上原善広のレビュー一覧
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「差別語」を集め、それらがなぜ差別語とされてきたか、その源流を探る。
この本に載っている差別語はほとんど聞いたこともないものだった。それだけ差別語がやがて消えていくものだということを実感させられる。
著者はまた差別語はその言葉自体が差別するものではなく、使用者の意図が差別的ならば差別語になると主張している。同感である。
全国水平社を皮切りに差別を糾弾する団体が多くでき、今でも残っている。それらは少々乱暴な手法だったが、当初は大きな成果を上げた。だが今では言葉狩りの原因になっている。
また興味深いのはそれまで穢多、非人として差別されてきた人たちの生業が、現在では通常尊敬を集める職業だということだ -
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世界各地の被差別地帯に伝わるその地特有の「ソウルフード」と、今も残る差別の実態を紹介したルポ。
すごく興味深かったです。余り物や本来捨てられるような部分をうまく利用した料理の数々から、なんというか反骨精神のようなものを感じました。
しかしハリネズミ調理方だけなぜそんな写真入りで詳細に…
黒人差別の話は昔学校でぼんやり習った程度だったけど、改めて考えてみると、肌の色が違うというだけで同じ人間を奴隷として売買していたというのはすごいことだなと…。今も確執があるのは仕方のないことなのだろうか。
あぶらかすという食べ物を初めて知りました。味の想像がつかない…いっぺん食べてみたいです。日本では昔は四足の -
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一つの文化と歴史がわかる
日本全国の路地を旅しながら、その土地の路地の歴史、文化を伝えている作品である。
その路地がどのような経緯でつくられたのか、そこで生活していた人々はどのような仕事をしていたのかといったことが良くわかる。
確かに、厳しい生活をしていたが、路地内の人たちはその中で普通に生活し、独自の風習や文化を形成していたということが読み取れた。
続編が出てほしい。 -
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被差別部落問題ってなんとなくずっと心に引っかかっている。ふつうに学校の授業を受けている時間だけではこの言葉に出会ってこなかったと思う(ってもちろん私が聞いてなかっただけかもしれないけど)。それでもこれを知っているのは、高校の学校行事で行った広島旅行で、被差別部落を訪問するというコースを選択したからだ。今よりもっともっと世間知らずだった私、「どんな特殊な地域なんだろう?」という好奇心もあって選択したわけだが、行ってみると拍子抜けというか、とても普通だった。ますます、なにがどうしてなぜ差別をされているのかわからなかった。それから大学の研究旅行の中でも、三味線作りの見学に行ったとき、「皮を扱う職業は
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「路地」とは被差別部落のこと。中上健次は被差別部落を指してそう呼んだそうだ。自らも路地出身の筆者が全国に点在する路地を巡りその成り立ちや景色を描出する。
西日本では身近な路地も、関東では馴染みのないことが多い。しかし東京にも路地は存在したし、いま現在も路地はたしかにある。そうした路地の記憶を掘り起こしながら筆者は旅をつづける。
やがてその路地巡りは、筆者自身のルーツ、そして家族と重なり合う。路地出身の筆者が路地を巡ること、それは図らずも自らの半生と路地との関係を再認識する作業となる。ここに至って、本書は単なるルポルタージュではなく、巻末で西村賢太が言うように私小説としての要素さえも獲得する。 -
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いやー面白かった。
テーマは、扱い方によっては重たくもなるものを、軽くさらっと書いている。フライドチキンが被差別のものだったとは、寡聞にして初めて知りました。
全体的に面白いし、あんまり重たい話もないんだけど、中東のロマのところは気持ち悪くなりました。だって私、現代日本人だもん。衛生面が悪いのはダメだよ。食事中に読まない方がいいです。
しかし、これ読みながら、差別に関してはいろいろ考えたり思い出したりしました。
それこそ現代日本で「普通」の家庭に生まれた人って、当たり前のように、自分は絶対差別されないって自信を持って、無神経なことを言うことあるよね。とかね。
何ていうか、「被差別部落の -
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ネタバレ著者は自分の地元でよく食べていた「あぶらかす」「おでんうどん」などの食べ物が被差別部落に特有のソウルフードだったということを知る。
そうした食べ物のルーツや分布を調べていくと、いろいろと興味深いことがわかってきた。
○肉の内臓系が多い
○食べにくいものを工夫して食べられるようにしている
○カロリーが高い
○九州と大阪など離れた被差別部落間で婚姻関係を結ぶことが多く、このため遠く離れた地で全く同じ食べ物が残っていたりする
などなど・・・。
そのうち、作者の興味は海外へ。
フライドチキンにナマズフライなど、海外の「被差別の食卓」にもそれぞれにいろんな歴史や背景がある。
単に被差別というよりは「 -
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いわゆる「ソウルフード」を切り口としながら、日本における被差別部落、アメリカにおける黒人奴隷、印欧におけるロマ(ジプシー)などの共通点を示していく。
実はフライドチキンもまた「被差別の食卓」に由来するものであった、という話は意外な発見。一度普及してしまうと多くの人はその背景を気にすることがなくなるのだろうが、一方で、自分たちの生み出した食文化の由来をきっちりと守りたいという要求もあるように思われる(紹介されていたブラジルの「アカラジェ」という食べ物はそういう事例なのだろう)。この辺の折り合いは難しいところだ。
あまり馴染みのないテーマの書籍であったが、いろいろと発見が多かった。
豆知識 -
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ネタバレ私もたまに食べるファーストフード、ケンタッキーフライドチキンは黒人料理だそう。思いもよらなかった。「アメリカの料理」と漠然とした認識しか持っていなかったけど、料理のルーツをたどれば見えなかったものが見えてくる。
ほかにも、いろいろな国の被差別社会から生まれた料理が載っていて、どの話も興味深く読めた。 被差別部落でしか食べられない料理「あぶらかす」。道一本はなれた一般地区では食べられていないのに、遠くの被差別部落では、同じように食べられている。 これは、被差別部落が一般地区との隔絶を示していると、作者は言う。 確かにそうだと思う。 部落差別は解消傾向にあると、書いてあったが、早くそうなっ -
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