佐野眞一のレビュー一覧

  • 旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三

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    後年まで定職に就かず日本中をフィールドワークして歩いた民俗学者宮本常一と、それを物心両面で援助しつづけた実業家かつ民族学者渋沢敬三の評伝である。最初は宮本だけの評伝として構想されたが、渋沢の存在の巨きさに気がつき二人の評伝というかたちになったという。二人への著者の畏敬の念がが素直に出ているが、ノンフィクションライターとしての矜持を保ち二人の負の部分もきちんと描いているのはさすがである。忘れられた巨人で有った宮本と渋沢は、この本によって十分に顕彰された。

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    2012年08月25日
  • 旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三

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    私の日本地図を読んで以来、気になっていた宮本常一のことがわかった。
    彼の妻に同情。う〜ん、宮本常一は、私の中ではイメージダウンです。


    読みごたえのある本。

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    2012年08月18日
  • 沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 下

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    力作下巻。上巻が昭和が中心に書かれているのに対し、下巻は平成に入ってからのテーマ。模合の実情、カプセルホテル怪死事件、内地の芸能界との繋がりの話、マルフクレコードなどの島唄レーベル興隆の軌跡、尖閣諸島の保有者の由来、琉球王朝の尚家の近代史、海燕ジョーの奇跡のモデルとなった元ヒットマンの最期の話、など。読みどころ満載。初出は月刊プレイボーイに連載。

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    2011年09月11日
  • 沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 上

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    沖縄の近代史を豊富なインタビューで構成した力作。警察、暴力団関係者、空手家、右翼、政治家、右翼、ソープランド経営者、実業家、ジャーナリストなど、戦後の沖縄の姿を作っていった人々から聞きだすエピソードは、それぞれが濃い。沖縄ヤクザの複数回にわたる抗争の歴史の話、与那国が米軍占領時代の一時期に密貿易の拠点となった話、奄美大島が沖縄本島に先立って日本復帰したのちに奄美出身者が沖縄で受けた差別の話、ジョン・カビラの曾爺さんが琉球王朝の日本語通訳だった話、ブセナテラスのデベロッパーでもある大手ゼネコン國場組の隆盛と衰退の話、などなど。。。

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    2011年09月03日
  • 沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 下

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    2011/8/14
    素朴で朴訥として、優しくフレンドリーな沖縄の人々と、あの原色羽織袴で成人式に暴れまわる若者のイメージがこの本を読んでようやく融合しました。

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    2011年08月15日
  • 沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 上

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    2011/8/12
    感想は下巻を読んでからにしますが、書名の『誰にも書かれたくなかった』の主語は“沖縄”か“佐野さん”なのかどっち?

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    2011年08月12日
  • 沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 下

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    結局、上下巻一気に読み通してしまった。圧巻。
    しかし、自分の鳥頭には漏れ出る情報量。自分なりに咀嚼できるようになるにはもうちょっと時間かかりそう。キーワードを頭に入れ折に触れ再読したい。

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    2011年08月03日
  • 沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 上

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    上下で購入しました。いつ文庫になるのかな?と思っていましたが。単行本プラスアルファで書かれています。佐野眞一さんは好きな作家の一人なのです。ノンフィクション大賞設立のときにも、聴きにいったなあ~というくらい。改めてゆっくり読みます。

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    2011年07月22日
  • 沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 上

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    「テンペスト」購入に合わせて、というか並行して読んだらどうなんだろうなと思いました。
    上巻も少しで終ります。
    テンペストと並行して読もうと思ったけど、ついこちらのページをくる方が早くなる。思わず眉に唾したくなる程、凄いエピソードが続く。

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    2011年07月28日
  • だれが「本」を殺すのか

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    極論すると、結局 ”本を殺す” のは「読者の劣化」だと思っています。
    もちろん、”本を殺す” 原因や理由は一つや二つではなくいろいろ複合しているし、複雑にからみあって悪循環になっているところもあると思うけれど。

    とてもショッキングなタイトル。
    書かれた事実のどれもが、書店で働いていた頃「そうだ、そうだ」と思っていたことばかり。

    だって、ニーズに合わせて供給していくのが商業の基本ですよね。
    買ってくれる本を作ろうというのは何も間違っていない、でも、買ってくれる本を作ろうとすると、一過性の大ヒット狙いということになってしまう。
    それは、大方のお客さんの求めているものがそれだから。

    長く愛され

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    2011年07月07日
  • 旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三

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    健脚の民俗学者・宮本常一の人生。 昭和の民俗学者・宮本常一の人生を追ったノンフィクション。
    貧しい瀬戸内海の島で育った宮本常一は、父から教わったいくつかのルールを守りながら、日本を旅して廻ります。とにかく国内のあらゆるところをひたすら歩いて、様々な土地の人々の生活を記録し続け、昭和の日本人の姿を明らかにしていきます。民俗学者には、研究室で史料・史実を基に研究する人と、現場でのフィールドワークを重視するタイプがいますが、宮本常一は後者の人であったようです。
    日本中を旅して歩く彼のような生き方というのも、自分の人生を考える時とても参考になります。何気なく撮った数万枚の昭和の風景のスナップショット

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    2010年08月26日
  • 誰も書けなかった石原慎太郎

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    ずっと魅力的な人物である。彼の存在を通してボクらはいつも何かを問いただそうとする。だがそれは彼の自己愛を投影した宇宙にボクらが勝手に投げ出されたのかもしれない。コンプレックス。生きているあいだにだぶんずっと人はこれに振り回される。ボクらは彼の一体何に対して不満と共感を同時に覚えてしまうのだろうか。父、潔は蟹工船バリの過酷な労働。痰壺洗いまでした苦労人。タイトルどおり誰も書けなかったことが満載。そして彼は恐ろしいほど自分自身のことを熟知している。「文学も政治も情婦だな。目的は人生だよ。」だってさ。

