秦郁彦のレビュー一覧

  • 官僚の研究 日本を創った不滅の集団

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    戦後までの官僚史をデータを元に整理されたもの。時折挟まる官僚制度への私見は、官僚を経験した著者の解像度の高さもさることながら、1983年に描かれながらも今に通底する鋭い内容も多く、令和になった今でも興味深く読める。

    個人的にはオーラルヒストリー的な語りが特に刺さりました。

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    2025年03月25日
  • 明と暗のノモンハン戦史

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    これまで、ノモンハン事件は、日本の負け、とされてきているように思うが、
    将兵や装備の損耗を見れば、引き分けだったようだ。

    それにしても
    出先の関東軍と参謀本部の不統一、
    戦訓を未来に活かさない姿勢、
    帰還捕虜の扱い、
    などは、
    日本陸軍はいただけない。

    戦車将校だった、司馬遼太郎が、
    ノモンハンを描こうとしていたようだったが、
    それが今読めないのはまこと残念。

    もっとも、
    描こうとしていた当時は、
    ロシア側の資料の公開が進んでいなかったので、
    かえって書かなくてよかったかもしれない。

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    2017年01月15日
  • 陰謀史観

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    第一次・第二次世界大戦における陰謀史観を検証した本。前半はアメリカでたびたび出てくる昭和天皇を戦争の「元凶」とする仮説で、後半は主にソ連やコミンテルンの「陰謀」とする言説を取り扱う。現在まかり通る(そして、今後もまかり通るであろう)陰謀史観に対抗する知識や姿勢を身につける上では必読。

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    2012年04月21日
  • 昭和史の論点

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    昭和史に関する17の事柄を座談会形式で話し合ったものをそのまま活字化しているようなカンジ。

    座談会形式なので読みやすく、また、扱っているテーマも興味深いモノばかりで面白い。また、「歴史のif」の話もあり、部分では少々行きすぎな所もあるが、専門書にはない推測を働かせて歴史をみてみるというのも楽しい。

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    2009年10月04日
  • 昭和史の論点

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    昭和史研究の第一人者「坂本多加雄」、「半藤一利」、「秦郁彦」、「保阪正康」が昭和史を討論した作品『昭和史の論点』を読みました。

    ちょっと前になりますが、12月8日… 太平洋戦争開戦の日に、昭和史のことを考えたくなり読み始めました。

    -----story-------------
    日本は進路を誤ったのか、戦前は「暗黒」だったのか、ワシントン体制から戦争責任まで、いまに尾をひく諸問題を徹底討論する。

    国を鎖していた小さな国が、急速な近代化をなしとげ、しまいには世界の“一等国”を自任するまでになった。
    しかし東亜の風雲はおさまらず、軍部は独走し、複雑な国際情勢の中で、ついに未曾有の大戦争に突入

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    2022年06月18日
  • 昭和史の論点

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    昭和史研究の重鎮4名による討論集。
    正直昭和史そのものについてはまだ初学者なので内容をどうのと言える立場ではないが、少なくとも初学者レベルの本でないことは分かる。初学者を一歩抜け出たぐらいの人に一番適しているのではないかと思う。

    戦争関連本や昭和史の本は必ず読んでおくべきという認識が、改めて強まった。「歴史は繰り返す」という言葉があるが、戦争の歴史を繰り返さないためには、徹底的に検証・反省して繰り返さないための方策を生み出していかなければならない。特に、戦前に生まれた人たちがどんどん減っていく中で、戦争を直接知らない人たちが同じ過ちを繰り返さないこと。だから、昭和史学習は必須。

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    2019年02月17日
  • 昭和史の論点

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    今の学校教育がどの時代までかは詳しく知りませんが、少なくとも私の時代はほぼ3学期の最後のほう、駆け足でした。そういう意味でも知っておいて損はないと思います。戦国時代のほうがロマンはあるかもしれません。

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    2019年01月21日
  • 陰謀史観

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    ラストに陰謀論を見抜くレクチャーが載っているが、著者である秦教授自身が、まさに本書の中で陰謀論を信じこませるための手法を使っているのには、苦笑せざるを得ない。

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    2018年01月08日
  • 昭和史の論点

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    ネタバレ

    昭和史におけるいくつかの重大な事件・事象をテーマに冷静に語られた対談集。中立的な立場から平易かつ簡潔丁寧にまとめられているので、非常に分かりやすい。全世代におすすめ。

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    2017年03月18日
  • 陰謀史観

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    陰謀史観の発生と変遷を日米関係を機軸に分析した良著。その線上で、中西・藤原・田母上あたりの論考を陰謀史観に基づくものと、簡潔な論考で一蹴。
    愛国史観が好きな方は一読しておくとよろしいかと。

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    2016年03月02日
  • 陰謀史観

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    秦氏の余技の範疇のテーマだと思ったけれどやはり読めば面白い。イデオロギー全般に対する醒めた態度と好事家的なスタンスである。

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    2015年10月03日
  • 検証・真珠湾の謎と真実 ルーズベルトは知っていたか

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    戦後長年にわたり繰り返し登場する、連合軍が真珠湾攻撃を事前に把握していたという、「真珠湾陰謀説」について、研究家が検証し論破。
    歴史修正主義者に熟読させたい一冊。

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    2013年11月06日
  • 歴代陸軍大将全覧 昭和篇/満州事変・支那事変期

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    ネタバレ

    本書は昭和の陸軍に詳しい四人による座談会の速記録をまとめたものである。有名な人、無名な人ともにいるが読んでいて面白い。本書は座談会の記録という性質上、出典根拠が示されていない発言も多いため、人物批評は留意して読む必要があると思うが、読みやすく入門書としておすすめである。

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    2014年11月15日
  • 太平洋戦争のif[イフ] 絶対不敗は可能だったか?

