泡坂妻夫のレビュー一覧

  • 湖底のまつり

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    湖シリーズの2冊目として読んだ。三度同じシチュエーションが描かれ、その度に謎が深まって楽しく読めた。

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    2017年07月09日
  • 湖底のまつり

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    不思議な雰囲気の小説だった。描写は繊細で、話の流れもわかりやすい。埴田晃二という人物の周囲にある不可思議が章を重ねると浮き上がる。最後まで読めば納得のいく緻密な構成。非常に読みやすい。ただ、魅惑的かつ細かな性描写も含まれるためそこは人を選ぶかもしれない。

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    2022年01月16日
  • 亜愛一郎の狼狽

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    名作の誉れ高い本作。だけど自分的にはピンとこずでした。名前以外、主人公にも特に魅力を感じないし、短編集それぞれ、登場人物がバラバラってのも、いまひとつ入れ込めない原因でしょうか。評価が高いとつい、”読まなきゃ”って強迫観念みたいなものが生まれてしまうんだけど、さすがにもう本格推理が苦手っていう、自分の特性を認めなきゃいけないと思えてきました。しばらくは、ごくたまに読む程度でいいです。

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    2017年01月30日
  • 亜愛一郎の狼狽

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    ネタバレ

    「DL2号機事件」略
    「右腕山上空」:菓子メーカーの宣伝企画として飛び発った気球の中で漫才師の死体が発見される。気球に乗ったのは被害者ただ一人のはずだがーー。事件発生までの流れと提示される謎が魅力的。短編なのでアッサリした真相看破だが視点人物である塩田の秘書への感情描写が良い味してました。
    「曲がった部屋」:お化け団地などと呼ばれる団地で発見された腐敗した他殺死体の謎を亜愛一郎が解き明かす一編。伏線がやさしめでしたがやはり亜愛一郎のあの一言の破壊力はバツグン。
    「掌上の黄金仮面」:巨大な弥勒菩薩像の掌に突如現れ紙幣をバラ撒いていた黄金仮面が射殺された事件と強盗事件とが絡み合う異様な状況を亜愛一

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    2016年07月10日
  • 妖女のねむり

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    導入の樋口一葉の遺稿というフックにまずグッときた。転生についてのタネ明かし、そして思想にとり憑かれたあの登場人物周りの描写が最後カチカチとハマって一つの絵になるような謎解きにグワーってなりました。ラストも美しい……

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    2016年07月10日
  • 11枚のとらんぷ

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    奇術仕立ての中編ミステリー。
    騙し具合がとてもお洒落で気持ちよくオチまでよめる

    作中作のショートショートがとてもよく、このシリーズでもっと読みたいと思った。

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    2016年03月05日
  • 11枚のとらんぷ

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    ある劇団の奇術ショウ。飛び出す鳩が死んでいたり、氷酢酸をぶちまけたりと予期せぬハプニングが続くその日、最後の仕掛けから出てくるはずだった女性が出てこない。そしてその女性は、マンションで撲殺させられているのが発見され、その周りには小説「11枚のとらんぷ」に対応する小道具が…。作中作「11枚のとらんぷ」単体としてもかなり楽しめます。奇術の物々しさは特になく、興味を持たせる内容。不器用な私にもやってみたいなぁと思わせます。どこまでも読者を楽しませようとする姿勢、まさしくエンターテイナー。まさしく泡坂さんです。

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    2016年03月01日
  • 亜愛一郎の狼狽

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    奇妙な名の、奇妙な男による、絶妙な推理
     女性を虜にする美貌の持ち主ですが、間が抜けた発言や言動が目立ち、苗字が「亜」という何とも奇妙な探偵。しかし、その推理力は折り紙付き。マジシャンの経歴を持つ著者ならではの、観察眼に基づく論理の組み立てが面白いです。
     一番好きなのは「G戦上の鼬」。逆説的なロジックが光り、巧妙に配置された伏線が何ともいじらしい。次点は「掌上の黄金仮面」。思い切った発想の転換で、複数の謎が一気に解決します。一方で「黒い霧」は、推論が飛躍しすぎた印象です。
     ミステリに読み慣れてきた私ですが、謎解きの愉しさを再認識することが出来ました。

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    2016年03月10日
  • 亜愛一郎の狼狽

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    何気ない習性や無意識な言動がポイントになったりしていて、なかなか興味深かった。少し間を置いて続編も読もうと思うし、著者の他の作品もいずれ読んでみようという気になりました。

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    2016年07月26日
  • 亜愛一郎の狼狽

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    空飛ぶ気球、万人が見守る大仏像の掌の上…などの密室的な状況を鮮やかに解いたり、DL2号機事件は犯人の心理をサイコロを転がすように説明してみせたり。

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    2016年01月24日
  • 11枚のとらんぷ

