泡坂妻夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ泡坂妻夫といえば、ひとひねり加えた趣向のミステリの印象が強い。まあしあわせの書だけしか読んだことなくてそのメイントリック(というか仕掛け)の印象が抜けないだけなんだけど。
本作も、作中作の方式を使ってるあたり何かミステリというより奇術要素の仕掛け盛り込んでるんじゃないかとソワソワしたけども、フタを開ければなんともフェアな作品。読者への挑戦が差し込まれていても誰も文句を言えないくらい犯人を示唆する情報が散りばめられていて、なんと真っ当な作品なのだろうと。奇術をメインにした作中作にさらっと盛り込んだ犯人への手がかりも、上手いなーと。
この人の作品、短編集みたいなやつも有名だったはずだから読んでみようかな。 -
Posted by ブクログ
「生まれ変わり」という幻想的なテーマを使いながらも、奇術師らしい仕掛けに溢れた本格ミステリの傑作でした。主人公が随所で感じる既視感で、輪廻転生は事実ではないかと読者に思わせてしまうあたりも秀逸。
そして魅力的なヒロイン。ミステリでここまで可愛らしいヒロインがいたでしょうか?なんて現を抜かしていると、あんまりな展開に絶望。そこから物語は一気に結末を迎えます。
たくさんの人物の思惑が絡まって成された事件の構図は、トリックあり、作者らしい異形のロジックありと本格ミステリとしても申し分ないものです。
事件が収束して迎えるラストも美しく、幻想的な趣を深めています。 -
Posted by ブクログ
ノンシリーズの短編集。
どれもこれもおもしろい、ハイクオリティな1冊でした。
【赤の追想】女の様子から推理された一人の男の真実。そしてそれと重なり明らかになる女の真実。
1ページの物語と思っていたものが、実は同じような内容のページが2枚重なっていてひとつの物語を作り上げていたというような結末。巧い。
【椛山訪雪図】一枚の掛け軸が事件を解決というわけではなく、あくまでも掛け軸に主眼を置き、事件が掛け軸の謎を明かしたというのが新鮮。
1枚の絵が見る人に何重もの意味を表し、それが持ち主の断腸の生き様とも重なってなんとも「粋」な1編でした。
【紳士の園】出所したばかりの二人の男が、公園の池で優雅に泳ぐ白鳥を捕まえてこっそり食べ始めるといういきなりの暴挙に驚き。
「スワン鍋」とか、何の冗談かと思ったら本当に公園の白鳥食べちゃうんだもんなぁ。こういうブラックでとぼけた会話など、著者の独特のテンポがとても楽しいです。
昨夜発見した死体が翌日なくなっているという謎をきっかけに、人間の自然な振る舞いについての捻くれた考察が思わぬ結末に。
他殺体を発見しときながら、追求するのはそこじゃないというのがおもしろい。
死体や、白鳥を食べた残骸などの非日常が人間の不自然さに覆い隠され、結末といい不気味さが漂います。
【閏の花嫁】女二人の往復書簡によって展開する物語。一人の男を巡る女同士のちょっとした嫌味の応酬とかが楽しい。
何となく胡散臭い結婚の話がどこに向かうのかわからずハラハラするのですが、からかいのネタだった大食いや太っていることがあんな結末の伏線になるなんて。
【煙の殺意】デパートの火災が気になり、殺人事件の現場でテレビを見だして片手間に捜査する刑事がおもしろい。
アリバイトリックが成された殺人ですが、じゃあ、そのトリックが何の為にという展開からの動機が凄い。話の持っていき方が楽しいです。
確かに犯人の思考と行動は合理的な気がする。恐ろしい考えではありますが。
【狐の面】マジシャンの著者らしく、山伏たちの奇怪な興行の種明かしが興味深く楽しかったです。
解決の仕方が洒落っ気と人情味があって良かった。
【歯と胴】女と愛人の男が夫を亡き者にしようと企むサスペンス。ところが、いざ決行!という時に思わぬ展開になりました。
「そっとされるのが好き」という女の本意がこんなところにあったとは!
【開橋式次第】大家族のどたばたがとっても楽しい。名前を覚えられず適当になったりとかが笑えました。
迷宮入りになった事件と同じ事件が発生するという魅力的な展開ですが、そんな理由で犯人と決め付けていいのか? -
Posted by ブクログ
奇術ショウの最後を飾るはずのひとりの若き女奇術師、水田志摩子が姿を消した。遺体で発見された彼女の周りに散らばる、不可解なアイテムたち。それは奇術クラブに属する鹿川の著した奇術解説小説「11枚のとらんぷ」のトリックに対応したアイテムだった―ークラブのメンバー全員にアリバイあり、一体犯人は誰なのか。犯人の意外な性質とは、犯人の動機とは―ー 自らも高名な奇術師であった泡坂妻夫氏の奇術ミステリの傑作!
そういえばミステリらしいミステリってすごく久しぶりに読んだ気がする。TRICKが終わってしまってさみしいので何か奇術に関するものが読みたいな~と思いながら今年の角川の百冊を見ていたらちょうどいい具合にこれがラインナップされていたので買いました。
三部構成で二部が「11枚のとらんぷ」そのものが収録されてて、入れ子式な書き方で面白い。「11枚のとらんぷ」自体小説風奇術の解説書だから一編一編がショートショートみたいでとても面白く、これで独立してもおっけーなくらい。でもここに犯人の大きな特徴が隠されているとは、うおー!と思いました。なるほど。ちょっと「死神と少女」の第四章を思い出した。人間の五感に何らかの欠陥があるってことは、なかなか描写しにくいしわかりにくいし、だからこそ大きな証拠として持ってこられるとウォオーってなります。途中から犯人わかってたけど、そういうことか!ってね。奇術の描写も自身が手品師であった泡坂氏なだけにわかりやすくて良かった。でも実際に見てみたいなー映像化とかしてないのかなこれ。
奇術の設計書を巡るあれこれや無名の奇術師・蓬丘斎乾城についてのストーリーとかもとても面白く、あ~奇術師ネタに私も何か話書きたい……と思ってしまいました。