江波光則のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
作者のライトノベル作品が好きなこと、早川文庫であることとあらすじから購入。夢中になって読み進めた訳ではないのに、いつの間にその世界に入り込んでいる。不思議な虚無感と諦念がある。
国民の大多数が生活保護を受給しニートとなり、窓のない外に出ることもない8畳の個室で衣食住に不自由なく生活している。外は大気汚染で満ちており、生身で出掛けるとリアルに寿命が縮む。生体チップを体内に埋め込むことが当たり前になっており、自分の寿命でさえ秒単位で確認できる。目指す将来の夢に対し心身の成長の指向性をもたせるなど、興味深いガジェットも登場する。
文明が崩壊したわけではなく、かといって目的意識のあるディストピアでもなく、ただただ弱者保護をしていたら巨大なニート産業が生まれていたところから、他の世界にはない独特の雰囲気をもつ。14才の女の子が、親元から離れて一人暮らしをし、義務教育も受けず一日中ネットをして暮らしていける。時間を潰す。死ぬまでの時間を潰す。そういった生々しい、何とはなしに嫌悪感を抱くような感情。
文明崩壊的なディストピアさを感じるのに、人情を感じないのは、あまりにも自由であるから。生きるも死ぬも自由。衣食住は保障され、何の不自由もない。ネットはただで見れて食事もただで食べれて、寝る場所もお小遣いも支給される。
人は、退屈には耐えられない生き物だ。何もしなくて良いとなると暇を持て余してぶらぶらする。一定の割合で無償で働き始める人がいる。
不自由は自由だということ。不自由だからこそ生きていける。何をしてもいいは何もしなくていいと同義、何をしても意味がないとも言える。不自由な身体という道具を駆使して、不自由に求められたことをやるから意味があるのかもしれない。
最終的にこの物語が何を言いたかったのかよく分からなかった。章ごとの繋がりも不明だし前後関係もよく分からない -
Posted by ブクログ
201112
前作、パニッシュメントには、ラノベのふりして「信じる」ことへの根源的な問いのようなものが感じられた。
なので若干期待外れではあったが、それでも、熱量はすごい。
「俺は太っていて、背は高くない。腫れぼったい顔に不機嫌そうな目、手入れもしていない天然パーマの汚い髪」 てなルックスの主人公。
トラブルを撒き散らして、いるだけで周囲が壊れていく有害な外来種が転校して来た先は、
教師が大学への推薦枠を餌に生徒への密告を推奨し、相互監視しあうクラス。
平穏な、真っ当なクラスを取り戻そうとする鷹音。
享一は、鷹音の存在により、これまでとは違う意に反した形で壊していく。
最後の預言的なラストには衝撃。
(発売日後の訃報と最後の享一に関する記述。)
それにしてもスマホがコミュニケーション手段として、ブログ更新手段として、武器として、普通にでてきてそういう時代かと思う。 -
Posted by ブクログ
Podcast『文化系トークラジオ Life』にて、「信じる論理、信じさせる倫理」というテーマの時に紹介されていた小説。父親が新興宗教の教祖である主人公と、その宗教がきっかけて家庭崩壊を起こした幼なじみと、その新興宗教に心酔するクラスメート。「信じる・信じさせる」ということは、えらくオオゴトなんじゃなかろうか…と思わされた作品だった。僕は結婚してから三ヶ月が経つけれど、これも相手に将来を信じてもらってのことなわけで。すごいな、これって。「信じてもらう」ということは本当にうれしいことだけれど、無責任にしていいことじゃないなとも感じた、そんなおはなし。
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ネタバレ 購入済み
トンデモさと不釣り合いな繋げ方
前作のイカレた連中がさらに狂った化け物に追われるシンプルさがあった。
今回はその化け物を中心にして三つ巴の陣営が入り乱れるのだが、それを一本にまとめる複雑ながら細かい展開が成されていく。
正直、その脚本に唸らされるというより、キャラが脚本に振り回されるように感じた。例えば今作では終始色の濃い活躍をする爺のキャラの秘密は、サラサラと流されるように暴露されるのに、その直後展開の中心となる情報として機能するようになるなど、キャラの心情の動きについていけなかった。
最終的には気になるところで終わっているにも関わらず、(これは作者が悪いわけではないが)今作は打ち切りの形となっているようなので、消化不良感も強い。ということで評価は辛口とさせていただく。