勉強する者も多いが、競技者(現代では学生が主となると思われるが)は学ばないし、競技知識を体系的に自分で学ぶことはあまり推奨しない。おそらく指導者が競技者に、そのスポーツの勉強を推奨しないのは、指導方法が確立されていないことと、知識を身につけた競技者は指導しづらいということが関係していると思う。しかし、自分で考え指導者がなくても自分で競技力を高めることが現代スポーツには必要となると思う。
    非常に面白い本であった。

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    2021年01月25日
  • 今日もあの子が机にいない 同和教育と解放教育

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    解放教育の全盛期から衰退までを検証したルポルタージュ。筆者の回顧も交えた河内の実践→八鹿高校事件・世羅高校事件→同和教育・解放教育の現状と再び筆者の回顧という構成。

    その発展があくまでも「国家権力」を後ろ盾にしていたが故に可能となったものであり、またこれに付随する様々な歪みや悲劇があった事実を析出しながらも、今日でも語り継がれるべき何かがあったことに迫った一冊。タイトルの「今日もあの子が机にいない」は1950年代に再興した同和教育の学力保障運動のスローガンから取られたものであり、ここに筆者の解放教育への眼差しが集約されていると思われた。

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    2020年05月28日
  • 私家版 差別語辞典

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    「同和」が「同胞融和」または「同胞一和」を略したものだってことすら知らなかった私としては、知らなかったことがたくさん載っている本でした。江戸時代の乞食が諜報活動をしていたとか。

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    2018年12月30日
  • 発掘狂騒史―「岩宿」から「神の手」まで―(新潮文庫)

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    『発掘狂騒史』(上原善広著、新潮文庫)は2017年の文庫だが、2014年の『石の虚塔』の文庫化。
    2000年の旧石器捏造事件についても書かれてある。
    また群馬県の岩宿遺跡を発掘した在野の研究家、相澤忠洋のドラマチックな生涯についてよく書かれていた。旅芸人の父は旅に出て、母がある日家を出てから、兄弟は離れ離れで親戚に預けられる。出征直前の母との再会もあったが、戦後は自転車で行商をしながら石器を拾い集め、やがて発掘に熱中して妻子や生活を返り見ず、資産家の女の援助を受けるなどという話。日本には旅芸人などの定住しない人たちの文化というものが確かにあったというのは、宮本常一などもいう通りで、そうした昔の

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    2018年08月10日
  • 発掘狂騒史―「岩宿」から「神の手」まで―(新潮文庫)

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    傑作。日本は無宗教じゃなくて、宗教じみたプチカルト小集団によって形成されている「宗教」国家なんじゃなかろうか…。

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    2017年06月14日
  • 日本の路地を旅する

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    路地(被差別部落)出身の作者が全国の路地を旅するノンフィクション。

    小中と同和教育が盛んな学校に私は通っていて、ずっと何故盛んなのか不思議に思っていた。

    積年の謎が少しだけ解けた。

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    2015年05月03日
  • 日本の路地を旅する

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    東京生まれ東京育ちの自分は、ほぼ同和問題とは無縁の生活を送ってきたが、何故か、惹かれる。不謹慎なのは承知してるが、怖いもの見たさや、知らない世界を教えてくれるような気がする。

    人間の本質なのか、人より優位に立ちたいという思いが、差別を産み、より弱いものいじめに走る。なんともやりきれない。

    作者は、何を求めて「路地」をさまようのか。本書を読んでも分かるような分からんような。仕事柄、「路地」に行くこともままあるが、そこでの対応には、やはり気を使うこともある。同和も人権も言葉としてはあまり好きではないが、要は、差別する人の心の有り様が問題なんだろう。今の国際情勢は差別がものすごく進んでいる気がす

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    2015年04月27日
  • 異形の日本人

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    上原のルポを集めた作品集
    タイトルはちょっと無理やりなので
    信じてはいけない
    ターザン姉妹と春團治が特に良かった
    4.5点
    四捨五入で★5

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    2014年12月06日
  • 日本の路地を旅する

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    日本全国の被差別部落を歩く旅行記。
    あくまでも現在を知るための本なので詳しい歴史に関しては塩見鮮一郎なんかの本と合わせて読むのがいいかも。

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    2014年07月30日
  • 被差別の食卓

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    あぶらかす・フェジョアーダ・ガンボ、そしてフライドチキン。今では一般的な市民権を得たものも多い各地の「ソウルフード」は、かつて差別と貧困に苦しめられた人々が知恵と工夫で編み出した食べ物だった。
    関西の被差別部落地域、アメリカ南部、ブラジル、ネパール……と世界各国を旅しながら食べ歩いたソウルフードにはいくつかの共通点があり
    ・加工調理に手間がかかる
    ・味に癖がある/食べづらい
    ・そのため本来は加工の途中で廃棄されていた
    ・(おもに宗教観に基づき)「穢れ」と見なされている
    材料だということ。それに手間暇をかけ、あるいは味付けや香辛料で工夫を施して出来上がった料理だということが挙げられる。
    そして彼

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    2013年05月11日
  • 日本の路地を旅する

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    路地=被差別部落、そして同和。エタ、非人など、タブー視されてきた問題に力む事なく、しかし力強く迫った渾身のルポ、か?

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    2013年04月24日
  • 聖路加病院訪問看護科―11人のナースたち―

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    聖路加というブランドで訪問看護、在宅医療をどのように行うのか訪問看護科たちあげのドキュメンタリ。
    最初は病院に付属した形での訪問看護であったが、(それは聖路加に入院していた人が自宅に帰ることを希望したら訪問看護ができる)訪問看護ステーションとして地域医療に密接した在宅看護をめざす。

    訪問看護師の奮闘ぶりが見える。いち早く、日本に訪問看護をたちあげた奮闘記。

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    2011年08月25日
  • 私家版 差別語辞典

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    この題名惹かれてしまった人には
    ものすごく お薦めの 一冊

    頭だけでなく
    きちんと ご自分の足と手と目と耳を使われて
    見事に 一つ一つの「差別語」に向き合われた
    労作

    この次の作品が楽しみです

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    2012年12月28日
  • 被差別の食卓

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    元「部落」出身者の著者が、同じく身分制度や奴隷制度の陰で支配階層に冷遇されてきた人々の食卓を巡る。
    こんなものを食べているのか!といったものが多数出てきて、単純な紀行ものとしてもかなり面白い。
    しかし、本書を単純な紀行ものと分けている点は、筆者の思いだ。
    自分と同じルーツを持つ人間が何を食べてきたのか、今何を食べているのか、そしてどう暮らしているのか、それを知りたい。
    その思いが、本書に普通の紀行ものにはない「厚み」を与えているように思えた。

    また、日本で被差別部落と言ってももはや知る人も少ないと思うのだが、世界ではまだまだ差別問題というのは根深いものなのだと知ることができた。
    アメリカ等で

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    2011年05月08日
  • 被差別の食卓

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    日本だけでなく、アメリカ、ブラジル、ネパール、ブルガリア、トルコなどの被差別民の人々が食べてきた、彼等しかしらない料理。

    ハリネズミの処理の仕方は、びっくりしたな~。


    「差別をなくそう」の一言で、差別がなくなればいいのに。

    人ってなんだかむずかしいね。

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    2011年02月04日