あらすじ
女なら誰しもがもっているんじゃないかしら、そういう堕ちてみたいといった感情を――。『東電OL殺人事件』に自らを投影した女たちの肉声、赤裸に語られた事柄は胸が潰れるほどの真摯な性だった。「逆転有罪」で迷走を続ける法廷、新たに起きる事件。死してなお強い磁力を発するエリートOLの眼差しが、日本社会の闇までをも浮き彫りにする。もはや瞠目するしかない、渾身のルポ。
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Posted by ブクログ
326.23
続編の本書から読んでしまったが、被害者である渡邊泰子さんが摂食障害であったなどの背景も興味深い一方、元東京高裁裁判官である村木保裕の少女買春については全く無知だったため後半かなり引き込まれて読んだ
Posted by ブクログ
東電OL裁判の途上
関係者や裁判官にまで副次的な事件が波及・連鎖してゆくさまが
まるで死者の手引きのようでもあり、
皆汚いものなのよ、と、泰子が示唆しているようでもあり、
そう思わせる現実の出鱈目さと相まって、非常に考えさせられる。
堕ちて命をなくしたOL。
それが死して尚、浮き彫りにし続けるものに深い感慨を覚える。
自己を徹底的に罰しつづけ、遂には他者の動機を誘引し、破滅的な毎日から死へとダイブしたOLの凄まじさを、また考える。
正直、読んでは考え、考えては読むにつけ思うことは、渡辺泰子は、僕自身でもあるという事であり、
そう確信しつつ自ら恐怖もするのである。
Posted by ブクログ
毎晩、円山町に立つ東電OLの精神の闇について興味はあるが、殺害した犯人が冤罪であったこと、また新犯人像などには興味がない、読み物として一貫性はあるにしろ、同じことを何度も主張する意味が不明である。最大の読みどころは東電OLに共感する女性たちのインタビュー箇所かな
以下は同事件を題材にした小説
鳴海章『鹹湖 彼女が殺された街』(1998年、集英社)
久間十義『ダブルフェイス』(2000年、幻冬舎)
桐野夏生『グロテスク』(2003年:文藝春秋、2006年:文春文庫)
真梨幸子『女ともだち』(2006年、講談社)
折原一『追悼者』(2010年、文藝春秋)
追記:『鹹湖 彼女が殺された街』『追悼者』二冊は未読
Posted by ブクログ
『東電OL殺人事件』の続編。
無罪判決から一転、有罪無期懲役を言い渡し、迷走を続ける司法。
そんな中、作者は感想を寄せた読者に会い、話を聞いたりと被害者女性の闇に更に踏み込む。
そうしていくうちに、社会の闇へ闇へと導かれる。
2015.2.15
Posted by ブクログ
『東電OL殺人事件』の続編。『東電OL殺人事件』は読んだのだが、続編の方を読んでいなかった。最近、無罪という形で決着したことで、この本が重版となったようだ。
続編では、この事件に触発されたかのような事件の伝播が描かれており、それがタイトルにシンドロームと言葉を冠した理由なのだろう。現代の暗部をこれでもかと深く抉ったルポルタージュであるが、そこまで描くかと思う部分もある。
それにしても謎の多い、衝撃的な事件である。
Posted by ブクログ
最近の裁判をめぐるさまざまな報道や震災に対応する会社の苦悩などがこの事件と重なって、再度東電OL殺人事件を読み返してみた。この東電OL症候群と両方読むことで、最初は感じなかった作者が伝えたかったことが少しでも深く理解できたような気がしている。
Posted by ブクログ
グロテスクを読んでいたのでそういうことだったのかと思って読んだ。孤独とずっと向き合ってきた被害者に共感をおぼえる女性も多いだろうな。でもその人を神格化するのは違うと思う。