木古おうみのレビュー一覧
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ネタバレシリーズ2冊目。
面白かった。
切間さんと烏有君のコンビが、一夏の間に仲良くなっていく姿とか微笑ましかったし。切間さんが烏有君の後々の事を考えて動いて、それに気づいた烏有君が嬉しさとか戸惑いとか感じてそうなのも良かった。
それだけに最後の章はハラハラした。
1冊目の片岸さんと宮木さんはどっちも死ななさそうな感じだったから、そこら辺全く心配なく読んでたけど(六原さんも)、烏有君はともかく切間さんは死にそうでハラハラした。
死ななくてもそれ以上悪い目に遭いそうな、薄幸そうな感じなんだよなぁ。
後、宮木さんの父親が切間さんだと判った時に、最初に出て来た切間さん=烏有君と分ったから、それもあってハラハラした。
切間として生きる烏有君の心情を考えると切ない……。
ここハッピーエンドにならんかなぁ……。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ怖かった…。今までホラー色々読んできたけど、ダントツに嫌な怪異。
自分がどんどんケガレに侵食されていって、でも周りの人達は侵食された状態の自分(ケガレ)を好きになって、侵食される前の自我も残った状態でこの現象をまざまざと見せつけてくる。
こんなの絶望するじゃん。オレだったら確実に心折れちゃうよ…。
「今の方が全然いいよ」って言われて穴水くんが絶望するシーンあるけど、自分もこういう事気軽に言ってしまう事あるかもなって、ハッとさせられました。
P240の「きづかないでくれてありがとうね」で背筋ゾワッてなった。なんて残酷な事を言うんだ。マジでイヤな怪異。
欲を言えば、物語の牽引力と疾走感がもっとあると(特に中盤)もっと面白くなったかも。でもとにかくケガレという怪異がイヤな持ち味存分に発揮してくれてるので満足。
ラストの読後感もなんとも切なくていい。タッちゃん優しすぎだろ…。 -
Posted by ブクログ
「屋敷神秘文、慎み白す」
いや〜ん、かっこいい♡
というわけで、最近だいぶやられている木古おうみさんの『ヤシキガミ団地調査録』でございますよ
はいはい、まずあれよねヤシキガミってなんやなん!からよね
氏神、内神、地神、荒神、祝神とも呼ばれ、その家、屋敷や周辺の土地を守る守り神のことで、屋敷の片隅や付属する土地に祀られている存在のことを「屋敷神」と言うんですな
そしてこの「屋敷神」が村社会の崩壊により、次第に忘れさられた存在となったことに怒り、基本「人を守っている」んだけど…違う一面から見ると囚われているだけっていう
そういう建物を「ヤシキガミ団地」と呼んでいるわけです
そして、そんな屋敷を調査する新宿区役所の職員と屋敷神を鎮める地免師のバディが屋敷神を鎮めて行く中で、「ヤシキガミ団地」を意図的に作り出す存在が明らかになり…
という設定
いや、相変わらず基本設定がかっこいい!
いやかっこいいというよりはかっちょいいかな(差異!)
そしてなんかちゃんとあらすじ書いたわいもかっちょいい!(そうなん?)
そしてお話は続きますよ!
ゾワゾワしながら次作を待ーつ!
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購入済み
人智を超えたモノたち
「神」と呼んで良いものなのかも解らないモノに挑む片岸と宮木の一応公務員の二人。
通常では理解もできない事件を調査し、可能ならば解決という事だがまあそう簡単にはいかないわけで...。
『領怪神犯』とは良くいったものだと思います。登場する怪異はどれもブッ飛んでいますが、一話目の空から体の一部が降ってくる話が物語の全てを表している気がして一番好きです。
きれいに解決できている事はほぼ無いのですが、それがまたある意味リアル。
片岸も宮木もトラウマを抱えつつ前へ進み、どうやらこの世界線ではこちら側とは色々と違うみたいだぞ...とほどよい謎を含めて終わりますので次の巻を読み進めたくなります。 -
Posted by ブクログ
出淵恭二にいたのは死んだ祖母と幼い頃に自分を迎えに来ると言ったきりの兄。ひとりぼっちの恭二は怪しさしかないバイトに手を出し、生き埋めにされる。そんな恭二を助けたのは身に覚えのない兄と姉だった。
つねに余裕があり豪快な祖父・六郎、微笑を浮かべる中国籍の祖母・七子、四角四面な元警官の父・四朗、冷たく厳しく冷たい母・五樹、顔色が悪く謎めいた長男・柊一、上から目線で偉そうな長女・三沙、イキがってて反抗的な言動の次男・恭二。最初の平坂家の印象だ。
物語が進み、偽葬というものが分かってくるにつれ、家族の印象は徐々に変わってくる。この性格なのにはこんな背景があるんだと読み手も想像しやすい。1冊目なので1話1話がそんなに深くないが、軽いかんじで読め、ちょいホラーテイストで読みやすかった。 -
Posted by ブクログ
見事な文章と構成。徐々に断片が繋がり全体像が見えてきて物語が加速する。(実際読むペースも上がった)
個人的には第二部「穴水健」の顛末が一番刺さった。なんならここで何も解決せずに終わられても、この後味の悪い余韻に浸りながら納得できるくらい。
この二部の結末もそうだけど、違和感があるところや伏線はきちんとそのように描かれているので三部以降はある程度予想通りではあったが、いくつか「あっ!」と裏切られるポイントもあった。
ところで、ひとまずの結末を迎えた後も意図的に触れられず、捨て置かれたとんでもないものがまだ残っている気がするんですが……
