泡坂妻夫のレビュー一覧

  • 湖底のまつり
    濡れ場の美しさ、語彙の豊富さに感嘆。
    勉強になります……

    ミステリーとして「エ?あ?」と惑わされる感覚は素晴しく、真相が見えるまではわくわくしながら読みました。

    が、どう考えても無理がある……
    残念……という感は拭えず。

    とはいえ、非常に美しい犯罪の光景、そして真実だとは思います。
  • 妖盗S79号
    ルパン並みの手際で次々お宝を盗んでいく怪盗S79号と、追いかけるポンコツ警察官コンビ。
    時折出てくる連続女性殺人鬼や、次々襲ってくる相続税でどんどん貧乏になっていく二宮の事情などがどう絡むのかと楽しみにしていたのだが、結局肩透かし。
    怪盗が捕まらないのは仕方ないにしても、こんな短絡的であっさりした結...続きを読む
  • 迷蝶の島
    思い違いから百々子、桃季子と三角関係になってしまった達夫。桃季子をセイリングに誘い海上で殺害を試みるが、桃季子は漁船に救助され、達夫は無人島で木に宙吊り状態で首を切られ発見された。達夫が残した手記、桃季子と百々子の証言は微妙に食い違いが…。やがて、桃季子も死体で発見される。達夫が無人島でいるはずのな...続きを読む
  • 妖盗S79号
    たいへん泡坂節の作品で満足。連作短編集なので、ドラマを観ている気分で、1作読んでは休憩を入れて堪能しました。(連続で読むと、毎度恒例の紹介文なんかがちょっとくどく感じるところがあるので、1作1作新鮮な気持ちで楽しみながら読みたくて)
    忘れた頃にたまに出てくる連続猟奇殺人事件をどう絡めるのかワクワクし...続きを読む
  • 湖底のまつり
    序盤の詩的な表現が、少々読みづらさを感じさせるものの、後半になるにつれて表現も平易に。

    時間的なズレが感じさせるミステリーな展開は、引き付けられました。
    あの人が暗躍してるのか、いやあの人か、というドキドキもありました。が、この結末はちょっと無理があるなと。
  • 湖底のまつり
    傷ついた心を癒す旅に出た香島紀子は、山間の村で急に増水した川に流されてしまう。
    紀子は、埴田晃二という男に助けられ、その夜結ばれるが、翌朝晃二の姿は消えており、晃二がひと月前に殺されたと知らされる。
    昨夜の男は誰だったのか?
    様々な人間が複雑に絡み合うミステリー。

    本屋のPOPで、「衝撃のラスト!...続きを読む
  • 折鶴
    まだよく理解していない作家。個人的には2冊目。

    前回は玩具職人の薀蓄を絡めた殺人事件の推理という話だったが、こちらの短編ではなかなか事件らしい事件が起こらないので、読んでいく重心をどこに取れば良いのかなかなか悩む。

    とはいえ、蒔絵師に浄瑠璃、染師、縫箔(ぬいはく)師などという、江戸の技術の職人の...続きを読む
  • 湖底のまつり
    失恋を機にある山奥の村を一人訪れた紀子は、川で溺れそうになった所を一人の若者に助けられ、彼の持ち家である空き家で一夜を共にする。
    翌朝姿を消したその人・晃二を探すが、彼は一月前に毒殺されていた。
    紀子が出会ったのは誰なのか。晃二は何故死んだのか。恋い慕う人を求めて突き進んだ先に何があるのか。
    全般に...続きを読む
  • 湖底のまつり
    ストーリー展開は面白い。
    時や人物がシンクロして不思議な感覚になる。
    また登場人物が話の中で繋がっていくのも上手く練ってあると思う。
    ただ男女の絡みの描き方が官能小説じみていて読み心地がよくない。
    その時代的な物なのか、作家の年齢的な物なのか分からない。
    以前に「乱れからくり」を読んで面白かった印象...続きを読む
  • 斜光
    ありえそうもない設定に果敢に挑み、見事に力技で完結させた大人の物語です。作者の力量に感服すること間違いなし。迷うことなく、読むべし。
  • 煙の殺意
    シンプルで軽妙な語り口が読ませ、毎回趣向を凝らした驚きを楽しめるミステリ短編集。突飛な真相に説得力をもたせる緻密な構成と雰囲気づくりが上手い。「椛山訪雪図」と「狐の面」が好きです。
  • 湖底のまつり
    2010年代の今読むならば、台詞回しにしろ情愛シーンの描写にしろ、何とも呑み込み難い陳腐な表現にどうしても感じられるが、執筆当時の流行と風俗に思いを馳せれば腑にも落ちる。
    開発が進む昭和の山村を舞台とし、当地の祭りなども小道具として用いて土着民俗ものの匂いすら漂わせている本作は、松本正張作品にも通じ...続きを読む
  • 煙の殺意
    バラエティに富んだ短篇集。老練な文章も良い。「紳士の園」、「煙の殺意」は傑作! だが少し使い回しが気になる作品も。
  • 煙の殺意
    ここに死体を捨てないでくださ
     奇妙な論理というなら表題作が飛び抜けていますが、「紳士の園」「開橋式次第」の方が私好みでした。前者はスワン鍋が象徴するように、これから何が始まるのだろうと聴衆の心を大いに引き付け、手品の披露から種明かしに至るまで流れるように進んでいきます。後者はお得意の伏線祭りに加え...続きを読む
  • 乱れからくり
    からくり盛りだくさん。迷路とか、秘密の通路といったギミックには童心に返ってワクワクする。でも、現実にはそんなものないんだよなぁ。
  • 妖女のねむり
    「生まれ変わり」をテーマに据えつつ展開される前半はとてもロマンチック。前世では不幸があり結ばれなかった二人が、前世の謎を探るうちに明らかになる事実。
    ラストでの怒濤の解決編と、しっとりと締めるラスト1行。素敵でした。
  • 蚊取湖殺人事件
    好きな作家は多々いるが,最も好きな作家は,やはり泡坂妻夫である。どの作品も,文章も肌に合うし,世界観,キャラクター,設定などもいつも感心してしまう。もう読み尽くしていたと思っていたが,古本屋で見たことがない文庫を見つけたので購入。蚊取湖殺人事件は別のアンソロジーかなにかで読んだことがあり,ミステリと...続きを読む
  • 亜愛一郎の狼狽
     スマートな見た目とは裏腹に、どこか抜けた言動のカメラマン”亜愛一郎”の名推理を描く連作短編。

     収録作品は8編。個人的に好きだったのは「DL2号機事件」「ホロボの神」「黒い霧」の3編。

     デビュー作でもある「DL2号機事件」は飛行機の爆破予告を皮切りに意外な展開を見せていく短編。

     めくるめ...続きを読む
  • 亜愛一郎の狼狽
    ずっと読みたかった愛一郎さん。どじっこ愛一郎さんかわいいよ。
    人の深層心理みたいなものから事件を解いていくタイプの探偵さんだなぁ。少し文章が読みづらいと感じましたが、愛一郎さんの癒しオーラで楽しく読めました。
    一番なるほど感を味わえた「曲がった部屋」と、ミステリ部分もさることながら民俗学的な面白さも...続きを読む
  • 奇術探偵 曾我佳城全集 戯の巻
    前作にあたる秘の巻より、読みやすかったです。人名になれたからかもしれません。奇術のトリックとミステリーを融合させている作品ですが、トリックの要素が少し弱目だったことで、読みこなせました。