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    よく、太平洋戦争を語るときに、真珠湾攻撃に第2次攻撃をしたら、
    どうなるか。あるいは、重慶を攻撃したら、どうなるか、ミッドウェーで、
    こうしたら、どうなるであろうかとかを、戦後、その後、わかった資料を基に
    冷静に分析されている。なるほど、と思った。もちろん、この本のとおりになるとは限らないが、ある程度の参考になりました。
    その中で、重慶に対する作戦は、少し、楽観的過ぎる感じがする。このようにうまくいかないと思うし、その間に、米軍の反抗が始まると思う。
    また、本土決戦を行っていたら、どれほど、悲惨か、おそらく、本土決戦をした場合には、これに近いことが戦後に起こった可能性が高いと思う。参考になりま

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    2013年05月06日
  • 陰謀史観

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    陰謀史観ちゅーのはね、と・・・
    著者は・・・
    『身のまわりに不思議な出来事が起きる。
    もしかしたら、それは偶然ではなくて、何かの陰謀、<彼ら>の企みではないだろうか。このような考えを陰謀史観という。
    この、見えない<彼ら>は、神であるかもしれず、悪魔であるかもしれない。
    <彼ら>として、ユダヤ人、フリーメーソン、ナチ、共産主義者、さらには宇宙人までもが名指しされてきた。』との解説を紹介し、
    これに著者は、『特定の個人ないし組織による秘密謀議で合意された筋書の通りに歴史は進行したし、進行するだろうと信じる見方』とも付け加える・・・

    世の中にはたくさんの陰謀史観がありますが・・・

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    2012年11月12日
  • 陰謀史観

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    いつの時代も疑心暗鬼になると、歴史上に陰謀史観がでてくることが多い。本書は特に近代以降のアメリカとの戦争前後の関係、コミンテルンなどの陰謀と言われることについて検討し、述べている。

    著者によると、「特定の個人ないし組織による秘密謀議で合意された筋書の通りに歴史は進行したし、進行するだろうという見方」という定義になるが、いろいろな歴史上のことを確認すると勘違い等や特定の人間の恣意によって事実が曲げられていることも多い。

    CIAなどの大きな組織や、ユダヤ人や秘密結社のような小さいものまでの団体はあるが、やはりそれらを見抜く力が必要だと感じさせられた。

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    2012年11月07日
  • 太平洋戦争のif[イフ] 絶対不敗は可能だったか?

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    真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナル、レイテ、本土決戦。太平洋戦争の重要な各方面における「イフ」を論じることで歴史の真実に迫る。厳密な資料分析をもとに第一線の研究者たちが挑んだ、意欲的な太平洋戦争史。

    以前、仮想戦記というものが流行りました。娯楽としては面白いのですが、ご都合主義的な部分も目につく事があります。本書では、第一線の研究者たちが歴史的真実を踏まえたうえで、ありえたかもしれない可能性を追求したものである。個人的には納得のいかないイフもあるが、なかなか面白い取り組みである。特に、海大方式による図上演習(真珠湾、ミッドウェー作戦)は、手間がかかっていて面白い。これだけでも、本書を買った価

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    2012年08月07日
  • 陰謀史観

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    陰謀論というのは実に便利な論法だと思う。
    なぜなら加害者であっても被害者のふりができるから。

    しかも証拠は、ほとんどいらない。

    いや、証拠が全くないケースでも
    「これに関する証拠が全くない事が逆に証拠となっている」
    などと言う事ができる。

    最近、逮捕された指名手配犯がかつて所属していた某宗教団体が強制捜査を受けているとき
    「自分達を陥れようとしている何者かの罠だ」
    と主張していたことを覚えている人もいるだろう。

    本書は、そんな陰謀論を一刀両断にするもの、と思ったが、さにあらず。
    ジャンルも日米関係、それも第二次世界大戦前後に絞っている。
    しかも日米関係の歴史に全体の半分近いページ数を割

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    2012年07月07日
  • 昭和史の論点

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     本書は、著名な歴史家4人による対談形式の本であるが、昭和史をわかりやすく概観できる良書であると思った。
     昭和史は、侵略と戦争の時代と平和な戦後史にはっきり分かれると思うが、戦後世代にとって戦前の昭和史は、よく知らない別世界の出来事のように思えてしまうのが実感だろうと思う。
     その戦前期の昭和史全体を鳥瞰するような本書は、興味深く読めた。
     しかし、「昭和天皇の英明」という視点だけはどうだろうかと思った。本土決戦を叫ぶ陸軍を退けて「聖断」を下した事実を取り上げた評価なのだが、「英明」な君主だったら敗戦のような事態にはならないだろうと思われる。
     しかし、本書は左右のイデオロギーに加担しない冷

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    2012年06月07日
  • 陰謀史観

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     張作霖爆殺はソ連の仕業,ルーズベルトは真珠湾攻撃を知っていた,世界はユダヤ人やフリーメーソンに操られている…。こういった近現代史を捻じ曲げる臆説の数々を紹介し論駁を加えた好著。世に陰謀論の種は尽きない…。
     著者の定義によると,陰謀史観とは,「特定の個人ないし組織による秘密謀議で合意された筋書の通りに歴史は進行したし、進行するだろうという見方」(p.8)。なんとも不自然な視点だが,単純明快で結構受け入れられてしまう。政治的敗者によって考案され,社会的弱者によって支持される。
     田中上奏文,シオン議定書など,偽書であることがほぼ証明されている文書や,なかばでっち上げられた史料に(そうとは知らず

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    2012年05月31日