泡坂妻夫のレビュー一覧
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泡坂妻夫は今となっては懐かしい「幻影城」でお目にかかって以来のファン。現代ものは登場人物の言い回しとか、情景描写とか、いつの時代?という古臭さを感じさせて、しかもそれが作品の魅力だったりする。
時代物は文句なく大好き!無理目な展開やトリックがあるが、それもご愛敬。江戸の言葉、季節の風物着物の柄すべて丁寧で、読んでいるのが心地よい。
表題にもなった『夜光亭の一夜』は手妻師浮城はあの人の…と想像が膨らむ。
心がざわついてしまう時に短編一つ読んで寝ようかなと手に取る一冊。
唯一気に入らないのが表紙。辰親分、もうちょっといい男のイメージなんだけど。せっかくの森美夏さんなのに。 -
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ネタバレ前日の夜に愛し合った男が翌朝には消え、さらに1ヶ月前に死んでいたと知らされ、じゃああれは誰だったのか?読み進めるうちにパズルのピースが嵌るように謎が解けていくーーという帯の文句に誘われて購入したものの、「見事!」というよりは「えー……」という読後感。
最初の紀子と晃二のやりとりと、その後に出てくる緋紗江と晃二のやりとりが酷似していて、どちらかが同一人物、あるいはどちらかが頭の中で繰り広げたフィクション、妄想、二重人格かーーと思っていたところ、結末はそうきたか、という感じ。
いくら男性的な体とはいえ、抱き合って男女の違いが分からないということが果たしてあるのだろうか、というのが最後まで理解でき -
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ネタバレ「DL2号機事件」略
「右腕山上空」:菓子メーカーの宣伝企画として飛び発った気球の中で漫才師の死体が発見される。気球に乗ったのは被害者ただ一人のはずだがーー。事件発生までの流れと提示される謎が魅力的。短編なのでアッサリした真相看破だが視点人物である塩田の秘書への感情描写が良い味してました。
「曲がった部屋」:お化け団地などと呼ばれる団地で発見された腐敗した他殺死体の謎を亜愛一郎が解き明かす一編。伏線がやさしめでしたがやはり亜愛一郎のあの一言の破壊力はバツグン。
「掌上の黄金仮面」:巨大な弥勒菩薩像の掌に突如現れ紙幣をバラ撒いていた黄金仮面が射殺された事件と強盗事件とが絡み合う異様な状況を亜愛一 -
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奇妙な名の、奇妙な男による、絶妙な推理
女性を虜にする美貌の持ち主ですが、間が抜けた発言や言動が目立ち、苗字が「亜」という何とも奇妙な探偵。しかし、その推理力は折り紙付き。マジシャンの経歴を持つ著者ならではの、観察眼に基づく論理の組み立てが面白いです。
一番好きなのは「G戦上の鼬」。逆説的なロジックが光り、巧妙に配置された伏線が何ともいじらしい。次点は「掌上の黄金仮面」。思い切った発想の転換で、複数の謎が一気に解決します。一方で「黒い霧」は、推論が飛躍しすぎた印象です。
ミステリに読み慣れてきた私ですが、謎解きの愉しさを再認識することが出来ました。 -
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ネタバレ泡坂妻夫といえば、ひとひねり加えた趣向のミステリの印象が強い。まあしあわせの書だけしか読んだことなくてそのメイントリック(というか仕掛け)の印象が抜けないだけなんだけど。
本作も、作中作の方式を使ってるあたり何かミステリというより奇術要素の仕掛け盛り込んでるんじゃないかとソワソワしたけども、フタを開ければなんともフェアな作品。読者への挑戦が差し込まれていても誰も文句を言えないくらい犯人を示唆する情報が散りばめられていて、なんと真っ当な作品なのだろうと。奇術をメインにした作中作にさらっと盛り込んだ犯人への手がかりも、上手いなーと。
この人の作品、短編集みたいなやつも有名だったはずだから読んでみよ