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「若年人口の減少」「労働力人口の多様化」「製造業の地位の変化」などの要因が、経済と経営にもたらす大変動を明らかにし、読者のアタマを刺激してやまない洞察の書。
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Posted by ブクログ
ネクスト・ソサエティ 歴史が見たことのない未来がはじまる 著:ピーター・F・ドラッカー 訳:上田 惇生 出版社:ダイヤモンド社 生成AI、AIエージェントが知識労働者の生産性を飛躍的に高めることが分かった今こそ、ドラッカーのネクスト・ソサエティ、生産性革命が進行を速めていく 1929年にアメリカ...続きを読むの証券会社のヨーロッパ本部で働いていたドラッカーは大恐慌のためにその職を失ったことが冒頭に書かれている。そして1987年のブラックマンデイ。いずれも、活況は永遠に続くものとされていたにも関わらずである。この2つの出来事からドラッカーは、急激に変化しているのは、経済ではなく、社会のほうであると気づく。本書はその気づきの書である 原題 Management in the next society 「次の社会におけるマネジメント」でしょうか。 2002年4月に書かれた本書は、ドラッカーの未来学者たるゆえんである 事業と組織のマネジメントのためのものであり、働く人たち一人一人のためのものである 一つ一つの組織、一人一人の成功と失敗にとって、経済よりも社会の変化の方が重大な意味をもっていることを語っている。 急激な変化と乱気流の時代にあっては、たんなる対応のうまさでは、成功は望みえない 企業、NPO、政府機関のいずれであれ、その大小を問わず、大きな流れを知り、基本に従わなければならない 個々の変化に振り回されてはならない 大きな流れそのものを機会としなればならない それが、読者たる私たちに贈るメッセージである 気になったのは以下です。 ■迫り来るネクスト・ソサエティ ・いまから、25年後には、誰も70代半ばまで働かなくてはならない ・組織のために働く者の半数がフルタイムどころか、いかなる雇用関係にもない人たちとなる 特に高齢者がそうなる ・第二次大戦後に出現した大量消費市場は、若年中心の市場だった。これが中高年中心の市場となる ・ネクスト・ソサエティは知識社会である 知識が中核の資源となり、知識労働者が中核の働き手となる ・ネクスト・ソサエティは、知識を基盤とする経済であるがゆえに、主役の座を知識労働者に与える ・急速に進行する少子高齢化 ・人口構造の変化がもたらす最大の影響が、文化と市場の多様化である ・人口構造の変化こそ、ネクスト・ソサエティにおいてもっとも重要な要因であるだけでなく、もっとも予測しがたく管理しがたい要因である ・知識は急速に陳腐化する、そのため定期的に教室に戻ることが不可欠となる、知識労働者のための継続教育がネクスト・ソサエティにおける成長産業となる ・知識労働者にとっても、他のあらゆる人間にとってと同様、金は重要である しかし、彼らは金を絶対的な価値とはしない 自らの成果や自己実現の代替とは認めない 仕事が生計の資だった肉体労働者とは違い、知識労働者にとっては仕事は生きがいである ・知識労働者にとって重要なこととは ①組織が何をしようとしており、どこにいこうとしようとしていることを知ることである ②責任が与えられ、かつ自己実現することである ③継続学習の機会をもつことである ■IT社会のゆくえ ・IT革命とは、実際には、知識革命である ・文化というものは人口の伸びのもっとも大きな年代によって規定されてきた 今は人口の伸びのもっとも大きな世代は若年者ではない ・純粋のメーカーではやっていけない 流通力のもつナレッジ・カンパニーにならなければならない 製造の力だけでは、製品を差別化できない ・そもそも世界はグローバル化にむかっていない、あるのはまじりあうことのない3つの市場 グローバル市場、国内市場、地場市場である ・CIOとは道具を作るものであって、道具を使うのはCEOである ・企業間のeコマース(BtoB)においても配達は重要である 消費者向けeコマース(BtoC)の場合よりも重要であるといってもよい ・eコマースは、販売と購買を分離するのみならず、生産と販売をも分離する ・覇権は自滅する 覇権をもつものは傲慢になる 自己満足に陥る しかも他の勢力を結集させる 必ず、拮抗力が生まれる 自滅せざるを得ない 防衛的になる 尊大になる 過去を守るだけになる そして自滅する ・激変の時代におけるマネジメントとは何か どうしても短期的な視点からマネジメントしたくなるが危険である 経営者が学ぶべきことの1つが、短期と長期のバランスをはかることである ・本物の変化とは、人が行うことであり、一時の変化とは、人が言うことである ■ビジネスチャンス ・ベンチャー成功へのわな ①想定しなかったところで成功した時に生ずる、市場よりも自分を信じたために、消えていく ②利益第一に考えること、利益は第二である、第一は、キャッシュフローである ③マネジメントチームの欠如、成長はいろいろな問題を持ち込む、生産が間に合わない、マネジメントが追い付かない ④自らの役割を見失うこと、自分は何をしたいのか、自分の役割とは何か ・提携や合弁では、パートナーが必要としているものは何か、共通の価値と目標とは何か ・イノベーションとは、市場に追いつくために自分の製品やサービスを自分で変えていくことをいう 目次 日本の読者へ はじめに 謝辞 第Ⅰ部 迫り来るネクスト・ソサエティ 第1章 ネクスト・ソサエティの姿 第2章 社会を変える少子高齢化 第3章 雇用の変貌 第4章 製造業のジレンマ 第5章 企業のかたちが変わる 第6章 トップマネジメントが変わる 第7章 ネクスト・ソサエティに備えて 第Ⅱ部 IT社会のゆくえ 第1章 IT革命の先に何があるか? 第2章 爆発するインターネットの世界 第3章 コンピュータ・リテラシーから情報リテラシーへ 第4章 eコマースは企業活動をどう変えるか? 第5章 ニューエコノミー、いまだ到来せず 第6章 明日のトップが果たすべき五つの課題 第Ⅲ部 ビジネス・チャンス 第1章 企業家とイノベーション 第2章 人こそビジネスの源泉 第3章 金融サービス業の危機とチャンス 第4章 資本主義を越えて 第Ⅳ部 社会か、経済か 第1章 社会の一体性をいかにして回復するか? 第2章 対峙するグローバル経済と国家 第3章 大事なのは社会だ——日本の先送り戦略の意図 第4章 NPOが都市コミュニティをもたらす 訳者あとがき ISBN:9784478190456 判型:4-6 ページ数:296ページ 定価:2200円(本体) 2002年05月23日第1刷発行
10年以上前に書かれた本だが、2017年現在の世の中と驚くほど符合している。 「マネジメント」はさすがに時代が違うなと感じる部分が多かったが、この本をあわせて読むことで「今の時代にあったマネジメント」とはなにか、を考えられるかもしれない。
いまさらながら・・・ これは,もしかして結果的にドラッカーの遺作になったのかな. 10年以上前に現代のことをかなり言い当てている. 世の中がこれに備えて置けば良かったのにと思うことが多い. IOTもビッグデータもそんな言葉はなかった頃に書かれたもののはずだが. まだ間に合うかな?
