天馬の子

天馬の子

2,090円 (税込)

10pt

3.6

『貸本屋おせん』で日本歴史時代作家協会賞新人賞受賞、
『梅の実るまで』で山本周五郎賞候補となった注目の新鋭が満を持して放つ感涙の長編時代小説!

南部藩の村に生まれたリュウは馬と心を通わせる10歳の少女。厳しい自然のなかで名馬「奥馬」を育てる村では、時に人よりも馬が大切にされていた。リュウの家にも母馬が一頭いるが、毛並みの良い馬ではない。優れた馬乗りだった兄が二年前に亡くなり、家族は失意のなかにあった。祖父は孫娘に厳しく、母は小言ばかり。行き場のない言葉を抱えたリュウが馬の世話の合間に通うのは「柳の穴」と呼ばれる隠れ家だった。姉のようにリュウを見守る隣村の美少女セツ。村の有力者の優しくてドジな次男坊チカラ。「穴」に住む家無しのスミ。そこでは藩境を隔てて隣り合う村の子どもが集まり、自由な時を過ごしていた。

ある日、片腕のない見知らぬ男が「穴」に現れる。「仔は天下の御召馬になる」。馬喰(馬の目利き)の与一を名乗る男はリュウの育てる母馬を見て囁いた。将軍様の乗る御馬、即ち「天馬」。しかし天馬は天馬から生まれるのが世の道理。生まれにとらわれず、違う何かになることなどできるのだろうか? リュウは「育たない」と見捨てられた貧弱な仔馬を育て始める。

村を襲う獣、飢饉、「穴」の仲間や馬たちとの惜別。次第に明らかになる村の大人たちの隠しごと。与一との出会いから大きくうねり始めるリュウと仔馬、仲間たちの運命。なぜ人の命も馬の命も、その重さがこんなにも違うのか。馬も人も、生まれや見た目がすべてなんだろうか。いつか大人になったら、すべてわかる日が来るのだろうか?

生きることの痛みも悔しさも皆、その小さな体に引き受けながら、兄の遺したたくさんの言葉を胸に、少女と仔馬は生きる道を切り拓いていく。

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天馬の子 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    ★5 リュウも氷室もずっと幸せであってほしい… 馬と共に辛い環境で生き抜く少女の成長譚 #天馬の子

    ■あらすじ
    青森県南部地方、名馬(南部馬)を育てることで生業を得ている村。そこで暮らしている10歳の少女リュウは、家族と共に慎ましい日々をおくっていた。そして彼女は生築という馬を大切に世話をしている

    0
    2025年11月15日

    Posted by ブクログ

    馬と生活する東北の村。飢饉で暮らしが厳しく、産まれてきた子を間引くこともある。馬の気持ちがわかるリュウが一生懸命生きる。優しい語り口だけど、厳しい現実が書かれているのがいい。

    0
    2025年10月05日

    Posted by ブクログ

    人と種族の価値観の違いを認識させられて小説。

    時代小説は、読むと現代はいかに自由であるか再認識させられます。
    やはり、たまに読むことが大切だと感じました。

    天馬の子は、馬で成り立っている村で生活している少女の話です。
    生きるために何をするのか?、周りは同様に生きようともがいているのか?
    生まれの

    0
    2025年11月11日

    Posted by ブクログ

    南部藩の忍野村という寒村で生まれ育ち、馬の世話をすることを生きがいとする少女リュウの成長譚。日々の暮らしに精一杯で、天候に生死が左右される貧困、生まれ落ちた瞬間に生涯の道筋が決まってしまうという身分制、時に男性のもとで虐げられる女性という性……さまざまな理不尽をひとつひとつ見つめてゆく彼女の視線はど

    0
    2025年10月07日

    Posted by ブクログ

    現代よりも男尊女卑や生き死にといったものが暮らしの中に色濃くあった江戸時代の東北を舞台に少女が馬を通して命の重さと生まれてくる意味に触れ、一個の人間として自分が求める生き方に苦労しながらも進んでいこうと成長する姿は、展開に新味はないけれど、やっぱり眩しい。最後の手紙の部分で説明的に纏めにかかっている

    0
    2025年10月05日

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