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戦後日本は、沖縄を米国へ人身御供として差し出すことで、復興と繁栄を手に入れた。沖縄に米軍基地の大半を押しつけて経済発展を享受する構図は、東京のために福島に原発を作ることと何ら変わらない。天皇、米軍、沖縄県警、ヤクザ、怪人、財界人、奄美人など……戦後の沖縄を作り上げた人々の、本土では知られざる「小文字」の物語を丹念にたどり、現代日本そのものを逆照射したベストセラー。
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Posted by ブクログ
著名なジャーナリストである佐野眞一が沖縄を余すことなく取材した結果をまとめた本。 下巻では、①軍用地主、②尚市などをまとめている。 上巻に引き続き、文献的な調査もさることながら、キーパーソンに対する詳細な取材が裏付けるリアルな沖縄が垣間見えてくる。文句なしに5つ星。
力作下巻。上巻が昭和が中心に書かれているのに対し、下巻は平成に入ってからのテーマ。模合の実情、カプセルホテル怪死事件、内地の芸能界との繋がりの話、マルフクレコードなどの島唄レーベル興隆の軌跡、尖閣諸島の保有者の由来、琉球王朝の尚家の近代史、海燕ジョーの奇跡のモデルとなった元ヒットマンの最期の話、など...続きを読む。読みどころ満載。初出は月刊プレイボーイに連載。
2011/8/14 素朴で朴訥として、優しくフレンドリーな沖縄の人々と、あの原色羽織袴で成人式に暴れまわる若者のイメージがこの本を読んでようやく融合しました。
結局、上下巻一気に読み通してしまった。圧巻。 しかし、自分の鳥頭には漏れ出る情報量。自分なりに咀嚼できるようになるにはもうちょっと時間かかりそう。キーワードを頭に入れ折に触れ再読したい。
「(軍用地)約88%が国有地で占められる本土に対し、沖縄では1/3は個人が所有する私有地で占められている」p63 「(ニーチェ)「この世で男が熱中できるものは二つしかない。遊びと危機である」」p134 「親族同士が助け合う沖縄ユイマール精神は、沖縄人の進取の精神を殺ぎ、ひいては沖縄の発展を阻害する要...続きを読む因ともなっている」p189 「エイサーは最近では観光イベント化したものが多いんですが、私が最初に出会った勝連平敷屋のエイサーは、先祖送りのためにお盆にしか行われない伝統的なエイサーです。練習もものすごく厳しい。沖縄の芸能の一番深いところにあるのが、あのエイサーだと思います」p241 「嘉手納基地からベトナムの戦場に米兵を送り込む米軍機が耐えなかったあの当時、コザはセックスとマリファナとロックなしには夜も日も明けない東アジア最大の歓楽街だった」p242 「あの頃のバンドマンの稼ぎはすごくて、ひと月の給料でここいらへんの安い土地なら50坪買えたらしいですよ」p245 「歌をうまく歌わせようとか、踊りを上手にさせようなんていうことよりも、芸能界にコネを作ることが、芸能学校の最大の仕事なのだ」p283 「彼らはエライと思いますよ。それほどの素材でなくともCMやドラマにのべつまくなし出演させて、とにかくスターに仕立て上げるんですから」p288
野底土南(ぬかどなん)の名前は竹中労の著作で知った。思えば 竹中労も沖縄に魅了された人だったのだもね。野底は2007年に 亡くなっているのだが、病床とは言え本書ではインタビューが 出来ているのが凄い。 青い空と青い海。日本国内の南国リゾートだけではない面が、 下巻でもてんこ盛り。上巻はア...続きを読むウトロー色が強かったけれど、下巻は 政治や経済、芸能の話を主に扱っている。 日本に駐留している米軍の基地の多くを担っている沖縄。基地 問題をメディアが取り上げる時には、当然のように基地の危険性や 米兵による犯罪などが多くを占める。 だが、基地問題の裏側には軍用地主の存在があることは一切報道 されない。本書ではこの軍用地主にも切り込んでいる。 