高瀬乃一のレビュー一覧

  • 天馬の子

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    ★5 リュウも氷室もずっと幸せであってほしい… 馬と共に辛い環境で生き抜く少女の成長譚 #天馬の子

    ■あらすじ
    青森県南部地方、名馬(南部馬)を育てることで生業を得ている村。そこで暮らしている10歳の少女リュウは、家族と共に慎ましい日々をおくっていた。そして彼女は生築という馬を大切に世話をしている。馬の目利きである男が言うには「生築の子どもは天下の馬となる」とのことだが…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    ★5 何とも胸が締め付けられる物語だわ…

    江戸時代、田舎の貧乏村。ひもじい生活をしている少女リュウの視点で物語は描かれてゆく。彼女の家庭は貧乏で不幸ながらも、村の仲間と共に暮らしている。さ

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    2025年11月15日
  • 梅の実るまで―茅野淳之介幕末日乗―

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    幕末の武士のお話。身分は武士であるが、学問所を開いて広く武士や町人、子どもにまで教えている。基本ごろごろのんびりしている先生だけど、幕末の動乱の波に否応なく揉まれていく。
    学ぶということは他者に寛容になること。叡知により人と繋がり、助け助けられ。
    反乱軍に加わり亡くなってしまった若者。道端で行きだおれていてもかかわり合いになりたくないため見て見ぬふりをする町の人々。しかしながら日頃口うるさい母上は丁寧に弔い庭の花をそっと手向ける。時代とは関係なく人として自分が出きる良きことを行う、その姿が心に残る。

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    2025年07月31日
  • 貸本屋おせん

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    五つの短編集です。
    高荷を背負って歩く貸本屋のおせん
    江戸時代に こういう商売があったんだね。
    私 常連客になりそう。
    おせんは いろんな所に出入りしているけど
    おせんの人柄と気風が好かれているからなんでしょう。幼馴染の青菜売りの登とも 付かず離れずの関係
    嫁に恋と言われても 仕事が好きな女には ちょっと無理
    婿に来てくれるんだったらいいよ!
    と言っている。
    幻の美女と言われたお志津には 人前に出れない事情があるのではないか?
    疱瘡だった。
    人前に出れないお志津は 貸本を楽しみにしてくれる。おせんとあって この子ならと思って出入りが許された。
    お針子としてはいった娘が店に出されるというので足抜

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    2025年06月18日
  • 春のとなり

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    殺されたが自害したとされた宗十郎の敵をとるために江戸へ出た父と妻。貧乏な薬屋を営みながら事件の裏の陰謀を探る。

    いや〜素晴らしく面白かった。様々な病気と対処法、義理と人情。メインの謎以外のサブの謎解きも巧い。江戸時代を舞台にする小説のニュースタンダードだ!

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    2024年10月08日
  • 江戸に花咲く 時代小説アンソロジー

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    <江戸の祭り>をテーマにした時代小説アンソロジー。
    祭りぎらい西條 奈加/狸穴屋お始末日記シリーズより    
    天下祭諸田 玲子/武道の達人だった初老の男の所に押しかけてきた娘 
    関羽の頭頂三本 雅彦/運び屋円十郎シリーズより 
    往来絵巻高瀬 乃一/貸本屋おせんシリーズより 
    氏子冥利宮部 みゆき/三島屋変調百物語シリーズより
    三島屋ものは皆読んでいるが、シリーズよりの作品はやはり面白く、シリーズの他の物語も読みたくなる。職種としても興味深い狸穴屋と運び屋が良いかな。

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    2024年03月12日
  • 天馬の子

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    馬と生活する東北の村。飢饉で暮らしが厳しく、産まれてきた子を間引くこともある。馬の気持ちがわかるリュウが一生懸命生きる。優しい語り口だけど、厳しい現実が書かれているのがいい。

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    2025年10月05日
  • 往来絵巻 貸本屋おせん

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    『貸本屋おせん』の続編。
    大河ドラマ『べらぼう』にも出てるくるが、江戸時代の出版のしくみがいろいろわかって面白い、が使われている言葉も難しく、なかなか私にはすらすらと読み進められないところもある。

    当時の本は印刷されたものだけでなく、写本もあり、貸本屋は自分で写し、貸し出したりもしていたようだ。それゆえ、ちょっと出版したらまずいものも持ち歩いていることもある、ので貸本屋は少し怪しい職業と思われたりもする。

