秦郁彦のレビュー一覧

  • 昭和史の論点

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     本書は、著名な歴史家4人による対談形式の本であるが、昭和史をわかりやすく概観できる良書であると思った。
     昭和史は、侵略と戦争の時代と平和な戦後史にはっきり分かれると思うが、戦後世代にとって戦前の昭和史は、よく知らない別世界の出来事のように思えてしまうのが実感だろうと思う。
     その戦前期の昭和史全体を鳥瞰するような本書は、興味深く読めた。
     しかし、「昭和天皇の英明」という視点だけはどうだろうかと思った。本土決戦を叫ぶ陸軍を退けて「聖断」を下した事実を取り上げた評価なのだが、「英明」な君主だったら敗戦のような事態にはならないだろうと思われる。
     しかし、本書は左右のイデオロギーに加担しない冷静な歴史認識の良書として高く評価できると思った。

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    2012年06月07日
  • 陰謀史観

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     張作霖爆殺はソ連の仕業,ルーズベルトは真珠湾攻撃を知っていた,世界はユダヤ人やフリーメーソンに操られている…。こういった近現代史を捻じ曲げる臆説の数々を紹介し論駁を加えた好著。世に陰謀論の種は尽きない…。
     著者の定義によると,陰謀史観とは,「特定の個人ないし組織による秘密謀議で合意された筋書の通りに歴史は進行したし、進行するだろうという見方」(p.8)。なんとも不自然な視点だが,単純明快で結構受け入れられてしまう。政治的敗者によって考案され,社会的弱者によって支持される。
     田中上奏文,シオン議定書など,偽書であることがほぼ証明されている文書や,なかばでっち上げられた史料に(そうとは知らず/それを信じず)基づいて,陰謀史観に陥る人は後を絶たない。田母上史観がそんなにやばいとは,知らなかった。かなり体系的に自身の陰謀史観を固めている様子。それを広める藤原正彦氏…。
     こういう人々に,陰謀組織としてあげつらわれるものには2タイプある。コミンテルン,ナチ,CIA,MI6,モサドのような国家機関と,ユダヤ,フリーメーソン,国際金融資本,カルト教団などの秘密結社。後者は活動内容が事後的にも見えづらく,論者の妄想力はますますたくましくなっていく…。
     真珠湾奇襲はプロの軍人にはあまりにも投機的に見えて,意表を突かれたというのが真相のよう。哨戒飛行もしていない。相当な戦果を挙げたのだし,ほんとに察知してたなら前日に艦隊を移動していたはずという秦氏の意見はもっともだなぁ。

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    2012年05月31日
  • 陰謀史観

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    第二次大戦はコミンテルンやユダヤが仕組んだものだ、などという世間に流布する陰謀史観を検証。スケールの大きい話で反証しきれないことが、説がいつまでも生き続けることの背景にあるらしい。国際理解の妨げになるのでは問題だが、わかったうえで珍説を楽しむのならばよいのだろう。そのためにも騙されないようにしないと。。

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    2012年05月27日
  • 陰謀史観

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    ルーズベルトは真珠湾攻撃を知っていたとか、田母神様の論文の内容など主に近代史に顔を出す陰謀論についての考察。戦争などの原因などは多方面に渡ることが多いので、どうしてもこれといった確定的な要因が無いことが陰謀論のはびこる原因だということがわかる。個人的にハワイ併合の話は知らなかったので参考になった。

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    2012年05月09日
  • 陰謀史観

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    ネタバレ

    *寄付

    昭和天皇に評された軍部 進むを知って退くを知らず

    ★戦争をくぐり抜けた日米両国は半世紀を超える強調と同盟の関係を維持してきた。それを対米従属とみなし、「甘えても怒られない」(怒ってくれない)のを承知の上で反発する論調は今後も絶えないだろう。むしろ懸念されるのは、アメリカが日本を捨てる時の到来かもしれない

    検証 真珠湾の謎と真実

    江藤淳 war guild論 米財団の給費で研究生活を送っている最中に米人教授から提供された材料を使って仕上げた 米議会がベトナム反戦運動のリーダー小田実(元フルブライト留学生)をやり玉に上げたのと違い、非難された形跡がない
    日米関係にひそむ甘えの精神構造に早くから気付き、それを最大限利用 
    江藤がGHQによる愚民化政策と見立てた検閲が早い段階で緩和されたのは日本人が進んで占領方針に同調したので、宣伝や教育はあまり必要でなくなったと判断したのかもしれない。だが江藤はそう考えていない

