柴田錬三郎のレビュー一覧
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武蔵物語の中編です。
今回は幸村の出番はなし。
佐助だけちょこっと出てきます。
武蔵の修行の様子は、前編にいくらか出てきた程度ですが、それが礎になっているのか、そもそもそういった天性のものがあるのか、兵法者との戦いの中で成長するのか──、まあ、どれも理由なのでしょうが、この男、めっぽう強いです。
そして何があっても動じないような鋼鉄の意志を持っています。
まさに兵法者。
圧巻は、吉岡道場一門を敵にまわした場面でしょうか。
到底生き残れぬような壮絶な果たし合いから、致命傷に近い傷を負わず生還する姿は剣豪そのものでした。
その強さゆえか、強靱な精神に惹かれるのか、出会うおなごはみんな武蔵に惚れ -
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主人公はもちろん宮本武蔵ですが、真田主従もちらっと出ていますので、はい、主従見たさに買いました……。
とはいえ、それを抜きにしても、相当面白いですこの本。
続きが読みたくて仕方ない、という本に、久しぶりに出合いました。
次から次へと武蔵の前に強敵が現れ、その勝負の行方が気になって気になって……。
吉川英治の「宮本武蔵」も学生時代読みましたが、あちらは精神的な世界を描いているのに対し、こちらは本当に「決闘者」としての武蔵になっています。
もちろん、それに伴い「精神」の強さも語られますが。
おなごが、いともあっさりと犯されてゆく展開は、ちょっと苦痛かな。
そのへんは容赦ないです。
真田主従の -
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「柴田錬三郎」の連作時代小説『貧乏同心御用帳』を読みました。
『新篇 眠狂四郎京洛勝負帖』に続き、「柴田錬三郎」の作品です。
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独身なのに、14歳から6歳までの孤児9人を同居させているかわり者、江戸町奉行所の町方同心、「大和川喜八郎」・32歳。
めっぽう腕は立つが、情には弱い。
同僚の妻をはじめ美女が次々失踪する謎を追う『南蛮船』。
巾着切が浪人者からすりとった小判には秘密があり…『埋蔵金十万両』。
ほか2編の連作短編を収録。
「喜八郎」を居候の子どもたちが助け、事件解決に大活躍する痛快大江戸人情捕物帳!
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『眠狂四郎無頼控』の作者による回想記。著者が戦後に復刊された『三田文学』で活躍したことは知っていたが、原民喜の自殺直後の場面を実見していたことは知らなかった。『デスマスク』で『三田文学』に登場した際の佐藤春夫とのやりとりも、くだらなくて面白い。
柴田は戦中に日本出版文化協会に入り、『日本読書新聞』にかかわっていたというのも貴重な情報。当時の出版課の課長は南條範夫、同期で入ったのが杉浦明平とのちに俳優になった神田隆だったという。
1943年には2度目の召集で広島宇品の暁部隊に衛生兵として勤務した。バシー海峡で乗り組んだ輸送船が潜水艦に撃沈され、夜の海を数時間漂流した末に救助されたエピソード -
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まあ時代劇であるわけだが時代劇にもいろいろあって
これは戦国時代初期が舞台のヒロイックファンタジーである
江戸時代を舞台にしようが戦国大名だろうが鎌倉時代だろうが
時代劇の登場人物は現代語を話すように
本作も戦国時代を舞台としているだけであって剣と魔法の世界
つまり忍者が幻術のくのいちのしてもも何ら問題ないわけだから
ではファンタジーかというと違うのであり
「伝奇小説」は和風ファンタジーの言い換えなんであり
ファンタジーって何
というわけで時代劇という分類名はまこと良くできていると思った
内容はさすが
想定読者である50台以降くらいの男性層から要求される用件を
十全に満たした娯楽小説の鏡
すな