秦郁彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昭和史研究の第一人者「坂本多加雄」、「半藤一利」、「秦郁彦」、「保阪正康」が昭和史を討論した作品『昭和史の論点』を読みました。
ちょっと前になりますが、12月8日… 太平洋戦争開戦の日に、昭和史のことを考えたくなり読み始めました。
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日本は進路を誤ったのか、戦前は「暗黒」だったのか、ワシントン体制から戦争責任まで、いまに尾をひく諸問題を徹底討論する。
国を鎖していた小さな国が、急速な近代化をなしとげ、しまいには世界の“一等国”を自任するまでになった。
しかし東亜の風雲はおさまらず、軍部は独走し、複雑な国際情勢の中で、ついに未曾有の大戦争に突入 -
Posted by ブクログ
昭和史研究の重鎮4名による討論集。
正直昭和史そのものについてはまだ初学者なので内容をどうのと言える立場ではないが、少なくとも初学者レベルの本でないことは分かる。初学者を一歩抜け出たぐらいの人に一番適しているのではないかと思う。
戦争関連本や昭和史の本は必ず読んでおくべきという認識が、改めて強まった。「歴史は繰り返す」という言葉があるが、戦争の歴史を繰り返さないためには、徹底的に検証・反省して繰り返さないための方策を生み出していかなければならない。特に、戦前に生まれた人たちがどんどん減っていく中で、戦争を直接知らない人たちが同じ過ちを繰り返さないこと。だから、昭和史学習は必須。 -
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Posted by ブクログ
よく、太平洋戦争を語るときに、真珠湾攻撃に第2次攻撃をしたら、
どうなるか。あるいは、重慶を攻撃したら、どうなるか、ミッドウェーで、
こうしたら、どうなるであろうかとかを、戦後、その後、わかった資料を基に
冷静に分析されている。なるほど、と思った。もちろん、この本のとおりになるとは限らないが、ある程度の参考になりました。
その中で、重慶に対する作戦は、少し、楽観的過ぎる感じがする。このようにうまくいかないと思うし、その間に、米軍の反抗が始まると思う。
また、本土決戦を行っていたら、どれほど、悲惨か、おそらく、本土決戦をした場合には、これに近いことが戦後に起こった可能性が高いと思う。参考になりま -
Posted by ブクログ
陰謀史観ちゅーのはね、と・・・
著者は・・・
『身のまわりに不思議な出来事が起きる。
もしかしたら、それは偶然ではなくて、何かの陰謀、<彼ら>の企みではないだろうか。このような考えを陰謀史観という。
この、見えない<彼ら>は、神であるかもしれず、悪魔であるかもしれない。
<彼ら>として、ユダヤ人、フリーメーソン、ナチ、共産主義者、さらには宇宙人までもが名指しされてきた。』との解説を紹介し、
これに著者は、『特定の個人ないし組織による秘密謀議で合意された筋書の通りに歴史は進行したし、進行するだろうと信じる見方』とも付け加える・・・
世の中にはたくさんの陰謀史観がありますが・・・ -
Posted by ブクログ
いつの時代も疑心暗鬼になると、歴史上に陰謀史観がでてくることが多い。本書は特に近代以降のアメリカとの戦争前後の関係、コミンテルンなどの陰謀と言われることについて検討し、述べている。
著者によると、「特定の個人ないし組織による秘密謀議で合意された筋書の通りに歴史は進行したし、進行するだろうという見方」という定義になるが、いろいろな歴史上のことを確認すると勘違い等や特定の人間の恣意によって事実が曲げられていることも多い。
CIAなどの大きな組織や、ユダヤ人や秘密結社のような小さいものまでの団体はあるが、やはりそれらを見抜く力が必要だと感じさせられた。 -
Posted by ブクログ
真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナル、レイテ、本土決戦。太平洋戦争の重要な各方面における「イフ」を論じることで歴史の真実に迫る。厳密な資料分析をもとに第一線の研究者たちが挑んだ、意欲的な太平洋戦争史。
以前、仮想戦記というものが流行りました。娯楽としては面白いのですが、ご都合主義的な部分も目につく事があります。本書では、第一線の研究者たちが歴史的真実を踏まえたうえで、ありえたかもしれない可能性を追求したものである。個人的には納得のいかないイフもあるが、なかなか面白い取り組みである。特に、海大方式による図上演習(真珠湾、ミッドウェー作戦)は、手間がかかっていて面白い。これだけでも、本書を買った価 -
Posted by ブクログ
陰謀論というのは実に便利な論法だと思う。
なぜなら加害者であっても被害者のふりができるから。
しかも証拠は、ほとんどいらない。
いや、証拠が全くないケースでも
「これに関する証拠が全くない事が逆に証拠となっている」
などと言う事ができる。
最近、逮捕された指名手配犯がかつて所属していた某宗教団体が強制捜査を受けているとき
「自分達を陥れようとしている何者かの罠だ」
と主張していたことを覚えている人もいるだろう。
本書は、そんな陰謀論を一刀両断にするもの、と思ったが、さにあらず。
ジャンルも日米関係、それも第二次世界大戦前後に絞っている。
しかも日米関係の歴史に全体の半分近いページ数を割 -
Posted by ブクログ
本書は、著名な歴史家4人による対談形式の本であるが、昭和史をわかりやすく概観できる良書であると思った。
昭和史は、侵略と戦争の時代と平和な戦後史にはっきり分かれると思うが、戦後世代にとって戦前の昭和史は、よく知らない別世界の出来事のように思えてしまうのが実感だろうと思う。
その戦前期の昭和史全体を鳥瞰するような本書は、興味深く読めた。
しかし、「昭和天皇の英明」という視点だけはどうだろうかと思った。本土決戦を叫ぶ陸軍を退けて「聖断」を下した事実を取り上げた評価なのだが、「英明」な君主だったら敗戦のような事態にはならないだろうと思われる。
しかし、本書は左右のイデオロギーに加担しない冷 -
Posted by ブクログ
張作霖爆殺はソ連の仕業,ルーズベルトは真珠湾攻撃を知っていた,世界はユダヤ人やフリーメーソンに操られている…。こういった近現代史を捻じ曲げる臆説の数々を紹介し論駁を加えた好著。世に陰謀論の種は尽きない…。
著者の定義によると,陰謀史観とは,「特定の個人ないし組織による秘密謀議で合意された筋書の通りに歴史は進行したし、進行するだろうという見方」(p.8)。なんとも不自然な視点だが,単純明快で結構受け入れられてしまう。政治的敗者によって考案され,社会的弱者によって支持される。
田中上奏文,シオン議定書など,偽書であることがほぼ証明されている文書や,なかばでっち上げられた史料に(そうとは知らず