泡坂妻夫のレビュー一覧

  • 夜光亭の一夜 宝引の辰捕者帳ミステリ傑作選

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    宝引の辰「捕者帳」、傑作13編を収録。泡坂妻夫の捕者帳ならばハズレ無し。それぞれトリックやネタの趣向が違っていてコンパクトに纏めてくる鮮やかさ。面白いです。
    印象深いのは、やはり紋章上絵師でもある氏が描いた「鬼女の鱗」、手妻ネタであり、且つ、例のシリーズのキャラクターのアレですねとニヤリとさせる「夜光亭の一夜」、判じ物の「雛の宵宮」辺りかな。

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    2018年09月06日
  • ヨギ ガンジーの妖術(新潮文庫)

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    ネタバレ

    〇 総合評価
     ヨギガンジーシリーズは,「驚愕の仕掛けの文庫本」である「しあわせの書」という作品を読んで好きになったので,なんとか「ヨギガンジーの妖術」も読みたいと思っていた。そして,まさに待望の復刊となったので手に入れた作品。思い入れは深い。内容は,長らく絶版になっていただけのこともあり,傑作とまでは言い難い。しかし,「王たちの恵み」はチェスタトン風の逆説的なオチが楽しめた。ほかにも手品で使えそうなアイデアでかかれた小品ともいうべき佳作の作品ぞろい。中にはやや物足りない作品もあったけど,それなりに楽しむことができた。しばらくは手に入るだろうけど,このデキだとそこまで売れないと思われ,更にもう一度復刊されるのは難しそう。大事にしたいところ。★3で。

    〇 メモ
    〇 王たちの恵み(心霊術) ★★★☆☆
     沢野市のホテルレックスで,沢野市の文化人の集まりソヴリンズクラブが開かれている。ソヴリンズクラブでは毎回,会員から麦の箱という箱に寄付を入れられている。ヨギガンジーの心霊術の実演を含む講演が終わると,麦の箱には寄付金が入ってなかった。誰かが盗んだのか。ヨギガンジーは,そもそも普段から麦の箱に寄付はなかった。世話役の斗米が,ソヴリンズクラブの名誉のために,一人で多額の寄付をしていた。斗米の秘書の寒立は,お金を盗むためではなく,麦の箱にお金を入れるためにやってきていた。寒立という斗米の秘書がどうやって麦の箱にお金を入れたのかという謎と見せかけ,そもそも寄付などされておらず,寒立は麦の箱にお金を入れに来ていたというオチ。なんとも泡坂妻夫らしい,チェスタトン風の逆説的なオチの作品。ヨギガンジーのなんとも言えないキャラクターの相まって,よくまとまった作品に仕上がっている。★3で。

    〇 隼の贄(遠隔殺人術)★★★☆☆
     ヨギガンジーの相棒である不動丸との出会いの作品。ヨギガンジーと不動丸との関係は,ブラウン神父とフランボウの関係にちょっと似ている。不動丸は黄金の隼の会という宗教団体を作る。そして,黄金の隼の儀式で予言を行う。ある人物を神の生贄えとして呪い,殺害するという。儀式では「東岡由紀」という女性の名前が発表される。東岡由紀は不思議な事故死をしていた。トリックは封印をした予言書の外側から文字を書いて中に染み込ませるという物理トリック。ポイントは,直前に予言書を預けている信用金庫から予言書を預かりに行くという行為をミスディレクションにして,公衆電話から電話をして,たまたま死亡した人を確認したという行為を隠したというトリック。これもある行為を利用して本命の行為を隠すという手品っぽいトリック。泡坂妻夫らしい,しっかりまとまった作品。★3で。

    心魂平の怪光(念力術) ★★★☆☆
     大倉山という地方で,松子という女性から,八木徳三郎という男に騙されたという話を聞く。「猫の学校」の教材にするために,鼠を増やすという触れ込みで鼠のつがいを売りつけると言う詐欺だった。また,八木徳三郎が鼠を飼っていたプレハブでは道に迷った笹川夏子という女性が迷い込んで心臓マヒで死んだが,松子はこれも八木徳三郎の仕業だと思っていた。鼠が増えてしまったので,「七歩丸」という毒団子で鼠を減らしているという。ヨギガンジーと山王丸はただ道に迷ってこの村に来ていただけだった。松子に道を聞いて目的地である聖宝院に行く。ヨギガンジー達は心魂平で大倉山で見かけた鼠と同じ鼠を見る。ここには,矢削徳性という宮司がいるという。また,心魂平はちょいちょいUFOが現れるということで有名になっていた。UFOは人為的な火だった。ガソリンを含ませた脱脂綿を鼠のしっぽに結び,それに火を付けて放していた。八木徳三郎=矢削徳性は,詐欺師ではなく,キャンディ化粧品という大手化粧品会社の下請け会社の社長。女性用の紅筆を鼠の毛で作っているということを知られないようにしていたというオチ。マルチ商法まがいの犯罪や宗教犯罪といった大きな犯罪があるかと見せかけて,単なる化粧品会社の下請け会社が鼠の毛で紅筆を作っていることを知られたくなかっただけであるというオチ。泡坂妻夫らしい構成の話である。★3で。

