佐野眞一のレビュー一覧

  • 東電OL殺人事件

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    ネタバレ

    タイトル通り平成9年に起きた、東電OL殺人事件を裁判の流れとともに追っていくノンフィクション。

    まず、実名が多いことにびっくりした。

    また、著者の取材のしつこさにも驚かされる。
    事件現場の円山町はもちろんのこと、被告人の故郷スリランカへも足を運ぶ。事件とはまったく関係ないと思われる被害者の生家、事件が起こった円山町のルーツとなっている飛騨まで足を運び、被害者の堕落の道筋をたどっていく。

    著者が若干その取材によっているところも否めず、何かにつけて関連があるように書いてあるのは気になるが、被害者があそこまで堕落することに至った心の闇を垣間見ることができる。

    この事件自体はあまり記憶になかっ

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    2013年04月24日
  • 沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 下

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    ネタバレ

    ようやく……ようやく読み終わった!
    長かった。
    非常にボリュームもあり、中身も濃く、読みごたえのあるルポ。
    青い空・白い海の南国リゾート・沖縄なんかひとかけらも出てこない、
    沖縄の闇の部分を深く知ることができる。
    私がもつ陳腐な言葉ではこの本について何を言っても意味がない。
    機会があれば腰を据えて、沖縄の闇と現実を見ていただきたい。


    一つ突っ込みを入れると、安倍総理の漢字が一か所間違えていたのがいただけない。
    「Ⅲ沖縄の怪人・猛女・パワーエリート」の【沖縄知事選コンフィデンシャル】の冒頭部分である。
    安倍総理の書き方は珍しく、パソコンでの入力で間違えてしまうのは仕方ないといえ、数行前に正し

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    2013年01月07日
  • 沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 上

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    ネタバレ

    単行本で読んでるので、ちゃんとしたレビューは全部読み終わった後に。
    でも、上巻だけでも、報道だけでは絶対にわからない沖縄の黒い部分がよくわかる。
    沖縄は単なる犠牲者じゃない、
    犠牲者という枠組みの中に本土がはめ込んでいると教えてくれる一冊。

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    2012年12月28日
  • 渋沢家三代

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     本書のテーマを見て、最初は「何故渋沢家三代なのか?」と感じたが、本書を読んでよくわかった。著者は、ノンフィクションライターとして「人間が主人公の物語をつむぐことが実にうまい」と思った。
     「渋沢栄一」は有名な人物であるが、本書の「公式伝記」などとは違う側面を赤裸々に描いた内容には実に驚いた。
     財閥を形成した岩崎弥太郎とは違い、「渋沢栄一」は「論語と算盤」をモットーとし「日本資本主義のプロモーター」に徹したその生き方は、あたかも「資本主義の道徳教師」のようなイメージを後世に残したように思えていたが、本書のその三代に渡る血族関の歴史は、いやはや現在の観念からは、とても考えられない内容とスケール

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    2012年09月11日
  • 沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 下

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     沖縄への旅行前から旅行中にかけて読み耽りました。

     いまや人気の高いリゾート地ですが、沖縄戦線や基地問題の歴史等

     について綿密な取材の元、まとめられています。

     また、尖閣諸島にも触れており、沖縄について深く考えさせられました。

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    2012年08月25日
  • 東電OL殺人事件

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    最近、被疑者の冤罪が認められ、釈放されたというニュースで気になり、今更ながら読んでみた。結局、何が被害者をあそこまで自暴自棄な行為に至らせたのかは不明なのが残念だけど、こればかりはしょうがないことか。それにしても、なんで事件発生直後にまともなDNA鑑定をしておかなかったのだろう。無理矢理に犯人を仕立てないといけなかったようなきな臭さを感じる。

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    2012年08月02日
  • 東電OL殺人事件

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    これがノンフィクションの王道。
    対象が亡くなっているが故に対象との対峙が直接的でないのが特徴であるが、それがマイナスになりすぎず、逆に思考を深める要因ともなっている。

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    2012年07月27日
  • 枢密院議長の日記

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     枢密院議長・倉富勇三郎といっても、現在では、ほとんど知る人はいないのではないか。本書は、その歴史上のB級人物といっても過言ではない人物の膨大な「日記」をもとにした歴史解析の書であるが、いや、実に面白く興味深い。分厚い430頁の新書であるが、最後まで興味は尽きない思いで読み終えた。
     本書によると、倉富勇三郎は1853年(嘉永6年)に生まれ、1948年(昭和23年)に96歳の生涯を終えた人物であるが、東京控訴院検事長、朝鮮総督府司法部長官、宗秩寮総裁事務取扱、枢密院議長を歴任し、宮廷順位4位にまで昇進した宮廷官僚である。主に活躍したのは大正期から昭和初期になる。
     この現在ではあまり知られてい

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    2012年07月06日
  • だれが「本」を殺すのか

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    実際は文庫版を上下巻で読みました。

    本という媒体を殺したのは一体誰か? という考え方から筆者は捜査を始めます。本屋なのか? 出版社なのか? それとも読者なのか? もしかしたらその疑問に終わりはないのかもしれません。

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    2012年05月10日
  • 凡宰伝

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    本書は冷めたピザ、真空総理と呼ばれた小渕首相の評伝である。地味なイメージであるが読むとその人生に圧倒される。本書で残念なのは、政権の政策分析に踏み込んでいない事である。本書の書かれた時期を考えるとやむを得ないのかも知れないが、いずれは歴史として論じる書が出ても良いと思う。

