あらすじ
誰が史実を曲解し、歴史を歪めるのか? そのトリックは? 動機は? 明治維新から日露戦争、田中義一上奏文、張作霖爆殺、第二次世界大戦、東京裁判や占領政策、9・11テロまで、あらゆる場面で顔を出す「陰謀史観」を徹底検証。またナチス、コミンテルン、CIAの諜報や、ユダヤなどの秘密結社、フリーメーソンと日本の関係も解明する。日本史に潜む「からくり」の謎に、現代史研究の第一人者が迫る渾身の論考。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
第一次・第二次世界大戦における陰謀史観を検証した本。前半はアメリカでたびたび出てくる昭和天皇を戦争の「元凶」とする仮説で、後半は主にソ連やコミンテルンの「陰謀」とする言説を取り扱う。現在まかり通る(そして、今後もまかり通るであろう)陰謀史観に対抗する知識や姿勢を身につける上では必読。
Posted by ブクログ
ラストに陰謀論を見抜くレクチャーが載っているが、著者である秦教授自身が、まさに本書の中で陰謀論を信じこませるための手法を使っているのには、苦笑せざるを得ない。
Posted by ブクログ
陰謀史観の発生と変遷を日米関係を機軸に分析した良著。その線上で、中西・藤原・田母上あたりの論考を陰謀史観に基づくものと、簡潔な論考で一蹴。
愛国史観が好きな方は一読しておくとよろしいかと。
Posted by ブクログ
陰謀史観ちゅーのはね、と・・・
著者は・・・
『身のまわりに不思議な出来事が起きる。
もしかしたら、それは偶然ではなくて、何かの陰謀、<彼ら>の企みではないだろうか。このような考えを陰謀史観という。
この、見えない<彼ら>は、神であるかもしれず、悪魔であるかもしれない。
<彼ら>として、ユダヤ人、フリーメーソン、ナチ、共産主義者、さらには宇宙人までもが名指しされてきた。』との解説を紹介し、
これに著者は、『特定の個人ないし組織による秘密謀議で合意された筋書の通りに歴史は進行したし、進行するだろうと信じる見方』とも付け加える・・・
世の中にはたくさんの陰謀史観がありますが・・・
この本では、主に日本の近現代に絡むメジャーな陰謀論、陰謀史観を取り上げ、ヨユーで各個撃破していく・・・
そして様々な陰謀史観の内容と共に、日米戦争を巡る歴史講義のような形になっているので、歴史本としてもgooというお得スタイル・・・
ちなみにメジャーな陰謀論というと・・・
田中上奏文
ルーズベルト陰謀説
コミンテルン陰謀説
等々・・・
陰謀史観をクールに分解していくのも面白いし、歴史講義としてもなかなかに面白い・・・
good
さて、陰謀って・・・
何だか面白そうで興味惹かれちゃうし・・・
ストーリーも至ってシンプルで分かりやすいし・・・
実はこうだ、って言うのを知ってると何だか通っぽくなれるし・・・
非常に魅力的なモノなんだけど・・・
実際、世の中に陰謀はいっぱいあるんだろうけど・・・
陰謀通りにコトが進むなんて・・・
この複雑怪奇な世の中じゃほとんどないんじゃない?と思うよね・・・
いろんな思惑、それこそいろんな陰謀がめちゃくちゃ絡まり合うんだからね・・・
そうそう陰謀なんて上手くいかない・・・
ということで・・・
この本のラストは・・・
CIAやMI6・・・
ナチスやコミンテルン・・・
ユダヤやフリーメーソン・・・
三百人委員会など・・・
実態、実績をザックリ総ざらいし・・・
陰謀史観の手口を確認し、単純なそれに引っかからないよう学べるようになっている・・・
でも・・・
例えば・・・
日本がこんなになってしまったのは、とか自分がこうなったのは・・・
きっと誰々(どこどこ)の陰謀のせいに違いない・・・
と誰か(どこか)の陰謀のせいにすれば・・・
それはそれで少しは楽になれる、スッキリするから・・・
今後とも・・・
陰謀史観ってーのは・・・
廃れはしないんだろうなぁ、と思うよね・・・
Posted by ブクログ
いつの時代も疑心暗鬼になると、歴史上に陰謀史観がでてくることが多い。本書は特に近代以降のアメリカとの戦争前後の関係、コミンテルンなどの陰謀と言われることについて検討し、述べている。
著者によると、「特定の個人ないし組織による秘密謀議で合意された筋書の通りに歴史は進行したし、進行するだろうという見方」という定義になるが、いろいろな歴史上のことを確認すると勘違い等や特定の人間の恣意によって事実が曲げられていることも多い。
CIAなどの大きな組織や、ユダヤ人や秘密結社のような小さいものまでの団体はあるが、やはりそれらを見抜く力が必要だと感じさせられた。
