秦郁彦のレビュー一覧

  • 陰謀史観

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    非常に興味深く 面白かった。半藤一利の歴史探偵シリーズには決して記されないであろう田中上奏文とか陸海軍内部での行きすぎた妄言とか。対して 現代の陰謀論と呼ばれている かなり小粒の貧しい事象に関しては最終章で触れるもそのあまりの 低俗さに嘆息して終わっているところが信頼できる。まさに 陰謀論も愚者の最後のよりどころとしているのである。

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    2026年09月20日
  • 官僚の研究 日本を創った不滅の集団

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    戦後までの官僚史をデータを元に整理されたもの。時折挟まる官僚制度への私見は、官僚を経験した著者の解像度の高さもさることながら、1983年に描かれながらも今に通底する鋭い内容も多く、令和になった今でも興味深く読める。

    個人的にはオーラルヒストリー的な語りが特に刺さりました。

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    2025年03月25日
  • 明と暗のノモンハン戦史

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    これまで、ノモンハン事件は、日本の負け、とされてきているように思うが、
    将兵や装備の損耗を見れば、引き分けだったようだ。

    それにしても
    出先の関東軍と参謀本部の不統一、
    戦訓を未来に活かさない姿勢、
    帰還捕虜の扱い、
    などは、
    日本陸軍はいただけない。

    戦車将校だった、司馬遼太郎が、
    ノモンハンを描こうとしていたようだったが、
    それが今読めないのはまこと残念。

    もっとも、
    描こうとしていた当時は、
    ロシア側の資料の公開が進んでいなかったので、
    かえって書かなくてよかったかもしれない。

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    2017年01月15日
  • 陰謀史観

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    第一次・第二次世界大戦における陰謀史観を検証した本。前半はアメリカでたびたび出てくる昭和天皇を戦争の「元凶」とする仮説で、後半は主にソ連やコミンテルンの「陰謀」とする言説を取り扱う。現在まかり通る(そして、今後もまかり通るであろう)陰謀史観に対抗する知識や姿勢を身につける上では必読。

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    2012年04月21日
  • 昭和史の論点

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    昭和史に関する17の事柄を座談会形式で話し合ったものをそのまま活字化しているようなカンジ。

    座談会形式なので読みやすく、また、扱っているテーマも興味深いモノばかりで面白い。また、「歴史のif」の話もあり、部分では少々行きすぎな所もあるが、専門書にはない推測を働かせて歴史をみてみるというのも楽しい。

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    2009年10月04日
  • 病気の日本近代史 ~幕末からコロナ禍まで~(小学館新書)

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    第一章から第六章までの各疾病に関する歴史の論述は大変興味深かった。当時の技術からすると、病気の原因が明らかでない中で、原因や治療法についてどんなふうに考えていたのかを、様々な文献を引用しながら考察されていた。
    第七章の喫煙と肺がんに関する論説は、喫煙者である著者の恨み節が手を変え品を変え列挙されているだけのように見え、他人の服についたタバコの煙の匂いすら苦手な私にとっては、素直な気持ちで読むことができなかった。

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    2025年12月24日
  • 昭和史の論点

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    昭和史研究の第一人者「坂本多加雄」、「半藤一利」、「秦郁彦」、「保阪正康」が昭和史を討論した作品『昭和史の論点』を読みました。

    ちょっと前になりますが、12月8日… 太平洋戦争開戦の日に、昭和史のことを考えたくなり読み始めました。

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    日本は進路を誤ったのか、戦前は「暗黒」だったのか、ワシントン体制から戦争責任まで、いまに尾をひく諸問題を徹底討論する。

    国を鎖していた小さな国が、急速な近代化をなしとげ、しまいには世界の“一等国”を自任するまでになった。
    しかし東亜の風雲はおさまらず、軍部は独走し、複雑な国際情勢の中で、ついに未曾有の大戦争に突入していく―。
    昭和日本はどこで誤ったのか?
    戦争以外の進路はなかったのか?
    ワシントン体制から満州事変、二・二六事件、盧溝橋事件を経て、太平洋戦争、敗戦に至る過程を、昭和史研究の第一人者たちが、片寄った史観にとらわれることなく、徹底的に討論検証する。
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    ワシントン体制から戦争責任までの期間を、時代に沿った以下の17テーマで四人が討論している作品です。

