平野耕太のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ最高だった。
冒頭、紫が言う「さだめなどない」という台詞が全体を貫いている。それは生前最期の役割を、自らの宿命なのだとして再び繰り返そうとする豊久を諌める台詞なわけだが、また一方「駒」であることを辞めつつあり、与えられた使命より自らの生き様を選ぼうとする土方を指す台詞でもある。もっと言えば、化物と対比する形で「ただの人間」たちが自らの意思に基づいて戦い、生き抜いていく様を描く、『HELLSING』にも通ずる平野漫画の哲学でもある。いい。これは人間の漫画だ。人間が「生きる」漫画だ。だから豊久はここで死んではいけない。
黒王軍との大きな衝突ということで、魅せる画が多くて平野節をたっぷりと味わえた点でも最高だった。攻めてくる黒王軍が初めて目に入ったときの見開きと、豊久が関ヶ原と同様しんがりを務めたところで現れる、「ドリフターズ」のタイトルコールが入った見開きが今回のベストページ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ時代ごとに早々変えがたい死生観や倫理観というものがある。現代の私達にとって「死にに行く」という行為は、その後ろにどれだけのプラスアルファや利益が合理的にのっかっていても「素晴らしい」「良いことだ」とは思えない。どれだけ合理的・功利的に説明されても、現代の私達にはそういった行動は心の奥底で感情のブレーキが入ってしまうのだ。
私なんぞは性根が捻くれているので、ヒーローの誰かが自分を犠牲にして誰かを助けにいっていても、どうしても心の隅で「こうすることによってこの物語が盛り上がるのだな」とかそういったことを考えてしまう、そう考えてやっと感情のブレーキを少し意図的に外してそのヒーローを称賛することができるのかもしれない。
命をかけて助ける相手が恋人であったり、何よりも息子・娘であった場合、私達の感情のブレーキは外れやすい。それは現代でも誉れのある行為であり、誇り高き、愛のある行いであるとこれは割合素直に思える。
ただ私達の国では直近の歴史上、「団体のため」「顔も知らない皆のため」「全体のため」「部族のため」そして何よりも「お国のため」に命を捨てることへの倫理的ブレーキがかかるようになっている。特に「お国のため」は最強のブレーキだといえるのではないだろうか。よっぽどクドクド説明しても、合理性を説いても、何か私達の心がそれを素直に褒め称えることに強くブレーキをかける。
それは時代劇や大河ドラマですらそうで、明らかに現代と価値観が違う時代のドラマであっても、あえて女性を活躍させてみたり、命を捨てて戦おうとする人を倫理的に説き伏せてみたり、時代設定でいえば多少不合理とすら感じてしまう程に私達はこの時代感のズレとブレーキをなんとかして別の問題にすり替えようとしてみたりします。
この物語でも、せめて目の前に最愛の娘の命でも天秤にかけてくれればもっともっともっと単純に私達のブレーキを外せるはずなのに、この作品ではそれが一切ない。一切の錯誤無く、彼は「死にに行く」のだ。この6巻を読んで欲しい。これは現在日本人の最大の倫理的ブレーキを完全に超越している。「死にに行く」彼の背中を見て私は何の言い訳も濁りもなく心の底からこう感じてしまった。
なんてカッコイイんだろう -
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本当は完結してから作品の評価を書きたいんだけど
そうすると多分20年くらいは要する気がするので、いつ書いてもいいか。
という悲しい思いで綴っています。
古今東西を問わず、歴史上の名だたる戦士、兵士、軍師らが
善と悪に別れてドンパチを繰り広げるのであれば、そりゃあ面白いですよ。
血が騒がない訳が無い。
ましてや味方の中心が織田信長、近接戦闘を島津豊久、遠距離を那須与一が担い
軍師は半分痴呆のハンニバル。とオチまで付いて、平野節は全開。
異世界転生なのかは知らないけど
エルフやドワーフら原住民(?)たちと共闘する様は手に汗握らない訳が無い。
戦力が整いつつある現状の戦いも面白いけど
戦力なんてほとんど何もない序盤の戦いの方が好みだなあ。
兵力の差は計略で覆す、たまらんです。
HELLSINGの時と比べて、圧倒的にヒロインに魅力が無いのが問題で
・・・と言うよりも、影が薄いのが問題だけど
与一一人で十分にお釣りがくるので大丈夫だね源氏バンザイ。 -
購入済み
どーやっておわるんだろー
怪作。
