高瀬乃一のレビュー一覧
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★5 リュウも氷室もずっと幸せであってほしい… 馬と共に辛い環境で生き抜く少女の成長譚 #天馬の子
■あらすじ
青森県南部地方、名馬(南部馬)を育てることで生業を得ている村。そこで暮らしている10歳の少女リュウは、家族と共に慎ましい日々をおくっていた。そして彼女は生築という馬を大切に世話をしている。馬の目利きである男が言うには「生築の子どもは天下の馬となる」とのことだが…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 何とも胸が締め付けられる物語だわ…
江戸時代、田舎の貧乏村。ひもじい生活をしている少女リュウの視点で物語は描かれてゆく。彼女の家庭は貧乏で不幸ながらも、村の仲間と共に暮らしている。さ -
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五つの短編集です。
高荷を背負って歩く貸本屋のおせん
江戸時代に こういう商売があったんだね。
私 常連客になりそう。
おせんは いろんな所に出入りしているけど
おせんの人柄と気風が好かれているからなんでしょう。幼馴染の青菜売りの登とも 付かず離れずの関係
嫁に恋と言われても 仕事が好きな女には ちょっと無理
婿に来てくれるんだったらいいよ!
と言っている。
幻の美女と言われたお志津には 人前に出れない事情があるのではないか?
疱瘡だった。
人前に出れないお志津は 貸本を楽しみにしてくれる。おせんとあって この子ならと思って出入りが許された。
お針子としてはいった娘が店に出されるというので足抜 -
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『貸本屋おせん』の続編。
大河ドラマ『べらぼう』にも出てるくるが、江戸時代の出版のしくみがいろいろわかって面白い、が使われている言葉も難しく、なかなか私にはすらすらと読み進められないところもある。
当時の本は印刷されたものだけでなく、写本もあり、貸本屋は自分で写し、貸し出したりもしていたようだ。それゆえ、ちょっと出版したらまずいものも持ち歩いていることもある、ので貸本屋は少し怪しい職業と思われたりもする。
おせんはそこここで起こる厄介ごとにいつも首を突っ込み、まるで探偵のようでもある。この本は推理ものともいえるかもしれない。
そして、『べらぼう』でも、『貸本屋おせん』でも、内容はそれほど -
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貸本屋おせんの第二弾。
せんは前作品の最後で火事によって商売道具である蔵書の全てを焼かれてしまった。
貸していた本が戻ってきつつあるが、商いのできる量の蔵書ではない。
だからというわけではないが、商売のかたわら、あちこちの書肆に出入りしても不自然ではないという立場を利用して、世話になっている本屋たちが巻き込まれた事件の謎を解いていく。
絵師の鋭い観察眼が、自覚なきままアリバイ崩しをしていたり、幻の本を巡るせんとセドリと岡っ引きの三つ巴の攻防があったり。
他人の努力の横取りで儲ける奴がいたり、はたまた小遣い欲しい若者が危ないバイト?
当時の職人たちの事情や、本屋の仕組みなどが自然に分かる。
謎 -
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「貸本屋おせん」を読み終わった余韻の冷めないうちにと、発売まもない二巻目の本作を手に取りました。
江戸の出版業界の内情が綿密に描かれていて、まずそこに興味が湧きました。特に、現代と江戸時代とでは「重版」という言葉の意味が全く違うことに驚かされました。でも、本を愛し、本から得る喜びをできるだけ多くの人と分かち合いたいという、本に関わる人々の願いは今も昔も変わりはないのだなとも思いました。
もう一つ特筆すべきは、本作では“おせん”のような貸本屋だけでなく、戯作者、絵師、版元、筆耕、彫師、摺師といった出版に関わる人たちの思いに、各話の中でスポットを当てているところです。
幕府によるご禁制の影響 -
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修験者のなりをして諸国を放浪する“十三童子“。この役者と見まごうほどの色男は欲をもつ者の前に現れ、願いを叶えたいなら鐘を撞けと誘う。
彼が持つ「無間の鐘」は願いを叶えてくれるが、鐘を撞いた者は来世で無間地獄に堕ち、子も今生で地獄に堕ちるという。ある者は金持ちになるために、ある者は好いた男の心を捉えるために、またある者は死んだ母に会うために……。人の欲と人情を描く6つの連作短編。
この「無間の鐘」の設定がすごくいい。
そんな鐘があったら自分は撞くだろうか?来世で無間地獄に堕ち、我が子が地獄を味わうことなど頓着しないほどのこの世の苦しみがどれほどのことか。様々な闇を抱えた者たちの物語がしみじみと -
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人と種族の価値観の違いを認識させられて小説。
時代小説は、読むと現代はいかに自由であるか再認識させられます。
やはり、たまに読むことが大切だと感じました。
天馬の子は、馬で成り立っている村で生活している少女の話です。
生きるために何をするのか?、周りは同様に生きようともがいているのか?
生まれの家系で扱いが違う。あまりにも理不尽さを感じました。
でも、昔はそれが当たり前で常識だった。
僕らは現代に生まれていかに恵まれているのか。どんだけ贅沢の暮らしをしているのか。
「足るを知る」心が大切だと改めて感じますね。
傲慢になっている時には時代小説はいい教訓になりました。 -
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ネタバレ夫の仇を討つために、義父と江戸へやってきた奈緒。医者である義父の手伝いをしながら、手掛かりを探すが。。。という話。杉江松恋さんが以前紹介していたので、気になっていた一冊。
突然悲劇を背負ってしまった2人が不憫だが、故郷を出奔してまで覚悟があったにせよ、受け身でしか行動を起こせなないことに、もどかしさを感じる。しかも義父の文二郎は、うすうす事情を分かっていたはずだし、他に何かやりようはなかったのか。平賀源内が裏の主人公ではあるが、彼と知り合ったのも偶然だったわけだし。仇を討つのか、それとも真相が知りたいのか、その心の持ちようが今一つで、奈緒の気持ちもフラフラと揺れ動くのも仕方がない。最後は大団円 -
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南部藩の忍野村という寒村で生まれ育ち、馬の世話をすることを生きがいとする少女リュウの成長譚。日々の暮らしに精一杯で、天候に生死が左右される貧困、生まれ落ちた瞬間に生涯の道筋が決まってしまうという身分制、時に男性のもとで虐げられる女性という性……さまざまな理不尽をひとつひとつ見つめてゆく彼女の視線はどこまでも真っすぐだ。
その日その日を生きていく厳しさが切々と語られるからこそ、人も馬も、一つひとつの命の重さが光っている。そこでは日々、”命のやり取り”ともいうべきものが行われている。それは生きる者と死ぬ者という単なる二元論ではない。命をつないでゆくために、尊厳や、プライドや、信念を時には差し出さね