江波光則のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトルは絵画。
アルカディア=理想郷。
アルカディアにも死の存在はある。死は必然、といったところか。
世界観は違和感なく受け入れられたが時代が前後するので読み終わるまで疑問が尽きなかったりする。短編集かと思ったけど、長編SFラブストーリーだった。
個人的にはクローズド・タイムは良かった。御園珊瑚への憧れと、憧れから来る焦燥・渇望が狂おしいほど感じられて、文章が生き生きしてた。
他の話は少し主人公に諦観が滲みすぎてて物足りなく感じた。
衣食足りて礼節を知る。が、衣食足りるだけでは満たされないのが人間。
個人の理想郷の実現と社会の安定を最大化できたとすればこんな世界になるのかなとも思う -
Posted by ブクログ
作者のライトノベル作品が好きなこと、早川文庫であることとあらすじから購入。夢中になって読み進めた訳ではないのに、いつの間にその世界に入り込んでいる。不思議な虚無感と諦念がある。
国民の大多数が生活保護を受給しニートとなり、窓のない外に出ることもない8畳の個室で衣食住に不自由なく生活している。外は大気汚染で満ちており、生身で出掛けるとリアルに寿命が縮む。生体チップを体内に埋め込むことが当たり前になっており、自分の寿命でさえ秒単位で確認できる。目指す将来の夢に対し心身の成長の指向性をもたせるなど、興味深いガジェットも登場する。
文明が崩壊したわけではなく、かといって目的意識のあるディストピアで