     ■1 ワシントン体制(大正10年) ― 反英のスタート
     ■2 張作霖爆殺事件(昭和3年) ― 陰謀の発端と発言せざる天皇
     ■3 満州事変から満州国へ(昭和6年) ― 泣く子も黙る関東軍
     ■4 国際連盟からの脱退(昭和8年) ― 新聞の果たした役割
     ■5 二・二六事件(昭和11年) ― 皇道派と統制派
     ■6 盧溝橋事件から南京事件へ(昭和12年) ― 陰謀・虐殺の事実は?
     ■7 東亜新秩序声明(昭和13年) ― 自主外交の突き当たったもの
     ■8 ノモンハン事件(昭和14年) ― 北進から南進へ
     ■9 日独伊3国同盟(昭和15年) ― 4国同盟への夢想
     ■10 四つの御前会議(昭和16年) ― 戦争への道のり
     ■11 ハル・ノート(昭和16年) ― 多くの陰謀説の検証
     ■12 真珠湾攻撃(昭和16年) ― 「無通告急襲=騙し討ち」の汚名
     ■13 大東亜共栄圏 ― 「解放戦争」か「侵略戦争」か
     ■14 餓死と玉砕 ― 太平洋戦争の軍事的側面
     ■15 科学技術と戦略 ― 戦艦大和・零戦・酸素魚雷
     ■16 原爆とソ連侵攻(昭和20年) ― 聖断をもたらせたものは何か
     ■17 戦争責任と戦後補償 ― 謝るべきか、否か
     ■関連地図・年表

    昭和史研究の第一人者たち… と言っても、17もテーマがあると、それぞれに特に得意なテーマがあるようで、テーマによってリーダー的な発言をする人が異なっていましたね。


    意見が相違したり、対立するテーマもありました。
    歴史というのは、事実として判明している部分は意外と少なく、事実から類推する部分が多いので、このようなことは起こって当たり前なんでしょうねぇ… ひとりの人の意見だけを信じるのではなく、複数の人の意見を知ることにより、多面的に物事を見て、判断できるようにしないといけませんね。


    そういう意味では、歴史って、答えのないミステリーのようなものなんですよねぇ、、、

    事実と推理を組合わせて仮説をたて、それを証明できる資料や証言を探す… ということを繰り返して、真実に近づいて行くしかないけど、本当のことは当事者にしかわからないですからね。


    興味はあるけど、なかなか頭に入らない昭和史… 勉強させてもらった一冊でした。

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    2022年06月18日
  • 昭和史の論点

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    昭和史研究の重鎮4名による討論集。
    正直昭和史そのものについてはまだ初学者なので内容をどうのと言える立場ではないが、少なくとも初学者レベルの本でないことは分かる。初学者を一歩抜け出たぐらいの人に一番適しているのではないかと思う。

    戦争関連本や昭和史の本は必ず読んでおくべきという認識が、改めて強まった。「歴史は繰り返す」という言葉があるが、戦争の歴史を繰り返さないためには、徹底的に検証・反省して繰り返さないための方策を生み出していかなければならない。特に、戦前に生まれた人たちがどんどん減っていく中で、戦争を直接知らない人たちが同じ過ちを繰り返さないこと。だから、昭和史学習は必須。

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    2019年02月17日
  • 昭和史の論点

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    今の学校教育がどの時代までかは詳しく知りませんが、少なくとも私の時代はほぼ3学期の最後のほう、駆け足でした。そういう意味でも知っておいて損はないと思います。戦国時代のほうがロマンはあるかもしれません。

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    2019年01月21日
  • 陰謀史観

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    ラストに陰謀論を見抜くレクチャーが載っているが、著者である秦教授自身が、まさに本書の中で陰謀論を信じこませるための手法を使っているのには、苦笑せざるを得ない。

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    2018年01月08日
  • 昭和史の論点

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    ネタバレ

    昭和史におけるいくつかの重大な事件・事象をテーマに冷静に語られた対談集。中立的な立場から平易かつ簡潔丁寧にまとめられているので、非常に分かりやすい。全世代におすすめ。

