よしながふみのレビュー一覧
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ネタバレ小学校の音楽教師と、その教え子の数年に渡る物語。
「音」を素材にし、よしながふみは、性別問わず「愛」の様々な形を見せてくれる。
この作品は、BLとカテゴライズされるものだし、設定も特異な形だけれども、身に起きうること、そして感情のやり取りは、男女問わず変わらないと思う。心をこめて歌うこと、相手を想うこと。作中で何度も使われる“巣立ちの歌”は、私自身何回も歌っただけに、歌詞の深さと、登場人物の思いが、よしながふみの描く画でくっきりと浮かび上がってくる様に、涙してしまった。遠くても、お互いを想っていれば繋がることが出来る。とは、某映画のセリフではないが、1つの歌によって結ばれる愛は、素敵だ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレとにかく面白かったとしか言いようがない。
よしながさんの、抱きすくめる絵がすごく好き。
「どこへも行かせない! 俺が本当の父親よりも母親よりもお前を愛してやる!」のシーンがとても印象的でした。
ハッピーエンドなのも安心したし、少年が成長しても下剋上しないのが、個人的には嬉しかったです。
よしながふみさんは昔から好きだったけど、BLに限ってなぜか10代のころは苦手で読めなかった。何でだろう、ご都合主義じゃないリアルなところが怖かったのかな。今はむしろそういうものを好んで読んでるので、もう大丈夫だろうと手を出しました。
読んでよかった。 -
Posted by ブクログ
「大奥」や「きのう何食べた?」から入って、時々BLものにも手を伸ばしています。BL作品は数点しか読んでませんが今のところこれが一番好きかも。
同人誌の内容も収録されていることもあってか、なかなかにエロくていいと思います。強気受けが結構好きなのでたまらんです。
サイドストーリーのイトケン先生もいいなあ。
才色兼備の寺田さんが好きです。いいキャラ(かなりかわいそうと言えばかわいそうなめにも遭いますが、そこに負けない強さがいい)だと思います。
こういう女性脇キャラは、BLではとかく「いらない子」だったり「ただの当て馬」として扱われがちなんですが、よしながふみの漫画は寺田さんのような存在をないがしろにせず、むしろしっかりと描写して、世界観に奥行きを与えているところに好ましさと魅力を強く感じるのです。 -
Posted by ブクログ
実は、まだ文庫化されたものを所持していなかったりする。
フランス革命前後?の物語。
作家ジェラールが、借金返済のために娼館に売り飛ばされたジャック(貴族)を買ったところから物語は始まる。
後に、二人は主人と下男の関係となり共に暮らすようになるが、ジャックの気持ちに変化が訪れ…といった内容。
読み始めの段階では、この二人をどうやってまとめるの?と思ってしまうが、読み終わる頃には、テンポよく、そして無駄なくまとめられた作品の完成度に驚いてしまう。
特に後半になるにつれて、コマは小さくなり、背景が描き込まれ、実写に近いイメージ(カメラワーク)でラストを迎える。
読み終えた後、エンドロールが流れるかのような余韻に浸れる作品。 -
Posted by ブクログ
ネタバレコツコツと地味に続くこの連載も、今や7巻です。基本的には、レシピ漫画。
シロさんは、しっかり者の弁護士(美人だし料理は上手いし貯金がっつりで性格いいし、カンペキですね)。ケンジくんは、ちょっとオネエ入ったやさしい(というか乙女な)美容師(ヒゲで長身だけどさ)。
堅実で地味な中年ゲイカップルの、ささやかな日常を丹念に描くこのマンガ。(二人とも、40代後半です。)
派手なラブシーンもドラマチックな展開もないけど、ほのぼのじんわり心に来ます。
