Posted by ブクログ
2013年08月19日
「差別語」を集め、それらがなぜ差別語とされてきたか、その源流を探る。
この本に載っている差別語はほとんど聞いたこともないものだった。それだけ差別語がやがて消えていくものだということを実感させられる。
著者はまた差別語はその言葉自体が差別するものではなく、使用者の意図が差別的ならば差別語になると主張し...続きを読むている。同感である。
全国水平社を皮切りに差別を糾弾する団体が多くでき、今でも残っている。それらは少々乱暴な手法だったが、当初は大きな成果を上げた。だが今では言葉狩りの原因になっている。
また興味深いのはそれまで穢多、非人として差別されてきた人たちの生業が、現在では通常尊敬を集める職業だということだ。彼らは職人として様々なものを作り、また牛馬の死体を処理した。刑場・牢屋での仕事にも携わった。
牛馬の肉を食べていたことからも、実は栄養状態は他の農民などより良かったのではないかとも考えられなくもない。(実際は知らないが)
芸術に関わる人達が被差別の層だというのも驚きである。古くから町民や権力者を楽しませた芸術が、最下層の人間なのだから不思議なことこの上ない。当然人気のある役者なら大変な金持ちもいたが、身分の上では下なのである。不思議。