泡坂妻夫のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレいつの時代も正体不明の謎を暴くというのはワクワクするものである。たとえそれが事実であろうとなかろうと、そこはフィクションであり、読者を納得させてしまえば作者の勝ちである。
この作品は東洲斎写楽という、有名で、その実、誰も正体を知らないというミステリアスな人物に焦点を当てている。
誰が写楽なのかは、そこに至るまでを思えばずいぶんあっさりと明かされるのだが、この物語の軸には写楽が誰かという以上に、主人公の一途な思いが置いてあることで、読者もつい引き込まれてしまうのだ。
ただ一点だけ、自分の不勉強なせいもあり、何度も知らない言葉に出会うので、携帯片手に調べながら読む方が、より理解が深まると思われる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレトリックあり、恋愛あり、冒険活劇要素ありの贅沢な傑作。
犯人は冒頭で運悪く死亡するが、その後に起こる殺人はすべて犯人が事前に仕込んでいたからくり殺人だった。
冒頭の事故はなんと隕石が突然降ってくるというギャグみたいな展開。あまりに非現実的すぎて、夢と現実が混ざっているのでは?と少し勘ぐってしまったほど。
文章がかなり上手く、物語の中に自然に伏線を溶け込ませる技巧やホワイダニットが鮮やかであることは連城三紀彦を思い出したし、解説の阿津川辰海も同様のコメントをしている。そして阿津川という名字が泡坂妻夫の本名厚川から取られていることを今さら知る。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白い!
マジシャンとしても有名な作者の奇術トリックを駆使した短編集。曽我佳城シリーズのみを文庫本2冊にまとめた企画本《秘の巻》。
作者の裏芸(?)が素材なので、まさに水を得た魚のような筆運び。長編でも「乱れからくり」「斜光」など傑作ミステリーをものにしていますが、「煙の殺意」などの短編集も適度に力が抜けていていい。
例えば、本書の「剣の舞」に見られる話の転がし方はもはや名人芸。また、「カップと玉」に出てくる【数当てカード】は事前に作っておけば、何かと余興に使えそう。そんな楽しく完成度の高い短編が11作収録とお得感満載。
実はこれ、文庫本として発売された2003年に2冊一緒に購入したのだが、何