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    ネタバレ

    泡坂妻夫といえば、ひとひねり加えた趣向のミステリの印象が強い。まあしあわせの書だけしか読んだことなくてそのメイントリック(というか仕掛け)の印象が抜けないだけなんだけど。
    本作も、作中作の方式を使ってるあたり何かミステリというより奇術要素の仕掛け盛り込んでるんじゃないかとソワソワしたけども、フタを開ければなんともフェアな作品。読者への挑戦が差し込まれていても誰も文句を言えないくらい犯人を示唆する情報が散りばめられていて、なんと真っ当な作品なのだろうと。奇術をメインにした作中作にさらっと盛り込んだ犯人への手がかりも、上手いなーと。
    この人の作品、短編集みたいなやつも有名だったはずだから読んでみよ

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    2016年01月22日
  • 折鶴

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    ネタバレ

    もう50年以上前の作品なのに面白かった。4篇の短編集。全部着物にまつわる職人と女の人との話。ちょっとミステリーの要素も入ってるけど、それより人間関係とか、職人の仕事が時代とともに変わっていくのが切なくも面白い。こういう静かな小説もいい。この人は本当に多彩だ。はずれなし。

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    2015年11月20日
  • 亜愛一郎の狼狽

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    ネタバレ

    泡坂妻夫による亜愛一郎の活躍を描くミステリ短編集。
    普段はパッとしないくせに、人の話を聞いてその裏に隠された真相を推理する能力がずば抜けている亜愛一郎。亜愛一郎はいわゆる安楽椅子探偵で、その現場を見ていなくても人の話から推理を展開し、事件を解決に導く。
    特に、収録作のひとつ「ホロボの神」では戦時中の南方の島で起こった現地人の酋長の自殺の謎を解き明かすが、最早その現場に愛一郎が立ち会うことなどできないにもかかわらず、話を聞くだけで真相に辿り着いてしまう。その論理的かつ他に考えようがない結論の提示は小気味良いほどだ。
    推理を展開すると鋭い頭脳を披露するのに、普段はまるっきり頼りないというギャップも

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    2015年10月16日
  • 乱れからくり

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    2015.2.17了
    面白かった。
    多少古臭いところもあるが気にはならない。
    ミステリー、謎解きの楽しみを満喫できた。最後まで飽きさせない工夫に頭がさがる。

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    2015年09月30日
  • 妖女のねむり

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    「生まれ変わり」という幻想的なテーマを使いながらも、奇術師らしい仕掛けに溢れた本格ミステリの傑作でした。主人公が随所で感じる既視感で、輪廻転生は事実ではないかと読者に思わせてしまうあたりも秀逸。
    そして魅力的なヒロイン。ミステリでここまで可愛らしいヒロインがいたでしょうか?なんて現を抜かしていると、あんまりな展開に絶望。そこから物語は一気に結末を迎えます。
    たくさんの人物の思惑が絡まって成された事件の構図は、トリックあり、作者らしい異形のロジックありと本格ミステリとしても申し分ないものです。
    事件が収束して迎えるラストも美しく、幻想的な趣を深めています。

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    2015年02月20日
  • 11枚のとらんぷ

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    一度だけ本物のマジシャンによる奇術を目の前で見たことがある。引いたカードを当てるという単純なものだったが、その時の高揚感と驚きを思い出した一冊だった。作中作が伏線となって、犯人に帰結させたところがとても良かった!

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    2015年01月04日
  • 煙の殺意

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    ノンシリーズの短編集。
    どれもこれもおもしろい、ハイクオリティな1冊でした。

    【赤の追想】女の様子から推理された一人の男の真実。そしてそれと重なり明らかになる女の真実。
    1ページの物語と思っていたものが、実は同じような内容のページが2枚重なっていてひとつの物語を作り上げていたというような結末。巧い。

    【椛山訪雪図】一枚の掛け軸が事件を解決というわけではなく、あくまでも掛け軸に主眼を置き、事件が掛け軸の謎を明かしたというのが新鮮。
    1枚の絵が見る人に何重もの意味を表し、それが持ち主の断腸の生き様とも重なってなんとも「粋」な1編でした。

    【紳士の園】出所したばかりの二人の男が、公園の池で優雅

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    2014年11月28日
  • 死者の輪舞

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    ネタバレ

    面白かった。合計8人がお互い殺し、殺され合うんだから、警察からしたらそんなのんきな話はないって感じだけど。こういっちゃなんだが、昔の本の割にとても読みやすかった。字も小さいし、長いからそれなりに時間はかかったけど。泡坂妻夫はやっぱりいいなぁ。ぐうたら悪徳刑事の海方が秀逸。女の口説き方たるや。こんな特技があったらいいなぁ。てっきり秘書の沙織が何かかんでると思ったのに、全然違ったし。ベランダが落ちて、あっさり死んじゃうのが潔くて良い。

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    2014年09月12日
  • 妖女のねむり

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    実に上手い。正直、この話はいったいどう着地するのかと不安に思いながら読んでいましたが、広げた大風呂敷が見事に畳まれる様子は実に見事。
    序盤の唐突な展開には若干戸惑いましたが、そこだけ乗りきったら一気読みでした。

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    2014年09月01日
  • 煙の殺意

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    ちょっと泥臭くて、強いていえばアキ・カウリスマキのようなシニカルな「笑い」が魅力的な泡坂妻夫の短編集。好み。

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    2014年08月08日