宮田律のレビュー一覧
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ネタバレ未だに謎。
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教 いずれも信仰対象は同じなのに、紛争が絶えないのか。
モハメド・アリのイスラム改宗とかを自伝で読んでも、なぜ回収の必要自体があるのかも理解しなかった。
納得できたわけではないが、上記3宗教は時代を経るごとにシンプルな教義となり、信じる人の心をつかむのではないかと思う。
だけど、選民思想的な部分を固執した、歪曲があって、変な問題が発生したのか?
憲法も同じだけど、どんなに素晴らしいものがつくられようが、使うもの次第。
大半の信じる人は、素晴らしい教義に自己を高めるんだろうけど、馬鹿が使えば凶器になる。それを感じる。 -
Posted by ブクログ
Netflixの「魔法のランプにお願い」を観ていたら精霊であるジーニーがシャイターンと言われていて、これはサタンのことだとわかり、そのあたりの宗教的な交錯に興味を持った。もともとユダヤ教、キリスト教、イスラム教は同じ神を信仰していて、ただその信じ方が違うだけだということにロマンを感じていたけど、イスラムとヨーロッパがどう関わってきたかについては知識がまったくなかったことに気づいた。現代ではイスラムとヨーロッパは対立しているように見えるし、過去にどのような交流があったのかを知りたいと思った。
この本には、イスラムの文化がヨーロッパを凌駕していた時代があったことや、ヨーロッパのいわゆる暗黒時代(そんな時代があったことすら知らなかった)にローマの叡智が伝承されていなかったところをイスラムの学者たちが翻訳し、注釈を加えてヨーロッパに逆輸入したことがルネサンスにつながったこと、イベリア半島やシチリア島がイスラムに支配されていた歴史を持ち、いまも語彙にアラビア語由来の単語が多く残っていることなどが書かれている。イスラムの文献や知識がそうしてヨーロッパに伝わり、古代の叡智が受け継がれていったという話はどれも新鮮で、世界史に詳しくない自分にも大きなロマンを感じさせる内容だった。
この構図って日本と大陸・半島の関係にも似ているなと思いながら読んだ。日本もかつて大陸や朝鮮半島から多くの文化や知恵を得て成長し、その後は歴史の流れの中で逆に大陸に進出する側になった。こうした逆転現象のようなものは、大きな歴史のうねりの中では常に起きるものなんだろうなと思うし、他の地域や文化の間でも似たようなことがあったのだろうと推察する。
ただ、この本では著者の思いが少し強すぎて、「過去は良かった、過去は寛容だった、今は間違えている」といった指摘を繰り返しすぎている印象を受けた。確かにイスラムによるユダヤ教やキリスト教への寛容さには学ぶべき点があると思うが、そこには支配者と被支配者という関係があり、真の平等ではなかったのではないかとも感じた。現代の政治的・宗教的対立は、単純に過去を思い出せば解決できるようなものでもないだろうとも思う。ただ、対立関係に見えるものの中にも過去には多様な交流があったことを知れたのは大きい。
また、新書なので当然だが、章立てが整理されておらず、時代や地域が次々と移り変わっていく構成はやや読みにくかった。もう少し構造が整理されていれば、雑学の域を超えて体系的に理解できたと思うが、新書というフォーマットでは仕方がないのかもしれない。
イスラムとヨーロッパの関係というと、十字軍による侵攻などから常にヨーロッパが優位に立っていた印象を持っていたが、実際にはそう単純ではなく、イスラム文化がヨーロッパの形成に深く関わっていたことを知れたのはとてもおもしろかった。 -
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9.11のテロ以降、特にイスラームへの嫌悪感が高まったアメリカだが、文化や建築、音楽など様々な多岐にわたる分野においてイスラームから多大な影響を受けている歴史があり、著名人の中にはイスラームのルーツを持っている人やモハメドアリのように改宗する人も珍しくなく、まさにイスラームに支えられ、イスラームなしでは語れない国といっても過言ではない。イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への侵攻が始まってから1年以上経った現在も、アメリカ政府はイスラエル支援を続けているが、市民レベルではパレスチナ支持の人々が増えているそう。結局、どの宗教が良いとか悪いとかではなく、宗教を政治に利用することがテロや戦争の根本原因だと思う。
これまでイスラエル=ユダヤ人・ユダヤ教徒の国と単純に思っていたが、パレスチナ侵攻を続けるネタニヤフ政権に嫌気がさし、イスラエルを脱出するイスラエル人が増えているということを本書で初めて知った。ユダヤの信仰を本当に大切にしている人たちにとってイスラエル政府のやり方は教義に反しており、ユダヤ教を自称するネタニヤフ政権に迷惑しているのではないかと思う。そして、反政府的な人々が国を去ることで、イスラエルはさらに右翼的な思想の人間(シオニスト)ばかりになっているのではないだろうか。これまでにユダヤ人がされてきたことをパレスチナの人々に対して躊躇なく行えるのは、シオニストが宗教を政治的に利用している証拠だと思う。反イスラエル=反ユダヤ主義とすぐ主張するイスラエルの被害者ムーブにはうんざりする。
