日日日のレビュー一覧
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狂乱家族日記拾弐さつめ
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狂乱家族日記拾弐さつめ
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Posted by ブクログ
“私、西表耶麻子は、南愛治くんのことが大大大好きです。いつでも見ていました。いつでも想っていました。恋をしていました。でも私はその感情を、誰にも知られないようにと執拗に隠していました。……恥ずかしいから?いいえ、恋を失うのが怖かっただけです。恋をするのは楽しいのです。授業中にこっそりと愛治くんを見つめたり、渡せないラブレターを書いてみたり、そういった行為がとても楽しく、幸せで、やめられなくなり、いつしか私は中毒になっていました。やめられませんでした。あなたのことを好きだと思うこと、それ自体が楽しみになり、ほんとうの自分の心を置いてけぼりにしていました。私はあなたのことが好きです。でも大大大好きではありません。みっつの『大』をあなたに付加したのは私の卑しい心です。あなたを過分に評価して、美化して偶像化して、こんな素晴らしいひとに恋をしている私はなんて素晴らしい人間なんだろう、と、自己満足をしていただけです。
私は、不良たちといっしょに煙草を吸う人間が嫌いです。
私は、皆ががんばっているのにひとりだけサボる人間が嫌いです。
私は、他に好きなひとがいる相手にいつまでも拘泥はしていられません。
私、西表耶麻子は、南愛治くんのことが好きです。
大大大好きではなかったのに。”
泣けた。
すぐ読めちゃう短編なのに、ぎゅっと話が詰まってる。
しかも、深い。
日日日さんの作品好きだ。
“嘲るというより、やっぱり哀しそうなのだった。
「誰も、わかんないよ、正解なんか、きっとないよ。なのに、どっかにきれいな真実が、ほんとうの愛があるとか、思いこんじゃって、小説とか映画にだまされて、みんな勘違いしちゃうんだ」
そして話は元に戻る。
「吉乃さんも、きっとそう。わからないんだ、だから不安で探し求めてるんだ。だけど、たぶん、彼女の欲しいものは見つからない。きれいなものは、高くて手が届かないところにあるんじゃなくて、いつでもここにあるのに」
胸元に手を当てて、筧はやっぱり抑揚のない声でつぶやく。
「どこか外側にそれを求めたら、期待どおりにいかなくて、失敗して、落ちこむだけ。ツギハオ、吉乃さんは、このままじゃ疲れきっちゃうよ。他のひとに栄養をふりまいて、自分の胸のなかにある芽を腐らせちゃうよ」
それを僕に言って、どうしろというのだ。
おおきなお世話ではないのか、吉乃さんはあれでも幸せそうじゃないか。
筧は頷くと、結論めいたことをつぶやいた。
「そうだね、吉乃さんはいいひとだから、都合のいいひとだから、みんなが利用してもてあそんで使い捨てるんでしょう。だから、誰かが愛してあげなくちゃ。ほんとうに、心から」
「吉乃さんはいつも、楽しく恋をして、男の子に愛されてるよ」
言い訳するように告げる僕を、筧は立ちあがり、じっと見つめてくる。
「恋愛なんかじゃない」
やっぱり、僕のことを何やら誤解しているような口調で。
「ツギハオ、あなたわかってるんでしょう」
何をだ。” -
Posted by ブクログ
最初の本の発売当時、話題になりましたね。
何と著者様が高校生の時の作品とか。
自分的には、微妙かな~、でした。
とりあえず、文章や惹きこむ力は高校生どころか新人さんの
物でないレベルですね。
淡々とした(殺伐とした、かも)文章・話なのに気になる気になる。
ヒロイン・ちーちゃんも魅力的です。
でも、主人公・悠斗たちを取り囲む現実はあまりに深刻なのに、
それについてが丸投げになってしまってるあたりは
学生さんらしいなと思いました。主人公が高校生なことを含めて。
ある意味、その「現実」が「異世界」になってしまってるというか…
社会人になると、「社会」ってもっと遠くて近いというか、
それを無視した「世界」は認識しにくいなぁというか…
(税金・保険などでいやでも認識するからかと)
あと、あとがきの作者様の
「五年前の日記が全国公開されるとなったらやばい部分は消す」も
若い方らしい。
「本」て形で世に出てしまってるのだから、どこが変わったか、