    おせんはそこここで起こる厄介ごとにいつも首を突っ込み、まるで探偵のようでもある。この本は推理ものともいえるかもしれない。

    そして、『べらぼう』でも、『貸本屋おせん』でも、内容はそれほど

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    2025年07月29日
  • 往来絵巻 貸本屋おせん

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    貸本屋おせんの第二弾。
    せんは前作品の最後で火事によって商売道具である蔵書の全てを焼かれてしまった。
    貸していた本が戻ってきつつあるが、商いのできる量の蔵書ではない。
    だからというわけではないが、商売のかたわら、あちこちの書肆に出入りしても不自然ではないという立場を利用して、世話になっている本屋たちが巻き込まれた事件の謎を解いていく。
    絵師の鋭い観察眼が、自覚なきままアリバイ崩しをしていたり、幻の本を巡るせんとセドリと岡っ引きの三つ巴の攻防があったり。
    他人の努力の横取りで儲ける奴がいたり、はたまた小遣い欲しい若者が危ないバイト?

    当時の職人たちの事情や、本屋の仕組みなどが自然に分かる。

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    2025年06月30日
  • 往来絵巻 貸本屋おせん

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    貸本屋おせん第二作。北町奉行を揶揄する狂歌、祭の行列を絵にするが一人足りない話など連作短編集。

    やはりいい。江戸時代の庶民を描く小説は多数あるけれど貸本屋が主人公のものは他にないだろう。書物の尊さ再認識。

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    2025年06月28日
  • 往来絵巻 貸本屋おせん

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    「貸本屋おせん」を読み終わった余韻の冷めないうちにと、発売まもない二巻目の本作を手に取りました。

    江戸の出版業界の内情が綿密に描かれていて、まずそこに興味が湧きました。特に、現代と江戸時代とでは「重版」という言葉の意味が全く違うことに驚かされました。でも、本を愛し、本から得る喜びをできるだけ多くの人と分かち合いたいという、本に関わる人々の願いは今も昔も変わりはないのだなとも思いました。

    もう一つ特筆すべきは、本作では“おせん”のような貸本屋だけでなく、戯作者、絵師、版元、筆耕、彫師、摺師といった出版に関わる人たちの思いに、各話の中でスポットを当てているところです。

    幕府によるご禁制の影響

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    2025年06月08日
  • 貸本屋おせん

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    書店員さんが絶賛される記事を見かけて楽しみにしていましたが、江戸時代版「ビブリア古書堂の事件手帖」みたいにかなと思ったら、主人公が控えめで清楚とは正反対、事件もダークでまぁ別物でした。とは言えそこそこ楽しめました。続きも期待です。
    2025-027

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    2025年06月02日
  • 春のとなり

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    堀川町にある「丸散丹膏生薬」
    薬屋なのだが
    腕のいい医者がいると聞いた患者が押し寄せる。
    売弘所(うりひろめどころ)は
    義父と、息子の嫁とで営む。
    なぜ2人なのか。
    江戸へ出てきた理由は?
    薬を必要とする市井の人たちを巻き込みながら
    話は進んでいく。

    藩のゴタゴタもしつこく無い程度に収められ
    2人の胸の内など展開が早く
    飽きることなく読み進めることができた。

    時代小説が好きで読み続けている。
    インタビューで高瀬乃一さんは
    「修行だと思って、いただいた依頼はすべて受けています」と話す。
    この先も楽しみに待ちたい。

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    2024年07月20日
  • 無間の鐘

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    その鐘をつくとなんでも望みが叶う代わりに、死後は無間地獄で永遠に苦しむに加え、子供も現世の地獄を味わう。それにもかかわらず、鐘をつきたがる人は絶えない。本書では、そんな業の深い人間を描写しているが、中には純粋な気持ちだったり、止むに止まれぬ事情があったりする。その点をうまく織り込んでいるところは面白い。最後の章で、なぜ十三童子がこの鐘を所有しているのかの種明かしがあるが、これも人間の欲の恐ろしさ、欲が不幸を撒き散らすことを改めて突きつけられる。

