高瀬乃一のレビュー一覧

  • 露の宿り

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    ネタバレ

    露の宿り

    著者:高瀬乃一
    発行:2026年3月26日
    PHP研究所
    初出:月刊文庫『文蔵』(2024年12月号~2025年7・8月号連載「露の宿り」)

    「貸本屋おせん」シリーズなどで最近活躍している時代小説の高瀬乃一による、(たぶん)最新刊本。千代乃という21歳の女性が、シングルマザーである富の反対を押し切って左官の勝三と住み始めるが、予想通り裏切られ、戻ってきた。母親は美人の元芸者で、今は小料理屋を営んでいる。千代乃は10歳のときから手伝っているが、戻って暫くすると、富が死んでしまう。そして、自らが店を引き継ぐことになる。そんな小料理屋「露くら」を舞台にした連作短編。全7話。

    第一話は

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    2026年04月16日
  • 貸本屋おせん

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    時代もの好き、本に関わる仕事をする身として、グッと来る本でした。続きも楽しみです。(刊行されているのは知っていますが、文庫派なので…)

    刺さった箇所引用

    「たかが本だよ」
    善人も悪人も、同じ本を見て笑い悲しむ。ときに憤り、あきらめ、それでも次の丁をめくらずにはいられない。そして一度読まれた本は忘れさられて、みな現に戻っていく。本なんて、そんなもんだ。だから、せんは貸本屋として、本を守らなければならない。

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    2026年03月27日
  • 無間の鐘

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    ネタバレ

    鐘を撞けばどんな願いも叶うという。
    でも撞けば無間の地獄に落ち、その後も今生で地獄をみるという、それでも鐘をつくか?
    必ず地獄に落ちる訳じゃないので、話もバラエティに富んでおり面白かった。
    それは鐘をつきたくなるだろうという人もいた。
    ちょっとずつ人々が絡んでいて良い。
    十三童子がなぜ、人に鐘をつかせるのかと思ってたらラストにちゃんと判明。
    彼自身も無間の地獄に落ちていたのね

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    2026年03月11日
  • うらぎり長屋

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    とても良かった。
    江戸本所の裏路地にある長屋に住む人々のお話。おたつさんの話が一番切なかったなぁ。
    ずっと好きだったなんて。

    序と終章の繋がりが、素晴らしい。
    なるほど!と思って違和感がなくなった。
    「花かんざし」の市太郎にむごいけど、彼らに殺された尾淵屋の人たちからしたら当然の報いだよなぁ。

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    2026年02月09日
  • うらぎり長屋

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    江戸本所の裏路地にあるいわくつきの長屋
    店名は裏霧(うらきり)長屋、表にこぎれいな霧左衛門長屋というのがあって、その裏にあるからうらきり・・・
    だけど人はこう呼ぶ「うらぎり長屋」って。
    うらぶれた、雨漏りのするぼろ屋で
    江戸で生きづらくなった人たちが行きつくところだ。

    住んでいるのは盗みの片棒を担いだ元大工
    怠け者の母親を内職で支える15歳の少女
    昼間から酒を飲み男を待ち続ける女
    客をしくじりどうにもなりゆかなくなった幇間 など
    ぼろ長屋にふさわしい面々が住んでいる。
    それぞれに事情を抱え、日々もがくように生きているのが読んでいて苦しい。
    本当に救いのない人たちばかりだ

    それでも月日がたち

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    2026年02月03日
  • 往来絵巻 貸本屋おせん

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    貸本屋おせんシリーズ2作目
    実は一作目を読んでいないので、ちょっと不安だったけど、一話完結で、それだけで読んでもokだった。
    気っぷの良い貸本屋おせんが、界隈のもめ事?出来事を解決していく。
    江戸時代の貸本…大河ドラマの蔦屋重三郎を見ていたので、何となく仕組みとかが分り、かろうじて読み解ける感じかな。

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    2026年01月31日
  • 往来絵巻 貸本屋おせん

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    おせんが火事にあって、商売道具の本を無くしてしまったところからの、第二弾。貸本、地本問屋、戯作、そして禁制本などが、捕物になってぐんぐん読ませる。出てくる本もなかなか知れない本ばかりで興味が湧く。

