佐野眞一のレビュー一覧
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試し読み
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極論すると、結局 ”本を殺す” のは「読者の劣化」だと思っています。
もちろん、”本を殺す” 原因や理由は一つや二つではなくいろいろ複合しているし、複雑にからみあって悪循環になっているところもあると思うけれど。
とてもショッキングなタイトル。
書かれた事実のどれもが、書店で働いていた頃「そうだ、そうだ」と思っていたことばかり。
だって、ニーズに合わせて供給していくのが商業の基本ですよね。
買ってくれる本を作ろうというのは何も間違っていない、でも、買ってくれる本を作ろうとすると、一過性の大ヒット狙いということになってしまう。
それは、大方のお客さんの求めているものがそれだから。
長く愛され -
Posted by ブクログ
健脚の民俗学者・宮本常一の人生。 昭和の民俗学者・宮本常一の人生を追ったノンフィクション。
貧しい瀬戸内海の島で育った宮本常一は、父から教わったいくつかのルールを守りながら、日本を旅して廻ります。とにかく国内のあらゆるところをひたすら歩いて、様々な土地の人々の生活を記録し続け、昭和の日本人の姿を明らかにしていきます。民俗学者には、研究室で史料・史実を基に研究する人と、現場でのフィールドワークを重視するタイプがいますが、宮本常一は後者の人であったようです。
日本中を旅して歩く彼のような生き方というのも、自分の人生を考える時とても参考になります。何気なく撮った数万枚の昭和の風景のスナップショット -
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目次の前に、宮本常一と渋沢敬三の写真が掲載されている。宮本常一のは「長崎県五島、頭ケ島にて(昭和37年8月)」というキャプションが付けられている写真。渡し舟と思われるような小さな船に、船頭と子供2人と宮本を含む大人の客3名、計6名が乗り込んでいる。船は渡し場に着いたのかこれから渡し場を出て行こうとしているのか分からないけれども、渡し場に接している。渡し場の方向を向いた宮本常一がカメラの方向を向かって笑っている。カメラの方向を向いている宮本常一自身もカメラを手にしている。おそらく旅の途中なのだろう。渋沢敬三の写真には、「還暦の春に」というキャプションが付けられている。67歳で没した渋沢敬三にとっ
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試し読み
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東電OL裁判の途上
関係者や裁判官にまで副次的な事件が波及・連鎖してゆくさまが
まるで死者の手引きのようでもあり、
皆汚いものなのよ、と、泰子が示唆しているようでもあり、
そう思わせる現実の出鱈目さと相まって、非常に考えさせられる。
堕ちて命をなくしたOL。
それが死して尚、浮き彫りにし続けるものに深い感慨を覚える。
自己を徹底的に罰しつづけ、遂には他者の動機を誘引し、破滅的な毎日から死へとダイブしたOLの凄まじさを、また考える。
正直、読んでは考え、考えては読むにつけ思うことは、渡辺泰子は、僕自身でもあるという事であり、
そう確信しつつ自ら恐怖もするのである。
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米軍側の従軍記者をして「醜さの極致」と言わしめるほどの悲惨さを極めた沖縄戦。両親や兄弟を目の前で失いながらも過酷な戦場を生き延び、戦後もたった一人で生きていかざるを得なかった、かつての子供たちの証言。
本書はノンフィクション作家、佐野眞一氏が著した『沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史』という本の続編的な位置づけになっているのだそうです。
太平洋戦争(もしくは大東亜戦争)末期、日本本土で本格的な地上戦が行われた沖縄。米軍側の従軍記者をして「醜さの極致」と言わしめるほどの凄惨な戦いを生き延びたかつての子供たちが長年封印していたその目で見てきた出来事を筆者に語っております。
僕がこの -
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ネタバレどうやら宮本常一という人がいたらしく、
一部の人、特に土地の歴史や地理への研究志向を持つ
中高年の男性に、宮本常一ファンが多い気がする。
地域づくりを志し、ライフワークとしている方々と話しをすると、
たまに「私は宮本常一の信徒だ」と、出会って少し時間が経ってから自己開示する方に出会う。
私も土地と人の関係に興味がありそれを仕事でも追究する身として、
まあ、行きつくべくして宮本常一に行きついた。
氏の書いた本を読むと、人々の生活がどのような背景で営まれ、変わってきたかを、氏の足と目で感じ取ったままの情報で読み取れる。例えば、山と平地の境目あたりの集落の民家に干してある洗濯物の様子から、どのよ -
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桐野夏生氏のグロテスクを読んで、どこまでが事実なのかが気になり、読むことにしました。
「グロテスク」は東電OL事件の要素を取り入れているけれど、ほぼ別物のフィクションと言うことがわかってよかった。ゴビンダが買春した、結局見つからなかった太めの女というのがユリコなのだろう。
さて、本題ですが、佐野氏のこの本を書く目的が、「彼女の無念を晴らし、その魂を鎮めること」なんて書いてあるが、そういう感じは皆無だった。読者のいやらしいイマジネーションを最大に掻き立て、本を売るのが目的、としたほうが納得できた。
それにしても、日本の警察ってこんなにも酷いのか。無能というだけでなく、悪の存在だったとは。税金