江波光則のレビュー一覧
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購入済み
カンフーウィザードリィ
ウィザードリィのボーパルバニー、つまりは殺人ウサギにバニーガールを引っかけたガワだけか出てくる。
要するにゲーム要素は本編に一切なし。寧ろこの作品にこの要素を持ってくるのに大分ムチャしている。ある意味でその苦みこそ作者の意図だろうけど。
物語は全員暴力的な強さを求めていて、その途中で破滅することを最大の幸福と思っているイカれた連中しか出てこない。そうでないヤツらは殺されるか狂うかしているので、微塵も感情移入できる人物がおらず、しかしその暴力の魅力というものへの共感を力任せに抱かされる。
作中全員狂うことに一貫した芯があり、香港ノワール(ただしチョウ・ユンファの代わりに女版ジャッキ -
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Posted by ブクログ
ネタバレ世界の終末に備え建設された「アルカディアマンション」にまつわる御園一族の物語。各話ごとに時系列・世代が前後し、アルカディアマンションにまつわる謎が回収されてゆく構造になっている。
理想郷を追い求める日本が社会の均質化を招き、人々はマンションの中で暇潰しのように一生を終える。その世相の最中アル・ジャンナの血族は均質化に抵抗するように暴れまわる。
理想郷のために破壊するもの、維持し管理するもの、その過程を生きる個々人の人生に画一的な理想郷は無いのだろうなと思う。
短いながら数世代に渡るスケールで、彼らの生への諦念・情熱を楽しめた。 -
Posted by ブクログ
俺たちのセックスドラッグバイオレンスな江波作品が帰ってきた。
吐き気のするような方法で黒い金を強奪した6人のならず者たちと事件後数年を経て突如彼らの前に現れたバニーガールの殺し合いを描いた今作。
「スピットファイア」や「我もまたアルカディアにあり」でもっと読みたいと感じていた江波の書く戦闘シーンがをたくさん読むことができてとても満足感がある。
物語の進行はターミネーター、ラストサマー、ノーカントリー的な主人公たち絶対殺すマンが追いかけてくる作品であるが、各キャラが己の持ち得る暴力で対抗し、ある者はバニーガールを退け、そしてある者は全力を出した上で敗北したという満足感を得て散っていく様は、作者の -
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Posted by ブクログ
クソガキだろうがそうじゃなかろうが子供は”まだ人間じゃない”のだが、社会的な扱いがどうであったとしても罪を犯せば何かしら心に楔が撃ち込まれるものだ。
傷が残らない程度の小さな罪を繰り返すことで子供は少しずつ学んで普通の人間になっていくが、その過程を飛び越えて取り返しのつかないことをしてしまったとき、環境がその子供を普通ではいられなくしてしまう。
途絶えることのないSNS上の炎上騒ぎも無知ゆえに行われたものもあるだろうし、炎上するそれ自体を英雄的行為と捉えて行ったものもあるだろう。
そして炎上している現在に後悔することができなくても、それを拡散し記録する仕組みがある以上、いつか過去の自分と向き