宮田律のレビュー一覧
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ネタバレおなかいっぱい。中東各国が抱えている問題・動向が、いかに中東他国・外国および外国資本・イスラム・歴史と複雑に絡んでいるかよくわかる。
情報量が多く、知らなかったことだらけ。。。
結局、
・いま中東は激動の最中にあって、
・民主化ドミノがおこっていて、
・どの国も経済問題=貧困(格差)/失業/インフレを抱えていて、
・それは一部の人間による、政治の腐敗と抑圧が原因とされていて、
・実はそこには欧米の影響が多分にあって、
・こうした腐敗や欧米化に、宗教的要素が加わって、
・イスラムの名のもとに、国を再建しようという動きがあって、
・それにはインターネットが広く使われていて、
・民主化運動が続いて -
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ネタバレ[ 内容 ]
アラブ・イスラームの正統な後継を自任し、イラク戦争後の新秩序を模索するイラク、サーサーン朝以来の繊細華麗な文化を誇り、核開発を巡って西欧諸国との対立を深めるイラン、多様性を内包し、EU加盟を目指してヨーロッパとアジアの境界を問うトルコ―。
イスラームを共通の基盤としつつ、競合と協調を繰り返してきた三民族の歴史を辿り、米、欧、露、イスラエルを巻き込んで展開される地域のダイナミズムを描く。
[ 目次 ]
序章 中東三民族の特徴
第1章 イスラームを誕生させたアラブ
第2章 イスラーム世界に多大な影響を与えたイラン文明
第3章 欧米支配とイラン民族主義の台頭
第4章 トルコ民族の興亡 -
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以前『物語イランの歴史』でも紹介した宮田律先生の著書です。この本では西アジアを構成する主要3民族、アラブ、イラン、トルコの各民族についてその歴史と現在の国際関係を記しています。内容の前半は、それぞれ3民族の前近代史について比較的詳しく、民族に焦点を当てながら解説しており、とくにイラン史などは先の『物語イランの歴史』より充実していると思えます。後半はそれぞれ各民族のナショナリズムや宗派を縦軸に、各国との利害関係を横軸に近現代の国際関係を論じておりますが、ここはさすがに先生の専門分野ですから、かなり詳しく、入り組んだ国際関係を一つ一つ繙きながら解説しています。この本を読んでみると、前近代はあれだけ
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アメリカ大統領選挙はトランプ氏の勝利で幕を閉じた。それと同時に次のトランプ大統領がどの様な中東政策を行うか注目が集まるところだ。親イスラエルを掲げ、身内にもユダヤ教徒を持つ同氏の言動には常に注目が集まる。それは明らかに中東の和平の幕開けとはかけ離れたものになるのではないだろうか。特に今後トランプ大統領を中心とする閣僚人事には大きな注目があつまるが、前回大統領時代の様な、イスラムに対する超攻撃的布陣ともなれば、現在もなお対立を続ける中東各国の不穏な動きは助長され、少なからず邦人の身の安全にも影響を及ぼしそうである。
この閣僚人事については、前回政権時には軍関係者がずらりと並び、アメリカの政策その -
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タイトルの通りである。アメリカはイスラム国には勝てない。それは大正解とまでは断言しないまでも、今のままのアメリカでは勝つ事はないだろう。いや、勝とうとはしていないという方が正しいのかもしれない。イスラム国をはじめ、イスラム教の社会にはニュース報道の影響力からかテロや戦争を通して触れる事が多い。小さい頃はアフガニスタン紛争を扱う映画をよく観たし、記憶に残るものでも、イラン・イラク戦争、湾岸戦争だけでなく、アメリカがイラクに対して核兵器を始めとする大量破壊兵器の疑惑をかけて、サダム・フセイン政権打倒を目論んだイラク戦争など、戦争映像ばかりが目に浮かぶ。近頃は再びイスラエルがパレスチナのハマスを攻撃
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本タイトルや章立て、章の中の見出しなどがとても興味深いものになっていて、とても知りたい、読んでみたいものになっている。
たしかに知らなかったような情報、現地の現場感のある経験談や過去の経費の説明などが多く含まれていて、勉強になった。
が、必ずしも章立ての項目にピッタリあった内容になっているかというとそうでもなく、またテーマごとに切り分けてあるが時間的な順番が前後したり、さまざまなトピックがからまっているので、なかなか全体像がわからない。
2023年のガザの紛争が起きてから執筆されたものだと思うで時間がなかったのかなと思うのだが、大事なことが書かれていると思うので、もう少し全体の構成を工夫 -
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互いを理解しなければ真の友情は生まれない。表面上の付き合いはちょっとした勘違いや、誤った情報により簡単に壊れてしまう。我々は多くの情報をニュース報道やインターネット上の(日本語で流れる)記事から入手する。それは要点を絞って上手く纏められる事で、分かりやすく感じる。仕事や学業で疲れた頭でニュースソースの信頼性を疑う事までして脳の疲労をさらに加速させるような事をせず、ただ(何となく)受け入れる状態になっている。それが積み重なると、一つ一つの問題や事象を表面に露出した分かりやすい部分だけを掻い摘んで見るような癖がつく。当たり前だが、ニュースで流れてる映像は大半が物事の結果であり、背景や事情よりも「だ
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中東問題は根が深い。真の平和が訪れる兆しは見えない。そこには幾つもの要因があり、本書はそうした中東情勢を8つのキーワードを元に解説して行く。主に中東をイラク周辺とパレスチナを中心とする地域に分け、そこに存在する様々な課題を挙げている。イラク中心の世界ではやはり9.11以降のアメリカの介入の影響を今なお引きずり続けている。アメリカが介入すればするほど、中東の不安定さは増して行くし、ブッシュはアメリカが世界を平和にしたと自負し、対テロ戦争の勝利を声高に叫んだが、世界中のテロ発生件数はその後も増加した。
アメリカは伝統的に他国へ干渉しない孤立主義を採ってきた国ではあるが、第二次対戦後のソ連との冷戦下