Posted by ブクログ
陰謀論というのは実に便利な論法だと思う。
なぜなら加害者であっても被害者のふりができるから。
しかも証拠は、ほとんどいらない。
いや、証拠が全くないケースでも
「これに関する証拠が全くない事が逆に証拠となっている」
などと言う事ができる。
最近、逮捕された指名手配犯がかつて所属していた某宗教団体が強制捜査を受けているとき
「自分達を陥れようとしている何者かの罠だ」
と主張していたことを覚えている人もいるだろう。
本書は、そんな陰謀論を一刀両断にするもの、と思ったが、さにあらず。
ジャンルも日米関係、それも第二次世界大戦前後に絞っている。
しかも日米関係の歴史に全体の半分近いページ数を割いて説明している。
一番、興味を持ったのは、一つの章を使って、元自衛隊幕僚長の某氏の論文を批判している部分。
過去に出てきた陰謀論を体系的にまとめているという功績はあるものの目新しい内容はなく、事実誤認も多いらしい。
以前、ニコラ・テスラ(エジソンのライバルと言われた人物)の伝記を読んだことがある。
本自体、古本屋で買ったものだったのだが、オカルトに近い事になるとあちこちに赤線が引いてあるが、電気についてなどの業績に関わる部分には1本の赤線もなかった。
人は何かを見たり、読んだりしても、ありのままでなく、無意識に自分が望んでいるものに合うもの以外は切り捨てているのだな、とつくづく思う。
Posted by ブクログ
張作霖爆殺はソ連の仕業,ルーズベルトは真珠湾攻撃を知っていた,世界はユダヤ人やフリーメーソンに操られている…。こういった近現代史を捻じ曲げる臆説の数々を紹介し論駁を加えた好著。世に陰謀論の種は尽きない…。
著者の定義によると,陰謀史観とは,「特定の個人ないし組織による秘密謀議で合意された筋書の通りに歴史は進行したし、進行するだろうという見方」(p.8)。なんとも不自然な視点だが,単純明快で結構受け入れられてしまう。政治的敗者によって考案され,社会的弱者によって支持される。
田中上奏文,シオン議定書など,偽書であることがほぼ証明されている文書や,なかばでっち上げられた史料に(そうとは知らず/それを信じず)基づいて,陰謀史観に陥る人は後を絶たない。田母上史観がそんなにやばいとは,知らなかった。かなり体系的に自身の陰謀史観を固めている様子。それを広める藤原正彦氏…。
こういう人々に,陰謀組織としてあげつらわれるものには2タイプある。コミンテルン,ナチ,CIA,MI6,モサドのような国家機関と,ユダヤ,フリーメーソン,国際金融資本,カルト教団などの秘密結社。後者は活動内容が事後的にも見えづらく,論者の妄想力はますますたくましくなっていく…。
真珠湾奇襲はプロの軍人にはあまりにも投機的に見えて,意表を突かれたというのが真相のよう。哨戒飛行もしていない。相当な戦果を挙げたのだし,ほんとに察知してたなら前日に艦隊を移動していたはずという秦氏の意見はもっともだなぁ。
Posted by ブクログ
第二次大戦はコミンテルンやユダヤが仕組んだものだ、などという世間に流布する陰謀史観を検証。スケールの大きい話で反証しきれないことが、説がいつまでも生き続けることの背景にあるらしい。国際理解の妨げになるのでは問題だが、わかったうえで珍説を楽しむのならばよいのだろう。そのためにも騙されないようにしないと。。
Posted by ブクログ
ルーズベルトは真珠湾攻撃を知っていたとか、田母神様の論文の内容など主に近代史に顔を出す陰謀論についての考察。戦争などの原因などは多方面に渡ることが多いので、どうしてもこれといった確定的な要因が無いことが陰謀論のはびこる原因だということがわかる。個人的にハワイ併合の話は知らなかったので参考になった。
Posted by ブクログ
*寄付
昭和天皇に評された軍部 進むを知って退くを知らず
★戦争をくぐり抜けた日米両国は半世紀を超える強調と同盟の関係を維持してきた。それを対米従属とみなし、「甘えても怒られない」(怒ってくれない)のを承知の上で反発する論調は今後も絶えないだろう。むしろ懸念されるのは、アメリカが日本を捨てる時の到来かもしれない
検証 真珠湾の謎と真実
江藤淳 war guild論 米財団の給費で研究生活を送っている最中に米人教授から提供された材料を使って仕上げた 米議会がベトナム反戦運動のリーダー小田実(元フルブライト留学生)をやり玉に上げたのと違い、非難された形跡がない
日米関係にひそむ甘えの精神構造に早くから気付き、それを最大限利用