    〇 ヨギガンジーの予言(予言術)★★★☆☆
     ヨギガンジーがハワイで知り合った勝島という男の家で予言をした薬小路車契の予言がウソであることを暴く話。「空飛ぶ鳥が火となり,竜の頭に落ちる」,「唐人が泣いて,その涙が瓢箪に溢れる」,「死神の息が鬼女が池より漏れ,それを吸った者は死ぬ」という3つの予言。これが旅客機の墜落事故,近畿地方の水害を予言し,的中していた。「鬼女池」が勝島の敷地内の池だったので,慌てて国外に逃げたという。真相は,薬小路は盗賊団。勝島がいなくなった後,屋敷の蔵からめぼしいものを盗み出そうとしていた。予言のトリックは色鉛筆の芯と回りの部分の色を変えていたというもの。これにより,あとで書いた予言を先に書いた予言だと誤信させたというもの。トリックは手品のタネのようなもの。シンプルだが面白い。話全体の構成は「赤毛連盟」のパターンでもはや古典。色鉛筆のトリックだけのシンプルな短編。こじんまりまとまった作品であり★3かな。

    〇 帰りた銀杏(枯木術) ★★☆☆☆
     開発の最中,伐り倒されるはずの大銀杏があった。しかし,伐ろうとすると市の有力者が死んでしまい,三人死んだところで大銀杏の伐採は取りやめになった。銀杏は移転された。するとこの大銀杏は夜になると「帰りたい,帰りたい」と言うようになったという。真布施典亮という男は八幡クラブという文化人の集まりのメンバー。「王たちのめぐみ」で出てきたソヴリンズクラと姉妹クラブの関係にある。ヨギガンジーはソヴリンズクラブで行った講演と同じ講演をするように依頼を受ける。講演のデキはひどいものだったが,その後,ヨギ・ガンジーは大銀杏に「その場所で辛抱するように」言い聞かせてほしいという依頼を受ける。ヨギガンジーと不動丸は銀杏と話したフリをする。すると翌日,銀杏の樹の葉が1枚残らず落ちてしまう。ヨギガンジーは銀杏の葉を枯らしたのは真布施だということを指摘する。真布施はUFOに傾倒しており,UFOのメッセージとして市を開発していた。得体の知れない人間を連れてきて,何やら不思議な術を見せ,ついでにご神木に呪文でも掛けさせれば樹が枯れてもその人間のせいにできるとしてヨギガンジーを利用したのだった。この話はやや分かりにくい。ヨギガンジーらしいシンプルな仕掛けでもないしミステリとしてのトリックも弱い。★2かな。

    〇 釈尊と悪魔(読唇術)★★★☆☆
     ヨギガンジーと不動丸が劇団の手伝いをする。そこには霧丸という若旦那がいた。殺人事件が起きて,霧丸は疑われるような行動を取り,二吉という劇団の男は霧丸が犯人だと思って逃走する。二吉は霧丸の素性を調べるという仕事を持っていた。霧丸はつい先ごろ死亡した歌舞伎の門脇杜若と血のつながりがあった。霧丸は劇団残るために二吉を騙すため,犯人と疑われる行動を取ったのだった。この話を通じ,本多美保子がヨギガンジーの一団に加わる。泡坂妻夫らしい見事などんでん返し。霧丸が殺人犯でどういったトリックが出てくるのか…と見せかけ,そもそも霧丸は犯人でなく,犯人だと思わせて二吉を騙すことが目的だったというオチはそこまでレベルの高い仕掛けではないが,さすが泡坂妻夫と思わせるデキ。こじんまりとまとまっている作品。★3で。