2002年のドラッカーによる未来予測だが2014年の今まさに現実になってきている面やまだこれからのものがあり参考になる。 -- 明日のトップが果たすべき五つの課題 1)15年後には、コーポレートガバナンスが今日とは大きく違うものになる 財務金融の機関投資家に短期と長期、継続と変化、改善と創造の...続きを読むバランスをとることを理解してもらう必要がある 2)外の世界で起こることを理解しなければならない ところが情報が手に入っていない。せいぜいが実例集である 3)明日のCEOたるものは、いつ命令し、いつパートナーとなるかを知らなければならない 命令や管理の時代は終わった 4)CEOが真剣に取り組まなければならない課題が、知識労働の生産性の向上である 知識労働では、何をするか、何をしていなければならないかが問題である 5)CEOたる者は、みながともに生産的に働けるようにすることを考えなければならない。 自らの組織が成果となすべきものを定めなければならないということである。 明日のリーダーシップはカリスマ性によってはもたらされない。
変化とは誰かが言っていることではなく、誰かが行っていること。 顧客は予期せぬところにいる。重要なのはキャッシュフロー。
現在、IT革命が世界を覆い、企業のグローバル化が進んでいる。 アウトソーシングが当たり前となり、企業や雇用形態も変化している。 以前は田舎社会の農業従事者が多数をしめていたのが、 現在では都市社会で働く知識労働者が増加している。 このように、経済や産業の発展が社会構造を変化させている。 これらの持...続きを読むつ意味は、200年前の2つの産業革命の場合と同様である。 蒸気機関による第1次産業革命と、鉄道や電報の発明という第2次産業革命。 これら2つの産業革命によって、ビスマルクの福祉国家など、 20世紀の民主主義につながる様々な理念と諸制度や、 フォードの大量生産を生んだ科学的管理法などの誕生につながった。 今日のIT革命は、2つの産業革命に酷似している。 コンピュータの発明が蒸気機関に相当し、インターネットの出現が より影響力の大きかった、第2次産業革命に相当する。 そして歴史の教訓によると、これらを導火線として見たことのない未来がはじまる。 例えば、多国籍企業は海外に子会社をもっているが、性格上は国内企業であった。 しかし、グローバル企業には国境がなく、国民国家のくびきから放たれる。 このような変化が、新たな制度、新たな理念、新たなイデオロギーを生むのである。 以上のような経済の変化とは別に、少子高齢化といった変化も見えている。 そんな中、組織は生き残りかつ成功するためには、自らがチェンジエージェント (変革機関)となり、変化を脅威ではなくチャンスと捉えなければならない。 このような変化の中で、個々の人間の安定を考えた場合、 経済は制約条件にすぎず、社会が重要である。 国の在り方、企業の在り方に加え、社会セクターとしてのNPOなどの活動が重要となってくる。
ドラッカーは経営だけでなく社会全体に対する卓越した視座を持っていることがわかる これからは経済ではなく社会に目を向け、NPOなどの都市のコミュニティを発達させる必要がある
4回目の通読。1回目は2002年。2回目は2012年。3回目は2015年。自称“ドラッカー教徒”だが、正直初めて読んだときはフワッとして理解できなかった。それが回数が増すごとに理解できるようになり、今回は尽く腹落ちした。ドラッカーの慧眼、ネクスト・ソサエティが現実となっている。日本国民として、大学で...続きを読む働く労働者として、山形で生きる者としての指針がここにある。
かなり昔の本だが、概ね方向性として正解を出しており、今後の経済の方向性を占うのに参考になった。 特に移民について考えさせられた
『マネジメント』の著者であるピーター・F・ドラッカーの著書であり、2002年に日本語翻訳版。2002年に出版され、その使用されている数字は1999~2002年頃の数値をベース。その数字を用いて次代予測を中心とした当時の忠言集。 約20年前の時点で、今日の世界状況を鋭く予測しており、2020年を迎える...続きを読む今だから敢えて、過去の予想を今読んでみるというのは面白いのかもしれない。 日本の『問題の先送り』が結果としてプラスの結果を生んでいるという後半の考察は意外である。 【積読解消】 ただ、このような本は出版されてからすぐ読んだほうが良いことは間違いない。
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