本名:厚川昌男(あつかわまさお)で、筆名:泡坂妻夫はアナグラムだった。
どうやら「あ」にこだわったようで、デビュー作「DL2号機事件」の主人公の名前を「亜」にしたようだ。
謎解きの語り口は理路整然としていて"刑事コロンボ"を思い出した。
「亜」は自称カメラマンのようだが、なぜか事件現場に居合せ謎
...続きを読む解きを語る役回り。
人間の思考の癖とその思考に基ずく行動を推理したり、思考パターンを逆手に取った行動に注目したりして、真相解明するのは手品の仕掛けをばらすようで面白い。
背が高くてハンサムで力持ちらしいのだが、カッコイイという感じはなく、少しすっとぼけている印象が強い。
戦争にまつわる描写や、モールス信号、フィルムのカメラ、どこでも喫煙、ミルク配達人、など昭和の匂いもプンプンする作品だ。
「亜」だけでなく登場人物の名前も変、「緋熊(ひぐま)五郎」「鳥尾杉亭(さんてい)」「二毛(ふたげ)敏胤(としたね)」「藻湖(もこ)刑事」「佐藤看七(かんしち)」などなど…
藻湖刑事が再登場した時は、名前が奇抜だから覚えていたので、そういう狙いもあったのかと思った。
謎解きのタネは奇抜で無理があるのだが、明かされてみるときわめて論理的なので妙に納得させられる。
私は奇術も大好きなので、このような常識的な思考の隙を突かれる泡坂作品は好きだ。
どの作品も全く想像が及ばないところに真相が隠れていた。
マジシャンの頭の中にある騙しの技術を知るという目的でも楽しめそうだ。
「亜」シリーズは3部作であと2冊あるのだが、字が小さく(42x18)読むのが辛かったので躊躇してしまう(´ω`)コマッタナァ...