Posted by ブクログ
2014年02月18日
初めて読んだよしながふみ作品。
よしながふみといえば「大奥(=BL?)」という偏見を持っていたのですが読んでびっくり。
女性の感情の機敏を描くのがこんなに上手い作家さんだったんですね。
5話収録されているのだけど、どの話も素晴らしい。
個人的には1話が秀逸。
娘→母の視点で描かれる1話。
母が...続きを読む連れてきた若い再婚相手。外見も人柄も良く、気が利いて、真っ直ぐに夢を追いかけている彼を、主人公が最初は疑いの目で見るものの、だんだんケチのつけどころがなくなっていく過程がリアル。
「わかってるわよ だからあたしも出て行くのよ」
「ずっと私だけのお母さんだったのよ」という台詞に泣けた。
自分にはできないことをサラッとやってのける再婚相手。
この人は自分なんかよりもっとずっと母を幸せにできるんだ、っていうショックや敗北感や悔しさ...
色んな感情が、上の台詞に余すところなく表現されていて、心にせまった。
出てくる登場人物がみんな素敵。雪子も麻里も健も、冷静で、自立していてカッコ良くて、ちょっとひねくれてたり毒舌だったり。
4話に出てくる雪子、牧村、佐伯の中学時代の会話もいい。
将来は公務員がいいとか、定年まで勤め上げるんだとか。
うんうん、中学生でも女の子はこれくらいしっかり考えてるよねーと共感。
派手なエピソードはないけど、表情と台詞のリアルさに唸り、共感の波に心をがつんと持っていかれた作品でした。