※男性誌掲載なので、そもそも非常に抑制の効いた、BLらしくないBLです。
ずうっといいなあ、こういうのって幸せだよなあ、って思っていたけれど、今回はシリーズ最高潮です。今までで、確実に、いちばんいい。指輪を買ったあたりから、徐々にここに向かって来たんだなあ、という感じです。
テンションが高い、といってもあくまでこのマンガ基準でってことですが、とにかく心が熱くなります。火傷しそうな熱さじゃなくて、寒い夜を心地よくすごすための湯たんぽみたいに。
最初の話でいきなり、天然のろけ爆弾を炸裂させるシロさんに、目が点。あまりに予期しない出来事で、びっくりしました。シロさんは普段そういうキャラじゃないからこそ、あの発言にはぐっと来ます。やられた、という感じ。
もうひとつ別の話でも、シロさんの変化、というか進化?が見られます。人目をはばかることが最優先だったこの人が、ケンジくんと暮らした時間が長くなるにつれて、徐々に変わって来ている。ケンジくんの気持ちを汲む余裕、みたいなものが見え隠れします。実にさりげなく、さらりとね。
※これ以降、若干のネタバレを含みます※
いよいよお正月。
両親に約束した通り、シロさんは初めてケンジくんを連れて実家に帰ります。普段はカジュアルな格好一辺倒のケンジくんが、かっちりスーツにネクタイ、トレンチコート。ギクシャクしつつも、そこは(一応)大人の対応で迎えるご両親。気まずさに耐えきれず、母親の手伝いにキッチンに逃げるシロさん。
(おいおい、アンタの男を見捨てるんかい・・・?)
間を持たせるため、父親はケンジくんに、シロさんの若いころのアルバムを見せる。ここでの二人の会話が秀逸。訥々と、じんわり、せつなくね。
(そして最後には、とんでもなくコミカルなオチつき。よしながさん、さすがの手腕です。)
あとはまあまあ和やかに、4人で食事。美味しいご飯のある食卓を囲む幸せが、このマンガのキモですもの。
その後、二人はシロさん実家を辞すわけですが。帰り道、まずは笑いのオチが炸裂。ご両親のあらぬ誤解に、失笑するしかないシロさん。変な誤解の犠牲者?になったケンジくんはまったく気にせず、ニコニコご機嫌なのね。
いいじゃないの、それでシロさんのご両親がイイ気分になるならって。
ヘタレに描かれがちなケンジくんですが、こういうときは大人だよなあって思います。けど、ものすごく乙女でもある(笑)。
恋人の家を訪問し、家族に紹介される。
―――ありきたりのようで、ゲイのカップルにはなかなかハードルが高い。そんな幸せな機会がいつか自分にやって来るとは、思ってもいなかった。万感の思いでそう呟き、涙をこぼすケンジくん。
「つき合わせて悪いな」くらいに思っていたであろうシロさんは、ケンジくんのリアクションに驚きます。でも、そっと頭を抱いてあげるんだよね。「もう、死んでもいい」なんて言われたら、そうなるよなあ。しょうがないなあという気持ちと、可愛いなあという気持ちで。
(どっちも40過ぎのオッサンですが、ケンジくんのほうが年下です。)
夜道とはいえ、天下の往来で。今までのシロさんでは、考えられない行動。
で、ここでもうひとつ、爆弾が落ちます。今度は笑いではなく、世間の冷ややかな視線、という残酷な爆弾。ぐさっと・・・来るよなあ。BLファンタジーが、世間のリアリティに触れた瞬間、みたいにも思えるから。でも、シロさんもケンジくんも、黙ってやりすごします。受け流すくらい、なんでもない。ゲイであることの痛みは、人生でさんざん経験してるでしょうから。
ふたり一緒だからね。だからやりすごせるのでしょう。
この二人は、世の中の偏見と戦ったりはしません。世界の中心で愛を叫んだりもしません。ごく普通の、平凡な社会人として暮らしていく、それだけ。
恋人がいて、おいしいご飯がある。
―――それが幸せ、って知ってるんですね。
いろいろ主張せずに、さらりと描くよしながさんの筆が冴えます。ホント、すごく面白いよ~。