一坂太郎のレビュー一覧
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幕府使節団に加わり清朝中国へ渡航した際の旅日記の『5章 遊清五録』と野山獄へ投獄中の獄中日記『6章 投獄文記』は必読。
アヘン戦争以降、欧米列強が進出した上海に渡航することで、日本が置かれた状況に強い危機感を確かなものとして確信していく過程が生々しく書かれている。
また、現地の兵士と筆談を交わし、交流を深めている様子も描かれているところも読み応えがある。
野山獄での獄中では、時代がめまぐるしく変化していく中獄中で何も出来ない歯がゆさをいくつもの漢詩で綴っている。
この本を読んで、小説の中で描かれる高杉晋作という人の捉え方が変わった。攘夷の急先鋒として過激な行動にでる人というイメージが強 -
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ネタバレ[ 内容 ]
新幹線の窓からなにが見えるだろうか。
縄文時代の貝塚から昭和の歴史遺産まで、見どころ満載なのが、東海道新幹線だ。
田子ノ浦や老蘇の森に古代の貴族たちが詠んだ風景を想像し、清洲城や関ヶ原の古戦場に戦国大名の栄枯盛衰をたどる。
明治の先取の気質を豊田佐吉の生家や井上勝の墓に感じ、熱海城や八ツ山橋にゴジラの悲哀を思う。
車窓に拡がる歴史的スポット百ヶ所以上を全線地図とカラー写真を付して詳述。
乗り越し注意。
[ 目次 ]
1 東京-品川
2 品川-新横浜
3 新横浜-小田原
4 小田原-熱海
5 熱海-三島
6 三島-新富士
7 新富士-静岡
8 静岡-掛川
9 掛川-浜松
10 浜 -
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今年の大河ドラマの主人公である坂本龍馬。その龍馬の妻である、お龍が書き残した手記などを元に彼女の視点から龍馬及び彼の周囲の人の事を語った本である。その中で、お龍も巻き込まれた寺田屋襲撃事件や、龍馬との新婚旅行??についても記されている。
龍馬の事は歴史に名を残した偉人として様々な所で語られてるのに対し、お龍は龍馬亡き後は波乱の人生を歩んだようだ。その事についてはテレビの歴史もの番組で特集されていたのを昔見たことはあるが、あまり有名ではないようだ。だが、お龍の存在が龍馬を語る上で欠かせないのは確かだろう。
お龍の視点で書かれたこの著作は龍馬への親しみをとても感じさせるものになっていると思う。 -
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幕末に活躍した志士の中でも人気の二人。よく言われる司馬遼太郎史観に対し、本書は当時の手紙などの資料や証言をもとに、実像を解き明かそうとした本。特に夢が壊されるでもなく、脚色された部分と実際の所が識別され、歴史好き、幕末好きとしても楽しめる内容。
坂本龍馬の姉とのやり取り、妻りょうとのエピソードだけではなく、りょうが語る坂本龍馬像などリアルな部分が覗き見れる。高杉晋作の生涯を紐解くにあたっては長州藩の動き、松下村塾についても避けられない所だが、吉田松陰や久坂玄瑞との関係なども記載される。
ー 獄中で一年二カ月を過ごした松陰は六一八冊の書籍を読み、四人相手に「孟子」などを講義した。安政二年(一 -
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松田松蔭にも、坂本龍馬にも、高杉晋作にも全く思い入れがないので、そっかー、そう言うもんだよなとしか感じなかったのは、そもそも司馬遼太郎を読んでないからかと逆説的に気がついた。
司馬遼太郎って、燃えよ剣と、新撰組血風録しか読んだことがない。
面白かったし好きなんだが、小説だよなと言う以上に、事実として信じたこともない。
小説ってなそう言うもんでしょ。
それを、事実を差し置いて歴史として、「定着」させてしまった司馬先生の力量たるやと言うか、やばいと思ったらちゃんと否定しろよと思ったんだが、先生自身も、自分の小説を事実と信じていたのか。
その辺はよくわからないし、それを検証する内容でもない。
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幕末の英雄である2人の足跡を探る本。数々の歴史小説やドラマなどの影響で彼らの人物像が作られているが、果たして実際はどうだったのかを各種資料や時代背景から追いかけている。
本当のところはわからない、故に歴史物の面白さもあり、見る立場からの見方の違いもいろんな解釈を生む。本書では残された資料に対しても「贋作である可能性」や、後の世に創作されたであろう部分を客観的に分析することに努めている。創作は、祭り上げた人達の都合によって創られたものもある。第二次大戦期の軍部にも利用されている。
それにしても、第二次大戦が終わって価値観がひっくり返ってしまっても彼らの英雄譚が語られ続けるのは、やはり彼らが時 -
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今まで理解できているとは言い難かった長州藩の動きがわかりやすく解説されており、極端な尊皇攘夷思想ゆえに幕府に嘘をついての築城、八月十八日の政変での遁走から挽回を目指した禁門の変での敗北、第一次長州征伐を経て藩内が倒幕の意思で一致団結し、それから第二次長州征伐があったという複雑な流れを理解することができた。
また、北白川宮能久親王(輪王寺宮)が戊辰戦争時、奥羽越列藩同盟によって東武皇帝に推戴されていた(構想のみという説もある)ため、賊軍対官軍ではなく明治天皇対東武皇帝という”官軍”同士の戦いだったという学説があることも初めて知った。
もともとの日本人の宗教観は「死んでしまえば敵も味方もない