    一人をだますより、多数の人間を騙すほうがやさしい ヘロドトス

    陰謀説の嘘の著者であるアーロノビッチ 陰謀説が政治的敗者によって考案され、社会的弱者によって支持されてきたと観察する。敗者や弱者の挫折は自身の失敗のせいではなく、邪悪な陰謀者の悪巧みにうっかり乗せられてしまったせいにすれば、気が晴れるというもの。

    0
    2012年05月28日
  • 昭和史の論点

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    [ 内容 ]
    国を鎖していた小さな国が、急速な近代化をなしとげ、しまいには世界の“一等国”を自任するまでになった。
    しかし東亜の風雲はおさまらず、軍部は独走し、複雑な国際情勢の中で、ついに未曾有の大戦争に突入していく―。
    昭和日本はどこで誤ったのか?
    戦争以外の進路はなかったのか?
    ワシントン体制から満州事変、二・二六事件、盧溝橋事件を経て、太平洋戦争、敗戦に至る過程を、昭和史研究の第一人者たちが、片寄った史観にとらわれることなく、徹底的に討論検証する。

    [ 目次 ]
    ワシントン体制(大正10年)―反英のスタート
    張作霖爆殺事件(昭和3年)―陰謀の発端と発言せざる天皇
    満州事変から満州国へ(昭和6年)―泣く子も黙る関東軍
    国際連盟からの脱退(昭和8年)―新聞の果たした役割
    二・二六事件(昭和11年)―皇道派と統制派
    盧溝橋事件から南京事件へ(昭和12年)―陰謀・虐殺の事実は?
    東亜新秩序声明(昭和13年)―自主外交の突き当たったもの
    ノモンハン事件(昭和14年)―北進から南進へ
    日独伊3国同盟(昭和15年)―4国同盟への夢想
    4つの御前会議(昭和16年)―戦争への道のり〔ほか〕

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    2011年04月15日
  • 歴代陸軍大将全覧 昭和篇/太平洋戦争期

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    日本陸軍の最後の日々を26人の大将の事績とともに記したシリーズ完結作。
    建軍以来の陸軍史をひもとき、大将の座に着くことなく軍歴を終えた軍人も併せて論じた。
    リーダーの器量とは。

    [ 目次 ]
    第1章 太平洋戦争への道(岡村寧次―徹底抗戦から「承詔必謹」へ;土肥原賢二―「謀略屋」の汚名をかぶって ほか)
    第2章 緒戦の連勝と米軍の反攻(後宮淳―東条の選んだ高級参謀次長;山下奉文―比島で刑死した「マレーの虎」 ほか)
    第3章 落日の戦いのなかで(安藤利吉―最後の台湾総督;山脇正隆―ポーランド建国功労章を受章 ほか)
    第4章 戦没した将軍たち(前田利為―ボルネオで「陣没」した加賀の殿様;塚田攻―陸軍随一の精神家 ほか)
    最終章 大将を逸した軍人たち

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    2011年03月27日
  • 歴代陸軍大将全覧 昭和篇/満州事変・支那事変期

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    金融恐慌や二・二六事件などで国内の動乱が激化し、国外では中国大陸に戦火が広がる時代の大将全36人を俎上に論じる。
    内外の難局に彼らはどう対処したのか。
    人気シリーズ第3弾。

    [ 目次 ]
    第1章 昭和金融恐慌のかげで(井上幾太郎―陸軍航空育ての親;鈴木孝雄昭和の乃木さん ほか)
    第2章 満州国建設の野望(渡辺錠太郎―凶弾に斃れた教育総監;緒方勝一―大将で技術畑の頂点へ ほか)
    第3章 帝都を震撼させた二・二六事件(川島義之―二・二六事件の陸軍大臣;林仙之―知られざる名誉大将 ほか)
    第4章 盧溝橋事件から支那事変へ(畑俊六―日本陸軍最後の元帥;小磯国昭―肚もなく、自信もなかった戦時宰相 ほか)

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    2011年03月27日
  • 歴代陸軍大将全覧 大正篇

