佐野眞一のレビュー一覧
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ネタバレタイトル通り平成9年に起きた、東電OL殺人事件を裁判の流れとともに追っていくノンフィクション。
まず、実名が多いことにびっくりした。
また、著者の取材のしつこさにも驚かされる。
事件現場の円山町はもちろんのこと、被告人の故郷スリランカへも足を運ぶ。事件とはまったく関係ないと思われる被害者の生家、事件が起こった円山町のルーツとなっている飛騨まで足を運び、被害者の堕落の道筋をたどっていく。
著者が若干その取材によっているところも否めず、何かにつけて関連があるように書いてあるのは気になるが、被害者があそこまで堕落することに至った心の闇を垣間見ることができる。
この事件自体はあまり記憶になかっ -
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ネタバレようやく……ようやく読み終わった!
長かった。
非常にボリュームもあり、中身も濃く、読みごたえのあるルポ。
青い空・白い海の南国リゾート・沖縄なんかひとかけらも出てこない、
沖縄の闇の部分を深く知ることができる。
私がもつ陳腐な言葉ではこの本について何を言っても意味がない。
機会があれば腰を据えて、沖縄の闇と現実を見ていただきたい。
一つ突っ込みを入れると、安倍総理の漢字が一か所間違えていたのがいただけない。
「Ⅲ沖縄の怪人・猛女・パワーエリート」の【沖縄知事選コンフィデンシャル】の冒頭部分である。
安倍総理の書き方は珍しく、パソコンでの入力で間違えてしまうのは仕方ないといえ、数行前に正し -
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本書のテーマを見て、最初は「何故渋沢家三代なのか?」と感じたが、本書を読んでよくわかった。著者は、ノンフィクションライターとして「人間が主人公の物語をつむぐことが実にうまい」と思った。
「渋沢栄一」は有名な人物であるが、本書の「公式伝記」などとは違う側面を赤裸々に描いた内容には実に驚いた。
財閥を形成した岩崎弥太郎とは違い、「渋沢栄一」は「論語と算盤」をモットーとし「日本資本主義のプロモーター」に徹したその生き方は、あたかも「資本主義の道徳教師」のようなイメージを後世に残したように思えていたが、本書のその三代に渡る血族関の歴史は、いやはや現在の観念からは、とても考えられない内容とスケール -
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枢密院議長・倉富勇三郎といっても、現在では、ほとんど知る人はいないのではないか。本書は、その歴史上のB級人物といっても過言ではない人物の膨大な「日記」をもとにした歴史解析の書であるが、いや、実に面白く興味深い。分厚い430頁の新書であるが、最後まで興味は尽きない思いで読み終えた。
本書によると、倉富勇三郎は1853年(嘉永6年)に生まれ、1948年(昭和23年)に96歳の生涯を終えた人物であるが、東京控訴院検事長、朝鮮総督府司法部長官、宗秩寮総裁事務取扱、枢密院議長を歴任し、宮廷順位4位にまで昇進した宮廷官僚である。主に活躍したのは大正期から昭和初期になる。
この現在ではあまり知られてい -
- カート
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試し読み
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『甘粕正彦 乱心の曠野』で、20世紀前半の満州の世界に浸らせてくれた、佐野真一。
この方は著作が多いのですね。
書店の文庫コーナーをさまよっていたら、沖縄に関する、この上下巻の著作が平積みされていました。
沖縄のいくつかの島でダイビング経験のある僕は、衝動的に?手に取っていました。
戦争や基地という、通り一遍な切り口ではなく、さまざまな切り口から沖縄を語り、この島の歴史と多様性を読者に提示しよう、というのが、本著を記した著者の意図のようです。
まず米軍と沖縄の警察の話からはじまり、アンダーグラウンドの世界、財界・政界の著名人のエピソード、そして沖縄の芸能へと、話が続いていきます。
文庫版として -
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[ 内容 ]
わが国に資本主義を産み落とし根づかせた栄一、それを継承し育んだ嫡孫・敬三。
その狭間にあって廃嫡の憂き目にあった篤二。
勤勉と遊蕩の血が織りなす渋沢家の人間模様をたどることは、拝金思想に冒されるはるか以前の「忘れられた日本人」の生き生きとした息吹を伝えることにも重なる。
この一族は、なにゆえに「財なき財閥」と呼ばれたのか。
なぜ実業家を輩出しなかったのか。
いま新たな資料を得て、大宅賞受賞作家が渋沢家三代の謎を解き明かす。
[ 目次 ]
プロローグ 「財なき財閥」の誇り
第1章 藍玉の家
第2章 パリの栄一
第3章 家法制定
第4章 畏怖と放蕩
第5章 壮年閑居
第6章 巨星墜 -
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第一国立銀行を創設した渋沢栄一。そのような印象しかなかったが、深く渋沢家の歴史、栄一の子や孫、篤二、敬三、そして義理の息子(穂積、阪谷)。
渋沢栄一の、資本主義至上として実業家ではなく、資本の文明化を目指す姿を知り、とても感銘を受けた。本当の意味での国家の発展を見通して対応しようとした姿はすばらしい。そのため「財なき財閥」といわれた。実際、敬三の代では、公職追放や財閥解体で、すべての財を捨て、四畳半の元執事の部屋に住んでいた時期があるらしい。渋沢栄一を題材とした、城山三郎「雄気堂々」を今度読んでみよう。
あと面白かったのは、陸奥宗光の話。2010年の大河ドラマ「龍馬伝」にでていて、海援隊で