江藤がGHQによる愚民化政策と見立てた検閲が早い段階で緩和されたのは日本人が進んで占領方針に同調したので、宣伝や教育はあまり必要でなくなったと判断したのかもしれない。だが江藤はそう考えていない
一人をだますより、多数の人間を騙すほうがやさしい ヘロドトス
陰謀説の嘘の著者であるアーロノビッチ 陰謀説が政治的敗者によって考案され、社会的弱者によって支持されてきたと観察する。敗者や弱者の挫折は自身の失敗のせいではなく、邪悪な陰謀者の悪巧みにうっかり乗せられてしまったせいにすれば、気が晴れるというもの。
Posted by ブクログ
陰謀という言葉を聞くだけで、何処かワクワクしていまう。歴史の定説となっているものに対して、「真相はこうだ!」といった論調を持ってこられると、当然その中身が知りたくなり、ヘタなタイトルや書籍の帯のコメントであっても書店で購入してしまうケースは多い(勿論私もその1人ではある)。陰謀史は歴史の定説に対する挑戦という形を採るが、歴史自体が過去の出来事であり、100%完全な形で出来事の確実性を確認することが出来ない。そうなると、90%いや99%はこうだろうが、残りの1%でも不明確さが残る事で、その1%を埋める新事実は強烈なインパクトを持って我々の興味をそそる。当然10%より1%であり、大まかにしかわかっていない様な、50%/50%ぐらいだと、逆にそもそもの事実すらわかっていないから、内容が余程知りたいものでもなければ、反応は薄くなるだろう。
本書では長年様々な議論を巻き起こし、多くの歴史家やジャーナリスト、その他職業問わず語られてきた、太平洋戦争にまつわる新説や陰謀説を中心に、それらを現代史研究の第一人者である筆者秦郁彦氏が検証していくといった内容になっている。個人的には同氏の書籍は以前から何冊も読んできたので、本書にある様な「トリック破り」をする側の肩を持ってしまうのだが、前述した様に陰謀史観に対する興味や、歴史が100%確実性を保証するものでない以上、陰謀史ですら簡単に傾きかけてしまう自分がいるのも事実だ。時には「トンデモ」レベルの微笑ましさを感じるものもあるが、そうした楽しみ方をする為には、ある程度それに対する定説の知識が必要になるし(そもそも知らない人にとっては定説も陰謀もない)、知らなければ面白さすら感じ得ない。
一時期は私も傾倒した論調である、真珠湾攻撃はルーズベルト率いるアメリカが仕掛けた罠であり、背後にはコミンテルンの存在があった!という内容は、その陰謀史観の代表格として今も根強い支持者はいるだろう。その通りであるなら、日本やアメリカはソ連のスパイによって動かされた被害者であり、ソ連の利益の為に戦争したことになる。終戦間際で参戦したソ連は北海道を奪取する事は叶わなかった。その代わり北方四島を今も不法占領している。そうした現代に続く結果から遡る事は、余程わからない(正確に分かりようがない)歴史を研究するよりも組み立てやすい。北方四島を抑えて太平洋へ進出したいソ連(既に崩壊している時点で、その陰謀が良策であったとは言い難いが)が、北海道や千島列島を手に入れるために起こした戦争、という言い方は幾らでも可能である。何ならもっと身近なテーマであっても、誰もはっきり真実が分からない歴史の定説に異論を唱え、あたかも誰かの陰謀であったかの様な論調をとることは難しくないという事である。某ホテルチェーンの客室に一時期は元海上幕僚長の書籍が置いてあったが、生粋の歴史家でなくても真実っぽい歴史の新説は書けてしまうのだ。そしてそういった類のものは大概バラエティと分かっていながら、なまじ知っている興味あるテーマであるから、面白い。そして思わず買ってしまうのだ。
そうなると普段から多くの歴史書や歴史を扱った書籍に触れておかないと、しっかりした認識を持てず、過去の私がそうだった様に、「へー!それは凄い」で「私の定説(=陰謀説)という何とも情けない状態になる。
本書はその様な陰謀ベースで繰り広げられる多くの説が、どの様に生まれ、世の中の人々の心に入ってくるか、そしてその「トリック」を見破る為の技術やポイントについて述べている。陰謀説に明らかな事実や日付の錯誤がある場合、陰謀説を唱えた本人が否定した場合などは分かりやすく否定できる。だが前述の通り、太平洋戦争については、元々議論の対象になりやすく、当時の世界的な背景が複雑で、何より関係者が黙ったまま処刑されてしまっている。生き延びても既にこの世を去っているケースが多い。この様な確かめようもない状態が数多くの陰謀説を沸き起こさせる要因になっており、何よりこうあって欲しかったという社会からの要請も相俟って、魑魅魍魎の蠢く世界の如く、中々面白い状態にはなっている。そして誰もが自分の中の自説を持っているから、それをテーマに同じ穴のムジナ状態で飲み屋のネタとして盛り上がる。これである程度経済が回っているなら良いんじゃないか、とプロの歴史家でもない私は思っていたりする。と、そろそろ飲んだビールが心地よく回ってきた所で筆を置く(大袈裟)。そういった感覚で読める一冊になっている。勿論、秦氏の言うことが正しさに最も近いと思いながら。
