泡坂妻夫のレビュー一覧

  • 11枚のとらんぷ

    ーあのときから、彼女は魔術の女王への道を歩み出していたのか。

    買って6年目にして読んだ(笑)
    トリックがとても手の込んでいるものばかりで読み応えがありすぎた。種明かしが気持ち良すぎて、発言一つ一つが実は大切だったのだと分かった。
    .
    1章と3章のメインの事件の間に2章で11個の奇術に基づく話...続きを読む
  • 亜愛一郎の狼狽
    直木賞作家、初めての泡坂妻夫さん1975年(昭和50年)デビュー作「DL2号機事件」を含む「亜愛一郎の狼狽」45年前のミステリー短編集。主人公は背が高く知的風なのに運動音痴でちょっと変人。今流行りの奇人変人探偵の先駆けかもです。
  • 妖女のねむり
    謎をてんこもりにして走る物語は夢中で読んだが、タネをロマンと見るか非現実と見るか……。渋く枯淡な雰囲気は、米澤穂信が影響を受けているのを感じる。
  • 砂時計
    恐らく今までの例に漏れず不定期に小説誌に発表された短編を寄せ集めた作品集であろう、内容も怪奇小説、人情小説、はたまたエッセイめいた私小説などヴァラエティに富んでいる。
    それらの作品に通暁しているのは透明な視線で描かれた抑揚のない文章。ただこれはけなし言葉ではなく、そういった文章であるのにも関わらず登...続きを読む
  • からくり東海道
    タイトルにある「からくり」には余り意味がなく、市次、たか、市太郎ら3人の波乱万丈な冒険振りを評したような意味が強い。
    ところで今思えば、泡坂氏の時代小説は数あれど長編はこれが初めてなのではないか。そのせいか主人公3人がいつもより生き生きと感じられ、心地よい。
    また主人公たちも名前が変わっていくように...続きを読む
  • 煙の殺意
    短編集。どれも泡坂作品らしいテイストに満ちている。仕掛けのインパクトは長編には及ばないが、中でも恋愛ものには味わいがある。マイベストは最初の「赤の追想」。
  • 湖底のまつり
     いつぞやなんかのきっかけで再評価された本……だったよねえ? それじたいがだいぶ昔のことなんで、はっきり覚えていない……(´ε`;)ウーン…

     耽美文、語彙の豊富さに陶然( ´ ▽ ` )ノ
     章が改まるたび激変する世界に呆然( ´ ▽ ` )ノ

     でも、オチが割れると、ねえ……(´ε`;)ウー...続きを読む
  • 亜愛一郎の狼狽
    G・K・チェスタトンの『ブラウン神父』シリーズと並び称されるほど、世評の高い本書は、私の期待値が高過ぎたためか抱いた感慨は世間のそれとは隔たりを生じてしまった。

    1つ1つの短編については、今になってみれば過去の名作へのオマージュのように受け取れなくも無い。特に最後の「黒い霧」はブラウン神父の「青い...続きを読む
  • 湖底のまつり
    『乱れからくり』と並んで初期の泡坂の代表作と評される本書は、やはり時代の流れか、当時の読者諸氏を唸らせた衝撃はもはや薄れてしまっていた。価値の多様化が顕著になった昨今では、同性愛が真相のファクターであることが特に奇抜さを齎さなくなってしまった。

    しかし、それでも尚、作者は手練手管を使って読者を煙に...続きを読む
  • 花嫁のさけび
    映画界のスター、北岡早馬と再婚し、幸せの絶頂にいた伊津子だったが、北岡家の面々は数ヶ月前謎の死を遂げた先妻、貴緒のことが忘れられず、屋敷にも彼女の存在がいまだに色濃く残っていた。そんなある夜、伊津子を歓迎する宴の最中に悲劇が起こる。そして新たな死体が……。