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    [ 内容 ]
    世界大戦と日独戦争、シベリア出兵、そして吹き荒れる軍縮の嵐。
    激動する大正期の日本陸軍の姿を、大将41人の事績とともに詳細に記す。
    写真、資料も充実。
    明治篇に続く陸軍史一大巨編。

    [ 目次 ]
    第1章 世界大戦と日独戦争(浅田信興―妻への遺書「死ねば浮気の後家となれ」;閑院宮載仁親王―「赫々」たる軍歴;福島安正―単騎シベリア横断の壮挙 ほか)
    第2章 空しかったシベリア出兵(柴五郎―北京篭城戦の名指揮官;島川文八郎―大砲の大家;宇都宮太郎―「自大自強自存主義」を唱える ほか)
    第3章 吹き荒れる軍縮の嵐(久迩宮邦彦王―昭和天皇の義父;梨本宮守正王―元帥から戦犯容疑者へ;菊池慎之助―官僚化する陸軍エリートの象徴へ ほか)

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    2011年03月27日
  • 太平洋戦争のif[イフ] 絶対不敗は可能だったか?

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    歴史上の「if」を「学術的」に追求しようとしたあまり、面白みに欠ける著作となってしまった感じがする。

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    2010年10月30日
  • 昭和史の論点

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    昭和の初期を4人の方が論じています。政治や軍部の裏の知らなかったことがたくさん書いてあり、興味深かったです。

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    2009年10月04日
  • 陰謀史観

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    陰謀という言葉を聞くだけで、何処かワクワクしていまう。歴史の定説となっているものに対して、「真相はこうだ!」といった論調を持ってこられると、当然その中身が知りたくなり、ヘタなタイトルや書籍の帯のコメントであっても書店で購入してしまうケースは多い(勿論私もその1人ではある)。陰謀史は歴史の定説に対する挑戦という形を採るが、歴史自体が過去の出来事であり、100%完全な形で出来事の確実性を確認することが出来ない。そうなると、90%いや99%はこうだろうが、残りの1%でも不明確さが残る事で、その1%を埋める新事実は強烈なインパクトを持って我々の興味をそそる。当然10%より1%であり、大まかにしかわかっていない様な、50%/50%ぐらいだと、逆にそもそもの事実すらわかっていないから、内容が余程知りたいものでもなければ、反応は薄くなるだろう。
    本書では長年様々な議論を巻き起こし、多くの歴史家やジャーナリスト、その他職業問わず語られてきた、太平洋戦争にまつわる新説や陰謀説を中心に、それらを現代史研究の第一人者である筆者秦郁彦氏が検証していくといった内容になっている。個人的には同氏の書籍は以前から何冊も読んできたので、本書にある様な「トリック破り」をする側の肩を持ってしまうのだが、前述した様に陰謀史観に対する興味や、歴史が100%確実性を保証するものでない以上、陰謀史ですら簡単に傾きかけてしまう自分がいるのも事実だ。時には「トンデモ」レベルの微笑ましさを感じるものもあるが、そうした楽しみ方をする為には、ある程度それに対する定説の知識が必要になるし(そもそも知らない人にとっては定説も陰謀もない)、知らなければ面白さすら感じ得ない。
    一時期は私も傾倒した論調である、真珠湾攻撃はルーズベルト率いるアメリカが仕掛けた罠であり、背後にはコミンテルンの存在があった!という内容は、その陰謀史観の代表格として今も根強い支持者はいるだろう。その通りであるなら、日本やアメリカはソ連のスパイによって動かされた被害者であり、ソ連の利益の為に戦争したことになる。終戦間際で参戦したソ連は北海道を奪取する事は叶わなかった。その代わり北方四島を今も不法占領している。そうした現代に続く結果から遡る事は、余程わからない(正確に分かりようがない)歴史を研究するよりも組み立てやすい。北方四島を抑えて太平洋へ進出したいソ連(既に崩壊している時点で、その陰謀が良策であったとは言い難いが)が、北海道や千島列島を手に入れるために起こした戦争、という言い方は幾らでも可能である。何ならもっと身近なテーマであっても、誰もはっきり真実が分からない歴史の定説に異論を唱え、あたかも誰かの陰謀であったかの様な論調をとることは難しくないという事である。某ホテルチェーンの客室に一時期は元海上幕僚長の書籍が置いてあったが、生粋の歴史家でなくても真実っぽい歴史の新説は書けてしまうのだ。そしてそういった類のものは大概バラエティと分かっていながら、なまじ知っている興味あるテーマであるから、面白い。そして思わず買ってしまうのだ。
    そうなると普段から多くの歴史書や歴史を扱った書籍に触れておかないと、しっかりした認識を持てず、過去の私がそうだった様に、「へー!それは凄い」で「私の定説(=陰謀説)という何とも情けない状態になる。
    本書はその様な陰謀ベースで繰り広げられる多くの説が、どの様に生まれ、世の中の人々の心に入ってくるか、そしてその「トリック」を見破る為の技術やポイントについて述べている。陰謀説に明らかな事実や日付の錯誤がある場合、陰謀説を唱えた本人が否定した場合などは分かりやすく否定できる。だが前述の通り、太平洋戦争については、元々議論の対象になりやすく、当時の世界的な背景が複雑で、何より関係者が黙ったまま処刑されてしまっている。生き延びても既にこの世を去っているケースが多い。この様な確かめようもない状態が数多くの陰謀説を沸き起こさせる要因になっており、何よりこうあって欲しかったという社会からの要請も相俟って、魑魅魍魎の蠢く世界の如く、中々面白い状態にはなっている。そして誰もが自分の中の自説を持っているから、それをテーマに同じ穴のムジナ状態で飲み屋のネタとして盛り上がる。これである程度経済が回っているなら良いんじゃないか、とプロの歴史家でもない私は思っていたりする。と、そろそろ飲んだビールが心地よく回ってきた所で筆を置く(大袈裟)。そういった感覚で読める一冊になっている。勿論、秦氏の言うことが正しさに最も近いと思いながら。

