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戦後70年の沈黙を破って、孤児たちが“あの夏”の辛く哀しい記憶を語り始めた。だが、オスプレイ、米軍基地、集団レイプ……沖縄の現状はあの頃と変わっていない。沖縄の叫びはなぜ本土に届かないのか。『僕の島は戦場だった』を改題し、米軍普天間基地の辺野古移設問題が争点だった2014年県知事選挙の原稿を加え、今なお続く“沖縄戦”に迫る。現代日本の歪みを暴く渾身のルポルタージュ。
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Posted by ブクログ
著者の佐野眞一氏の作品は前作の「沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史(上)(下)」をも読んだが、この作品もノンフィクション作家である佐野氏の真骨頂の一冊である。 第1章から第5章までは戦中から戦後の詳細な調査とインタビュー等をとおして孤児たちのその後から集団自決の真実などを細かく調査し、最後の第6...続きを読む章では「沖縄の民意はなぜ日本に届かないのか。」として2014年の沖縄知事選の様子とその後の日本の対応について、現在日本の歪みを伝える。
米軍側の従軍記者をして「醜さの極致」と言わしめるほどの悲惨さを極めた沖縄戦。両親や兄弟を目の前で失いながらも過酷な戦場を生き延び、戦後もたった一人で生きていかざるを得なかった、かつての子供たちの証言。 本書はノンフィクション作家、佐野眞一氏が著した『沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史』と...続きを読むいう本の続編的な位置づけになっているのだそうです。 太平洋戦争(もしくは大東亜戦争)末期、日本本土で本格的な地上戦が行われた沖縄。米軍側の従軍記者をして「醜さの極致」と言わしめるほどの凄惨な戦いを生き延びたかつての子供たちが長年封印していたその目で見てきた出来事を筆者に語っております。 僕がこの問題を初めて知ることになったのは以前放送していたNHKのETV特集で放送されていたシリーズ番組の『沖縄戦 心の傷~戦後67年 初の大規模調査~』を偶然とはいえ、見たことからでありました。 そこで彼らの口から出たことは本書で筆者に語られていることとほぼ同様のすさまじい話で、日本軍による住民虐殺や、自身が戦火を逃げ回ったこと。飢え。などでありました。 本書の中にもすさまじい話のオンパレードで中には祖母の腕を切り落としたという話や、軍人に毒入りミルクを飲まされたという話、『ウチナー口(沖縄地方の方言)』で話しているとスパイとみなされ、日本軍に殺されたという話などが延々と続き、ハイライトは自分の母親を石で撲殺したと語る神父の話でございました。 それらの悲劇は現在でも連綿と続いており、オスプレイがなぜ沖縄であれほど忌避反応を示すのか?沖縄全体の70%以上を占める米軍基地。そして現在でも起こる米兵による沖縄陣女性への集団レイプ事件…。佐藤優氏(彼の母親は沖縄出身)がよく 『沖縄が日本から離れつつある。これは民族問題の初期段階だ』 と警告を発している理由がよく分かりました。 そして、戦場で見聞きしたものが何十年もPTSDという形でその人間の裡に巣食い、苦しめるのかということも同様でした。沖縄といえばまず思い浮かぶのは美しい島と海の風景ですが、その裏に隠されているこうした『悲劇』を決して忘れてはなりません。 ※追記 本書は2015年5月20日、集英から『沖縄戦いまだ終わらず (集英社文庫)』として改題、文庫化されました。佐野眞一氏は2022年9月26日、肺がんのため千葉県流山市内の病院で死去されました。75歳でした。この場をお借りして御冥福をお祈りいたします。
日本にとってアメリカは「宗主国」、沖縄は「植民地」、この言葉が深く頭に残る。まもなく沖縄戦が終結した6月23日を迎えることもあって読み直した。 本書を読まずとも沖縄が太平洋戦争終結後も基地問題や在日米軍による集団レイプ事件、そしてオスプレイ大学校内への墜落事故など沖縄には真の戦後が訪れていない状況を...続きを読む多くの人が理解している。それと同時に中国の台湾や尖閣諸島、南シナ海への対外強行姿勢を目の当たりにし、日米安保、米国の庇護・抑止力なしに平和の均衡が保たれないリスクも理解している。未だ戦後の訪れない沖縄について、誰も明確な答えは出せないのではないだろうか。 本書はノンフィクション作家である筆者の沖縄戦に始まる様々な傷を負った当事者たちへのインタビューによって構成される。 現状の沖縄経済の基地依存度は低いとは言うものの、それに頼らざるを得ない人々。自ら意思表示できない様な0歳児すら、準軍属扱いにし靖国に祀るとともに遺族年金をばら撒く国と基地のあり方。集団自決に追い込まれ、家族にすら手をかけても「生き延びてしまった」人々の苦しみ。戦争で身寄りを失い、戦後もアメリカ軍のゴミの山を漁らざるを得ない戦争孤児たち。その孤児院での生活と孤独に苛まれるその後の人生。 それら様々な傷を負った人々に直接インタビューした数は膨大な量に及んでいる。特に自決の中から生き延びることのできた人々を近年まで癒えないPTSDなど、その心に負った傷は深く生々しいものだ。多くの書籍でそうした沖縄県民の悲惨さを読んできたが、本書の多くの声からは再び胸の辺りを掻きむしる様な、胃液が昇ってくるような惨状を思い起こさせる。 なぜ人と人がこれ程までに闘い、そして身内を手にかける程に残酷になれるのか。子を想い親を想い兄弟姉妹を想い、再びあの世で逢おうと約束して散っていく人々。その魂は靖国にいるのか、それとも沖縄の地の底にまだ埋まっているのか。 平和な時代に生まれながらも、未だ危険と隣り合わせ、国内の基地のほとんどを抱えた沖縄。冒頭に書いた「植民地」と言う言葉が頭から離れない。 本書最終章では英国とスコットランド間に見られる独立闘争の歴史にも触れる。日本国民として沖縄が離れていくのは見たくないが、そうした現実に触れて生きる沖縄県民が総意として独立を望んだ時、自分は反対できるだろうか。 今まさに緊迫する世界情勢を見ながら、沖縄と言うかつて琉球王国と呼ばれた場所を想いながら深く考えさせられる書籍だ。
沖縄戦そして集団自決から続く沖縄の現在。戦争孤児の悲劇から援護法の欺瞞、沖縄保守本流であった翁長知事が何故辺野古移設に反対するのかまでを、個々人を浮き彫りにしながら語る。 日本人は沖縄の意思に対して意見を言えるのか?言える立場にあるのか? 野中、小渕亡き後(野中さんは生きてるか)、日本と沖縄をつなぐ...続きを読む政治家も消え(そういや沖縄に広大な土地を買った小沢一郎は何してんだろう)、日本全土からの合理性だけの視点で沖縄と対話(と呼べるものかは微妙だが)しようとする日本人自らの自省として誰しも本書を一読すべき。
日本人必読の名著
本土によってあたかも棄民政策を受けてきたような悲惨な沖縄の歴史。それを精緻に奥深く解き明かしている名著である。日本人のみならずアメリカ人にも必読と思う名作である。
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沖縄戦いまだ終わらず
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佐野眞一
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