泡坂妻夫のレビュー一覧

  • 湖底のまつり
    湖シリーズの2冊目として読んだ。三度同じシチュエーションが描かれ、その度に謎が深まって楽しく読めた。
  • 湖底のまつり
    20170417 最初はなんだか置いて行かれたような気分になった。章が進むにつれ、勘違いだったのかと思わせ、最後に、そういう事か!と納得させてくれる。良い本でした。
  • 湖底のまつり
    不思議な雰囲気の小説だった。描写は繊細で、話の流れもわかりやすい。埴田晃二という人物の周囲にある不可思議が章を重ねると浮き上がる。最後まで読めば納得のいく緻密な構成。非常に読みやすい。ただ、魅惑的かつ細かな性描写も含まれるためそこは人を選ぶかもしれない。
  • 亜愛一郎の狼狽
    名作の誉れ高い本作。だけど自分的にはピンとこずでした。名前以外、主人公にも特に魅力を感じないし、短編集それぞれ、登場人物がバラバラってのも、いまひとつ入れ込めない原因でしょうか。評価が高いとつい、”読まなきゃ”って強迫観念みたいなものが生まれてしまうんだけど、さすがにもう本格推理が苦手っていう、自分...続きを読む
  • 亜愛一郎の狼狽
    「DL2号機事件」略
    「右腕山上空」:菓子メーカーの宣伝企画として飛び発った気球の中で漫才師の死体が発見される。気球に乗ったのは被害者ただ一人のはずだがーー。事件発生までの流れと提示される謎が魅力的。短編なのでアッサリした真相看破だが視点人物である塩田の秘書への感情描写が良い味してました。
    「曲がっ...続きを読む
  • 妖女のねむり
    導入の樋口一葉の遺稿というフックにまずグッときた。転生についてのタネ明かし、そして思想にとり憑かれたあの登場人物周りの描写が最後カチカチとハマって一つの絵になるような謎解きにグワーってなりました。ラストも美しい……
  • 11枚のとらんぷ
    奇術仕立ての中編ミステリー。
    騙し具合がとてもお洒落で気持ちよくオチまでよめる

    作中作のショートショートがとてもよく、このシリーズでもっと読みたいと思った。
  • 11枚のとらんぷ
    ある劇団の奇術ショウ。飛び出す鳩が死んでいたり、氷酢酸をぶちまけたりと予期せぬハプニングが続くその日、最後の仕掛けから出てくるはずだった女性が出てこない。そしてその女性は、マンションで撲殺させられているのが発見され、その周りには小説「11枚のとらんぷ」に対応する小道具が…。作中作「11枚のとらんぷ」...続きを読む
  • 亜愛一郎の狼狽
    奇妙な名の、奇妙な男による、絶妙な推理
     女性を虜にする美貌の持ち主ですが、間が抜けた発言や言動が目立ち、苗字が「亜」という何とも奇妙な探偵。しかし、その推理力は折り紙付き。マジシャンの経歴を持つ著者ならではの、観察眼に基づく論理の組み立てが面白いです。
     一番好きなのは「G戦上の鼬」。逆説的なロジ...続きを読む
  • 亜愛一郎の狼狽
    何気ない習性や無意識な言動がポイントになったりしていて、なかなか興味深かった。少し間を置いて続編も読もうと思うし、著者の他の作品もいずれ読んでみようという気になりました。
  • 亜愛一郎の狼狽
    空飛ぶ気球、万人が見守る大仏像の掌の上…などの密室的な状況を鮮やかに解いたり、DL2号機事件は犯人の心理をサイコロを転がすように説明してみせたり。
  • 11枚のとらんぷ
    泡坂妻夫といえば、ひとひねり加えた趣向のミステリの印象が強い。まあしあわせの書だけしか読んだことなくてそのメイントリック(というか仕掛け)の印象が抜けないだけなんだけど。
    本作も、作中作の方式を使ってるあたり何かミステリというより奇術要素の仕掛け盛り込んでるんじゃないかとソワソワしたけども、フタを開...続きを読む
  • 折鶴
    もう50年以上前の作品なのに面白かった。4篇の短編集。全部着物にまつわる職人と女の人との話。ちょっとミステリーの要素も入ってるけど、それより人間関係とか、職人の仕事が時代とともに変わっていくのが切なくも面白い。こういう静かな小説もいい。この人は本当に多彩だ。はずれなし。
  • 亜愛一郎の狼狽
    泡坂妻夫による亜愛一郎の活躍を描くミステリ短編集。
    普段はパッとしないくせに、人の話を聞いてその裏に隠された真相を推理する能力がずば抜けている亜愛一郎。亜愛一郎はいわゆる安楽椅子探偵で、その現場を見ていなくても人の話から推理を展開し、事件を解決に導く。
    特に、収録作のひとつ「ホロボの神」では戦時中の...続きを読む
  • 乱れからくり
    2015.2.17了
    面白かった。
    多少古臭いところもあるが気にはならない。
    ミステリー、謎解きの楽しみを満喫できた。最後まで飽きさせない工夫に頭がさがる。
  • 亜愛一郎の狼狽
    シンプルで無駄のない文章で綴られるどこかとぼけた味わいのミステリ短編集。
    突飛な真相に対し、伏線の貼り方が非常に上手く、物語が無理なくきれいにまとめられている。
    淡々と進む物語ですが、一編一編に異なる味があり楽しめました。ユーモアがありリラックスして楽しんで読める作品。でもときにはしんみりすることも...続きを読む
  • 湖底のまつり
    『妖女のねむり』と同じく、幻想的な雰囲気たっぷりのミステリです。
    一晩を共にした人が、実は1カ月前に死んでいたという魅力的な謎とともに、自身の記憶と一致する部分もあれば、齟齬を感じるといった主人公の不安もこちらに伝わってくるようでした。
    途中、明らかに意図的なデジャヴを誘う記述も、読者の目を廻す役割...続きを読む
  • 妖女のねむり
    「生まれ変わり」という幻想的なテーマを使いながらも、奇術師らしい仕掛けに溢れた本格ミステリの傑作でした。主人公が随所で感じる既視感で、輪廻転生は事実ではないかと読者に思わせてしまうあたりも秀逸。
    そして魅力的なヒロイン。ミステリでここまで可愛らしいヒロインがいたでしょうか?なんて現を抜かしていると、...続きを読む
  • 亜愛一郎の狼狽
    収録短編全てがハイクオリティで、今まで読んだ短編集の中ではトップクラスの満足感でした。
    中でも「DL2号機事件」「G線上の鼬」は誰でも考えうる思考を使い、ロジカルに犯罪を暴く、変則的な異形の理論を使った傑作短編です。
    異形の理論で言えば「ホロボの神」も忘れてはいけないでしょう。非文明人だからこそ成立...続きを読む
  • 11枚のとらんぷ
    一度だけ本物のマジシャンによる奇術を目の前で見たことがある。引いたカードを当てるという単純なものだったが、その時の高揚感と驚きを思い出した一冊だった。作中作が伏線となって、犯人に帰結させたところがとても良かった!