柴田錬三郎のレビュー一覧
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★夢よ真実ならば/チャンスは三度ある/地べたから物申す
柴錬こと柴田錬三郎は95年前の1917年3月26日に岡山県備前市で生まれたノンフィクション作家で中国文学者それになんといっても時代小説家。
時代小説の主人公といえば、人情ものでは庄司るい(平岩弓枝『御宿かわせみ』)や玉枝(山本一力『梅咲きぬ』)、珠世(諸田玲子『お鳥見女房』)やお登勢&塙十四郎(藤原緋沙子「隅田川御用帳」連作)、笑兵衛&お捨(北原亞以子『深川澪通り木戸番小屋』)や藤木紋蔵(佐藤雅美『物書同心居眠り紋蔵』)、夏木&藤村&仁左衛門(風野真知雄「大江戸定年組」連作)などがあり、捕物帖ものとしては、半七(岡本綺堂『半七捕物帳』) や銭形平次(野村胡堂『銭形平次捕物控』)、砂絵かきのセンセー(都筑道夫「なめくじ長屋捕物さわぎ」連作)や伊三次(宇江佐真理「髪結い伊三次捕物余話」連作)、一太郎(畠中恵『しゃばけ』等)などで、剣豪ものは机竜之助(中里介山『大菩薩峠』)や鞍馬天狗(大佛次郎『鞍馬天狗』)や丹下左膳(林不忘『丹下左膳』)、青江又八郎(藤沢周平『用心棒日月抄』)や坂崎磐音(佐伯泰英『居眠り磐音 江戸双紙』)、千坂藤兵衛と里美(鳥羽亮「剣客春秋」連作)が人気を博していますが、34年前1978年に61歳で亡くなった彼の創り出したヒーロー剣士「眠狂四郎」も必殺剣法「無双円月殺法」もまた、ますますその名を轟かし人気が増し、すでに絶対的ライバルの中里介山の『大菩薩峠』の主人公の机竜之介などどこ吹く風、まったく寄せつけないほど数倍も距離をあけてしまった感があります。
出生が転びバテレン(迫害され拷問等により強制的にキリスト教を捨てさせられた切支丹)と日本人の混血という宿命の暗い星の下で、残虐的に平気で人を斬りつける性格、虚無感を持った剣のさばきでバッタバッタと数え切れないほど天下無敵の活躍をして、60年代に一大剣豪ブームを巻き起こしました。
シリーズ7作と本書収録の8つの中・短編で見事に描き切ったと思いますが、この無類の血沸き肉躍るヒーロー物語を映像化しないでほおっておくはずがありません。今まで鶴田浩二・市川雷蔵・松方弘樹・江見俊太郎・平幹二郎・田村正和・片岡孝夫と7人が誕生したのですが、私の関心は長らく1972・73年にドラマ化された田村正和主演の全26話にだけしかなくて、DVDにされるのを首をながくして待っているのですが、一向に期待に応えてくれません。
レビュー登録日 2010年3月26日
推敲(更新)日 2012年10月01日 -
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武蔵物語の中編です。
今回は幸村の出番はなし。
佐助だけちょこっと出てきます。
武蔵の修行の様子は、前編にいくらか出てきた程度ですが、それが礎になっているのか、そもそもそういった天性のものがあるのか、兵法者との戦いの中で成長するのか──、まあ、どれも理由なのでしょうが、この男、めっぽう強いです。
そして何があっても動じないような鋼鉄の意志を持っています。
まさに兵法者。
圧巻は、吉岡道場一門を敵にまわした場面でしょうか。
到底生き残れぬような壮絶な果たし合いから、致命傷に近い傷を負わず生還する姿は剣豪そのものでした。
その強さゆえか、強靱な精神に惹かれるのか、出会うおなごはみんな武蔵に惚れてゆきます(笑)。
まあ、惚れられるに足る男だとは思いますが、決闘のためという名目があればどんな非情も辞さないので、その分敵も多いです。
しかしまたそこに、おなごは痺れちゃうんでしょうなあ。 -
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主人公はもちろん宮本武蔵ですが、真田主従もちらっと出ていますので、はい、主従見たさに買いました……。
とはいえ、それを抜きにしても、相当面白いですこの本。
続きが読みたくて仕方ない、という本に、久しぶりに出合いました。
次から次へと武蔵の前に強敵が現れ、その勝負の行方が気になって気になって……。
