湖底のまつり

湖底のまつり

小説・文芸
712円 (税込)

3pt

傷心を癒す旅に出た若い女性香島紀子は、東北地方の山間の村で、急に水量が増した川の岩場に取り残される。岸に戻ろうと水に入った紀子は流れに呑まれそうになるが、ロープが投げられ辛うじて救出された。助けてくれたのは、土地の若者埴田晃二で、その夜晃二の家に泊まった紀子は彼に抱かれる。翌朝目覚めると晃二の姿はなかった。村祭で賑わう神社に行き、村人に尋ねると晃二はひと月前に毒殺されたと告げられた。では彼女を助け、晃二と名乗った人物は誰なのか? 文学的な香気漂う描写の陰から、著者が仕掛けた謎が妖しく浮かび上がる……?!/解説=綾辻行人

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湖底のまつり のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    いやもう…キレイに騙されました。

    冒頭の一章は、ずっと夢の中を漂っているような不思議な読書体験で、「これは現実?幻想?」と足元がふわふわする感じ。何が起きているのか掴めないまま読み進めていたら、二章から一気に景色が変わり、山奥の“水没を控えた村”という舞台が立ち上がってきます。そこから物語は想像していた方向とはまったく違う方へ転がり始め、章ごとに視点が変わることで少しずつ謎が形を帯びていくのが本当に面白かった。

    解説で「騙し絵の世界」と書かれていましたが、まさにその通りで、誰が主人公なのかすら揺らぐような独特の読後感がずっと続きます。
    ラストについては…どうか平穏な幸せを、と願わずにはいられませんでした。

    扱っているテーマは今読むと自然に受け止められるけれど、これを昭和の時代に発表したという事実にしみじみ感動。大胆で繊細で、時代を超えて読まれる理由がわかる気がします。

    ネタバレなしで読んでこそ楽しめるタイプの作品と思います。

    0
    2026年05月10日

    Posted by ブクログ

    少々無理を感じる部分もあるけど、それを補って余りある物語の雰囲気、読者をまんまと騙す構成が素晴らしい。夢か現か、登場人物はもちろん、読者までも幻惑する幻想小説として読んでもいいのではないか。

    0
    2024年04月23日

    Posted by ブクログ

    『世界でいちばん透きとおった物語」のあとがきから気になっていた作家さん。良かった。誰が主人公なのか分からず、最後の最後まで不穏な雰囲気を漂わせながら幻想的で詩的な文章(歯が浮くようなシーンだけど笑)。いったい何を読んでるんだろう?と不安になりつつも目が離せない不思議な読書体験ができた。
    流石、有言実行、アクロバティックな仕掛けで見事な着地。

    0
    2026年08月10日

    Posted by ブクログ

    同じようで少し違う。どこか落ち着かない奇妙さと謎を残しながら進んでいく物語。
    解説にあった通り、まさしく「騙し絵」のような作品だった。
    事前に感想を見てしまったことでトリックに勘付いてしまったのが勿体なかった。

    0
    2025年04月09日

    Posted by ブクログ

    1978年。今から約46年前に連載された作品。当時、読む事が叶ったならば、今以上の衝撃を受けていただろう。脳を霧が浸し、脳に艶を残し、脳が眩暈を起こす、艶美な騙し絵の物語。

    0
    2024年09月23日

    Posted by ブクログ

    「泡坂妻夫」の長篇ミステリ小説『湖底のまつり(仏題?:La Fete Du Seraphin)』を読みました。
    ここのところ国内ミステリ作品が続いています… 「泡坂妻夫」の作品は、『夢裡庵先生捕物帳』以来なので、1年ちょっと振りですね。

    -----story-------------
    ●「綾辻行人氏」推薦──「最高のミステリ作家が命を削って書き上げた最高の作品」

    傷ついた心を癒す旅に出た「香島紀子」は、山間の村で急に増水した川に流されてしまう。
    ロープを投げ、救いあげてくれた「埴田晃二」とその夜結ばれるが、翌朝「晃二」の姿は消えていた。
    村祭で賑わう神社に赴いた「紀子」は、「晃二」がひと月前に殺されたと教えられ愕然とする。
    では、私を愛してくれたあの人は誰なの……。
    読者に強烈な眩暈感を与えずにはおかない、「泡坂妻夫」の華麗な騙し絵の世界。
    解説=「綾辻行人」
    -----------------------