ひたすらに突っ走って読者を引き摺り回し、息が切れたらどーしょーもないギャグで茶を濁す。
にも関わらず、読者は結局はその奇妙な熱に炙られ煽られ、絶妙なアジテーションに自らのりにいってしまう。
スキャンの見開きの処理がメチャクチャ悪いのが残念無念。
少年画報社、客がいなくなるぞ。業者変えろ。良作揃いの出版社なのに勿体ねぇ。 -
Posted by ブクログ
オルテとの戦と廃棄物の思惑への対抗が絡み合って収束する第4巻。首都でのやり取りから意外にも長々とアクションが見られる方向に向かっていって熱い巻である。廃棄物側と大規模な戦闘というだけでも以前のジャンヌ戦以上の規模なので非常に面白い。
とくに、表紙を飾る土方が廃棄物側にいる理由が本作のストーリー上どういう意味を持つかが見えてきて非常にわくわくする。どことなく前作をほうふつとさせる能力描写も格好良いのでいちいち満足度が高い。
策謀の面でも信長一人だけの魅力だったものがハンニバル、サン・ジェルマンとの絡みによって魅力が広がっていくのでどこをとっても楽しい仕上がり。ここまでのファンならばきっと満足するに違いない。 -
Posted by ブクログ
毎度、言ってるけど、リアルタイムで読んでいない作品の中で、一、二を争う、いくらでも気を長く持って新刊を待てるのがコレ、『ドリフターズ』だ。むしろ、リアルタイムで読んでたら、コミックスが待ち遠しくて、下手すりゃ憤死だわ。ちなみに、これとバチバチ火花を散らし、鎬を削り合っている同格の作品は、みなぎ得一先生の『サクラコード』と『ルート3』である
この(5)の表紙をブン獲ったのは、第343海軍航空隊 戦闘30飛行隊 新選組隊長 菅野直。ちょっと意外だった。てっきり、私は安倍清明か、サンジェルミが来るかな、と思ってた。まぁ、何だかんだで、彼はこれまで活躍してるし、キャラも濃い。表紙を飾っても違和感のないキャラクターではある。これから、彼がどんなハチャメチャを引き起こし、それが、どんな形で勝利に繋ぐのか、楽しみだ
今更、この『ドリフターズ』の魅力を語る必要もないだろうが、あえて言うのであれば、バランスの良さだろう
アクション、ほのぼの、コメディ、シリアス、スプラッタ、ファンタジーなど形の違う破片が一作品の中で集まっている。それらはパッと見ではくっつきそうもないのだが、読み終わってみると、全てが隙間なく組み合い、見事な球となっているのだ。やっぱ、平野先生、ズバ抜けてるわぁ
この巻の内では、直接的な、漂流者と廃棄物の衝突こそないものの、両陣営ともに迫りつつある大きな戦いに向けて、徹底的に勝つ為の準備を進めている。戦いってのは、ホント、準備が大事なんだな、と感じる慎重さである、どちらも
つくづく、織田信長の凄さを感じ取れる巻でもある、この(5)は
本当の意味で、彼の畏れるべき点は、武力や軍の統率力でなく、もしかすると、他者を丸め込む力、誑かす話術なのやも。相手も、信長が調子よく自分を煽てているのを判った上で、二つ返事で難題を引き受けてしまうのだろう
これもカリスマ性と言うべきか
ただ、好感を持てるか、と言えば微妙。凄い、とは思うが、どちらかっつーと、私は豊久の方が、人間的で好きだ。極端な言い方をすれば、抱かれても良い
優れた将の条件ってのは、私も正直、よく判らんが、やっぱ、「この人は自分が助けてやらにゃダメだ」と思われる隙みたいのがあるのは大事なような気がする
戦う場は決まった。両軍がぶつかる時は刻一刻と迫っている
誰と誰が死闘を繰り広げるのか、楽しみだ。あくまで、私の予想に過ぎないが、豊久とガチで一対一で闘う楽しさを知ってしまった土方は、彼との再戦より、一緒に戦う事を、つまりは、黒王を裏切るんじゃないかな・・・もちろん、これは私の勝手な推測。平野先生は、私の読みなんて、容易く上回るだろう
どの回もお勧めだが、私的にズンと来たのは、第57幕「労働軍神」である。童貞人間ことミルズさん、地味に人気があるキャラだと思う。やっぱ、人間、真面目に頑張ってれば、それを周りに認めて貰えるもんだ。エルフとの間に、友情でないにしろ、確かな絆が芽生えだしているのもいい。また、何やら、大きな謎がちょろっと顔を出しているトコも、この回を押す理由だ。この伏線が今後、どんな吃驚展開を引き起こすのか、『ヘルシング』を読んでいて、平野先生の手腕をそれなりに知っている身としては胸が躍る
この台詞を引用に選んだのは、実に豊久らしさを表現しているから。聞きようによっては、無慈悲だ。しかし、力ある言葉は、ボロボロにされた人の闘志に火を灯し直し、過酷な現状に抗うパワーを取り戻させるものだ