    〇 蘭と幽霊(分身術) ★★☆☆☆
     蘭の栽培をしている岩淵という男のところに季貞エメラルドという男が念力栽培の紹介にくる。エメラルドは岩淵が大切にしているランゲリスという花の葉に洗剤を付け,一見ではランゲリスとは分からないようにして盗まれたように見せかける。また,ランゲリスはトリックを使い,市長選に立候補している黒原のポスターを利用して黒原がランゲリスを盗んだように見せかける。黒原はたまたま愛人と不倫をしており,変に疑われないように容疑を認めるような発言をする。最後はヨギガンジーが物理トリック部分も含め,全てを見抜くというオチ。これはちょっと物足りない。泡坂妻夫らしい文体ではあるがアイデアが平凡。シリーズ物の弊害というか,ヨギガンジー物で一つ作品を作る必要があって,無理やりひねり出したという感じがする。★2で。

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    2018年08月25日
  • 奇跡の男

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    文庫の裏表紙の紹介文から多大な期待をしてしまった「奇跡の男」から始まったこの短編集は、全体的な印象から云えば、別段心に残るような意外な真相、プロットは無いものの、何故か気になってしまう。
    それは各々の短編に出てくる人物たちがやたらと存在感をアピールしているから。

    純文学の香気漂う「狐の香典」、「密会の岩」の糀屋五兵衛と安里に代表される飄々とした物腰は何とも堪らない。また他の作品から懐かしい顔が出ていたのも嬉しかった。

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    2018年08月05日
  • 煙の殺意

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    つまらない本は途中でまだ終わらないのかなとつい思ってしまいますが、面白い作品は永遠に続いてほしいと思わせる力があります。

    もちろん、本書は面白さ抜群です。

    文章も格調高いものからユーモラスなものまで様々なバリエーションで読んでいて作者の芸の深さを堪能できますが、私は特に「狐の面」が昔の興行師のだましテクニックと童話のような雰囲気を持った作品として印象深かったのでおすすめです。

    文庫本解説の澤木喬氏の文章もよかった、これだから文庫本はお得ですよね。

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    2018年06月21日
  • 湖底のまつり

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    ネタバレ

    濡れ場の美しさ、語彙の豊富さに感嘆。
    勉強になります……

    ミステリーとして「エ?あ?」と惑わされる感覚は素晴しく、真相が見えるまではわくわくしながら読みました。

    が、どう考えても無理がある……
    残念……という感は拭えず。

    とはいえ、非常に美しい犯罪の光景、そして真実だとは思います。

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    2018年05月17日
  • 妖盗S79号

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    ネタバレ

    ルパン並みの手際で次々お宝を盗んでいく怪盗S79号と、追いかけるポンコツ警察官コンビ。
    時折出てくる連続女性殺人鬼や、次々襲ってくる相続税でどんどん貧乏になっていく二宮の事情などがどう絡むのかと楽しみにしていたのだが、結局肩透かし。
    怪盗が捕まらないのは仕方ないにしても、こんな短絡的であっさりした結末では大団円と言われてもスッキリしない。
    東郷警部もこんな形でお膳立てされた花道で満足なのかなぁ。あれだけS79号に執着していたのに。
    泡坂さんだからコメディの中にも色んなからくりがあるものと期待していただけに残念。
    それぞれの盗みの話の中にドラマがあったものもあったけれど。

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    2018年04月26日
  • 迷蝶の島

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    思い違いから百々子、桃季子と三角関係になってしまった達夫。桃季子をセイリングに誘い海上で殺害を試みるが、桃季子は漁船に救助され、達夫は無人島で木に宙吊り状態で首を切られ発見された。達夫が残した手記、桃季子と百々子の証言は微妙に食い違いが…。やがて、桃季子も死体で発見される。達夫が無人島でいるはずのない桃季子を見るなど、面白い仕掛けもあるが、全体を通して土ワイの雰囲気が漂い、読み応えとしては残念ながら物足りなかった。1980年出版の復刊。

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    2018年03月10日
  • 妖盗S79号

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    たいへん泡坂節の作品で満足。連作短編集なので、ドラマを観ている気分で、1作読んでは休憩を入れて堪能しました。(連続で読むと、毎度恒例の紹介文なんかがちょっとくどく感じるところがあるので、1作1作新鮮な気持ちで楽しみながら読みたくて)
    忘れた頃にたまに出てくる連続猟奇殺人事件をどう絡めるのかワクワクしながら読み進めまして、ラストの大宴会までああ持って行ったかと、泡坂流トリック楽しみました。

