泡坂妻夫のレビュー一覧
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まだよく理解していない作家。個人的には2冊目。
前回は玩具職人の薀蓄を絡めた殺人事件の推理という話だったが、こちらの短編ではなかなか事件らしい事件が起こらないので、読んでいく重心をどこに取れば良いのかなかなか悩む。
とはいえ、蒔絵師に浄瑠璃、染師、縫箔(ぬいはく)師などという、江戸の技術の職人の世界や古典芸能を軸足にしてるんだなというところはよくわかった。
4篇納められているが、真ん中2篇は結構印象は薄い。最近の小説に慣れすぎているので、専門知識と散文的な会話を元に、本当に純文学をやられるとついて行けずに「もう終わり?」となるのだな。落ちるポイントはわかりやすいけれども。
しかし、この -
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失恋を機にある山奥の村を一人訪れた紀子は、川で溺れそうになった所を一人の若者に助けられ、彼の持ち家である空き家で一夜を共にする。
翌朝姿を消したその人・晃二を探すが、彼は一月前に毒殺されていた。
紀子が出会ったのは誰なのか。晃二は何故死んだのか。恋い慕う人を求めて突き進んだ先に何があるのか。
全般に散りばめられた官能的な描写が、眩暈と共に作者が描く騙し絵の中へと誘ってくれる。
今読むとどうしても時代の差を感じるけれど、お陰で閉鎖的な雰囲気と狂気の香りが増している。
章が変わる毎に驚き慌てて前章を読み返すのを繰り返し、まさかないだろうと早々に否定した予測をまさかの力技で実現されてしまった…。
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ネタバレ2010年代の今読むならば、台詞回しにしろ情愛シーンの描写にしろ、何とも呑み込み難い陳腐な表現にどうしても感じられるが、執筆当時の流行と風俗に思いを馳せれば腑にも落ちる。
開発が進む昭和の山村を舞台とし、当地の祭りなども小道具として用いて土着民俗ものの匂いすら漂わせている本作は、松本正張作品にも通じる空気を纏っている。
多様性というものが叫ばれて久しい昨今に生きる我々にとっては、使われている叙述トリックのタネやプロットからもはや大きな驚きは得られず、さすがにそらちょっとしんどいやろ! とツッコみたくもなるが、あくまで古典を味わうという感覚で。 -
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ネタバレ好きな作家は多々いるが,最も好きな作家は,やはり泡坂妻夫である。どの作品も,文章も肌に合うし,世界観,キャラクター,設定などもいつも感心してしまう。もう読み尽くしていたと思っていたが,古本屋で見たことがない文庫を見つけたので購入。蚊取湖殺人事件は別のアンソロジーかなにかで読んだことがあり,ミステリとはいえない作品もあった。「雪の絵画教室」と「銀の靴殺人事件」,「秘宝館の秘密」が初めて読む泡坂妻夫のミステリだった。三つ読めれば十分かな。泡坂妻夫ということだけでも★3は確定。
○ 雪の絵画教室
渡辺恒という画家のアトリエでミケランジェロ六郎というテレビでも人気の画家が殺害される。田中裳所という -
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スマートな見た目とは裏腹に、どこか抜けた言動のカメラマン”亜愛一郎”の名推理を描く連作短編。
収録作品は8編。個人的に好きだったのは「DL2号機事件」「ホロボの神」「黒い霧」の3編。
デビュー作でもある「DL2号機事件」は飛行機の爆破予告を皮切りに意外な展開を見せていく短編。
めくるめく事件の展開に対しての、犯人の動機の解明がお見事! 意外なところから伏線になっていて人間の不可思議な心理が巧く使われた短編になっていると思います。
「ホボロの紙」は戦時中、日本軍の一隊が逗留したホロボ島で起こった現地未開民族の自殺事件の真相を推理する話。
日本の慣習や考え方と違う未開民族の思考