泡坂妻夫のレビュー一覧
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ネタバレこれぞ本格派ミステリー。
ダムの底に沈んでいく東北の過疎の村が舞台。お祭りの場面は幻想的。
女性は、旅先の川で溺れそうになったところを助けてくれた村の男性と一夜を共にしたが、男性は一か月前に毒を盛られて殺されていた。すべては夢だったのか、男性は幽霊だったのか。。。読み進んでいくうちに、だんだんとトリックがわかってくる。後で前の章を読み返してみると、トリックのヒントがあちらこちらに、ちりばめてある。
官能小説のようなところが多過ぎたり、官能シーンの会話が文語的で不自然だったり、一夜を共にしただけで結婚したり、刑事が事あるごとに娘のことを想ったり、ほおをふくらませたり、緋紗江がなぜか刑事と結婚した -
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ネタバレ〇 総合評価
ヨギガンジーシリーズは,「驚愕の仕掛けの文庫本」である「しあわせの書」という作品を読んで好きになったので,なんとか「ヨギガンジーの妖術」も読みたいと思っていた。そして,まさに待望の復刊となったので手に入れた作品。思い入れは深い。内容は,長らく絶版になっていただけのこともあり,傑作とまでは言い難い。しかし,「王たちの恵み」はチェスタトン風の逆説的なオチが楽しめた。ほかにも手品で使えそうなアイデアでかかれた小品ともいうべき佳作の作品ぞろい。中にはやや物足りない作品もあったけど,それなりに楽しむことができた。しばらくは手に入るだろうけど,このデキだとそこまで売れないと思われ,更にもう -
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ネタバレルパン並みの手際で次々お宝を盗んでいく怪盗S79号と、追いかけるポンコツ警察官コンビ。
時折出てくる連続女性殺人鬼や、次々襲ってくる相続税でどんどん貧乏になっていく二宮の事情などがどう絡むのかと楽しみにしていたのだが、結局肩透かし。
怪盗が捕まらないのは仕方ないにしても、こんな短絡的であっさりした結末では大団円と言われてもスッキリしない。
東郷警部もこんな形でお膳立てされた花道で満足なのかなぁ。あれだけS79号に執着していたのに。
泡坂さんだからコメディの中にも色んなからくりがあるものと期待していただけに残念。
それぞれの盗みの話の中にドラマがあったものもあったけれど。 -
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まだよく理解していない作家。個人的には2冊目。
前回は玩具職人の薀蓄を絡めた殺人事件の推理という話だったが、こちらの短編ではなかなか事件らしい事件が起こらないので、読んでいく重心をどこに取れば良いのかなかなか悩む。
とはいえ、蒔絵師に浄瑠璃、染師、縫箔(ぬいはく)師などという、江戸の技術の職人の世界や古典芸能を軸足にしてるんだなというところはよくわかった。
4篇納められているが、真ん中2篇は結構印象は薄い。最近の小説に慣れすぎているので、専門知識と散文的な会話を元に、本当に純文学をやられるとついて行けずに「もう終わり?」となるのだな。落ちるポイントはわかりやすいけれども。
しかし、この -
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失恋を機にある山奥の村を一人訪れた紀子は、川で溺れそうになった所を一人の若者に助けられ、彼の持ち家である空き家で一夜を共にする。
翌朝姿を消したその人・晃二を探すが、彼は一月前に毒殺されていた。
紀子が出会ったのは誰なのか。晃二は何故死んだのか。恋い慕う人を求めて突き進んだ先に何があるのか。
全般に散りばめられた官能的な描写が、眩暈と共に作者が描く騙し絵の中へと誘ってくれる。
今読むとどうしても時代の差を感じるけれど、お陰で閉鎖的な雰囲気と狂気の香りが増している。
章が変わる毎に驚き慌てて前章を読み返すのを繰り返し、まさかないだろうと早々に否定した予測をまさかの力技で実現されてしまった…。