    中途半端な仕事しかできない植木職人の信吉が、おせんに惚れていく過程で、情けない男の心情が、手に取るように描かれていて、面白かった。しかもそこにはあっと驚くカラクリがある。「みつぞろえ」は楽しめた。

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    2025年12月21日
  • 天馬の子

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    馬と生活する東北の村。飢饉で暮らしが厳しく、産まれてきた子を間引くこともある。馬の気持ちがわかるリュウが一生懸命生きる。優しい語り口だけど、厳しい現実が書かれているのがいい。

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    2025年10月05日
  • 往来絵巻 貸本屋おせん

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    『貸本屋おせん』の続編。
    大河ドラマ『べらぼう』にも出てるくるが、江戸時代の出版のしくみがいろいろわかって面白い、が使われている言葉も難しく、なかなか私にはすらすらと読み進められないところもある。

    当時の本は印刷されたものだけでなく、写本もあり、貸本屋は自分で写し、貸し出したりもしていたようだ。それゆえ、ちょっと出版したらまずいものも持ち歩いていることもある、ので貸本屋は少し怪しい職業と思われたりもする。

    おせんはそこここで起こる厄介ごとにいつも首を突っ込み、まるで探偵のようでもある。この本は推理ものともいえるかもしれない。

    そして、『べらぼう』でも、『貸本屋おせん』でも、内容はそれほど

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    2025年07月29日
  • 往来絵巻 貸本屋おせん

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    貸本屋おせんの第二弾。
    せんは前作品の最後で火事によって商売道具である蔵書の全てを焼かれてしまった。
    貸していた本が戻ってきつつあるが、商いのできる量の蔵書ではない。
    だからというわけではないが、商売のかたわら、あちこちの書肆に出入りしても不自然ではないという立場を利用して、世話になっている本屋たちが巻き込まれた事件の謎を解いていく。
    絵師の鋭い観察眼が、自覚なきままアリバイ崩しをしていたり、幻の本を巡るせんとセドリと岡っ引きの三つ巴の攻防があったり。
    他人の努力の横取りで儲ける奴がいたり、はたまた小遣い欲しい若者が危ないバイト?

    当時の職人たちの事情や、本屋の仕組みなどが自然に分かる。

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    2025年06月30日
  • 往来絵巻 貸本屋おせん

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    貸本屋おせん第二作。北町奉行を揶揄する狂歌、祭の行列を絵にするが一人足りない話など連作短編集。

    やはりいい。江戸時代の庶民を描く小説は多数あるけれど貸本屋が主人公のものは他にないだろう。書物の尊さ再認識。

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    2025年06月28日
  • 往来絵巻 貸本屋おせん

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    「貸本屋おせん」を読み終わった余韻の冷めないうちにと、発売まもない二巻目の本作を手に取りました。

    江戸の出版業界の内情が綿密に描かれていて、まずそこに興味が湧きました。特に、現代と江戸時代とでは「重版」という言葉の意味が全く違うことに驚かされました。でも、本を愛し、本から得る喜びをできるだけ多くの人と分かち合いたいという、本に関わる人々の願いは今も昔も変わりはないのだなとも思いました。

    もう一つ特筆すべきは、本作では“おせん”のような貸本屋だけでなく、戯作者、絵師、版元、筆耕、彫師、摺師といった出版に関わる人たちの思いに、各話の中でスポットを当てているところです。

    幕府によるご禁制の影響

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    2025年06月08日
  • 貸本屋おせん

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    書店員さんが絶賛される記事を見かけて楽しみにしていましたが、江戸時代版「ビブリア古書堂の事件手帖」みたいにかなと思ったら、主人公が控えめで清楚とは正反対、事件もダークでまぁ別物でした。とは言えそこそこ楽しめました。続きも期待です。
    2025-027

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    2025年06月02日
  • 春のとなり

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    堀川町にある「丸散丹膏生薬」
    薬屋なのだが
    腕のいい医者がいると聞いた患者が押し寄せる。
    売弘所(うりひろめどころ)は
    義父と、息子の嫁とで営む。
    なぜ2人なのか。
    江戸へ出てきた理由は?
    薬を必要とする市井の人たちを巻き込みながら
    話は進んでいく。

