P.F.ドラッカーのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ドラッカーのすごさが詰まった本だと思う。
ドラッカーと聞くと、大抵の人は「ああ、マネジメントを開発した人でしょ」「ビジネス書の大家だよね」と言った返事が返ってくる。とんでもない。
ドラッカーは「人が幸せに生きるためにはどうすればいいのか?」を常に考えながら、人や社会全体を鋭い視点で洞察し続けた人だ。
これからの社会を見通したうえで「これから我々人類は、何を考え、どのように生きていくのがよいのか」を考えた結果として生み出したのが、マネジメントやイノベーションと言った概念達なのだ。この順番を決して間違えてはいけない。
第二次正解大戦前にナチスに真摯に対峙し、ナチスの本質の見抜いたこと。戦後アメリカにわたり、これからの人々の幸せのために「組織」の質を上げることが不可欠であると見抜いたこと。「組織」とは営利組織だけではなく、21世紀はむしろNPOが人々の幸せに貢献する時代になると予言したこと。
上記はすべてビジネスの枠に囚われていては決してできないことだろう。人類全体を包括する視点で物事を考えてこそ、初めてできることだと思う。 -
Posted by ブクログ
ドラッカーのイノベーション論の集大成として知られる本書は1985年に出版されたものだが、30年以上経ってから読んでも学ぶべきところが多い。クレイトン・クリステンセンの「破壊的イノベーション論」、ジェフリー・ムーアの「キャズム理論」もその原型となる考え方は本書で既に述べられている。
名著と謳われ、既に古典となりつつある本書ではあるが、第1部「イノベーションの方法」に論じられている「イノベーションの7つの機会」については、いまだに重要性を認識していない企業が多いのではないだろうか。7つの機会のうち誰もが注目する「新しい知識の出現」についてはドラッカーは最もリスクが高いと指摘し、誰もが見過ごしがちな「予期せぬこと」を積極的に活用せよと説く。もし、ドラッカーの指摘を忠実に実践していれば、苦境に陥らずに済んだ企業も多かったに違いない。
第2、3部で論じられている「企業家精神」、「企業家戦略」にも現代の経営理論の原点となった考え方が散りばめられており、経営理論に精通した人にとっても、初学者にとっても有益だろう。
昨今のイノベーションブーム(?)の影響を受けたせいか、2015年に本書のエッセンシャル版も出版されている。こちらは内容を確認していないが、本書よりもページ数がやや少ない程度のようなので、個人的には本書の方をお勧めしたい。 -
Posted by ブクログ
新進気鋭のコンサルタントでもなく、カリスマ経営者でもなく、「学者」であるドラッカーが語るイノベーションは、はっきり言って全くワクワク感がありません。
本人も言っている通り、それまでどこか神秘的な、ひらめきというか、偶然の産物のように語られていたイノベーションを、マネジメントの目的として理論化してしまったわけですから、堅くて堅くて当然ワクワク感はありません。
しかし世の経営者の多くがこの本(1985年出版のほう)を座右の書としていることから分かるように、イノベーションを神秘的な事柄からマネジメントという現実の産物に引き下ろしたドラッカーの取り組みは、たくさんの経営者を奮い立たせたことでしょう。
イノベーションの7つの機会として、ドラッカーはリスクが少なく実現可能性の高いものから優先順位をつけて語ります。最初に出てくる機会のまあなんと地味なこと。反対に新たな技術や発明に基づく一見華々しいイノベーションには、多大な時間や戦略、マネジメントを必要とすると、優先順位のお尻に持ってきて、警告します。
本書の中では、既存企業や公共機関、ベンチャーにとっても必要な心構えが説かれているのですが、書かれた内容から、つい最近著された本のように錯覚します。これが今から30年も前、インターネットも無かった1985年に書かれたことが驚きです。90年代末のネットバブルやえせイノベーション流行りの現代を見事に予見した内容で、ドラッカーが預言者と言われる所以や、時代がドラッカーに追いついたと言われる理由がよーく分かります。
彼によって書かれている一つひとつの条件は、決して難しいことではありません。ただそれを意識して普段から準備しているかどうかの違いだと思いました。彼の語る多くの企業が見過ごしている事柄を敏感に拾い上げ、より多くの顧客、新しい市場を創造し、働く人の「居場所」を確保したいものです。 -
Posted by ブクログ
タイトルには「非営利組織」とあるものの、内容については一般的な営利組織においても有用な事が多かったと感じた。
そもそも営利か非営利かということは、人間が行う組織活動の目的ではなく、あくまでも要素の一つに過ぎないということなのだろう。
いわゆる地域団体やNPO、自治体組織等をイメージして読み進めたが、規模の大小は問わず複数の人間が集まって形成される組織というものについて、改めて考えるきっかけとなった。
また個人的ではあるが、私の勤務するインフラ業界は事業形態としてバリューチェーンが長大になるため、その企業にとっての営利活動が見えにくい内部のセクションが多くある。そのようなセクションには、むしろ非営利組織に近いマネジメントが有効になるのだろうとも感じた。その点でも読み進めた価値があった本だと思う。 -
Posted by ブクログ
2002年のドラッカーによる未来予測だが2014年の今まさに現実になってきている面やまだこれからのものがあり参考になる。
--
明日のトップが果たすべき五つの課題
1)15年後には、コーポレートガバナンスが今日とは大きく違うものになる
財務金融の機関投資家に短期と長期、継続と変化、改善と創造のバランスをとることを理解してもらう必要がある
2)外の世界で起こることを理解しなければならない
ところが情報が手に入っていない。せいぜいが実例集である
3)明日のCEOたるものは、いつ命令し、いつパートナーとなるかを知らなければならない
命令や管理の時代は終わった
4)CEOが真剣に取り組まなければならない課題が、知識労働の生産性の向上である
知識労働では、何をするか、何をしていなければならないかが問題である
5)CEOたる者は、みながともに生産的に働けるようにすることを考えなければならない。
自らの組織が成果となすべきものを定めなければならないということである。
明日のリーダーシップはカリスマ性によってはもたらされない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ(人の変化に気をつけること?)……アメリカ:1920年代、少子化(出生率2.2)1940年代~出生率1.8→3.6へ。1961ー1975(出生率3.7→1.8)、1980年代後半~1990年代前半ベビーブーム。人口構造の変化をネクストソサエティにおいてもっとも重要な要因であるだけでなくもっとも予測しがたく管理しやすい要因である。
(雇用の変貌、女性の活躍?)……もともと人類の歴史において、女性の役割と男性の役割は同等だった。教職が男女双方の仕事になったのは1850年前後のことであり、アメリカで看護学校の学生の4割が男となったのは、ようやく2000年のことである。
(トップマネジメントはどんな風に変わる?)……組織としての個の確立。価値、使命、ビジョンの確立。トップマネジメントが組織そのものである、他のものは、すべてアウトソーシングの対象となりうる。
(社会の一体性を回復するには?)……われわれはいまのところ願うことしかできない。われわれは、いかにそれをなすべきかを知らない。あらゆる組織が、それぞれの機能への絞り込みを厳しく保ちつつも、社会全体のために協同し、各々の政治機関と協力する意思と能力を新たにしていくことである。