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    2025年10月11日
  • 昭和史の論点

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    『正論』の連載を新書にまとめたものだが、25年前には保守派の議論もまだしも穏当なものだったとの感に打たれる。ただ座談形式なので仕方がないのかもしれないが、結構重い話なのに(笑)がついていたりすると、どうにも違和感を拭えない。
    ハル・ノートのくだりなどは四人の議論が錯綜し、戦後半世紀を経た評論家の座談会でさえこの調子であれば、中堅幕僚の突き上げを食らっていた当時の政府が完全に当事者能力を失っていたというのも想像に難くない。
    半藤が「元首の天皇が大元帥に命令して2.26や大戦を収束させた」と繰り返している(他の参加者はあまり取り合わないのだが)のは、明治憲法の構造上、「大元帥としての天皇」の戦争責任を免責する論理が見当たらないことの裏返しだろう。半藤の所属した文藝春秋の社是としてはそこを否定して置かなければならなかったのかと邪推している。

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    2025年08月18日
  • 官僚の研究 日本を創った不滅の集団

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    戦後、農業の高度化により農村人材が都市部に大量に流入した。それにはじまる地方から大都市部への人口流入は現在首都圏においてますます盛んであり、地方の諸産業のなり手不足まで招いてしまった。これは日本の安全保障上においても脅威であるはずなのに、マスコミは東京一極集中を肯定するかのような報道に終始している。問題意識は希薄であると言わざるを得ない。

    私はこの一極集中政策に疑問を抱いており、それの一翼を担っている官僚に不満を抱いている。

    戦後日本の繁栄を築いたのは革新官僚が戦中から構築していた産業政策による重工業化が成功したからなのだろう。

    しかし現在の競争力の低下はその第 2 次産業から金融や IT 産業の転換に失敗したからである。その原因はアメリカからの圧力もあろうが戦後、日本の産業界を牽引してきた官僚の失政も多分に含まれる。その官僚制はどのような制度のもとで思考をする集団なのかを知りたくて本書を手に取った。

    感想としては腑に落ちないというものだ。

    明治維新から大体占領期までの官僚制の趨勢が書かれているが、詳細に記されているのが、官僚養成機関の東大との関係の箇所等あまり関心を抱かない箇所が多く、私が期待していた産業政策に官僚がどのように深くコミットしていたのかという箇所は少ない。

    また著者は、官僚を政党政治の勃興時や戦中の軍部の台頭時には、官僚はその対象の下請け的存在にならざるを得なかったと記しているが、これは特に軍部の台頭時の箇所においては、戦争責任を軍部に押し付けているのではないか、と疑義を抱かざるを得なかった。

