一坂太郎のレビュー一覧
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戦争は暴力そのものなのだ。実は政府が入れ替わる明治維新期は、歴史的に最も暗殺が行われた時代であるそうだ。本書は、そうした暗殺事件を多数取り上げて、それぞれの暗殺の理由というところに特化して語る一冊である。
ぼくには維新期の暗殺者ということで言えば、映画や大河ドラマで勝新太郎や萩原健一の演じた「人斬り」岡田以蔵のイメージが強く、彼の処刑シーンはどちらでも印象深かった記憶が残る。だが、人斬り以蔵にせよ、人斬り新兵衛にせよ、捕縛されるまでになかなか捕まらぬプロの殺し屋であったことは今更ながら異例に近いようにすら思える。
むしろ複数思想犯による斬殺とそのあとに目立つ場所に晒される首級、そして -
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『竜馬がゆく』『世に棲む日日』を題材に、偉大なる国民的エンターテイメント作家・司馬遼太郎の筆力の源泉を検証する一冊。
史料のない部分について自由に想像の羽を広げ、史料の取捨選択において歴史家とは異なる選択をし、民明書房を縦横無尽に活用する。本文中にカッコつきの「司馬遼太郎」を登場させるメタ文学の使い手でもある。
そのようにして書かれた小説は、歴史をシンプルな形に再構成するので、より多くの人に受け入れられやすいものとなった。歴史の真実を知るために読むべきものではないことが、よくわかる。
司馬遼太郎が執筆を始めると神保町からその分野の本がゴッソリなくなる、というエピソードがあちこちで書かれてい -
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京都国立博物館の特別展『坂本龍馬』で、ショップで見かけた本書を購入。販売されていた場所が京都博物館であるだけに『京阪神編』とありますが、『東京編』の姉妹編であり、幕末から明治初期にかけて、京都・大阪・神戸を中心に、京阪神界隈を舞台とした数々の事件と、それに関わった人物の顛末が記されています。『禁門の変』や『戊辰戦争』といった、日本の歴史を学んでいるのであれば誰でも知っている事件から、『堺事件』や『神戸事件』等、一般的な歴史の教科書には殆ど語られず、地元の神社仏閣等でその歴史がひっそりと語り継がれているもの、果ては路傍の石碑にその痕跡があり、注意深く調べなければ決して露見されることがないものまで
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<目次>
第1章 関東大震災からの復興
第2章 二・二六事件
第3章 紀元2600年から日米開戦へ
第4章 東京大空襲から終戦へ
第5章 占領から復興へ
第6章 高度経済成長の光と影
第7章 経済大国、そしてバブル崩壊へ
<内容>
『幕末歴史散歩東京編』などの著書のある、歴史研究家(専門は幕末?)の昭和史を史跡で語った本。それなりの場所を巡って、きちんと書かれています。でもやはり今から30年ほど前の昭和末期の場所(昭和天皇陵やトゥーリア跡地など)は、まだ歴史になっていない感じがします。関東大震災あたりと比較すると、重みに欠けるというのか…。公団アパートなども史跡化するといいので -
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司馬遼太郎が国民的作家であるがゆえに作品に登場する人物たちの評価やイメージを決定的にしてしまい、そこには歴史家としては看過できない創作や司馬の意図が下地となって歪められていると指摘し、作品を引用しながら特に松陰、龍馬、晋作について史実をあげて丁寧に誤解を解いている。
古くから指摘されている司馬史観批判であり、大の司馬ファンの私からすると反論もあるのだが、確かに司馬の作品では司馬自身が、時折、天の声のように登場し、「翻って考えると・・・・と言っていい」などと言う表現で読者に強いイメージを与え誤解を与えてしまっているのも事実。
この本は司馬の価値を下げると考えるのではなく、ファンとしてどの部分