    『幻影城』の1978年(昭和53年)6・7月合併号から10月号にかけて連載された作品です。

     ■一章 紀子
     ■二章 晃二
     ■三章 粧子
     ■四章 緋紗江
     ■終章
     ■解説 晃二

    渓流の平らな岩に座り、「紀子」は足を伸ばした… その時、突然、彼女は川が大きくふくらむのを感じ、次の瞬間には濁流に呑み込まれていた、、、

    傷心を癒すため旅に出た「香島紀子」は、旅先の峡谷で増水に遭い、危ういところを「埴田晃二」と名乗る若者に助けられた… その夜、彼女は村はずれのあばら家で、男と一夜を共にした。

    だが翌朝、なぜか男が消えている… 探しに出た彼女は、村祭で賑わう神社で村人に尋ねると、男がひと月前に毒殺されていたと聞いて愕然とする! では彼女を助け、「晃二」と名乗った人物は誰なのか?


    「香島紀子」と「埴田晃二」の出会い、「藤舎緋紗江」と「埴田晃二」の出会い… 似通ったシチュエーションでありながら、微妙にズレを感じつつ、そこに「荻粧子」と「埴田晃二」の出会いにより物語は新たな展開を見せ、そして、「藤舎緋紗江」と「荻粧子」の関係が明らかになるに連れて、徐々に真実が明らかになるという展開、、、

    微妙な時間のズレや同一人物を異なる人物とミスリードさせる巧みな叙述トリック、そこに妖艶さが加わり、最初から最後まで集中力が途切れることなく読めましたね… 愉しめました。


    以下、主な登場人物です。

    「香島 紀子(かしま のりこ)」
     会社を辞めて千字村を訪れた女性。

    「埴田 晃二(はにだ こうじ)」
     千字村出身の若者。自動車好きで東京でガソリンスタンドの修理工として働いていた。あだ名は「パンサー」。

    「藤舎 緋紗江(とうしゃ ひさえ)」
     大学を卒業したばかりのダム工事の測量士補。

    「金海 芳男(かなみ よしお)」
     晃二の友人。

    「パーゾウ」
     千字村の住人。乞食。本名不明。

    「深沢 源吉(ふかざわ げんきち)」
     千字村の住人。ダム反対運動の指導者。

    「荻 粧子(おぎ しょうこ)」
     千字荘の投宿者。大学2年生。演劇部所属。

    「館崎(たてざき)」
     所轄署の刑事。

    0
    2023年08月27日

    Posted by ブクログ

    読み始めると官能的な表現があり、単なる推理小説ではないと感じながらページを捲る。ここで既に泡坂妻夫のトリックに嵌っていたようだ。小説の紹介文にあるような、まさしく騙し絵の世界でした。著者の他の作品も読んでみたい。(本屋さんでなかなか見つからないのが残念)

    0
    2021年10月30日

    Posted by ブクログ

    所々の細かな表現がちょっと苦手だなぁとは思ったけど、ストーリーとしては面白く、謎解きを想像しながら読み進めた。恋愛そもそもがトリックになるのが好みではなく、なんとなくのいまいち感を残しちゃったけれど、まあ良かったかな。

    0
    2019年02月13日

    Posted by ブクログ


    これは面白いミステリーでした。
    ミステリーらしいミステリー。古典。
    幻影小説なのかと思いきや…
    時系列トリックかと思いきや…
    紀子、晃二、粧子、緋紗子そして終章
    各所に散りばめられた付箋はちゃんと掬い上げられて一つの線になっていく。しかもちっとも無理がない。
    過疎化の進む村…怪しくも哀しい風習を受け継がれた祭り。
    人は一瞬で恋に落ちる。
    人は何度でも恋をする。
    という大前提のもとがあってこそのヒューマンミステリー
    2019.1.9
    今年の2冊目

    0
    2019年01月10日

    Posted by ブクログ

    ミステリ。恋愛ミステリ。
    1978年に書かれた作品ということで、文章に古臭さはある。
    各章ごとに視点となる人物が変わり、徐々に明らかになる真相。
    読み進めるほど面白くなっていくように感じた。
    トリックが現実的かどうかは些細なことで、純粋に構成が美しい作品。
    背表紙の通り、小説の形をした"騙し絵"。芸術的だと思いました。

    0
    2019年01月06日

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