何故変わってるのかが解るほうが恥ずかしい気も…
そこを開き直れるのも大人ですが(笑) -
Posted by ブクログ
“同じ言葉を繰りかえす。
「いちどでも、あなたは好きって言ったのかな?」
真っ直ぐに前を見て。
「言葉を尽くしてもいないくせに、ぜんぶ諦めて逃げてたのは誰?ちょっと拒絶されただけで、ぜんぶ怖がって引きこもったのは誰?全てを奪われた?目を逸らして、手を放して、見ないふりして捨てたのは誰?」
世界の全てに憎悪を振りまき、暗闇のなかで拗ねていた過去の自分自身に告げるように。あのとき、光とともに希望を見せてくれた少年の言葉を、受け継ぐために。同じように苦しんでいる目の前の不器用な男を、助けてあげるために。
伊依はすなおに告げた。
「傷ついた?奪われた?あなただけだと思っているの?周りのひとたちに、ちょっとでも迷惑だって思わなかったの?自分が痛いよ寂しいよ。理解してほしいよって叫ぶ前に、あなたは周りを理解する努力をしたのかな?」
「お、俺は――」
「そう。あなただよ」
伊依は相手の目を正面から覗きこんだ。
「魔王じゃない。あなたは化け物の王者じゃない。肩書きじゃない。名前は知らないけど、誰かの複製じゃなく、心をもったあなただ。あなたの自我に言ってるんだ。聞こえてる?聞こえないよね。届かないよね。こんなに遠い。だから――」
自分はこれで限界だ。もう動けない。
だからこそ。
「お願い魔姫さん」
狼狽える魔王の背後から、そっと伸ばされる手があった。”
アンダカ最終巻。
魔王との最終決戦。
ちっぽけだった彼女はおおきくなり、壮大な夢を見事に叶えた。
声を枯らしても叫ぶことを止めなかった彼女の言葉は皆に届いた。
いい話だったー。このエンドはすごく嬉しい。
半泣きだ。
“『それではつづきまして、校長先生のお話です』
戦争のときから立っているという、朽ちかけの朝礼台に向かって、自分の出番かと古頃の校長先生が顔をあげる。先任の宇宙木先生の推薦があり、また本人も希望し、必要な資格なども取得し――万雷の拍手で迎えられた話題の人物だ。
無駄話をしていた新入生たちが、一斉に緊張して押し黙る。
怪造学を志すなら、誰でも彼女の名前を知っている。
でもね。たぶんね。
新入生のなかで、いちばん最初にその名前を知ったのは。
いちばん、尊敬しているのは――わたしだよ。
『はいはいはいっ』
元気よく声をあげ、そのひとは急がなくてもいいのにダッシュで朝礼台に登り、ばたばたと足音を響かせてスタンドマイクを握りしめた。
(中略)
『あたしの夢は、叶ったよ』
噛みしめるように、伊依さんは宣言した。
繰りかえし、わたしたち全てに問いかける。
『あなたには、夢がある?あなたの夢は、なぁに?夢なんか叶わないって、そんな寂しいことは言わないで。夢は叶うよ。それを忘れないで。あなたの人生をたいせつにして。怪造学は、きっとその幸せを、毎日を、支えてくれる。つらいことがあったら、友達も先生もいる。さらに、あなたたちには怪造生物もいるんだからね?』
居並ぶ生徒たちのなかにも、怪造生物をつれているものが数多い。無数に並んだ子供たちと怪造生物の交ざりあった光景を、伊依さんさんは真っ直ぐに、幸福そうに眺めて。
『最後に、怪造学を志すうえで、あたしがたいせつにしてきた言葉を、信条を、みんなに教えます。怪造学に長く伝わっているものじゃないけど、つらいときに思いだせば、絶対助けになってくれるから。その気持ちさえ忘れなければ、独りで苦しむこともなく、心は支えられるから。その言葉はね、簡単だよ』
もちろん、新入生はみんな、言われるまでもなく知っていた。
だから、前もって練習してきたみたいに。
「「「「「怪造生物は友達です!!」」」」」
男の子が。女の子が。声を揃えて、一斉に声を張りあげた。
伊依さんはそれを聞いて、目を丸くしていたけれど。
やがて彼女らしい満面の笑みで、親指をぐっと空に突きあげたのだ。
『――そのとおり!!』” -
Posted by ブクログ
“「あなたは」
舞弓は、敬語を滅多に口にしない彼女の信条からは意外なことに――目の前の、自分によく似た相手に丁寧な問いを放った。
それは伊依にはこの時点では、意味不明としか思えない質問だった。
けれど舞弓にとっては、たいせつな確認だったのだろう。
「あなたは、母を愛していましたか?」
その内容に、伊依は胸騒ぎを強める。
何だ。何だこの質問は。自分はどんな事実を知らない?何を見逃している?ここで舞弓がこんな質問をした理由は何だ?