    いつか読んでみたいと思っていた泡坂妻夫。...続きを読む
  • 湖底のまつり
    これぞ本格派ミステリー。
    ダムの底に沈んでいく東北の過疎の村が舞台。お祭りの場面は幻想的。
    女性は、旅先の川で溺れそうになったところを助けてくれた村の男性と一夜を共にしたが、男性は一か月前に毒を盛られて殺されていた。すべては夢だったのか、男性は幽霊だったのか。。。読み進んでいくうちに、だんだんとトリ...続きを読む
  • 亜愛一郎の狼狽
    とりあえずミステリの有名どころは押さえていきたい\(^^)/

    というわけで、絵師でありマジシャンでもある泡坂妻夫先生の、亜愛一郎シリーズです。
    冒頭の「DL2号機事件」がデビュー作で代表作の一つでもあるようなんですが、個人的にはちょーっと、いえ、正直ものすごく物足りなかった(汗

    DL2号機よりは...続きを読む
  • 湖底のまつり
    思ってたんと違う!
    古い作品だけど自分が田舎者だからか、あまり古くさくは感じない。奇祭、葡萄酒、男女の交わり等々、日常と非日常を反転させるアイテムの使い方がすごい。解説で”眩暈感”と表現されていたけど、確かにそう。
    でも、本格ミステリを期待して読むと多分肩透かし。最後の謎解きも、下品すぎやしませんか...続きを読む
  • 煙の殺意
    70年代に書かれたミステリを集めた短編集、恥ずかしながら・・・初めての泡坂妻夫。
    正確には、泡坂妻夫の作品自体は他のミステリ・アンソロジーで読んだ事はありますが、一冊の本としては・・・(^_^;)
    米澤穂信の帯書き『世界最高のミステリ短編集です。』の一文に惹かれて読みました。
    確かにミステリとしての...続きを読む
  • 乱れからくり
    ジュモウを思わず検索してしまった。
    トリックという言葉で片付けていいものか。壮大だけど、組み立てはとっても緻密。
  • 毒薬の輪舞
    ここ続けて読んできた『鬼女の鱗』、『びいどろの筆』、『蔭桔梗』といった時代物、もしくは職人の世界を描いた恋愛物と、侘び・寂びを感じさせる日本情緒豊かな作品に親しんできたため、この作品は現代本格物ということで、どこか別の人が書いたような違和感を覚えたが、やはり随所に泡坂らしさを覗かせ、小さいながらも驚...続きを読む
  • 夜光亭の一夜 宝引の辰捕者帳ミステリ傑作選
    宝引の辰「捕者帳」、傑作13編を収録。泡坂妻夫の捕者帳ならばハズレ無し。それぞれトリックやネタの趣向が違っていてコンパクトに纏めてくる鮮やかさ。面白いです。
    印象深いのは、やはり紋章上絵師でもある氏が描いた「鬼女の鱗」、手妻ネタであり、且つ、例のシリーズのキャラクターのアレですねとニヤリとさせる「夜...続きを読む
  • ヨギ ガンジーの妖術(新潮文庫)
    〇 総合評価
     ヨギガンジーシリーズは,「驚愕の仕掛けの文庫本」である「しあわせの書」という作品を読んで好きになったので,なんとか「ヨギガンジーの妖術」も読みたいと思っていた。そして,まさに待望の復刊となったので手に入れた作品。思い入れは深い。内容は,長らく絶版になっていただけのこともあり,傑作とま...続きを読む
  • 奇跡の男
    文庫の裏表紙の紹介文から多大な期待をしてしまった「奇跡の男」から始まったこの短編集は、全体的な印象から云えば、別段心に残るような意外な真相、プロットは無いものの、何故か気になってしまう。
    それは各々の短編に出てくる人物たちがやたらと存在感をアピールしているから。

    純文学の香気漂う「狐の香典」、「密...続きを読む
  • 煙の殺意
    つまらない本は途中でまだ終わらないのかなとつい思ってしまいますが、面白い作品は永遠に続いてほしいと思わせる力があります。

    もちろん、本書は面白さ抜群です。

    文章も格調高いものからユーモラスなものまで様々なバリエーションで読んでいて作者の芸の深さを堪能できますが、私は特に「狐の面」が昔の興行師のだ...続きを読む