高瀬乃一のレビュー一覧
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江戸本所の裏路地にあるいわくつきの長屋
店名は裏霧(うらきり)長屋、表にこぎれいな霧左衛門長屋というのがあって、その裏にあるからうらきり・・・
だけど人はこう呼ぶ「うらぎり長屋」って。
うらぶれた、雨漏りのするぼろ屋で
江戸で生きづらくなった人たちが行きつくところだ。
住んでいるのは盗みの片棒を担いだ元大工
怠け者の母親を内職で支える15歳の少女
昼間から酒を飲み男を待ち続ける女
客をしくじりどうにもなりゆかなくなった幇間 など
ぼろ長屋にふさわしい面々が住んでいる。
それぞれに事情を抱え、日々もがくように生きているのが読んでいて苦しい。
本当に救いのない人たちばかりだ
それでも月日がたち -
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『貸本屋おせん』の続編。
大河ドラマ『べらぼう』にも出てるくるが、江戸時代の出版のしくみがいろいろわかって面白い、が使われている言葉も難しく、なかなか私にはすらすらと読み進められないところもある。
当時の本は印刷されたものだけでなく、写本もあり、貸本屋は自分で写し、貸し出したりもしていたようだ。それゆえ、ちょっと出版したらまずいものも持ち歩いていることもある、ので貸本屋は少し怪しい職業と思われたりもする。
おせんはそこここで起こる厄介ごとにいつも首を突っ込み、まるで探偵のようでもある。この本は推理ものともいえるかもしれない。
そして、『べらぼう』でも、『貸本屋おせん』でも、内容はそれほど -
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貸本屋おせんの第二弾。
せんは前作品の最後で火事によって商売道具である蔵書の全てを焼かれてしまった。
貸していた本が戻ってきつつあるが、商いのできる量の蔵書ではない。
だからというわけではないが、商売のかたわら、あちこちの書肆に出入りしても不自然ではないという立場を利用して、世話になっている本屋たちが巻き込まれた事件の謎を解いていく。
絵師の鋭い観察眼が、自覚なきままアリバイ崩しをしていたり、幻の本を巡るせんとセドリと岡っ引きの三つ巴の攻防があったり。
他人の努力の横取りで儲ける奴がいたり、はたまた小遣い欲しい若者が危ないバイト?
当時の職人たちの事情や、本屋の仕組みなどが自然に分かる。
謎 -
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「貸本屋おせん」を読み終わった余韻の冷めないうちにと、発売まもない二巻目の本作を手に取りました。
江戸の出版業界の内情が綿密に描かれていて、まずそこに興味が湧きました。特に、現代と江戸時代とでは「重版」という言葉の意味が全く違うことに驚かされました。でも、本を愛し、本から得る喜びをできるだけ多くの人と分かち合いたいという、本に関わる人々の願いは今も昔も変わりはないのだなとも思いました。
もう一つ特筆すべきは、本作では“おせん”のような貸本屋だけでなく、戯作者、絵師、版元、筆耕、彫師、摺師といった出版に関わる人たちの思いに、各話の中でスポットを当てているところです。
幕府によるご禁制の影響 -
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修験者のなりをして諸国を放浪する“十三童子“。この役者と見まごうほどの色男は欲をもつ者の前に現れ、願いを叶えたいなら鐘を撞けと誘う。
彼が持つ「無間の鐘」は願いを叶えてくれるが、鐘を撞いた者は来世で無間地獄に堕ち、子も今生で地獄に堕ちるという。ある者は金持ちになるために、ある者は好いた男の心を捉えるために、またある者は死んだ母に会うために……。人の欲と人情を描く6つの連作短編。
この「無間の鐘」の設定がすごくいい。
そんな鐘があったら自分は撞くだろうか?来世で無間地獄に堕ち、我が子が地獄を味わうことなど頓着しないほどのこの世の苦しみがどれほどのことか。様々な闇を抱えた者たちの物語がしみじみと -
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ネタバレ梅の実るまで
茅野淳之介幕末日乗
著者:高瀬乃一
発行:2025年1月15日
新潮社
初出:
『水仙香』 「小説新潮」2021年6月号
『萩の小道』 「小説新潮」2021年10月号
『鑑草』 「小説新潮」2023年7月号
『千鳥啼く』 「小説新潮」2024年3月号
『空蝉』『忘れ草』 書き下ろし
*第38回山本周五郎賞候補
茅野家は、徒目付だったが、淳之介(主人公)の父である政平が仕事で失敗をして、自害してしまったため、小普請組入りとなり、淳之介には定まった役が与えられていなかった。生活はギリギリで、母親のお市がどうにか工面する。淳之介は27歳にして独身。私塾を開くも、最後の門下生も離れて -
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本所入江町のとある長屋。訳ありの者たちが住む曰く付きの長屋、人呼んで“うらぎり長屋”に新しい木戸番として何やら訳ありの老母と息子がやって来るところから話が始まる。
そして語られる店子たちそれぞれの事情。仕事を失い、明日への希望もなくした者たち吹き溜まりのような場所。
彼らの過去と今が描かれる七つの短編。そして彼らが長屋を足掛かりにして小さな一歩を歩み出す姿が描かれる終章。最後にわかる番太郎親子がここに来た理由。
犯罪に手を染め人生を誤った男たちと、恋心ゆえに道を誤った女たちの姿が哀れ。
だけど皆どこまでも逞しく、人間はどこからでも真っ当になれるという小さな希望が見え隠れする物語は決して暗く終 -
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江戸で生きづらくなった人が行きつく
「うらぎり長屋」そこに住む人たちの
7編からなる短編集
雨漏りがひどく、鼠の死骸が転がっているような
酷い長屋だが、大家の河内屋伝衛門は一向に
修理をしようとしない。そんな劣悪な環境の長屋に住む者は、それぞれが事情を抱えている。癇癪を
おこして親方を殴って逃げてきた石蔵、居もしない亭主が酒豪だと酒屋に嘘をつき、昼から酒浸りの
料亭の女中頭のおたつ。材木屋の若旦那の機嫌を
損ね、お払い箱になってしまった幇間(たいこもち)の小鉢。濡れ衣を着せられ、意地を張り続けた末に紙漉き職人の職を失った平治。決して許されない罪を犯した市太郎など。
どの登場人物も、何らかの形 -
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ネタバレ往来絵巻
貸本屋おせん
著者:高瀬乃一
発行:2025年5月14日
文藝春秋
初出:
オール讀物
『落書落首』2023年5月号
『往来絵巻』2023年11月号
『まさかの身投げ』2024年5月号
『みつぞろえ』2025年1・2月号
書きおろし
『道楽本屋』
2020年のオール讀物新人賞を満場一致で獲得した「をりをり よみ耽り」を含む『貸本屋おせん』シリーズの第二弾。今回も5編の連作短編を楽しませてくれた。いつかは店を構えるぞと夢見て、一人荷を担いで回る貸本屋のおせん。住まう千太郎長屋の住人たちとの人情話、書物業仲間たちとのライバル心を抱きながらも協力しあってトラブルを解決する様子、現代社会