泡坂妻夫のレビュー一覧

  • ヨギ ガンジーの妖術(新潮文庫)

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    入手困難だったこの名作がやっと再販されたので再読。装丁は変わっていないが、新保博久氏の解説が追加されている。
    改めて凄い短編集だと思った。奇術に相通じるトリックが惜しげも無く使われている。こういう騙し方があるのか、こんな伏線の張り方があるのか、と、前にも読んでいるのに唸ってしまった。
    あまりにも斬新なトリックなので、他のミステリ作家がアレンジして使っている例が数多く存在する。泡坂さんは絶対にもっと評価されて良い作家さんだよなあ。

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    2018年09月05日
  • 妖盗S79号

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    神出鬼没の怪盗S79号と、それを追う専従捜査班の対決を描いた連作ミステリ。やはり怪盗ものというのはわくわくしてしまいます。その正体がある程度現れているにも関わらずミステリアスなS79号はもちろん、有能なのか無能なのかちょっとわからない(笑)専従捜査班の刑事二人のキャラクターも魅力的。
    ややコミカルな読み心地と、予想を超えたトリックの数々に魅了されっぱなしでした。収束へと向かうラストの展開とS79号の「正体」にも驚かされたし。ずっと気になっていた連続殺人犯もなるほど、ここで出てくるのか!
    お気に入りは「南畝の幽霊」。この盗み方、あまりにも想像のはるか斜め上をいっていました。まさかそんなことってー

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    2018年06月19日
  • 妖女のねむり

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    夢見心地とはこのことだろう
     輪廻転生によって、運命の再会を果たした真一と麻芸。前世から現世、そして来世へと時は巡っていきます。波乱の展開を経て、様相が大きく変わりますが、夢から醒めることはありません。再生の先に待つのは、奇跡か、それとも悲劇かーー
     氏の才が集結した幻想ミステリの極致。

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    2018年02月17日
  • 11枚のとらんぷ

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    ネタバレ

    大きく三部に分かれていて、
    第一部はマジックショーとその裏側を見れて、最後に殺人事件が発生したことがわかる。マジックの裏側が見れて面白い。
    第二部は殺人事件にかかわりのある奇術短編集。最後にはトリックがわかる仕組みで面白い。実は殺人事件の真相の伏線にもなってる。
    第三部は世界中の奇術家が集まるイベント。最後に殺人事件の真相が明かされる。

    古い作品だけど、今読んでも色あせない名作。面白かった。

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    2017年02月19日
  • 11枚のとらんぷ

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    ネタバレ

    〇 概要
     市立公民館でアマチュア奇術クラブ「マジキ・クラブ」が公演を行う。アマチュアらしく,成功する舞台もあれば,失敗する舞台も…。ハプニング続きで最後の出し物「袋の中の美女」を行うが,袋から出てくるはずの水田志摩子が姿を消してしまう。志摩子は「私の人生でも最も大切なドラマが起こりかかっている」という言葉を残していたが,ちょうど,「袋の中の美女」の公演をしていた時間に,自室で死亡していたことが分かる。死体の周りには数々の奇術の道具が。その道具は,マジキ・クラブに所属する鹿川が書いた自費出版小説「11枚のトランプ」に対応している道具だった。
     作中作に「11枚のトランプ」という11作のショート

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    2016年12月11日
  • 亜愛一郎の逃亡

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    ネタバレ

    ああさまにはとんでもない事実が出てきます。
    驚き桃の木クラスの事実です。

    そんな最後の巻です。
    さすが記述をたしなむ人だけあり
    びっくり系の事件が多いです。
    で、いて結構大胆なこともやっていますし、
    偽の情報を使って大胆なこともやってますし。

    最後の事実は必見!!

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    2014年08月29日
  • 煙の殺意

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    冒頭の「赤の追想」を読んですぐ、米澤穂信の『氷菓』を思い出した。淡々とした語り口、理路整然とした謎解きの明かし方が似ているように感じられたからだ。果たして、直木賞候補の『満願』を書く際に米澤氏がこの『煙の殺意』参考にしたという記事を読み、やはりと思ったのであった。こういう逸品に出会えた事を幸運に思う。「椛山訪雪図」はさながら芸術作品のようだ。『11枚のとらんぷ』も是非読んでみたい。

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    2014年07月24日
  • 死者の輪舞

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    見た目はおっさん、頭脳はイケメン。

    警視庁特殊犯罪捜査課、海亀の亀さんこと海方惣稔(うみかたふさなり)と、新米刑事の小湊くんが奇妙な殺人事件を追う。

    こういうバディもの、好きですよ。
    なにより、主人公の亀さんのキャラクターがいい。
    酒浸りでニラ臭い、ずんぐりむっくりのやる気のないおっさん。しかし、訊かれればいつも事件の核心を突き、じつは博識でグルメで芸術やファッションにも造詣が深く、女性のあしらいもうまい。
    この小汚いおっさんのレクチャー通りに、小湊くんが見事に女性を口説き落とすシーンは最高に可笑しい。

    でも、ユーモアミステリの様でいて中身は本格。さすが泡坂妻夫。
    大きな仕掛けに小さな企

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    2012年02月10日
  • 亜愛一郎の狼狽

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    ネタバレ

    面白い。大層面白い。主人公が、まぬけて愛らしいキャラクターなのが良い。

    呆けもさえてる。トリックは、なるほどと感心させられる。主人公が刑事でも探偵でも学生でもなく、冴えないカメラマン。事件には偶然に巻き込まれるストーリも、推理小説の非現実的な設定とは違って好感が持てる。

    短編8話なので楽に読めるし、繰り返し読むのが楽しい珍しい推理小説。久しぶりに会った名作!!