不勉強で恥ずかしいが、アメリカとの関係を気にしてあからさまなイスラエル批判をしない国も多い中、歴史的な背景や国際法を守らないアメリカへの反発から、南米諸国の多くがイスラエルを非難し、パレスチナ支持を明確に表明しているということも本書で知ることとなった。また、現イギリス国王のチャールズ3世がイスラーム研究を支援しており、自身もイスラームに理解があるということも本書で初めて知った。正直スキャンダルの印象ばかりがついていたが、いかに自分が無知であるか、メディアの情報が偏っているかを思い知らされた。情報は自ら掴みにいかなければと反省。
最後に、直近のアメリカ大統領選挙ではドナルド・トランプの再選が決定した。アラブ系住民の多い地域は反トランプと書いてあったが、今回の選挙ではカウンティレベルで見てもトランプの圧勝だったそう。この結果を彼らはどう見てるのか、トランプの再選が今後の中東情勢にどう影響してくるのか注目したい。 -
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イスラムに負けた米国
著:宮田 律
朝日新書 054
アメリカの正義と、イスラムの大義
なぜ超大国アメリカはイスラムで失敗し続けているのか
アメリカにとってのイスラム政策とは
ユダヤ系ロビー
キリスト教右派
石油企業
軍事産業
これって、現代の十字軍ではないかと思ってしまいます。
石油という財を手に入れるため、聖地を手に入れるため、アメリカが
民主化=アメリカに都合の良い制度化を図っているが第一感です。
気になったのは、次です
■アメリカとムスリム
・イスラム世界では、過激派テロを封じ込めれば封じ込めるほど、アメリカに対する敵意や憎しみがまして、かえって若い世代のムスリムを過激派に近づけることになってしまっている
・イラクでフセインを殺害したことで、国内のスンニ派を、シーア派と対立させかえってテロが増えてきた
・裁かれるべきはフセインではなく、ブッシュ大統領であったが、ムスリムに共有される思いである
・アメリカは、イラク、サウジ、エジプトのスンニ派を応援してきたにもかかわらず、イラクを攻撃し、エジプトを見捨てた
・もともと、アメリカはイギリスと組んで、イランの石油利権を奪取していた
・アラブ・イスラエル紛争では、中立であるべきアメリカが公平な姿勢を取らなかったため、ムスリムの信頼を失った
・アメリカは中東の民主化を訴えるが、そもそもイスラム諸国の指導者たちとは、合意形成ができていない
・対テロ戦争を遂行し、罪のないムスリムを殺戮するアメリカに対して、多くのムスリムが、「不義なる国」のイメージをもっている
・アメリカの提唱する民主化で、パレスチナ自治区への経済援助を停止させイスラム過激派の台頭をゆるした。アメリカの政策・構想とは、ムスリムからみるとちぐはぐなのである
■イランの核武装
・イランから言わせると、隣国のパキスタンでも、インドでも核をもっている。だったらなぜ、イランが持ってはいけないんだ
・欧米や中国が核をもてるのに、イランにはみとめられないのか、欧米の不合理に対する憤りや反発は強い
・ヒロシマ、ナガサキはアメリカがおこなった人道上の罪として日本以上にイスラム世界では強く意識されている。なぜなら、第二次世界大戦後のアメリカのイスラム世界への軍事介入とムスリム市民殺害とイメージが重なるから
・アメリカはイランの濃縮ウランの製造を止める有効な手段をもっていない
■冷戦後の対テロ戦争
・アメリカはこれまで中東の共産主義化を食い止めるためにイスラムと融和をしてきた。
・今日、ソ連を中心とする共産勢力に代わる、脅威が必要であった
・アメリカの保守的なシンクタンクは、イスラムの脅威を喧伝するようになった
・イランにある巨大な石油権益をまもるためにアメリカは行動している。正義のためではない
・1990年代になると、イスラム原理主義の動きは中東全体へと波及していった
・アメリカはフセイン政権の人権抑圧も問題にしたが、多くのムスリムの目には、イラクとともに、パレスチナで困窮するムスリムに対しても支援の手を差し伸べないアメリカの姿勢を「偽善」的なものと映ったに違いない
目次
はじめに
第1章 対テロ戦争でイスラムに敗れたアメリカ
第2章 アメリカ・イスラム関係の歴史的発展
第3章 アメリカと「イスラム原理主義」との遭遇
第4章 冷戦後の対テロ戦争の予兆
第5章 アメリカと中東民主化
第6章 アメリカが強調するイランの「核兵器製造」
第7章 アメリカとイスラムの永続する戦争
おわりに
ISBN:9784022731548
出版社:朝日新聞出版
判型:新書
ページ数:272ページ
定価:740円(本体)
発売日:2007年07月30日第1刷 -
Posted by ブクログ
紀元前より、オリエントでは、アケメネス朝のサトラップによる支配、シルクロードや砂漠での交易による文化の融合や共存システムの確立、イスラームの誕生、オスマン帝国のミッレト制、というように、繰り返す戦争の中で、必ず「寛容」というひとつの答えを導き出し、民族や国家、宗教の垣根を越えた文明を生み育んできた。
しかし、欧米の国家システムや価値観の流入によって新たな対立軸が作られ、現在その寛容の精神はもはや見いだせなくなった。
歴史というものは人間が作るものであり、作らずにおくことも、書き直すことも可能だ。(サイード)
自らの利益だけを追求するのでは無く、忘れ去られた「寛容」の精神を振り返り、それに則って歴史を書き直すことで、現在中東に留まらず様々な対立は解決の道を辿れるはずだと思う。