吉川英治の「宮本武蔵」も学生時代読みましたが、あちらは精神的な世界を描いているのに対し、こちらは本当に「決闘者」としての武蔵になっています。
もちろん、それに伴い「精神」の強さも語られますが。
おなごが、いともあっさりと犯されてゆく展開は、ちょっと苦痛かな。
そのへんは容赦ないです。
真田主従の方は、これは、立川文庫の佐助ではないですね。
「赤い影法師」の佐助寄りかな。
幸村はだいたい、どの話でも同じような性格をしていますが。
相変わらず物静かで、腹黒そうです(笑)。 -
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▼ちょっとご縁があり、眠狂四郎を読んでみよう、と。これまで、市川雷蔵さん主演の映画ばかり見てきて、もう「眠狂四郎」=「市川雷蔵」です。そういう人は多いと思います(いやでも映画ファンじゃなかったら、70代以上の人だけかな・・・・)。
原作は触れたことがなかった。恐縮ですが柴田錬三郎さんも読んだことがなかった。
▼読んでみて、ナルホドと思ったのは、これはほぼ「シャーロック・ホームズ」。
チャンバラというよりも、短編連作ミステリなんですね。
1956年から、「週刊新潮」連載。眠狂四郎シリーズの第1作の第1巻。
雑誌側からの求めは、「1話完結」だったそうです。職人は注文が無いと芸を活かせず、職人が芸を高めたものが芸術です。見事その期待に応えたエンタメ・ミステリーです。
時は江戸時代。11代将軍家斉の頃。天保の改革の前夜という設定。つまり、幕末(ペリー来航)まであと20-30年という頃です。場所は江戸市中。眠狂四郎。素浪人。
父は転びバテレン。つまり、西洋人、外人さん、そしてカトリックの宣教師だったけれど、弾圧されて転向した。つまりキリスト教を裏切っちゃった。殉教して死ななかった。転びバテレン。
母はそれなりの身分の、武家の娘。つまり狂四郎さんはハーフなんですね。
確か母は子供時分に非業に亡くなり。父は行方しれず。剣の修行の挙句、どこか漂着した孤島で謎の老人から教えを受けて「円月殺法」を会得した。・・・・という、かなりぶっ飛んだ設定。
▼円月殺法というのは、
1 剣を普通に上段に構える。
2 ゆっくり剣を回す。円を描く。(対面している相手から見ると、時計回り)
3 そうするとあら不思議、相手はどうしても切りかかってくるし、隙だらけになっていて、必ずあっさり切り倒せる。
4 ちなみに、剣が一周、完全な円を描くまで、切りかからずに耐えきったものはいない。
・・・・という、
「え?催眠術?」
という、まったくもって訳がワカラナイ必殺技なんです。考えた人すごい。
これが無敵なので、眠狂四郎は、チャンバラになったら負けないわけです(笑)。
なので、「チャンバラで勝つか負けるか」という興味ではありません。それにもともと、小説なんだから、映像がないので、チャンバラ(アクション)を主たる題材として作っても仕方ないですしね。
▼では何が主たる題材、魅力かというと、
・キャラクター
・文体
・ミステリー
なんですね。
▼もう細かくは忘れましたが(笑)、各話各話がいちおうは一話完結。続いてもいくのですけれどね。
それぞれの話で、「だれが犯人だ?」 「どういう罠だ?」 みたいなミステリになっています。
恐らく、シリーズが長寿になっていくと、そういうミステリ仕掛けよりも、よりキャラクターで魅せる方向になっていくんでしょうけれど、第1シリーズの本作(の、この第1巻)ではそうでした。凝ってます。
それから、キャラクター。
狂四郎の物言いが、「ニヒルダークヒーロー」そのもので、これはなるほど、うまくできているな、と思いました。まあつまり、大まか言うと悪いんです(笑)。
個人的にはいちばんの魅力は、柴田錬三郎さんってこうなんだー、なるほど、と思った「語り口、文体」。
きっちり江戸文化の造詣と言葉に寄り添った格調のある音色ですね。比べれば池波正太郎さんははるかに、やわらかく、くだけて、とても甘口です。
でも、柴田錬三郎さんは、文体が辛口なので美味しい、とも言えるけれど、世の推移、風雪に耐え難いのかもしれませんね。
▼原作を読むと改めて、「大映、市川雷蔵の眠狂四郎シリーズは、ええ仕事してるなあ」と感心しました。特に「眠狂四郎勝負」は名作。記憶では「円月切り」も良かったと思います。原作より、そのあたりの映画を見る方が楽しい人も多いかも。