Posted by ブクログ
【由来】
・「動乱のインテリジェンス」のカバー裏の関連本紹介で
【期待したもの】
・「陰謀史観」は自分も陥りやすい思考停止の誘惑であるが、最近はそうではないだろ、と思う。だが、そう信じてる人間って、なかなか論破できないので、その知力を身につけたい。
【要約】
・
【ノート】
・この本には唇亡歯寒を陰謀史観的に論破することを期待していた。そのことに気づいたのはタイトル故で、正岡さんの言う「タイトル読み」とはこういうことかと思ったりした。
・1908年 ホワイトフリート(P75)
1924年 排日移民法(P83)
松方乙彦(P93) ルーズベルトへの影響
「国際政治における不感症」(P104)
「陰謀」はあるけど「陰謀史観」はない?(P166)
ウールステッターの「パールハーバー」(P181)
Posted by ブクログ
江藤淳 ウォーギルト論の紹介が良かった。
実際、米国は終戦直後の一時期、検閲をしているし、思想統制をしている。
オバマ大統領の広島訪問は、ある意味、米国側からの太平洋戦争総決算だったかもしれない。
Posted by ブクログ
書いてあることは至極真っ当なことばかりで、ワクワクすることが何もないのは致し方ない。
ただ、せめて結びではそういったことが喧伝される仕組みや背景を総括したものを入れてほしかった。
これだけのタイトルで出版するのだから。
これでは各種陰謀史観の不合理さを指摘しただけで満足したように映って、陰謀史観論者たちと結局同じところを目指しているのかなと邪推されてしまう。
Posted by ブクログ
正しい話というのはえてして面白くないものである。
正しいとか言っちゃって大丈夫なの?偏ってない?まあ敵が田母神他なので相対的に偏りが少ないのも事実だけどさ。
Posted by ブクログ
前半は普通の明治以降の歴史でしたが、後半が面白い。フリーメイソンとか、ユダヤ謀略とか謀略ものは面白い読み物であって、本気にしている人が結構いることの方がびっくりですよね。
Posted by ブクログ
よく原因の分からない出来事が起きると何かの陰謀によると考える陰謀史観を、第2次大戦前に欧米で流布した田中上奏文から現代の田母神史観まで様々な実例を挙げて解説している。冷静になれば簡単に見抜けるような陰謀史観も疑心暗鬼な土壌が有ると容易に浸透するようで、荒唐無稽と甘く見ていると危険である。この本の内容は、これからの世の中で、的確な判断をしていくために最低限必要なリテラシーであろう。
Posted by ブクログ
東京裁判、コミンテルン、CIA、フリーメーソン・・・疑心が疑心を呼ぶ。
第一人者が現代史に潜む魔性に迫る。
「何かあるに、ちがいない」陰謀論と秘密組織の謎
誰が史実を曲解し、歴史を歪めるのか。
第1章 陰謀史観の誕生
第2章 日米対立の史的構図(上)
第3章 日米対立の史的構図(下)
第4章 コミンテルン陰謀説と田母神史観
第5章 陰謀史観の決算
世の中には、陰謀史観というものがある。本書では現代史研究の第一人者
である著者が徹底検証している。陰謀史観には、根拠の不明確なものや論
証の粗いものが多い。自分の主張ありきで、資料の都合の良い部分だけを
引用する牽強付会な感がある。
東京裁判史観を批判する人たちには、歴史の専門家は少なく他分野(英語学、
ドイツ文学、国文学、数学)やアマチュアの論客が多いという。
いずれも読者の情緒に訴えるレトリックの功者であることから、支持する人
も多いようである。
陰謀史観がはびこる背景には、あえて異を唱え名を売るという側面もあるよ
うだ。「歴史学では大小の論争がつきものである。そして問題提起、推論、
仮説が出つくす過程を経ておのずと通説や定説が固まってくるのだが、それ
にあえて異を唱える主張と論者は修正主義、修正論者と呼ばれる。新人が名
を売る早道なので、アメリカには「修正主義者は事件の数ほどいる」と皮肉
る声もある。」
本書は、現代史をテーマに取り扱った本であるが、歴史とどう向き合うのか
考えることが出来る内容である。