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    2017年03月18日
  • 陰謀史観

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    陰謀史観の発生と変遷を日米関係を機軸に分析した良著。その線上で、中西・藤原・田母上あたりの論考を陰謀史観に基づくものと、簡潔な論考で一蹴。
    愛国史観が好きな方は一読しておくとよろしいかと。

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    2016年03月02日
  • 陰謀史観

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    秦氏の余技の範疇のテーマだと思ったけれどやはり読めば面白い。イデオロギー全般に対する醒めた態度と好事家的なスタンスである。

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    2015年10月03日
  • 検証・真珠湾の謎と真実 ルーズベルトは知っていたか

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    戦後長年にわたり繰り返し登場する、連合軍が真珠湾攻撃を事前に把握していたという、「真珠湾陰謀説」について、研究家が検証し論破。
    歴史修正主義者に熟読させたい一冊。

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    2013年11月06日
  • 歴代陸軍大将全覧 昭和篇/満州事変・支那事変期

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    ネタバレ

    本書は昭和の陸軍に詳しい四人による座談会の速記録をまとめたものである。有名な人、無名な人ともにいるが読んでいて面白い。本書は座談会の記録という性質上、出典根拠が示されていない発言も多いため、人物批評は留意して読む必要があると思うが、読みやすく入門書としておすすめである。

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    2014年11月15日
  • 太平洋戦争のif[イフ] 絶対不敗は可能だったか?

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    よく、太平洋戦争を語るときに、真珠湾攻撃に第2次攻撃をしたら、
    どうなるか。あるいは、重慶を攻撃したら、どうなるか、ミッドウェーで、
    こうしたら、どうなるであろうかとかを、戦後、その後、わかった資料を基に
    冷静に分析されている。なるほど、と思った。もちろん、この本のとおりになるとは限らないが、ある程度の参考になりました。
    その中で、重慶に対する作戦は、少し、楽観的過ぎる感じがする。このようにうまくいかないと思うし、その間に、米軍の反抗が始まると思う。
    また、本土決戦を行っていたら、どれほど、悲惨か、おそらく、本土決戦をした場合には、これに近いことが戦後に起こった可能性が高いと思う。参考になりました。

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    2013年05月06日
  • 陰謀史観

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    陰謀史観ちゅーのはね、と・・・
    著者は・・・
    『身のまわりに不思議な出来事が起きる。
    もしかしたら、それは偶然ではなくて、何かの陰謀、<彼ら>の企みではないだろうか。このような考えを陰謀史観という。
    この、見えない<彼ら>は、神であるかもしれず、悪魔であるかもしれない。
    <彼ら>として、ユダヤ人、フリーメーソン、ナチ、共産主義者、さらには宇宙人までもが名指しされてきた。』との解説を紹介し、
    これに著者は、『特定の個人ないし組織による秘密謀議で合意された筋書の通りに歴史は進行したし、進行するだろうと信じる見方』とも付け加える・・・

    世の中にはたくさんの陰謀史観がありますが・・・
    この本では、主に日本の近現代に絡むメジャーな陰謀論、陰謀史観を取り上げ、ヨユーで各個撃破していく・・・
    そして様々な陰謀史観の内容と共に、日米戦争を巡る歴史講義のような形になっているので、歴史本としてもgooというお得スタイル・・・
    ちなみにメジャーな陰謀論というと・・・
    田中上奏文
    ルーズベルト陰謀説
    コミンテルン陰謀説
    等々・・・
    陰謀史観をクールに分解していくのも面白いし、歴史講義としてもなかなかに面白い・・・
    good

    さて、陰謀って・・・
    何だか面白そうで興味惹かれちゃうし・・・
    ストーリーも至ってシンプルで分かりやすいし・・・
    実はこうだ、って言うのを知ってると何だか通っぽくなれるし・・・
    非常に魅力的なモノなんだけど・・・
    実際、世の中に陰謀はいっぱいあるんだろうけど・・・
    陰謀通りにコトが進むなんて・・・
    この複雑怪奇な世の中じゃほとんどないんじゃない?と思うよね・・・
    いろんな思惑、それこそいろんな陰謀がめちゃくちゃ絡まり合うんだからね・・・
    そうそう陰謀なんて上手くいかない・・・

