あらすじ
「読みからおはりや、書く遊ばせたまえ、降りおりて、語りかたりましませ」
学校で、居酒屋で、読み聞かせボランティアで、各所で囁かれるその”おまじない”は、唱えたものに勇気を与えてくれるという。
不登校の姉が別人のように明るくなったことに戸惑う少女。他人と上手く関わることができない青年。過去の事件で記憶の欠落を抱える大学生。
彼女達、“おまじない”を唱えたものの元には「ケガレ」と呼ばれる怪異が訪れる。
「ケガレ」に乗っ取られ、ゆったりと蝕まれる現実は、蕩けるように甘美で歪で――
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
面白かったー!あっという間に読み終わってしまいました!
弱い心につけ込むケガレは怖すぎる……
つけ込まれた人の最期も悲惨で……
ラストのタッちゃんには少しジーンとした。
Posted by ブクログ
怖かった…。今までホラー色々読んできたけど、ダントツに嫌な怪異。
自分がどんどんケガレに侵食されていって、でも周りの人達は侵食された状態の自分(ケガレ)を好きになって、侵食される前の自我も残った状態でこの現象をまざまざと見せつけてくる。
こんなの絶望するじゃん。オレだったら確実に心折れちゃうよ…。
「今の方が全然いいよ」って言われて穴水くんが絶望するシーンあるけど、自分もこういう事気軽に言ってしまう事あるかもなって、ハッとさせられました。
P240の「きづかないでくれてありがとうね」で背筋ゾワッてなった。なんて残酷な事を言うんだ。マジでイヤな怪異。
欲を言えば、物語の牽引力と疾走感がもっとあると(特に中盤)もっと面白くなったかも。でもとにかくケガレという怪異がイヤな持ち味存分に発揮してくれてるので満足。
ラストの読後感もなんとも切なくていい。タッちゃん優しすぎだろ…。
Posted by ブクログ
見事な文章と構成。徐々に断片が繋がり全体像が見えてきて物語が加速する。(実際読むペースも上がった)
個人的には第二部「穴水健」の顛末が一番刺さった。なんならここで何も解決せずに終わられても、この後味の悪い余韻に浸りながら納得できるくらい。
この二部の結末もそうだけど、違和感があるところや伏線はきちんとそのように描かれているので三部以降はある程度予想通りではあったが、いくつか「あっ!」と裏切られるポイントもあった。
ところで、ひとまずの結末を迎えた後も意図的に触れられず、捨て置かれたとんでもないものがまだ残っている気がするんですが……
それにしても、冒頭でも述べたように文章が見事。情景、心情ともに多彩な比喩と装飾をこれでもかとばかりに連ね彩るスタイルは、人によっては過多に感じるかもしれないが、実に的確な表現で小説を脳内で映像化しながら読む自分のような者にはとても扶けになった。特に情景描写は「あぁ、あるあるこんな風景昔見たわ、懐かしい……」て何度もなりました。
(関係ないけど110Pに誤植がありますね)
Posted by ブクログ
人の心に漬け込むケガレにまつわるお話。
謎のおまじないから始まるストーリーがどんどんどんどん恐怖を纏っていく様が面白いです。きっちり霊力バトルしてるのが面白い。
とりあえず勝ったけど、元は解決してないというホラーの王道者って感じで大変素晴らしい。不穏さが凄いのでおすすめ。