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    2018年01月19日
  • 湖底のまつり

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    ネタバレ

    序盤の詩的な表現が、少々読みづらさを感じさせるものの、後半になるにつれて表現も平易に。

    時間的なズレが感じさせるミステリーな展開は、引き付けられました。
    あの人が暗躍してるのか、いやあの人か、というドキドキもありました。が、この結末はちょっと無理があるなと。

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    2017年11月13日
  • 煙の殺意

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    ネタバレ

    以下ネタバレ。



    「紳士の園」の、スワン鍋を巡る不思議なやり取りから、この人らしい面白さが味わえるようになってきた気がする。
    ラストシーンの飛躍が、個人的には好き。
    あ、そう締めますか!みたいな。

    「閏の花嫁」シボニスータ。気になる。シボニスータ。

    「煙の殺意」も、犯行動機の奇妙さ、でも不意に犯したことによる死者の数に耐えられなくなる人間心理というのも、あながちあるように思えて、面白く読めた。

    「歯と胴」は、二度面白い。
    一度目は、死体を無茶苦茶にしたわりに歯を含んだ石鯛を彼が食べられなくなるというシーン。
    二度目は、妻が殺されたことを知らず、教授が浸る幸せさえも滲んでゆくシーン。
    こういう視点で描かれた話はまだ読んだことがなくて、なるほどと思わされた。

    米澤穂信のお薦めらしい、と聞いて読んでみたものの、自分が生まれる前に書かれた作品とは思えないくらい、なんか発想や書き口が若い!
    ちょっと驚いてしまう。

    一人が殺されることのストーリーが組み立てられていくのに、その一人が突然パーツになるというか、俯瞰される構造が楽しかった。

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    2017年10月15日
  • 湖底のまつり

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    傷ついた心を癒す旅に出た香島紀子は、山間の村で急に増水した川に流されてしまう。
    紀子は、埴田晃二という男に助けられ、その夜結ばれるが、翌朝晃二の姿は消えており、晃二がひと月前に殺されたと知らされる。
    昨夜の男は誰だったのか?
    様々な人間が複雑に絡み合うミステリー。

    本屋のPOPで、「衝撃のラスト!予備知識をつけないで読んでください」的なことが書いてあって気になって購入。
    ある意味衝撃のラストだったけど、ミステリーというよりも、文学的というか幻想的というかなんというか…。
    ライトなミステリーでは無かったかな。

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    2017年10月02日
  • 折鶴

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    まだよく理解していない作家。個人的には2冊目。

    前回は玩具職人の薀蓄を絡めた殺人事件の推理という話だったが、こちらの短編ではなかなか事件らしい事件が起こらないので、読んでいく重心をどこに取れば良いのかなかなか悩む。

    とはいえ、蒔絵師に浄瑠璃、染師、縫箔(ぬいはく)師などという、江戸の技術の職人の世界や古典芸能を軸足にしてるんだなというところはよくわかった。

    4篇納められているが、真ん中2篇は結構印象は薄い。最近の小説に慣れすぎているので、専門知識と散文的な会話を元に、本当に純文学をやられるとついて行けずに「もう終わり?」となるのだな。落ちるポイントはわかりやすいけれども。

    しかし、この本のメインは、やはり「忍火山恋唄」と「折鶴」であろう。ちゃんと(?)事件が起こるので、読みやすいし筋も置いやすいし、さらに現代である描写も十分。古典の素人なりについていける適当なペースもよろしい。あとで知ったが、両作とも直木賞候補なのね。ふむ。

    速読にあまり向かないし、独特の会話の記述など、もう一冊買って読むかわからないけど、電子書籍で買って読むには、本作はちょうどいいんじゃないかね。

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    2017年07月11日
  • 斜光

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    ありえそうもない設定に果敢に挑み、見事に力技で完結させた大人の物語です。作者の力量に感服すること間違いなし。迷うことなく、読むべし。

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    2017年06月04日
  • 煙の殺意

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    バラエティに富んだ短篇集。老練な文章も良い。「紳士の園」、「煙の殺意」は傑作! だが少し使い回しが気になる作品も。