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    2024年07月14日
  • 無間の鐘

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    修験者のなりをして諸国を放浪する“十三童子“。この役者と見まごうほどの色男は欲をもつ者の前に現れ、願いを叶えたいなら鐘を撞けと誘う。
    彼が持つ「無間の鐘」は願いを叶えてくれるが、鐘を撞いた者は来世で無間地獄に堕ち、子も今生で地獄に堕ちるという。ある者は金持ちになるために、ある者は好いた男の心を捉えるために、またある者は死んだ母に会うために……。人の欲と人情を描く6つの連作短編。

    この「無間の鐘」の設定がすごくいい。
    そんな鐘があったら自分は撞くだろうか?来世で無間地獄に堕ち、我が子が地獄を味わうことなど頓着しないほどのこの世の苦しみがどれほどのことか。様々な闇を抱えた者たちの物語がしみじみと

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    2024年07月04日
  • 江戸に花咲く 時代小説アンソロジー

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    同じ祭りをテーマにしたアンソロジー。
    同じ天下祭の説明の部分を比較しても面白いです。
    もしかしたら一つの祭りに色々なエピソードが組み込まれていたのではと想像しても楽しめます。

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    2024年03月13日
  • 天馬の子

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    人と種族の価値観の違いを認識させられて小説。

    時代小説は、読むと現代はいかに自由であるか再認識させられます。
    やはり、たまに読むことが大切だと感じました。

    天馬の子は、馬で成り立っている村で生活している少女の話です。
    生きるために何をするのか?、周りは同様に生きようともがいているのか?
    生まれの家系で扱いが違う。あまりにも理不尽さを感じました。

    でも、昔はそれが当たり前で常識だった。
    僕らは現代に生まれていかに恵まれているのか。どんだけ贅沢の暮らしをしているのか。
    「足るを知る」心が大切だと改めて感じますね。
    傲慢になっている時には時代小説はいい教訓になりました。

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    2025年11月11日
  • 春のとなり

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    ネタバレ

    夫の仇を討つために、義父と江戸へやってきた奈緒。医者である義父の手伝いをしながら、手掛かりを探すが。。。という話。杉江松恋さんが以前紹介していたので、気になっていた一冊。
    突然悲劇を背負ってしまった2人が不憫だが、故郷を出奔してまで覚悟があったにせよ、受け身でしか行動を起こせなないことに、もどかしさを感じる。しかも義父の文二郎は、うすうす事情を分かっていたはずだし、他に何かやりようはなかったのか。平賀源内が裏の主人公ではあるが、彼と知り合ったのも偶然だったわけだし。仇を討つのか、それとも真相が知りたいのか、その心の持ちようが今一つで、奈緒の気持ちもフラフラと揺れ動くのも仕方がない。最後は大団円

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    2025年10月21日
  • 貸本屋おせん

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    今年の大河ドラマ、べらぼうで知った江戸時代からあったという貸本屋の存在。
    両親を失いながらもたくましく生きる江戸っ子のせん。
    ひとつひとつの物語が痛快で読みやすかった。

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    2025年10月19日
  • 天馬の子

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    南部藩の忍野村という寒村で生まれ育ち、馬の世話をすることを生きがいとする少女リュウの成長譚。日々の暮らしに精一杯で、天候に生死が左右される貧困、生まれ落ちた瞬間に生涯の道筋が決まってしまうという身分制、時に男性のもとで虐げられる女性という性……さまざまな理不尽をひとつひとつ見つめてゆく彼女の視線はどこまでも真っすぐだ。
    その日その日を生きていく厳しさが切々と語られるからこそ、人も馬も、一つひとつの命の重さが光っている。そこでは日々、”命のやり取り”ともいうべきものが行われている。それは生きる者と死ぬ者という単なる二元論ではない。命をつないでゆくために、尊厳や、プライドや、信念を時には差し出さね

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    2025年10月07日
  • 天馬の子

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    現代よりも男尊女卑や生き死にといったものが暮らしの中に色濃くあった江戸時代の東北を舞台に少女が馬を通して命の重さと生まれてくる意味に触れ、一個の人間として自分が求める生き方に苦労しながらも進んでいこうと成長する姿は、展開に新味はないけれど、やっぱり眩しい。最後の手紙の部分で説明的に纏めにかかっているところはなくても良かったと思います。

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    2025年10月05日