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青銅色の鐘楼を屋根にいただく精神病院に続発する奇怪な毒殺事件。自称億万長者、拒食症の少女、休日神経症のサラリーマン……はたして殺人鬼は誰か? 患者なのか、それとも医師なのか? 病人を装って、姿なき犯人の行方を追う警視庁の名物刑事・海方の活躍。全編、毒薬の謎に彩られた蠱惑的ミステリー空間!
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Posted by ブクログ
ここ続けて読んできた『鬼女の鱗』、『びいどろの筆』、『蔭桔梗』といった時代物、もしくは職人の世界を描いた恋愛物と、侘び・寂びを感じさせる日本情緒豊かな作品に親しんできたため、この作品は現代本格物ということで、どこか別の人が書いたような違和感を覚えたが、やはり随所に泡坂らしさを覗かせ、小さいながらも驚...続きを読むきを提供してくれた。 精神病院を舞台にしたにも拘らず、重く暗くならないのは主人公海方のキャラクター性と、泡坂の筆の軽さゆえか。
青銅色の鐘楼を屋根に頂く大正時代に創設された精神病院。 警視庁特殊犯罪捜査課、海方惣稔(うみかたふさなり)は、連続毒殺事件の予兆を嗅ぎ取り、潜入捜査を始める。 海亀の亀さんこと海方刑事と部下の小湊くんが活躍するシリーズ第2作。 レビューの冒頭で『潜入捜査』とカッコイイことを書きましたが、じつは亀さ...続きを読むん、へその手術のついでに暇になったので精神科に転院し、仕事をさぼるため事件をでっち上げ、さらに暇つぶしに小湊くんを呼び寄せただけというユーモアミステリ仕立て。しかしそれが次第に本当に事件に発展して行き... 世界銀行総裁を名乗り病院内通貨を大量発行するおじさんや、神の不在を数学的に解明したという露出狂の男。不眠症で病院から出社し夜な夜な患者たちに営業するセールスマンに、拒食症で小学生のように見える小悪魔女子中学生など、強烈なキャラクターが多数登場。 くだらないギャグやどうでもいいような描写にも伏線があったり、後半の展開などは、さすが泡坂ミステリといった感です。ただ若干事件が小粒な印象と、伏線回収が唐突だったり消化不良な部分もありました。前作『死者の輪舞』のほうが面白かったかなという気はします。
これがまた、好みの設定でおもしろかった。キャラも立っているし、毒薬に対する 作者のなみなみならぬ興味ゆえのうんちくが、読んでいてニヤニヤできる。 「精神病棟」「毒薬」「殺人事件」このみっつは鉄壁でしょう。表紙の絵が大時代だが、 刑事もおっさんでたいへんよろしい。
ちょっと最後が分からなかった。けれど、精神病院で実は精神患者が誰も居なくて、皆それぞれ思惑があって入院している...と、いうのは面白い。 泡坂の長編はやっぱり一気に読ませられる。
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