沖縄最大の軍用地主であり、全国長者番付にもランキングされる 竹野一郎にこそ面会は叶わなかったが、「沖縄県軍用地等地主会 連合会」で事務局長から話を聞いている。 反戦地主ではない軍用地主の連合会側からの証言として、これは 貴重な話だろうな。米軍の勝手な接収から現在の制度に至る変遷 が分かりやすい。 そして一番興味深かったのは琉球王朝の尚家の宝物にまつわる章。 沖縄戦で上陸したアメリカ軍の軍人が、戦利品として持ち帰った尚家 の王冠や文物についてはミステリーを読むようだ。 沖縄戦、米軍基地、米兵による犯罪。本土の犠牲者としての面も勿論 あるのだが、それだけで沖縄を語ってはいけないのだろうなと改めて 思った。 特に琉球王朝についてはもっときちんと学校で教えるべきだと思うわ。 尚、本書では民主党政権下(当時)でごたごたした尖閣諸島問題も取り 上げており、謎の所有者一族への接触も試みている。この一族もなんと も謎が多くで面白かった。民主党政権については気持ちがいいほど、 ボロクソに書かれているけどね。特に鳩山”ポッポ”由紀夫については 「佐野さん、筆が滑りすぎですよ」って感じるくらいに糞味噌である。 読み終わって思ったんだけど、やっぱり琉球独立論はある面、正しい のかもしれない。ただ、現在の沖縄が琉球王朝の時のように経済的 に独立できるかには疑問もある。 沖縄振興予算や米軍基地関連の収益がなくて、やっていけるのだろう かって思うんだよね。今でさえ失業率が高いのだから。 紋切り型ではない沖縄がここにある。これも著者の沖縄への愛情で あるのだろうと感じた。
最終章を読みながら沖縄に行ってきました。何度か行ってる場所もこれまでとは違った目や感じ方が出来て良かったです。
沖縄への旅行前から旅行中にかけて読み耽りました。 いまや人気の高いリゾート地ですが、沖縄戦線や基地問題の歴史等 について綿密な取材の元、まとめられています。 また、尖閣諸島にも触れており、沖縄について深く考えさせられました。
『甘粕正彦 乱心の曠野』で、20世紀前半の満州の世界に浸らせてくれた、佐野真一。 この方は著作が多いのですね。 書店の文庫コーナーをさまよっていたら、沖縄に関する、この上下巻の著作が平積みされていました。 沖縄のいくつかの島でダイビング経験のある僕は、衝動的に?手に取っていました。 戦争や基地という...続きを読む、通り一遍な切り口ではなく、さまざまな切り口から沖縄を語り、この島の歴史と多様性を読者に提示しよう、というのが、本著を記した著者の意図のようです。 まず米軍と沖縄の警察の話からはじまり、アンダーグラウンドの世界、財界・政界の著名人のエピソード、そして沖縄の芸能へと、話が続いていきます。 文庫版として最後に、尖岳諸島問題や政権交代等、近年の沖縄に関するトピックスも追加されています。 全編に渡り、関係者のインタビューや調査資料の引用が多く紹介されています。 雑誌連載ということもあるのでしょうが、映画さながらの「仁義なき戦い」や沖縄著名人の裏話など、読者の興味を引っ張ろうという意図が見え隠れする部分は気になりました。 しかしその点を差し引いても、「通り一遍」の知識やダイビングで見た美しいイメージしかない僕にとっては、興味深い記述が多くありました。 奄美大島との関係や一時期、とてもにぎわっていた与那国島の話、そして尖岳諸島を民間人が個人で所有していることなど、「もっと知りたい」と思う内容もいくつかありました。 中国、日本、アメリカと、支配国が変わった沖縄の歴史は、頭では理解していたつもりですが、そのような歴史の中で実際にどのようなことが起こっていたか、そのイメージに「色がついた」感覚にさせてくれた一冊でした。
最後に救いがある気がした。全てに表と裏がある。その裏は、少しづつ改善されらば、いい。表は、出来る限り残せばいい。
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佐野眞一
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