    ということで・・・
    この本のラストは・・・
    CIAやMI6・・・
    ナチスやコミンテルン・・・
    ユダヤやフリーメーソン・・・
    三百人委員会など・・・
    実態、実績をザックリ総ざらいし・・・
    陰謀史観の手口を確認し、単純なそれに引っかからないよう学べるようになっている・・・

    でも・・・
    例えば・・・
    日本がこんなになってしまったのは、とか自分がこうなったのは・・・
    きっと誰々(どこどこ)の陰謀のせいに違いない・・・
    と誰か(どこか)の陰謀のせいにすれば・・・
    それはそれで少しは楽になれる、スッキリするから・・・
    今後とも・・・
    陰謀史観ってーのは・・・
    廃れはしないんだろうなぁ、と思うよね・・・

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    2012年11月12日
  • 陰謀史観

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    いつの時代も疑心暗鬼になると、歴史上に陰謀史観がでてくることが多い。本書は特に近代以降のアメリカとの戦争前後の関係、コミンテルンなどの陰謀と言われることについて検討し、述べている。

    著者によると、「特定の個人ないし組織による秘密謀議で合意された筋書の通りに歴史は進行したし、進行するだろうという見方」という定義になるが、いろいろな歴史上のことを確認すると勘違い等や特定の人間の恣意によって事実が曲げられていることも多い。

    CIAなどの大きな組織や、ユダヤ人や秘密結社のような小さいものまでの団体はあるが、やはりそれらを見抜く力が必要だと感じさせられた。

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    2012年11月07日
  • 太平洋戦争のif[イフ] 絶対不敗は可能だったか?

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    真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナル、レイテ、本土決戦。太平洋戦争の重要な各方面における「イフ」を論じることで歴史の真実に迫る。厳密な資料分析をもとに第一線の研究者たちが挑んだ、意欲的な太平洋戦争史。

    以前、仮想戦記というものが流行りました。娯楽としては面白いのですが、ご都合主義的な部分も目につく事があります。本書では、第一線の研究者たちが歴史的真実を踏まえたうえで、ありえたかもしれない可能性を追求したものである。個人的には納得のいかないイフもあるが、なかなか面白い取り組みである。特に、海大方式による図上演習(真珠湾、ミッドウェー作戦)は、手間がかかっていて面白い。これだけでも、本書を買った価値があると思う。
    半藤一利による序文も良い。御前会議において天皇は無言というルールを作ったのは、近衛文麿であったという。これが本当だとすれば、鈴木貫太郎内閣が終戦時に聖断を受けたことを聞いて、近衛が「その手があったか」と言ったというエピソードの印象が変わってしまう。
    歴史から教訓を得るために、イフを考えることは重要であろう。

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    2012年08月07日
  • 陰謀史観

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    陰謀論というのは実に便利な論法だと思う。
    なぜなら加害者であっても被害者のふりができるから。

    しかも証拠は、ほとんどいらない。

    いや、証拠が全くないケースでも
    「これに関する証拠が全くない事が逆に証拠となっている」
    などと言う事ができる。

    最近、逮捕された指名手配犯がかつて所属していた某宗教団体が強制捜査を受けているとき
    「自分達を陥れようとしている何者かの罠だ」
    と主張していたことを覚えている人もいるだろう。

    本書は、そんな陰謀論を一刀両断にするもの、と思ったが、さにあらず。
    ジャンルも日米関係、それも第二次世界大戦前後に絞っている。
    しかも日米関係の歴史に全体の半分近いページ数を割いて説明している。

    一番、興味を持ったのは、一つの章を使って、元自衛隊幕僚長の某氏の論文を批判している部分。
    過去に出てきた陰謀論を体系的にまとめているという功績はあるものの目新しい内容はなく、事実誤認も多いらしい。

    以前、ニコラ・テスラ(エジソンのライバルと言われた人物)の伝記を読んだことがある。
    本自体、古本屋で買ったものだったのだが、オカルトに近い事になるとあちこちに赤線が引いてあるが、電気についてなどの業績に関わる部分には1本の赤線もなかった。

    人は何かを見たり、読んだりしても、ありのままでなく、無意識に自分が望んでいるものに合うもの以外は切り捨てているのだな、とつくづく思う。

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    2012年07月07日