母?舞弓の母?
それは物造の申し子、戦橋危香で――彼女はつまり、えぇっと……?
「くだらぬ質問じゃ」
伊依の結論を待たずに、かくて虚無大公は最後通牒を引き千切る。
「この虚無大公に、愛などという感情はない」
「ならば――」
演技じみた、この会話。そして作りもののような、因縁。
いつから仕組まれていたのか。台本を書いたのは誰なのか。伊依には瞬間的に理解できた気がした。舞弓がその直後に放った言葉を聞いて。彼女がここまで流さなかった涙を双眸から零したのを確認して。その涙に虚無大公が一瞬だけ見せた表情を知って。
戦橋舞弓は虚無大公に、涙混じりにこう吼えたのだ。
「父とは思わぬ!」
決戦兵器が超高空を駆けぬける。”
戦橋危香 たたかはしあやか=闇宮血影:舞弓の母。■
闇宮影文:舞弓の父。
無城美国 むじろびくに■
展開が意外すぎる。
意外なところから意外な事実が突然現れた感じ。
最後泣ける。何か泣ける。
あ、あと、あの宇宙木さんのつぶやきは伏線ですか。バレバレの伏線だと考えていいんですか。
“そして。いつのまにか背後にいた、不思議な少年を睨みつけた。
緑色が混ざったような金髪の、その身の丈にあわない服を着た少年は――空き地を巡る柵にどこか不満そうな顔で腰かけ、ちらりとこちらを見た。不機嫌そうな、いけ好かないその表情。見間違えるわけがない。まるで初めて会った日の再演のようだ。
「死に損なった……まったく、最終兵器の使い手は余計なことをしてくれた。用意周到に準備していた計画をぜんぶ台無しにされちゃったよ。復讐したいけど、誰にも感知できないくれいの残りかすの≪魔力≫しかないし――絶対命令権で生きろと言われたら、もう何をやっても死ねない。最悪だ」
真子にはわからないことを言って、彼は皮肉げに溜息をつくと――。
「しかし何よりも最悪なのは、静かに考え事をしたいのに、どっかの子供が迷いこんできてうるさく泣き喚いていることだ。何なんだよもう、おまえは。迷惑だな」
もはや何がなんだか、頭のなかが真っ白になって言葉を忘れたみたいにあたふたするしかない真子に、彼は――いつかと同じことを言った。
「泣き虫」
「か」
真子は耳まで真っ赤になると、とりあえず全ての疑問を脇に置いて、いつものように、あの幸せだった時代によく叫んでいたとびきりの罵倒語を放った。
「影文くんの馬鹿ぁ!」
それから涙を勢いよく拭うと、今度こそどこにも行かないようにとその少年に――闇宮影文に飛びついて抱きしめた。” -
狂乱家族日記拾弐さつめ
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Posted by ブクログ
“「そうだな……」
蟻馬はしばし考えて、神妙に答えを待つ伊依を一刀両断した。
「馬鹿だな。お前は」
「馬鹿ですか」
厳しい評価だ。
蟻馬は頷き、溜息をひとつ零した。
「何でもかんでも抱えこむし、思いこんだら止まらないし、すぐ視野狭窄になって失敗して落ちこんで――。俺から見たら、かってに自分に試練を課してかってに挫折して、それを繰りかえして、出口のない迷路をぐるぐる廻っている馬鹿にしか見えんね」
「…………」
びみょうに言いかえせないのが哀しい。
けれど不思議と嫌な気持ちにはならない。べつに蟻馬も伊依を罵倒したいわけじゃなく、ほんとうにすなおな感想を聞かせてくれているのだろう――悪意は感じなかった。
蟻馬は静かに、前からずっと言いたかったのだというように、台詞を吐きだしてくる。
「いいか、空井伊依。やたらおまえを褒めてちやほやする連中がいるがな、だからって調子に乗るんじゃねぇぞ。おまえは天才じゃない。よくいる頭悪い馬鹿だ。使命だなんだ背負ってても、親がどんだけ偉い怪造学教授でも、関係ない――ただの人間としてみたら、どこにでもいる十六歳の馬鹿な子供だ、いいか?弁えろよ?」
「………はい」
なぜか涙が溢れてきた。
でもそれは、嫌な涙じゃなかった。
肩の荷が下りたというか、胸がすいたというか、ほっとした。”
井口文女 いぐちあやめ:怪造学会防衛部副部長
ヴェクサシオンと遊が救われてよかった。
最後はちょっと涙目。
ヴェクサシオンが可哀想すぎて、泣けてくる。
でも、伊依ちゃんが彼女を助けてくれて本当良かった。
“「――見せつけてくれちゃってね」
不意に……声がした。
軋むような、車椅子の音も。
