泡坂妻夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
解説が「霊媒探偵城塚翡翠」の相沢沙呼さん。
相沢さんは、本作品の影響をもろに受けていたようですね。
謎解きで本書に仕掛けられた伏線の数々に「そういうことだったのか」と思っていたら、その先にもう一段まさかの展開が隠されていた。
マジックの演出方法や種明かしを交えながら、緻密にミステリーが組み立てられていて、一度読んだだけでは不明瞭な場面が沢山残る。
結果、伏線の場面を再確認しながら二度読みすることに!
この作品は泡坂ミステリの長編一作目で、作家デビューから一年後のものでした。
マジシャンがマジックをネタに小説を書く。
登場するマジシャンたちを騙しながら、本書の読者も騙す。
しかも謎が解けた -
Posted by ブクログ
奇術を題材にした作品。昭和51年発刊のようですが、大半の描写が奇術ショウ(マジックショー)に割かれているため時代感がつかみにくいです。またその時代には書かれているほど奇術が流行っていたのかも分かりません。それらの掴みどころの無さが醸し出す独特な雰囲気に飲まれてしまい、一読目はミステリ作品としての秀逸さには気付きませんでした。
落ち着いて二度目を読んでみると、伏線の多さと多彩さに驚かされました。
奇術師にもプロだけでなく趣味でやっている素人が居るように、伏線にも分かりやすいものから散りばめられており、普段ミステリを読んでもなかなかトリックを見破れない人でも、見破る楽しみが得られます。
かと言って -
Posted by ブクログ
★5では足りないくらい面白かった。
ネタバレ厳禁なので、予備知識なしに読めてよかった。
これから読もうとしている人はレビューは見ない方がいい。
(いきなり犯人明かしちゃってるレビューがあるので)
主人公はボクサーを諦めた若い男の勝敏夫なのだが、働き口の調査会社で行動を共にすることになる元警官の女傑・宇内舞子のキャラが凄い。
物語(と読者)をグイグイ引っ張っているのは舞子だ。
物語の舞台となるのは、からくり玩具を扱う老舗の会社の経営者一族が住んでいる「ねじ屋敷」と呼ばれる屋敷。
不可解な死が続き警察も入り込んでいる中でさらに次々と起こる殺人事件。
殺人は、各人の生活習慣を見越した上で、必ず -
Posted by ブクログ
ネタバレ泡坂妻夫さんの作品は騙されることを楽しむようにできているので、ネタバレレビューは見ないで読んだ方がいい。
このレビューもトリックのネタバラシはしていないが、ストーリーに触れているのでこれから読む人はスルーしてください。
同じ物語を2人の視点で語る小説は多々あるが、これは4人の視点で語られる珍しいものだった。
しかも先ほどと同じ状況にいるはずの人物が異なっている。
一章 紀子 川で流されそうになった紀子は晃二に助けられ一夜を共にする。だが晃二は1カ月前に死んでいた。
どういうことだ?幽霊の物語か?実は晃二は生きていた?
二章 晃二 晃二は川で流されそうになった緋紗江を助け一夜を共にする。 -
Posted by ブクログ
美青年なのだがどこか抜けている亜。彼が解決する事件も、一見事件に見えなかったり、事件が起こる前に解決してしまったり、やはりどこか変わっている。
全編ともかなりレベルが高く、国産短編集の中でもトップクラスではないだろうか。
個人的ベストは『DL2号機事件』『G線上の鼬』、次いで『黒い霧』。
『DL2号機事件』
数々の奇妙な謎が、たった一つの考え方によって一つに繋がれる。
そしてそれを補強する伏線は質も数も凄まじく、前半はもはや伏線の塊。
『G線上の鼬』
これも同じく、伏線の塊。この発想を雪密室として使うのも巧い。
『黒い霧』
カーボンを町に撒く、という謎も魅力的だし、その真相も素晴らしい。 -
ネタバレ 購入済み
奇術家としても有名な作者の作品だけあって、色々な奇術の裏側が知れて面白かった。
奇術の小ネタ集みたいな作中作も面白かったし、その中に犯人特定の手がかりが隠されていたのが驚いた。
犯人が分かった後も、元々加害者と被害者が逆だったという真相に驚いた。 -
ネタバレ 購入済み
馬割朋浩の死は単に交通事故とかでも良かったかもしれないけど、そこが隕石の衝突というありえないシチュエーションなのが、自動殺人というありえないトリックを受け入れられる世界観作りに一役買っているような感じがした。
舞子が警察を追われることになった事件の復讐でみたいな動機も考えたけど、結局その事件は潔白が証明されなかったな。
椙本孝思先生の「魔神館事件」を思い出したけど、こちらの方が何十年も前に書かれてると思うとすごい。