木原浩勝のレビュー一覧
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ネタバレ「天空の城ラピュタ」で制作進行を務めた著者の、ジブリ入社前からラピュタ完成までの回顧録。
当時は現在のようにデジタル化されていなかったため、宮崎監督が作成した絵コンテを元に、レイアウト、原画、動画を人の手で作っていた。それゆえに膨大な工数がかかり、開始直後から常に納期との闘い。
特に各部門の橋渡し的な役割である制作担当は、制作の遅れを取り戻すために自分の時間を削ってスケジュール調整を行うため、最も過酷と言われているらしい。著者も昼夜関係なくスタジオにこもり、命を削って仕事をしたとのこと。
今の感覚では、体育会系でブラック企業だと言われてしまいそうだけど、当時の創設されたばかりのスタジオジブリは宮崎監督を慕って集まった若者が多く血気盛んで、ジブリの語源のごとく熱く自由な雰囲気だったらしい。
そんなエネルギーに満ち溢れたチームの中だからこそ生まれた名作だと思うし、それくらいの厳しさの中でないと生まれないものなのかなと思った。
著者も述べているように、宮崎駿監督は、「天才」の一言で片付けては行けないほど苦労されていることが分かる。完成から公開まで10日というギリギリの時間の中で、最後の最後まで物語の完成度を高めていったことが記録されていた。
タイトルにもある「もう一つのバルス」のエピソードはその凄さがよく分かる。何気ない手の向きの変更によって物語のイメージが全く変わってしまう。
会社の存続がかかったプレッシャーの中で、最後までこだわって完成させた精神力は、巨匠と呼ばれたる所以なのかなと思った。
「アニメーションは、スタジオという筒の中にスタッフを詰め込み、監督という棒をそこに突っ込んで、押したらポンっと出来上がる、ところてんのようなものではない。
プロデューサー、監督をはじめ、多くのスタッフや関係者の汗と力を結集し、常に物語や作画・美術の質、スケジュールや予算と闘い、もがき、苦しみ、紆余曲折の末に生まれるものだと、僕は今も思っている。」
そうした奇跡のジブリ作品の名作の数々を楽しめる環境にいることをうれしく思う。 -
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ネタバレ白血病で死んでしまった息子と生前交わした約束。それは、死んだ後も自分という存在があり、死後も世界の続きがあると証明するというもの。そしてある日、私は息子の仏壇である光景を目にしたのです。
こちらの本は怖い!というより、二巻の様に不思議な話だったり、優しいような、感動するような話が多い。このシリーズは交互に怖い巻、不思議で感動する話という風に調節しているのだろうか?怖かったのは「関西の女」。家賃が破格の安アパートには何かいわくありげだがそこに出る、女が非常に謎深き。といったところ。何があったのか、語り手が調べていないので、真相は闇のなかだが語り手の男が酔っ払っていることに起因しているようなので、酔っ払った男に何かされたのか?妊娠したなどと言っていたので、恋仲だったのか……。妊娠したが認めてくれずその果てに絶望し死んでしまったなどいろいろ邪推できるがどれも推測の域を出ない。 この幽霊の不気味さが際立つのは同じ部屋に複数人酔っ払いがいた場合全員の袂に同じタイミングで出て、同じ行動を仕掛けてくるというところだった。どのような状態で話しかけ、肩をたたいているのか想像するだけでゾッとする。まさか、分裂しているわけじゃあるまいな?と考えて背筋が寒くなった。 -
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ネタバレ夜になると蔵の中から宴会の声が聞こえてくることに気がつく。母にその事を話すと、一緒に見に行ってくれると約束してくれた。約束通り蔵を見に行くとそこには誰もおらず、ただ、荷物があるばかりだったが……?
前作に比べ、怖い話もあるが、後半は感動話のようなものが多くあり、やや物足りない印象。前作はただひたすらに怖かったので少し残念。その中でも怖いのはいくつかあり、おすすめは「凶宅」と本書タイトルの「蔵の中」。 「凶宅」は家自体がそうなのか、それとも家に住まうものの仕業なのか……。「蔵の中」は子供だけに訪れる不思議な体験かな?と思っていたが、思っていたよりずっと怖かった。語り手が子供のころの感性で語っているため、文面だけで恐怖を感じることはないが、深く考えるとどうにも恐ろしい。楽しそうな声だったので、良きものかと思ったが、違うようだ。最後の方は、隣の家の人が語るかつての娘の話で感動寄りになったかとも思ったが、蔵の中にあった件の物をみた母親が「怖いからやめてくれ」と言っていたのでどうやらそうでもなさそう。件の物の詳細を語り手が目撃しておらず、また母親からの聞き取りも難しそうなので、結末を我々が知ることはできないだろうが、不穏であることは間違いなさそうだ。 -
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実話怪談シリーズ『新耳袋』の第一作。
初単行本は1990年に扶桑社から。その後1998年にメディアファクトリーから改訂され再刊、2002年に角川文庫で文庫化。
体験談をほぼそのまま書く、というスタイルで、著者の考察や、怖がらせようという演出はほとんど無し。
リアル過ぎるあまり、心霊スポットに行ったが、怖くてすぐに帰った、という話もあり、内容説明にあるような“怖い話”は、自分には見当たらなかったですね。怪談イコール怖い話ではない、という証明のような体験談集となっています。
全てごく短い話で、文庫本1ページで終わってしまう話もあり、全ての話が関心を持つ前に終わる、という感じで、自分的には印象に残る話はありません。
これは人の好みですが、自分には不思議な話ではなく、不思議な話に対する考察に興味があるのだ、と気付かされた内容でもあります。 -
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暴れん坊で悪行三昧の中学生に行われた懲らしめの方法とは。――『眼』
家族の周囲で突然起き始めた怪異。そのきっかけは、ある一つの行為だった。――『竈』
その主婦は、夫ともその母親ともとても仲が良く、諍い一つなく同居していた。会社からの辞令で二人は母親から離れて暮らすことになったのだが、しばらくすると、いるはずのない人が現れるようになる。――『姑』
高熱を出して寝込んだ父の元に現れた白い着物姿の女。父が当てられた“忌”とは。――『鏡』
小さな雑居ビルの三階にあった会社が突然引っ越した。二階の工務店に勤める社員の一人は「幽霊が原因では」と言うが社長は意に介さない。だがそれをきっかけに複数の社員の目撃談や体験談が表面化し、ついに社長自身も体験してしまう。そして社長が決断したのは。――『錆』
編者自身が「もっとも重い怪談集」と語る、これまで編者が出したものとは全く異なる趣の怪談集。どことなく「怪談初心者向け」のような雰囲気があるので、怪談に慣れ親しんだ大人が読むと「全く物足りない」と感じるだろう。なので、小中学生に薦めたい怪談集だ。