あらすじ
お役目がなく学問で身を立てることもできない淳之介は、幼なじみの同心から頼まれたある娘の見張りをきっかけに、攘夷の渦中へと呑み込まれてゆく。徳川の世しか知らないながらも、武士という身分に疑問を抱き始めた青年がようやく見つけた、次代につながる道とは。生へのひたむきな問いが胸を打つ、人間味溢れる時代小説。
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Posted by ブクログ
幕末の武士のお話。身分は武士であるが、学問所を開いて広く武士や町人、子どもにまで教えている。基本ごろごろのんびりしている先生だけど、幕末の動乱の波に否応なく揉まれていく。
学ぶということは他者に寛容になること。叡知により人と繋がり、助け助けられ。
反乱軍に加わり亡くなってしまった若者。道端で行きだおれていてもかかわり合いになりたくないため見て見ぬふりをする町の人々。しかしながら日頃口うるさい母上は丁寧に弔い庭の花をそっと手向ける。時代とは関係なく人として自分が出きる良きことを行う、その姿が心に残る。
Posted by ブクログ
副題:茅野淳之介幕末日乗。
小普請組の下っ端御家人・茅野淳之介が見た幕末から明治を描いた連作短編集。
著者はタカセノイチさんという売り出し中の女性時代小説作家さんです。
何と言えばいいだろう。ストーリーはひどいと思う。しばしばいきなり場面転換して置いて行かれる。何か起きたことに対する登場人物のリアクションが余りに嘘っぽい。登場人物のキャラクターも不統一(剣はからっきしのはずの主人公が相手を打ち破る)etc.etc.
ただエンディング(短編集なので幾つもある)は妙に感動的で良いのです。
さて、もう一冊手を出すかどうか、悩ましい所です。
Posted by ブクログ
茅野淳之介、この男、まことに剣術ふるわぬ木偶侍なのだろうか?であればすこぶる運が良いのか?使い手と思しき輩に絡まれ、万事休すの場面においてなぜかしら相手を斃すことたびたび。描写はあれど、よく分からぬままに斬って生き残っている。はたしてその実、武芸が達者なのではと思わせる。震えつつも悪漢に対して意見をやってみせるし、鈍のようでなかなか肝が据わってもいるのだ。ともあれ、幕末とは生きにくい。籠絡せんと、あだをあげる連中で溢れている。俺ならどう生きたのか。長いものに巻かれてあざとく切り抜けたろうか。それもやだね。