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    2012年02月06日
  • 亜愛一郎の狼狽

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    シンプルに収まってるのに、謎解きの発想が面白いから短編集でも十分楽しめる濃さがある
    何より探偵役が・・・このテンションが癖になる。

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    2016年05月01日
  • 喜劇悲奇劇

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    この作品のおかげで回文にハマった人はどのくらいいるのだろうか。少なくても私の周囲は、泡坂妻夫の名前が出る度に回文が蔓延した。しかし、どんなにすばらしい回文ができようと、この作品には及ばない。
    回文だけではなくミステリについてこれほど味わいのある作品はそうはないだろう。
    もう、この作者の新作が読めないのは悲しくてしょうがない。

    ちなみに回文で感想を書こうと思ったけど、早々に諦めました。私の語彙能力ではとても無理。

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    2010年06月08日
  • 乱れからくり

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    名作再読。泡坂作品では最も好きですね。トリックも犯人に至る道筋も、そして犯人もすごく自然で違和感がないながらも、見事などんでん返し。しかも“館もの”なので、ミステリーの王道と言えるでしょう。過去に読んだ推理小説でもTOP5に入ります。

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    2009年10月04日
  • 乱れからくり

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    ちょっと乱歩風。推理も面白いけど、からくり人形の紹介とか古代エジプトにあったというクロコディロポリスの迷宮の話にちょっと興味を惹かれました。さすが博学。さすがマジシャン。底が深くて面白いです。

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    2009年10月07日
  • 乱れからくり

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    出だしがとてもびっくり!何と隕石が車の上に落ちて来るんです。
    天災からはじまる思いがけない連続殺人事件。すごく面白くて嵌ってました。
    からくりや手品、仕掛けに造詣の深い作者が作り上げた絢爛たる世界。
    私にとっては永遠の名作です(笑)

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    2010年12月25日
  • 奇術探偵 曾我佳城全集 秘の巻

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    頭のよいきれいな女・佳子は、実は狂っていたのです。主人公は手品師、探偵役。全集の最後を飾る作品では・・・!!!なんていう伏線!!!
    串目君はどうなるんだろう・・・

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    2009年10月04日
  • 妖女のねむり

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    ネタバレ

    結構ボリュームのある文庫だったがスイスイ読めた

    輪廻転生モノと知っていたらやや尻込みしてしまうところだったが、前情報なしで楽しめた

    中盤の急展開から、現実と幻想のヒロインが入れ替わる結末が見事です

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    2025年12月14日
  • 煙の殺意

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     男女の恋愛模様、一幅の掛け軸、なんの変哲もない公園、殺人現場での風変わりな捜査など様々な趣向を凝らしたミステリーが八編収録された短編集で、筆致豊かな人物描写と情景描写、読み手の思い込みを利用したトリックの数々が今読んでも色褪せない名作だと感じられた。

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    2025年12月09日
  • 乱れからくり

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    ネタバレ

    トリックあり、恋愛あり、冒険活劇要素ありの贅沢な傑作。
    犯人は冒頭で運悪く死亡するが、その後に起こる殺人はすべて犯人が事前に仕込んでいたからくり殺人だった。
    冒頭の事故はなんと隕石が突然降ってくるというギャグみたいな展開。あまりに非現実的すぎて、夢と現実が混ざっているのでは?と少し勘ぐってしまったほど。
    文章がかなり上手く、物語の中に自然に伏線を溶け込ませる技巧やホワイダニットが鮮やかであることは連城三紀彦を思い出したし、解説の阿津川辰海も同様のコメントをしている。そして阿津川という名字が泡坂妻夫の本名厚川から取られていることを今さら知る。

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    2025年12月07日
  • 妖女のねむり

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    ミステリの面白さを味わえる作品です。
    輪廻転生というのを背景に細かい伏線を貼りながら驚くほど丁寧に回収するさまはさすが。

    3007冊
    今年235冊目

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    2025年09月08日
  • 迷蝶の島

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    ネタバレ

    マジでやられたミステリー・リスト作品

    主人公視点、捜査視点、ヒロイン視点の3章構成が面白い

    結論から言えば見事にやられた
    日付けのトリックはイマイチだが、ヒロインが死に至った真相と深い余韻が良かった

    ヨット用語が頻出して状況描写がイメージし難い、遭難してから手記を書き始めるまでの10日間の空白期間は読者にとってミスリード(ヒント)で済むが、捜査側として看過できる日数では無いのでは?
    という難癖をつけて星4つ

    ※岩に血液が付いていたのが謎、とのレビューを拝見しましたが129ページ10行目に伏線というか正解が書いてあります

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    2025年08月30日