    確かに軍部の下請け的機能を請け負っていて、官僚集団が政治の舞台において主導権を握っていたわけではないのは間違いないだろう。しかし、内政において産業政策や治安維持等の技術的なことは官僚の力が絶対的に必要であり、国家の権力が極限的に高まった戦中期は官僚の力も相対的に上昇したと考えるほうが自然であるからである。だが、本書では重要と思われる戦中期後半の官僚の政策については触れられていない。

    ところで著者は官僚出身の学者であるが、思うに官僚的思考の人物とはまさにこのことなのだろうなと感じさせるのである。

    まずはエリート意識である。例に漏れず著者は東大出身であるが、東大の卒業生は愛校心が薄いと嘆いている。しかし東大に対する著述は本書のかなりの部分を占め東大に対するこだわりをかなり感じるのである。

    もう一つは前述したが責任を曖昧にすることができる力である。官僚の権力を認めるような記述が多いのにも関わらず官僚は政治に翻弄されてきたと述べる。この二律背反制は自身の経歴がエリート街道を歩んできたことの誇りを隠すことができないからではないかとすら感じる。

    官僚が知的にも優れており優秀な集団であることは否定できないであろう。しかし、それを担保に政策が有効であるか、国民の厚生を高めるかというのには疑問が生じる。

    本書はこの疑問を答えるための書とならなかったことは残念だ。

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    2023年10月03日
  • 官僚の研究 日本を創った不滅の集団

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    明治期からの官僚制の変遷にスポットライトを当てる。1983年出版の文庫化なので最近の変化は書かれていない。
    現在は総務自治、警察、厚生等に分かれている内務省は、戦前かなり存在感のある役所だったのだなと思った。

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    2022年09月12日
  • 太平洋戦争のif[イフ] 絶対不敗は可能だったか?

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    数人の学者等が、第二次大戦のイフを論じている。特に図上演習で実際の提督さながらに煩悶を抱えながら艦隊指揮をとっている様子が興味深い。

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    2020年07月06日
  • 陰謀史観

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    日本の近現代史の陰謀史観について語った一冊。

    割と真面目な感じで、自分の興味ある陰謀史についてはあまり触れられてなく残念。

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    2020年03月22日
  • 陰謀史観

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    各種陰謀史観の発展とその相互関係を説明している。
    陰謀史観の各セクトは、お互いに矛盾しているのに、反目せず協調するあたりが面白い。

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    2019年05月21日
  • 慰安婦問題の決算 現代史の深淵

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    日本軍「慰安婦」問題に関する認識を深めようと手に取り読み始めてみたんだけど、この人、自分とまったく認識やとらえどころを異にする人だった。読むのやめようかと思ったけど、いやいやこうして考えの違う人の考えを拒否するのはいかんでしょ、と思いながら斜め読み。
    「慰安婦」に関する話題に限らず近年の執筆や対談をまとめて一冊にまとめたもの。2020年の東京オリンピックは秋にやったほうがいいとか賛成できることもあるんだけど、「慰安婦」に関しては産経新聞や「正論」に載ったものが大半。強制連行はなかったと言っているけど、証拠こそないものの、証拠がないからなかったことにもならないでしょ。秦氏は南京大虐殺をはじめとした事々は、「ない」と「大量」の間に実数があると書いていて、「慰安婦」の強制連行もそうなのでは。みんなが強制連行されたわけではないだろうけど、強制連行された人もいるんじゃないかな。兵士どころか士官以上の高給・好条件だったんだからとも言っているけど、それも本当のことだったのかしらん。
    自分としては「慰安婦」問題の焦点は、高給などの甘言にひかれ自ら行ったとしても、心に傷を負うようなことになったらそのような状況においた責任があると思ってる。韓国だってほかの国だって戦場の性に関しては、似たようなことをしているとも秦氏は述べているけど、だからって日本が罪を免れるわけでもないでしょ。
    意を異にする主張にも触れなきゃとは思うけど、やっぱりダメなものはダメだった。重箱の隅をつつくような、または揚げ足取りのようなもの、あるいは何でこんなふうに思えるんだろうって主張が続くので、拒否感が先に立ち、読み込めたとはいえず。

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    2019年04月21日
  • 陰謀史観

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    陰謀史観を膨大な資料から論破しており参考になったが、如何せん学者本なので読み難く面白味がない。まあ仕方ないことだが。

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    2019年02月17日