あらすじ
差別されてきた人びとが生きる場所には、そこでしか食べられないグルメがある。無名で、見た目もよくない、でも、これほど美味しい料理はない……。大阪のアブラカス、サイボシ、ゴシドリ。アイヌの鹿肉、川魚、鍋料理。北方少数民族の魚皮でつくったデザート。沖縄の島々に伝わるイラブー、ソテツ。そして在日韓国・朝鮮人から広がった焼肉など。垂涎の美味と異色の食文化を大宅賞作家が描く傑作ノンフィクション。
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Posted by ブクログ
デビュー作「被差別の食卓」から10年後、今度は日本国内の被差別のグルメです。
ホルモンやサイボシ、あぶらかすなどなんだかんだ全部食べた事あるので、それくらい一般の中に浸透しています。もはや差別も相当薄れていると思うし、自分自身なんとも思っていませんが、差別された側は忘れられないし、いつまでも警戒する気持ちもわかります。
アイヌ、オロッコ(ウィルタ)ギリヤーク(ニブフ)の部分がとても印象的で、とても有名なアイヌに関しては知っていますが、後述の二民族に関してはほぼ知らないし知られていません。直木賞受賞作の「熱源」を読むとどのような扱いだったのかよくわかりますのでお勧めです。
第二次世界大戦後に日本に残った人々は、日本国籍ももらえずとてつもなく苦労したそうで、今では表立ってウィルタ、ニブフであると公表する人もいらっしゃらないそうです。
日本人は単一民族と子供の頃から教えられて来ましたが、それを聞いて日本国内の少数民族の人々はどう思ったのかなと思うとモヤモヤした気分になります。
Posted by ブクログ
⚫︎サクッと読めるかと思いきや、アイヌ部分が長すぎてだれてしまった…
⚫︎とはいえ、具体的な体験談やら潜在的な差別意識など、ハッとさせられる記載もありよし
⚫︎中々書きにくいテーマにしっかり向き合っているのは凄いし、自分でどんどん食べているのは偉いよね
⚫︎最後の料理の半分は精神性というのはなるほどなと。
Posted by ブクログ
上原善広さんを他の著作で知ってから、ずっと読みたいと思っていたノンフィクション。
差別される料理というのは、つまるところ「ソウルフード」という言葉で表現できるような苛烈な故郷の味であるようだ。
路地で食べられてきたサイボシや、アブラカスなどのホルモン。アイヌ料理、北方少数民族の料理、沖縄の島々の料理。そして今や日本中で愛されるほどになった焼肉。それらの料理がどのように生まれて、どのように親しまれてきたか。
こうした料理が生まれた背景や由縁を知るのって、とても意義深いことだと思う。「食」がもつパワーは凄い。