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    2011年09月15日
  • 旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三

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    目次の前に、宮本常一と渋沢敬三の写真が掲載されている。宮本常一のは「長崎県五島、頭ケ島にて(昭和37年8月)」というキャプションが付けられている写真。渡し舟と思われるような小さな船に、船頭と子供2人と宮本を含む大人の客3名、計6名が乗り込んでいる。船は渡し場に着いたのかこれから渡し場を出て行こうとしているのか分からないけれども、渡し場に接している。渡し場の方向を向いた宮本常一がカメラの方向を向かって笑っている。カメラの方向を向いている宮本常一自身もカメラを手にしている。おそらく旅の途中なのだろう。渋沢敬三の写真には、「還暦の春に」というキャプションが付けられている。67歳で没した渋沢敬三にとっ

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    2011年07月25日
  • 旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三

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     2009年69冊目。「執念」という言葉がピッタリくるノンフィクションの第一人者、佐野眞一さんの作品です。

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    2009年10月04日
  • 誰も書けなかった石原慎太郎

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     2009年の18冊目。佐野眞一さんの文体や描写はクセがあるので、読みづらいこともあります。ですが、なぜか読んでしまう魅力があります。この本と斎藤貴男さんの「空虚な小皇帝石原慎太郎」を併せて読めば、選挙で石原慎太郎、伸晃、宏高親子に投票する気は失せます。

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    2009年10月04日
  • 東電OL症候群(シンドローム)

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    東電OL裁判の途上
    関係者や裁判官にまで副次的な事件が波及・連鎖してゆくさまが
    まるで死者の手引きのようでもあり、
    皆汚いものなのよ、と、泰子が示唆しているようでもあり、
    そう思わせる現実の出鱈目さと相まって、非常に考えさせられる。

    堕ちて命をなくしたOL。
    それが死して尚、浮き彫りにし続けるものに深い感慨を覚える。

    自己を徹底的に罰しつづけ、遂には他者の動機を誘引し、破滅的な毎日から死へとダイブしたOLの凄まじさを、また考える。

    正直、読んでは考え、考えては読むにつけ思うことは、渡辺泰子は、僕自身でもあるという事であり、
    そう確信しつつ自ら恐怖もするのである。

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    2009年10月04日
  • 沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 下

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    買ってから5年以上積読していた本。3部作?の完結編的な雰囲気。上巻は戦時、戦後直後を中心とした内容でこの下巻は民主党政権時に出た本で鳩山政権や仲井真知事についてアクターズスクールのマキノ氏の話など自分が過ごした時代と重なってる章がいくつもありさらっと読めた。
    沖縄について書くために大勢の関係者にインタビューしてハンパじゃない取材をしたことがよく分かり上巻に続き感動した。ノンフィクションの巨匠、もうお亡くなりで新しい時事問題なども取り上げてほしかったので残念だけど、他の著書も読みたい。

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    2025年05月15日
  • 沖縄戦いまだ終わらず

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    米軍側の従軍記者をして「醜さの極致」と言わしめるほどの悲惨さを極めた沖縄戦。両親や兄弟を目の前で失いながらも過酷な戦場を生き延び、戦後もたった一人で生きていかざるを得なかった、かつての子供たちの証言。




    本書はノンフィクション作家、佐野眞一氏が著した『沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史』という本の続編的な位置づけになっているのだそうです。

    太平洋戦争(もしくは大東亜戦争)末期、日本本土で本格的な地上戦が行われた沖縄。米軍側の従軍記者をして「醜さの極致」と言わしめるほどの凄惨な戦いを生き延びたかつての子供たちが長年封印していたその目で見てきた出来事を筆者に語っております。

    僕がこの

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    2025年01月12日
  • 旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三

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    ネタバレ

    どうやら宮本常一という人がいたらしく、
    一部の人、特に土地の歴史や地理への研究志向を持つ
    中高年の男性に、宮本常一ファンが多い気がする。
    地域づくりを志し、ライフワークとしている方々と話しをすると、
    たまに「私は宮本常一の信徒だ」と、出会って少し時間が経ってから自己開示する方に出会う。

    私も土地と人の関係に興味がありそれを仕事でも追究する身として、
    まあ、行きつくべくして宮本常一に行きついた。

    氏の書いた本を読むと、人々の生活がどのような背景で営まれ、変わってきたかを、氏の足と目で感じ取ったままの情報で読み取れる。例えば、山と平地の境目あたりの集落の民家に干してある洗濯物の様子から、どのよ

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    2024年11月26日
  • 東電OL殺人事件

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    桐野夏生氏のグロテスクを読んで、どこまでが事実なのかが気になり、読むことにしました。
    「グロテスク」は東電OL事件の要素を取り入れているけれど、ほぼ別物のフィクションと言うことがわかってよかった。ゴビンダが買春した、結局見つからなかった太めの女というのがユリコなのだろう。

    さて、本題ですが、佐野氏のこの本を書く目的が、「彼女の無念を晴らし、その魂を鎮めること」なんて書いてあるが、そういう感じは皆無だった。読者のいやらしいイマジネーションを最大に掻き立て、本を売るのが目的、としたほうが納得できた。

    それにしても、日本の警察ってこんなにも酷いのか。無能というだけでなく、悪の存在だったとは。税金

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    2024年09月14日