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Posted by ブクログ
石原慎太郎の実像に迫るノンフィクション作品です。
汽船会社で人びとの記憶に残る伝説を残した慎太郎の父・潔の生き様から、慎太郎・裕次郎兄弟の活躍、そして都知事になった石原を追い込んだ新銀行東京問題までを、緻密に追いかけています。
「私の関心は、……石原慎太郎という男それ自体の存在もさることながら、彼に向けられた大衆のまなざしの偏光にあったというべきかもしれない」と書かれているように、慎太郎を通して、彼にまなざしを向ける戦後大衆の無意識にまで、著者の考察は届いています。
石原慎太郎について語ることが同時に、賛否いずれにせよ石原を批評する大衆について語ることだというのは真実だと思います。しかしそのことは、本書もまた、石原と彼を生んだ戦後日本の大衆について語ることで、語り手である著者自身について何ほどかを告げているということを意味しているように思います。快活な石原の魅力にどこか惹かれながらも、そこから距離をとろうとしている著者ですが、そうした振舞いが佐野眞一という作家の本質を露にしているように感じるのです。
石原慎太郎について語るということがどのようなことなのか、本書全体がそのことを教えてくれているように感じました。
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