ルパン三世もそうですが、キャラクターが素晴らしいので、原作の世界観よりも動画にした作品の中に名作がある・・・という気がします。もちろん原作の功績であるわけですが。
世界観は分かったので、では第2巻以降読もうか?…うーん、ちょっと微妙。文体は辛口ですが、人間像の描写、脇役の味付けでいうと、池波正太郎さんに軍配…と思いました。 -
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「柴田錬三郎」の連作時代小説『貧乏同心御用帳』を読みました。
『新篇 眠狂四郎京洛勝負帖』に続き、「柴田錬三郎」の作品です。
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独身なのに、14歳から6歳までの孤児9人を同居させているかわり者、江戸町奉行所の町方同心、「大和川喜八郎」・32歳。
めっぽう腕は立つが、情には弱い。
同僚の妻をはじめ美女が次々失踪する謎を追う『南蛮船』。
巾着切が浪人者からすりとった小判には秘密があり…『埋蔵金十万両』。
ほか2編の連作短編を収録。
「喜八郎」を居候の子どもたちが助け、事件解決に大活躍する痛快大江戸人情捕物帳!
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剣は強いが情けに弱い… 江戸町奉行所の町方同心「大和川喜八郎」と、彼が同居させている9人の孤児たちの活躍を描いた痛快捕物帳です。
■南蛮船
■埋蔵金十万両
■お家騒動
■流人島
■解説 清木内 昇
美しい女性たちが失踪する事件を追う『南蛮船』、
「武田家」が遺した甲金の謎を探る『埋蔵金十万両』、
湯屋で知り合った侍の出生の秘密、そして大名家の跡取り問題を解決する『お家騒動』、
流刑から恩赦された侍を仕掛けられた罠から救う『流人島』、
どの作品も愉しめましたねー 隠密廻りの町方同心「大和川喜八郎」が、剣は強いが情けに弱いという感情移入しやすいキャラクターだったことや、「喜八郎」が居候させている9人の孤児たちが少年探偵団のような活躍で彼の仕事を手助けるという痛快な展開が魅力ですかね、、、
読んでいるうちに物語にどんどん引き込まれる感じでした… 面白かったです。 -
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『眠狂四郎無頼控』の作者による回想記。著者が戦後に復刊された『三田文学』で活躍したことは知っていたが、原民喜の自殺直後の場面を実見していたことは知らなかった。『デスマスク』で『三田文学』に登場した際の佐藤春夫とのやりとりも、くだらなくて面白い。
柴田は戦中に日本出版文化協会に入り、『日本読書新聞』にかかわっていたというのも貴重な情報。当時の出版課の課長は南條範夫、同期で入ったのが杉浦明平とのちに俳優になった神田隆だったという。
1943年には2度目の召集で広島宇品の暁部隊に衛生兵として勤務した。バシー海峡で乗り組んだ輸送船が潜水艦に撃沈され、夜の海を数時間漂流した末に救助されたエピソードは本書所収のエッセイでもくり返し語り直されている。 -
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まあ時代劇であるわけだが時代劇にもいろいろあって
これは戦国時代初期が舞台のヒロイックファンタジーである
江戸時代を舞台にしようが戦国大名だろうが鎌倉時代だろうが
時代劇の登場人物は現代語を話すように
本作も戦国時代を舞台としているだけであって剣と魔法の世界
つまり忍者が幻術のくのいちのしてもも何ら問題ないわけだから
ではファンタジーかというと違うのであり
「伝奇小説」は和風ファンタジーの言い換えなんであり
ファンタジーって何
というわけで時代劇という分類名はまこと良くできていると思った
内容はさすが
想定読者である50台以降くらいの男性層から要求される用件を
十全に満たした娯楽小説の鏡
すなわちライトノベルのお歳寄り版以外の何者でもないので
ライトノベル作家のひとたちは柴錬読んで
おべんきょうすると良いのではなかろうか
佐伯泰英でも同じだけれども