泡坂妻夫のレビュー一覧

  • からくり東海道
    力の抜けた時代小説って感じ。

    主人公文吉は獅子童子で、質屋の手代を簡単に辞めて、のらりくらりと色々な職を起用にこなす。相棒みつも、キップが良いが、やはり楽天的。将軍の落としだねの市次郎もお家騒動から家老に命を狙われ、そうして最後は火事で皆死んでしまう。

    埋蔵金を狙って、その金でベトナム(市太郎の...続きを読む
  • 蚊取湖殺人事件
    職人、奇術、トリックのお馴染みの短編集。

    うーん。泡坂を読みすぎたのかもしれない。トリックが伏線からだいたい分かるようになってしまったので、楽しみが少ない。しかし、お馴染みのテレビ狂の刑事・望月と死体フェチ(?)の鑑識係・斧コンビや機功堂の社家さん、医者の渡里先生、青瀬さんというメンバーが登場する...続きを読む
  • ダイヤル7をまわす時
    『可愛い動機』が一番面白かった。殺人よりも人に知られたくない動機。それを隠すために、殺人犯として警察に捕まる主人公。他愛も無い動機なのに、それはどうしてもどうしても主人公には辛い事実であるという、人それぞれの考え生き方があるもんだと思う作品
  • 煙の殺意
    読んだのはハードカバーで。面白かったと思った記憶があるのに、ほとんど覚えてないなぁ。シリーズものじゃなく、しかも短編だから?
  • 蚊取湖殺人事件
    ミステリ半分、奇術や文様師の小話半分。泡坂さんのミステリの登場人物は一癖も二癖もある人ばかり。そして名前が不思議な感じ。
  • 蔭桔梗
    第103回直木賞。
    現代では珍しい紋章屋の短編小説。着物に家紋を入れる「生駒屋」の若主人が主役。銀座の老舗呉服店に、親の代以来久しぶりに出入りすることになったが、そこに淡い再会があった。
    作者・泡坂妻夫は紋章上絵師でもあるから、表題作「陰桔梗」の他にも本書には「増山雁金」「簪」といった、呉服や紋章を...続きを読む
  • 煙の殺意
    泡坂妻夫の妙技を凝らした品々を堪能する、傑作短編を八編収録。

    つくづく「泡坂さんはホワイダニットの作家さんなんだなぁ」と思った短編集であった。
    なぜ、犯人はそのような犯行をしたのか? なぜ、そういう行動を取るに至ったのか?
    ここらへんの心理的ロジックを描かせると、泡坂さんの筆は冴えに冴える。一見突...続きを読む
  • 喜劇悲奇劇
    これはおもしろかった。
    内容も内容で面白かったけれどそれ以上に言葉の遊び方に感動した。こういう風な文章を書く方っていうのは語彙力が凄まじいんだろうなぁ。
    ちなみにこの小説、タイトルや小見出しだけでなく書き出しと結びの一文も回文になってます。すごいな!

    概略
    アルコール浸りの落ちぶれ奇術師七郎は、動...続きを読む
  • 喜劇悲奇劇
    大好きな泡坂妻夫のミステリ。泡坂さんらしいタッチの語り口とともに、これでもか、と出てくる回文たち。回文だけでも十分楽しめる一冊。日本語って面白い。
  • 煙の殺意
    どれもどんでん返しのある展開。その展開によって価値観まで転回される。「紳士の園」や「煙の殺意」などには、非常識なことを平気で行う姿にグロテスクさが出ている。専門的な知識がないと分かりにくいものもある。
  • 煙の殺意
    短編集。
    ひねってあって面白いけれど、古さは否めない。いまさら感があってネタばれしてしまうものもある。
    もっともこれがオリジナルなのかも知れないけれど。
    こういうのって、数を読めば読むほどあとから読んだものが普通に感じてしまいがち。なんか残念だけど、仕方ないのかなあ。
    あと登場人物の名前が捻られすぎ...続きを読む
  • 喜劇悲奇劇
    奇術、猛獣使い、アクロバット、危険術と、バラエティショウを一杯に詰め込んだショウボート。
    港々を回航しながら興業をうっていこうという趣向だ。
    ところが初日を明後日に控えて殺人事件がおこったのだ。しかも連続殺人が・・・。
    そのうえ被害者には奇妙な共通点があった。
    回文の名前をもつ―つまり上から読んでも...続きを読む
  • 妖女のねむり
    輪廻転生をテーマに、前世で恋人同士だったと信じる男女の恋愛物語から幕を開けます。
    二人はあらゆる場所で、あらゆる人から、物から記憶から、二人の前世からの繋がりを証明していきます。
    が、そこで突然殺人事件が起きます。

    それまでの幻想的な雰囲気や、不可思議な証拠の数々が一気に別の真実をあぶりだしていく...続きを読む
  • 妖女のねむり
    米澤穂信さんが、影響を受けた本として紹介していたので読んでみた。導入の部分にだけ、『断章』と共通点があるが、全体的な構成などでは直接似たようなところはないように思う。後はネタバレ                                                             ...続きを読む
  • 亜智一郎の恐慌
    亜愛一郎シリーズの番外編。
    ご先祖様である、亜智一郎が主役。
    シリーズの登場人物のご先祖も多数登場している。

    亜愛一郎シリーズのように、限られた人数の中での事件と謎解きが、非常に読みやすく楽しい。
    江戸時代の地理や時代風俗も、自然な形で本文に組み込まれている。
    そして、虚実織り交ぜて描かれる歴史と...続きを読む
  • 奇術探偵 曾我佳城全集 戯の巻
     引退した奇術師の曾我佳城の最終巻。

     著者が20年掛けて完結させたということだけど、おそらく最初からこのラストになるようにしていたんだろうな、と思う。

     ただなんともあわただしくて残念。
     佳城は男性から見ると魅力的な女性なんだろうか。
  • 奇術探偵 曾我佳城全集 秘の巻
     引退した奇術師、曾我佳城が名探偵の短編集。
     解説にもあるとおり、佳城に欠点が無く、影が薄い気がする。
  • 毒薬の輪舞
    これがまた、好みの設定でおもしろかった。キャラも立っているし、毒薬に対する
    作者のなみなみならぬ興味ゆえのうんちくが、読んでいてニヤニヤできる。
    「精神病棟」「毒薬」「殺人事件」このみっつは鉄壁でしょう。表紙の絵が大時代だが、
    刑事もおっさんでたいへんよろしい。
  • 奇術探偵 曾我佳城全集 秘の巻
    曾我佳城(そがかじょう)。若くして引退した美貌の奇術師。
    華麗なる舞台は今も奇術ファンの語り草である。もう1つの貌は名探偵。
    弾丸受止め術が自慢の奇術師がパートナーを撃ち殺してしまった。
    舞台に注目する観客の前で弾や銃を掏(す)り替えた者は誰か。佳城は真相を見抜けるか?
    ――など究極の奇術トリック満...続きを読む
  • 奇術探偵 曾我佳城全集 戯の巻
    泡坂妻夫。奇術師にして紋章上絵師そして推理作家。三つの貌を持つ作者だからこそできた奇術ミステリの金字塔。奇術を愛する曾我佳城の夢は、古今東西の奇術道具を揃えたマジシャン達の集う殿堂づくり。魔術城落成の大舞台に佳城は、前代未聞の大トリックを仕掛けていた!その正体が明かされる「戯の巻」。