あらすじ
クラスに守るものはあるか!?青春破壊小説
転校を繰り返してきた享一は他人と親しく接する事はせず、転入から転出までの期間をひとつの人生と捉えていて、最後は破壊で終わる事で去っていく自分を他人の記憶に残そうとする。鷹音は、自分が加わっていない他人の和が、円満に円滑に幸せに転がっていくのを、ドラマや映画を見ているように横から眺めている。女教師である蒔絵は、生徒に対し取引による統治を試みる。密告と評価の交換、推薦枠を餌にしたその取引はクラスに一見完璧な静穏と緊張を与え、生徒による相互監視の自律という「完璧さ」を目論む。
三者三様それぞれの思惑がクラスに混乱をもたらし…そして!
江波節全開の青春破壊小説
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
前作『パニッシュメント』に引き続き
興味深い筋書きのお話であるところが良いところ
高校という場でおきる事件というより状況に対し
ライトノベル風でなく現実味というより小説における登場人物的なキャラクタが
青春とか教養とかでなく冒険という非日常のひとつとして通過する話
「非日常」にも現実味を持って起こりうるものとそうでないものとに
区別され得ることを思い出させてくれるおはなしの面白さである
文芸という点で昇華されなければ一山いくらで消費消えていく種の
どこにでもあり小説にはされにくい物語
Posted by ブクログ
孤独に酔う映画フリークの転校生デブが、密告蔓延る管理社会化したクラスの崩壊に挑む話。
本来ディストピアSFで描かれるような大きな物語を、高校の1クラスという極小単位に圧縮転写した、意欲作。
ラノベらしく自己陶酔的な主人公が、一貫性をもっていじめを煽る。
好きなタイプのキャラクターではないが、ラストの潔さには結構なカタルシスを感じる。
Posted by ブクログ
決して明るい物語ではないのに、どこか癖になる。密告制度がある進学学級に、その場の人間関係を壊さずにいられない転校生が転入してき、化学反応が起こる話。愛や夢や希望は出てこず、暴力と犯罪と後ろ暗さとが出てくる話。なのにどこか夢中になる。これはヤバい。毒なのに、それが堪らないって感じ。危ない。
Posted by ブクログ
201112
前作、パニッシュメントには、ラノベのふりして「信じる」ことへの根源的な問いのようなものが感じられた。
なので若干期待外れではあったが、それでも、熱量はすごい。
「俺は太っていて、背は高くない。腫れぼったい顔に不機嫌そうな目、手入れもしていない天然パーマの汚い髪」 てなルックスの主人公。
トラブルを撒き散らして、いるだけで周囲が壊れていく有害な外来種が転校して来た先は、
教師が大学への推薦枠を餌に生徒への密告を推奨し、相互監視しあうクラス。
平穏な、真っ当なクラスを取り戻そうとする鷹音。
享一は、鷹音の存在により、これまでとは違う意に反した形で壊していく。
最後の預言的なラストには衝撃。
(発売日後の訃報と最後の享一に関する記述。)
それにしてもスマホがコミュニケーション手段として、ブログ更新手段として、武器として、普通にでてきてそういう時代かと思う。