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    2011年12月17日
  • 沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 下

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    『甘粕正彦 乱心の曠野』で、20世紀前半の満州の世界に浸らせてくれた、佐野真一。
    この方は著作が多いのですね。
    書店の文庫コーナーをさまよっていたら、沖縄に関する、この上下巻の著作が平積みされていました。
    沖縄のいくつかの島でダイビング経験のある僕は、衝動的に?手に取っていました。
    戦争や基地という、通り一遍な切り口ではなく、さまざまな切り口から沖縄を語り、この島の歴史と多様性を読者に提示しよう、というのが、本著を記した著者の意図のようです。
    まず米軍と沖縄の警察の話からはじまり、アンダーグラウンドの世界、財界・政界の著名人のエピソード、そして沖縄の芸能へと、話が続いていきます。
    文庫版として

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    2011年11月18日
  • 旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三

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    偉大なる美しい日本人。戦後間もない頃から「地元力による地域振興」「コミュニティデザイン」がこんなに強烈に意識されてたことに驚く。離見の見。

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    2011年08月20日
  • 凡宰伝

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    田中真紀子氏に凡人と呼ばれた小渕元首相の生涯を記した本。父である小渕光平氏の代から、選挙に毎回苦労してきた様がリアルに書かれている。一番印象深いのは、自由党の連立離脱に関する部分。小沢一郎氏との最後の会談では、お互い結果が分かっているセレモニーということで、しみじみと昔話に花を咲かせていたみたい。その翌日に脳梗塞で意識を失い、そのまま帰らぬ人となったのは周知のとおりである。

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    2011年06月05日
  • 渋沢家三代

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    [ 内容 ]
    わが国に資本主義を産み落とし根づかせた栄一、それを継承し育んだ嫡孫・敬三。
    その狭間にあって廃嫡の憂き目にあった篤二。
    勤勉と遊蕩の血が織りなす渋沢家の人間模様をたどることは、拝金思想に冒されるはるか以前の「忘れられた日本人」の生き生きとした息吹を伝えることにも重なる。
    この一族は、なにゆえに「財なき財閥」と呼ばれたのか。
    なぜ実業家を輩出しなかったのか。
    いま新たな資料を得て、大宅賞受賞作家が渋沢家三代の謎を解き明かす。

    [ 目次 ]
    プロローグ 「財なき財閥」の誇り
    第1章 藍玉の家
    第2章 パリの栄一
    第3章 家法制定
    第4章 畏怖と放蕩
    第5章 壮年閑居
    第6章 巨星墜

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    2011年04月15日
  • 渋沢家三代

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    第一国立銀行を創設した渋沢栄一。そのような印象しかなかったが、深く渋沢家の歴史、栄一の子や孫、篤二、敬三、そして義理の息子(穂積、阪谷)。

    渋沢栄一の、資本主義至上として実業家ではなく、資本の文明化を目指す姿を知り、とても感銘を受けた。本当の意味での国家の発展を見通して対応しようとした姿はすばらしい。そのため「財なき財閥」といわれた。実際、敬三の代では、公職追放や財閥解体で、すべての財を捨て、四畳半の元執事の部屋に住んでいた時期があるらしい。渋沢栄一を題材とした、城山三郎「雄気堂々」を今度読んでみよう。

    あと面白かったのは、陸奥宗光の話。2010年の大河ドラマ「龍馬伝」にでていて、海援隊で

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    2011年01月15日
  • 旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三

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    某都市デザイン事務所の方に教えてもらった本。宮本常一にはハマった・・。とハニカミながら話してくれました。
    人生をかけるに値する仕事、まさしくライフワークの話。でも家族との時間は?仕事以外への好奇心はどうするの?凡人の私にはちょっとハードルが高い。

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    2010年07月20日
  • 渋沢家三代

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    「日本資本主義の父」渋沢栄一の業績は偉大だが、子や孫は大家長の重圧の下で押し潰されたのではなかったか。

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    2010年05月08日
  • 旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三

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    圧倒された。自分も徒歩旅行が好きで主に伊豆の山中を歩きまわっている。しかし、一日十里、十六万キロを自分の足で歩いている。目標とするにはあまりに高い。伊能忠敬、菅江真澄、宮本常一を見習って私も歩くぞ。今は江戸の掘割全制覇を実施中。いずれ五街道完全踏破と、日本の海岸線(ほぼ)踏破をやるぞ。

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    2010年03月03日
  • 枢密院議長の日記

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    倉富勇三郎と聞いても、一般にはそれほど名の知れた人物ではない。しかし、さすがにその職歴・公務内容から人脈は広く、正に日本近代史の中心を体験した人物なのだ、と思う。
    本書は、日記の解説というか、日記から当時の様子を眺める、というスタンスで記されたもの。倉富の生きた時代を追体験することができる。いわば、倉富の目という定点で観測した近代史である。今後も翻刻が継続され、公刊されることを望む。

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    2009年10月04日
  • 渋沢家三代

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    日本に資本主義を根付かせようと尽力するも、財閥形成をかかげず、三菱などとは一線を画した渋沢栄一。彼を初代として、長男篤二、その嫡男敬三までの歴史を描く。三代の人間性が伝わってくる感じが良かった。

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    2009年10月07日