「公衆の面前で、恥知らずに抱きあってさ。馬鹿みたいな台詞を言いあって、あんたら脳みそ膿んでんじゃないの?あぁ気持ち悪い。吐き気がするね。死んだほうがいいよ。目障りだね。どいてよ……通れないじゃない」
抱擁をしあっていた伊依と遊は、弾かれたように声の方向を見た。式場の建物――その傍、狭い道路の街路樹の下にいたふたりは、なるほど通行の邪魔ではあった。けれど、弔問客はおおむね揃ったようだし、遅れてきた誰かがいるとは思わなかったのだ。
でも。
そうか。
まさか――いろんな意味で、来ないだろうと思っていたけど。
彼女は、やってきたのだ。
(中略)
「いつか君が元気になったら、そのとき――ゆっくり喋ろう。君と話したいことがたくさんあるんだ。言いたいこと、聞きたいこと、たくさんあるんだ。嫌だとは言わせないよ、そのくらい……いいでしょ?」
そして彼は、目の前の少女を人間として、呼称したのだ。
「姉さん」
平凡な、遊の願い。
不器用な、その宣言。
その言葉が、感情が、どのように受けとられたかはわからない。呼びかけられた相手は、一瞬――呆然として、何かを言いかけて、口を何度か開閉して……けっきょく、言葉にならず、目元にみるみる涙を浮かべた。
「……うん」
しっかり頷き、寂憐院友樹は、その表情を隠すみたいに。
震える指で麦わら帽子を持ちあげると、深くかぶった。” -
狂乱家族日記拾壱さつめ
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試し読み
Posted by ブクログ
「世界会議」の開演。
直前にあったミリオンの暗殺を企てたのは帝国。であり首謀者は時々名前は出てた「紅茶」。
で、実は紅茶は閻禍の過去話に出ていた「赤髭」だったという事実。
作中の章毎に語られてた閻禍の時代の話はここに繋がるわけだ。
昔、月香によって再構成された人間は不老になってしまったらしい。不老ではあるがケガや病気をすれば死んでしまう存在で、すでに朝夜や泪雨夜は他界。
赤髭にかぎらず他の兵も1000年間生き延びてきた模様。
となると、他のキャラも生きてると考えていいのかも。
不解宮の当主がようやく(声だけ)登場し、この当主も1000年生きながらえてようで、おそらくは当時の姫様。
そして最後に紅茶こと赤髭に止めを刺したのは地下帝国の執事(?)キャラなバルトロ。
ってことはこいつが閻禍の可能性が高い。
で、平塚雷蝶が瀕死状態で変わりの別人格(?)として出てきたのは黄桜乱命。
こいつも死なないキャラのようでいろいろ謎が多いが・・・多分エンカと朝夜の子供かなぁ。違う可能性も高そうだが;;
閻禍伝説編が終了したので、次からは乱命がからんでくる裏社会編になるとか。
次はどんな狂乱になることやら。
そういえば短編集は読んで無いので読んでおこうかな。 -
狂乱家族日記拾さつめ
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試し読み
Posted by ブクログ
月香の幼児化が一段落したら、今度は今までちょろちょろと名前くらいは出てきてた不解宮が主催する「世界会議」に行っちゃうよ?な話。
今回も乱崎家のいる時代と、千年前の閻禍達の時代とが交互に展開する構成。
最終的には閻禍伝説となごやか家族計画との関係が繋がるのだろうけれど、どのように繋がるのか今の段階ではさっぱり不明…。
厄災の規模としては8巻までの「大いなる厄災編」の方が大きいが、困難具合ではこの「閻禍伝説」編のほうが大きい様子。
不解宮ミリオンの罠(?)で家族は分断され、閻禍の時代の話でも家族が分裂してしまう展開になっているし、今までのように「家族一致で狂乱し物事を解決」って具合にはいかなそうな予感。
最後は何かの目的をもって動いていた不解宮ミリオンも平塚雷蝶も・・・となるけれど簡単には死なないよね? -
狂乱家族日記 九さつめ
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狂乱家族日記 八さつめ
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狂乱家族日記 七さつめ
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狂乱家族日記 四さつめ
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