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    2017年01月01日
  • 煙の殺意

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    ここに死体を捨てないでくださ
     奇妙な論理というなら表題作が飛び抜けていますが、「紳士の園」「開橋式次第」の方が私好みでした。前者はスワン鍋が象徴するように、これから何が始まるのだろうと聴衆の心を大いに引き付け、手品の披露から種明かしに至るまで流れるように進んでいきます。後者はお得意の伏線祭りに加えて、ちゃっかり探偵役が入れ替わっているのも見逃せないポイント。いずれも賑やかでユニークな作風になっています。
     「椛山訪雪図」はきっと私のセンスがないのでしょう。美しい情景がぼんやりと浮かびましたが、すぐに消えていきました。

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    2016年09月28日
  • 乱れからくり

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    からくり盛りだくさん。迷路とか、秘密の通路といったギミックには童心に返ってワクワクする。でも、現実にはそんなものないんだよなぁ。

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    2016年08月06日
  • 妖女のねむり

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    「生まれ変わり」をテーマに据えつつ展開される前半はとてもロマンチック。前世では不幸があり結ばれなかった二人が、前世の謎を探るうちに明らかになる事実。
    ラストでの怒濤の解決編と、しっとりと締めるラスト1行。素敵でした。

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    2016年04月01日
  • 蚊取湖殺人事件

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    ネタバレ

    好きな作家は多々いるが,最も好きな作家は,やはり泡坂妻夫である。どの作品も,文章も肌に合うし,世界観,キャラクター,設定などもいつも感心してしまう。もう読み尽くしていたと思っていたが,古本屋で見たことがない文庫を見つけたので購入。蚊取湖殺人事件は別のアンソロジーかなにかで読んだことがあり,ミステリとはいえない作品もあった。「雪の絵画教室」と「銀の靴殺人事件」,「秘宝館の秘密」が初めて読む泡坂妻夫のミステリだった。三つ読めれば十分かな。泡坂妻夫ということだけでも★3は確定。

    ○ 雪の絵画教室
     渡辺恒という画家のアトリエでミケランジェロ六郎というテレビでも人気の画家が殺害される。田中裳所という女性の視点から事件が描かれるが,田中裳所という女性の設定も,その彼氏役の野川幸久という男の設定もなかなか味がある。とはいえ,これらの設定が生かしきれていないのは難点。犯人が馬野順吉という大量殺人事件の犯人で,動機がミケランジェロがテレビで書いた風景画から,自分の秘密がバレるのを防ぐためという真相はぶっとんでいる。文章の上手さはさすがだけど,ミステリとしてのできはイマイチか。

    ○ えへんの守
     マジックをテーマとしたちょっといい話。文章のうまさはさすがだけど,やはり泡坂妻夫の作品であれば,気の利いたミステリが読みたいとおもってしまう。

    ○ 念力時計
     世にも奇妙な物語系の作品。ショートショートとしては及第点のようにも思えるけど,やはりミステリが読みたい…。

    ○ 蚊取湖殺人事件
     犯人当て形式の作品。登場事物の造形やトリックなどは泡坂妻夫らしさが発揮されている。フーダニットだけど,鍵はアリバイ。湖の氷が動いて,犯行現場が変わってしまい,アリバイができたというもの。大掛かりな物理トリックで,昭和っぽい作品

    ○ 銀の靴殺人事件
     泡坂妻夫らしいキャラクターが繰りなすミステリ。18人のダンサーが一人少なくなっても誰も気付かないというチェスタートンみたいなトリック。このトリックをなかなかの短篇に仕上げてしまう泡坂妻夫の手腕に脱帽

    ○ 秘宝館の秘密
     心中したと思っていた女性の死体が見つかったという話。女性もの靴を履いて,後ろ歩きで戻ったというトリックはバカミスといってもいいが,きっちり読める短篇に仕上げる手腕はさすが。盗んだお金をモアイ像の中に隠すというトリックも…バカミスか。

    ○ 紋の神様
     ミステリではなく,ちょっといい話。文章の上手さはさすがだが,やはりミステリが読みたい。

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    2015年12月07日
  • 奇術探偵 曾我佳城全集 戯の巻

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    前作にあたる秘の巻より、読みやすかったです。人名になれたからかもしれません。奇術のトリックとミステリーを融合させている作品ですが、トリックの要素が少し弱目だったことで、読みこなせました。

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    2015年09月10日
  • 死者の輪舞

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    中心となるアイデアは前例があるのでとりわけ素晴らしいとは思いませんでしたが、一捻り加えられた真相は伏線が序盤から張り巡らされていたのに全く見抜けず、感嘆してしまいました。
    海方刑事のキャラは馴染めませんでしたが、小湊との掛け合いが面白く最後まで楽しめました。

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    2015年07月30日