    藩のゴタゴタもしつこく無い程度に収められ
    2人の胸の内など展開が早く
    飽きることなく読み進めることができた。

    時代小説が好きで読み続けている。
    インタビューで高瀬乃一さんは
    「修行だと思って、いただいた依頼はすべて受けています」と話す。
    この先も楽しみに待ちたい。

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    2024年07月20日
  • 無間の鐘

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    その鐘をつくとなんでも望みが叶う代わりに、死後は無間地獄で永遠に苦しむに加え、子供も現世の地獄を味わう。それにもかかわらず、鐘をつきたがる人は絶えない。本書では、そんな業の深い人間を描写しているが、中には純粋な気持ちだったり、止むに止まれぬ事情があったりする。その点をうまく織り込んでいるところは面白い。最後の章で、なぜ十三童子がこの鐘を所有しているのかの種明かしがあるが、これも人間の欲の恐ろしさ、欲が不幸を撒き散らすことを改めて突きつけられる。

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    2024年07月14日
  • 無間の鐘

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    修験者のなりをして諸国を放浪する“十三童子“。この役者と見まごうほどの色男は欲をもつ者の前に現れ、願いを叶えたいなら鐘を撞けと誘う。
    彼が持つ「無間の鐘」は願いを叶えてくれるが、鐘を撞いた者は来世で無間地獄に堕ち、子も今生で地獄に堕ちるという。ある者は金持ちになるために、ある者は好いた男の心を捉えるために、またある者は死んだ母に会うために……。人の欲と人情を描く6つの連作短編。

    この「無間の鐘」の設定がすごくいい。
    そんな鐘があったら自分は撞くだろうか?来世で無間地獄に堕ち、我が子が地獄を味わうことなど頓着しないほどのこの世の苦しみがどれほどのことか。様々な闇を抱えた者たちの物語がしみじみと

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    2024年07月04日
  • 江戸に花咲く 時代小説アンソロジー

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    同じ祭りをテーマにしたアンソロジー。
    同じ天下祭の説明の部分を比較しても面白いです。
    もしかしたら一つの祭りに色々なエピソードが組み込まれていたのではと想像しても楽しめます。

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    2024年03月13日
  • 露の宿り

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    地味な女将さんだけれど、肩の力が抜けた性格がこの女将さんの魅力なんだと思う。いい人ばかりではなく、身近に感じられる話ばかりだった。『であいもの』が一番好きな話。

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    2026年06月16日
  • 梅の実るまで―茅野淳之介幕末日乗―

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    ネタバレ

    梅の実るまで
    茅野淳之介幕末日乗

    著者:高瀬乃一
    発行:2025年1月15日
    新潮社
    初出:
    『水仙香』 「小説新潮」2021年6月号
    『萩の小道』 「小説新潮」2021年10月号
    『鑑草』 「小説新潮」2023年7月号
    『千鳥啼く』 「小説新潮」2024年3月号
    『空蝉』『忘れ草』 書き下ろし
    *第38回山本周五郎賞候補

    茅野家は、徒目付だったが、淳之介(主人公)の父である政平が仕事で失敗をして、自害してしまったため、小普請組入りとなり、淳之介には定まった役が与えられていなかった。生活はギリギリで、母親のお市がどうにか工面する。淳之介は27歳にして独身。私塾を開くも、最後の門下生も離れて

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    2026年04月30日
  • うらぎり長屋

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    本所入江町のとある長屋。訳ありの者たちが住む曰く付きの長屋、人呼んで“うらぎり長屋”に新しい木戸番として何やら訳ありの老母と息子がやって来るところから話が始まる。
    そして語られる店子たちそれぞれの事情。仕事を失い、明日への希望もなくした者たち吹き溜まりのような場所。
    彼らの過去と今が描かれる七つの短編。そして彼らが長屋を足掛かりにして小さな一歩を歩み出す姿が描かれる終章。最後にわかる番太郎親子がここに来た理由。

    犯罪に手を染め人生を誤った男たちと、恋心ゆえに道を誤った女たちの姿が哀れ。
    だけど皆どこまでも逞しく、人間はどこからでも真っ当になれるという小さな希望が見え隠れする物語は決して暗く終

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    2026年04月21日