それにしても、冒頭でも述べたように文章が見事。情景、心情ともに多彩な比喩と装飾をこれでもかとばかりに連ね彩るスタイルは、人によっては過多に感じるかもしれないが、実に的確な表現で小説を脳内で映像化しながら読む自分のような者にはとても扶けになった。特に情景描写は「あぁ、あるあるこんな風景昔見たわ、懐かしい……」て何度もなりました。
(関係ないけど110Pに誤植がありますね) -
Posted by ブクログ
ネタバレ「これは怪談なんだ」というのが1話を読み終えた際の感想。
各話はどれも40ページ前後の短い話だが、単純ではなく軽い捻りもある。体裁は現代風(?)だが、怪談としてちゃんとしているという印象を受けた。
主要登場人物達は特別な力があるわけでもなく、特殊な機関で怪現象をハントして回っているわけでもない。ただ怪異を観察・記録し、その途上で意表を突いたりスリリングな展開を含みながら、謎を残してエピソードが終わる。シーンのところどころに挟まれる何気ない描写も、どことなく気味の悪さを感じさせる細かさで、気のせいなのか伏線なのか(場合によっては読み終えても)わからない怪談特有の空気感がある。
各物語のゲストで主役でもある『神』も、日本古来の神の意味で使われ「強力な力を持った人智の外のモノたちの総称。人々に益をなすように、あるいは害をなさないように、危険だから祀るモノ」というニュアンスの存在である。極端に言ってしまえば妖怪やものの怪とそう変わらぬ存在であり物語の雰囲気とよくマッチしている。
明らかにフィクションであり、所々でファンタジックでもある創作怪談なのだが、そこらの実話形式の怪談よりよほど雰囲気もあって内容も面白い。いかにも怪談にありそうな場所(過去の風習が残る田舎、病院、廃校舎など)が舞台になるが描写も上手いし話も面白い。
短編が集まった怪談集との違いは、話が進むごとに物語の中の時間も進み、主人公らの背景も少しずつ明らかになっていくこと。以前扱った事件が引き合いに出されることもある。
基本的に片岸の目を通して物語が進行していくので、中盤くらいまでは相棒の宮木が怪異なのではないかと思うことが多々あった。”神の目線”で彼女の心理を知ることができないので「片岸が感じていることが真実なのかわからず怖い」という感覚がときどきあり、この怖さ(不信?)は、一話完結形式の個々の話を越えて、物語を通して累積していくものだった。それぞれの話の中での謎解きと、その裏で一貫して流れる主要登場人物の謎の2系統の焦点があり、平穏なシーンであっても別の緊張感もあって二重の楽しみ方ができた。
終盤に向かう頃には宮木を「別の時間軸や世界の人間なのか」や「神の干渉を受けない体質なのか」といった、人間だけど普通じゃないという印象に変わっていったが、それでも目的が不明なため敵か味方か分からない不信感は残り続けた。
2話についてだけだが、ちょっと気になった部分がある。序文と本文終盤での神の描写が全く同じだったことだ。 『ひと喰った神』の姿の概要から透ける内臓の様子まで序文と同じ文章では期待外れの気分になる。短い話なので文章自体を完全に覚えているし、敢えて同じ文言を載せる理由もないので、片岸の目前に神(と巫女)が現れる緊迫のシーンが今ひとつ盛り上がりきらない感じだった。序文以外は片岸の目線で物語が展開していくので、唐原目線の序文と全く同じ描写に違和感を覚えたのかもしれない。
同じような描写でも、当時少年で覚悟もなく神の姿を眺めた唐原よりも、その道の専門家、大人として観察した片岸の方が解像度が高かったり(逆に序文の描写の解像度を下げてもいい)、唐原の解釈が誤解だった部分を描けばこの違和感はなかったのかなと思った。
これ以降の話では序文の内容が本文の要約(= サマリー)のようなものから導入(= イントロダクション)へとかわり、証言もどこかズレているような狂っているような薄気味の悪い感じが出てくるようになって、片岸の主観で進む本編とは違うテイストで気味悪さを感じさせる役割を果たすようになった。
最後の2話はあまり好みではない展開だった。
片岸の妻の事は直接話してすらよくわからないままで、なぜ『知られずの神』のもとに来て、ずっとそこに留まっているのかがいまいちわからない。"よもつへぐさ"の故事もあるので異界の生活に馴染む事で現世に戻れなくなることには違和感はないが、来た理由も帰れない理由も納得できない感じでモヤモヤする。
『知られずの神』の世界は客観的には時間が止まっているように見えるので死ぬこともできず、しかし囚われた人たちの主観的には時間も記憶も蓄積していくので、「これでは地獄ではないか」とも思った。引き込まれた片岸に人々が興味を示さないのも、すでに精神がすり切れているのではないかという気もして、その点も後味があまり良くない。
最後の話は取ってつけた打ち切りの最終話のようで、駆け足で浅いと感じた。宮木に全部の種明かしまで(こんなに雑に)させなくても良かったのではと思う。本書発行時にはまだ続編の話は固まっていなかったのだろうか。
ほとんどのタネ明かしをしてしまったので、宮木には「なぜ記憶を保持できているのか」という疑問点が残るが、片岸は背景が空っぽになってしまった。ゆるい繋がりを持った一話完結の話はどれも面白かったが、その根底に二人(と六原)の過去が明かされていくという隠し味があったので普通の怪談集とは異なった厚みがあった。ここからどうやって話を再び膨らませていくのかが作者の腕の見せ所だ。
デビュー作ということもあって2作目が楽しみなような、パワーダウンしてしまうのが怖いような気持ちで次作を購入した。